2025年4月9日水曜日

肋骨骨折

人には痛みに敏感な人と鈍感な人が居て、私は鈍感。
その朝は、職場で若い人たちへのトレーニングがあって、とても忙しかった。仕事が終わって、家に帰ってやれやれと、夕食後のニュースを見ようとしたら、少し前から左胸が重かったが、突然ひどく痛くなって呼吸ができない。心臓をわしずかみされている感じ。浅い息を吸うが息が吐けない。鉄の腕でで心臓が掴まれて、痛くて両手で強く抑えていないと、胸から背中に放射する痛みが強くて立っても座っても居られない。血圧を測ってみると上が200近く、脈も信じられないほど速い。
これって心筋梗塞だよね。じゃなかったら急性肺炎か気胸か。浅い息で地面を這うような姿で車に辿り着き、へろへろ運転で2ブロックほど先の救急病院に到着。受付で胸痛を訴えた。
オーストラリアでは、死因の第1番がハートアタックなので、私のような老人が胸痛を訴えると、トリアージナンバーワン、すぐに心電図、血液検査、レントゲン検査に回される。
救急室はあっちでもこっちでも血を流したり、吐いている赤ちゃんや、鼻が折れて変形した顔の人や、泣いている救急患者に挟まれて、待つこと3時間。

結果は何にも悪くない。けれどお家に帰れない。以前、私が病院の心臓外科病棟に勤めていたことがあるのを知っている若い女性のドクターは、何故かわからないけれど、胸痛が収まらない患者は、家に帰したがらない。その胸痛は前兆に過ぎなくて、家に帰したとたんに大発作が起こって翌日死んで見つかるかもしれないからだ。再検査で再び2時間待つが、結果は良し。救急室で5時間待って、検査結果が良いのに痛みが治まらない。
どうしてだろうねーと、検査結果の画面をドクターと二人で眺めながら不思議不思議。ところで、その顔のアザは何なの?と聞かれて、ウーム、思い出した。今朝、職場に向かって入り口で蹴つまずいて転んだのだった。硬いコンクリート道路で倒れて左側の頬と、肘と手と膝小僧と腰を打った。でも忙しくてすっかり忘れていた。

「そっか、肋骨を打っていたんだ。なあんだ、肋骨骨折じゃん。」と女医さんと一気に「謎」が解けて大笑い。ハイタッチに、ばんざい。わっはっはと笑いあって、やっとお家に帰れる嬉しさでぴょんぴょん跳ね上がりたい気分。肋骨骨折の診断が下って、大喜びする女医と患者の姿も珍しいだろうが、心臓じゃなくて良かった。肋骨骨折の治療法はない。休めば治る。
嬉々として、でも痛くて空気中をクロールで半分溺れながら泳ぐような姿で帰宅して3日間、何もせず自重していた。食べて寝るだけの3日間。4日後には、娘たちの誕生会ランチのため、家族全員がそろう。家族に迷惑が掛からなくて良かった。
年寄りのひとり暮らしは充分楽しいが、それなり、小さなドラマもあったりしてはらはらする。

LADY GAGA「ALWAYS REMEMBER US THIS WAY」
レデイ―ガガのこの曲は、一緒にバンドをやっていた男の子が死んでしまって、女の子がそれを思い出して歌っている。自己流の訳は以下。

アリゾナの焼けるような太陽に、目が沁みて痛い。 あなたが私を見る目に燃える火を見たい。  カルフォルニアに埋まってる金みたいに 自分で見つからなかった自信を、あなたがくれた。  だから息が詰まって、言葉が見つからない。   いつもサヨナラを言うたびに、とても傷ついた。  陽が落ちる時、バンド演奏が終わる時、いつも私たちのことを思い出す。
夜、恋人たちは詩を口ずさむ  私たちは韻をふむやり方も知らなくて  だけど あなたはどこにも行かないということ   私の一部分だもの   あなたは絶対死んだりしないって
私は息が詰まって言葉が見つからないとき  いつもサヨナラをするとき とても傷ついた   陽が沈むときバンド演奏が終わってしまっても  いつもみたいに  こうやって思い出す。





2025年4月1日火曜日

トランプのロシア、ウクライナ間の停戦案

バイデン前米国大統領が無条件でウクライナに送った、総額1197憶ドルの武器代金を回収するために、トランプ現大統領は、ウクライナの鉱物収益分配協定への調印をゼレンスキー大統領に求めている。
トランプの意向を受けて、スコットベーセント財務長官が、ゼレンスキーに調印を求めている18項目の協定は、ウクライナを米国に売り飛ばすような協定だ。協定には、ウクライナのレアな鉱物だけでなくウクライナ全土の石油、ガス、未開発鉱床を含む全部の鉱物を、無期限に米国が採掘権を持ち、管理するという酷い内容だ。これにゼレンスキーがサインすると、ウクライナは米国の植民地になる。
ここに来て、ゼレンスキーが協定にサインする代わりに、NATOに入れてくれる約束はどうなったのか、トランプに聞いたら、彼はそんな約束はない、と激怒したという。

しかし事実は今年の1月に、英国ストーマ―首相とゼレンスキーとの間で、ウクライナの地下資源を英国と共同で開発し、英国が100%負担して利益を取るが、その代わりにウクライナの安全を保障する、という2国間の合意ができていた。もちろん英国はウクライナを単独で守らない、空約束だ。
安全を保障しないが、今までの武器費用を返済しろと迫る米国と、安全は保障するが鉱物は全部英国の物だと言い張る英国。

トランプは、もう一方のロシアの大統領プーチンにも激怒していて、どうして停戦しないのか、と恫喝している。トランプの停戦案をロシアが飲むわけがない。まず停戦して、NATO 軍を両国の間に平和維持軍として送る、というとんでもない提案だ。EUからの軍の派遣は、そのままEUの参戦を意味する。今までウクライナに武器を送っていたEUが、中立の立場で停戦を維持するわけがない。ロシアに対し開戦することになって、戦線拡大以外の何でもなくなり、EUは国境監視団、平和維持軍という名の攻撃型最先鋭の兵をロシアに送るだろう。仏国、英国、独国の要請を受け、求められたならば、オーストラリア政府まで平和維持のために派兵するとアルバニー二首相は言った。冗談ではない。

クリミア、ドネツク、ルハンスク共和国の独立を認め、ロシアにもウクライナにも帰属しない自治権を認めることを、ロシアのプーチンは開戦前から主張していた。彼らのことは彼らが決める。ウクライナは手を引くべきだった。また、ゼレンスキーはNATOに入れてもらって米国基地と英国基地のもつようになる夢を見るべきではなかった。
ロシアもヨーロッパ各国も、英国も、みんなみんなウクライナのオイル、ガス、鉱物を欲しがっている。それを武器産業が煽って戦争が起きて、また停戦という名の戦線拡大が起きつつある。

国家とは、国民に安全と平和を守り、それぞれの生活と命を保障する義務があるにも関わらず、、、。
なんということだろう。エイプリルフールでも笑えない。

2025年3月31日月曜日

50年前の日本の職場

日本の学生も、有配偶女性も103万円の年収を超えると、所得税の支払いが発生し、親や夫の会社からの手当の支給が無くなる。また収入が130万円を超えると、収入全体に掛かる15%ほどの社会保険料を払わなければならない。
だから、
税金も社会保険料も払わないで済むように、学生も主婦も、月に10万円程度の給料以上にならないように、時間を調整しながら働いている、という。
また5千人以上の大企業で働く女性の70%が非正職員で、同じ5千人以上の大企業で働く男性の70%が正社員という雇用形態を保っている。女性がいかに優秀でも時給1000円で働け、学生は親に、女性は夫に食べさせてもらえ、ということのようだ。
男女差別の醜い日本。

50年前大学でマスコミを学び、小さな業界紙新聞社に入り、女性の編集記者は初めてと言われ嬉しかったが、醜いセクシャルハラスメントを受けて1年後に退社。ずっと女性が働ける職場と思ってナースになった。悲しかったのは、新聞社に入社したとき、5人の男の新入社員同士で、ものすごく結束して仲が良くて、互いに新米で叱られながらも強い友情で結ばれていた。だけど1年後に社長からハラスメントが起きた時、嘘のように5人の結束が消えてみんな瞬時に離れて行って、孤立無援になったことだ。誰も話を聞いてくれなかった。今思い出しても胸が痛い。

オーストラリアに移住して30年目に入る。いまもナースをやっていて、オージー同僚たちに、日本の自慢話をしている。
実際日本の都立病院に居た頃、美濃部都知事の計らいで、ナースの為には寮も、保育所も確安で用意されていた。大きなナース用のロッカーがそれぞれにあって、その日に着た白衣は、備え付けのエアシューターで地下3階に送ると、翌々日にはパリっとアイロンがかかった綺麗な白衣が届けられた。風呂もシャワーも完備していた。「白衣をドーンとエアシューターで落っことすと、ピューンとアイロンのかかった白衣が届くんだよ。クリーニング代無料だよ。50年前の話だよ!!!」と言うと仲間の誰もが目を丸くして「日本ってすごい」と感嘆してくれる。その病院で2人の娘を持ち、職場の高い窓から下を見ると、よちよち歩く娘たちを含めた幼児らが病院のテニスコートで遊んでいるのが見下ろせた。真冬でも半そで短パンの幼児たち。幸せだったころの話。そんなのをオージー同僚はしっかり羨ましがってくれる。日本も良いことろが沢山あった。
しかし制度的にはこの半世紀、50年もの間、何も変わらず、女性は男性に食べさせてもらわなければ生きてこられないという、なんという差別社会。

オーストラリアでは正社員の時給より、非正職員の時給がずっと高い。非正職員には、年次有給休暇や有休の病欠がないので、当然だ。私は年6週間の有給休暇は絶対きっちり取る。
最低賃金は正職員で時給$24.10(2506円)、非正職員で$30.13(3133円)これはワーキングホリデイで来ている若い人も、バイト学生も共通で、最低賃金を守らない雇用主は罰せられる。
給料のほかに、給料の12%を雇用主は、それぞれの職員の積み立て年金に入金する義務がある。また12%は自動的に国民健康保険に引かれる。税金額も20%くらい引かれる。額面と実際の受取額のすごい違い! だから毎年給料アップを求めてフツーにデモをやる。
こうしてこの国で30年近く働いてきて、職場のセクシャルハラスメントや男女差別は感じないが、パワーハラスメント、ボスからの虐め、管理職のポジション争いの醜いやりとりは、しっかりある。自分が働く目的意識を持ち、常に向上意識をもたないと、蹴落とされるし、職場に留まっていられない。それは、どんな職場にも言えることだと思う。働くと言うことは、生きる事、男でも女でも大変だ。

日本で、職場や地域社会にセクシャルハラスメントを受けた人が、駆け込めるような場がないことは間違っているし、、、非正職員の時給がが正職員の時給より安いなんて絶対、間違っているし、、、シングルマザーが保育園や学童保育に子供を任せて働けないような地域社会は、間違っているし、、、仕事の悩みで自殺者が出るようなことは全くもって、間違っている。
性別に関係なく、年齢に関わりなく、学歴に関りもなく、熱意を持った者が快適に職場で働きながら、結婚したり、子供を持ったり、離婚したり、定期的に旅行したり、職場の仲間と誕生日を祝い合ったり、年を取っても大学で学びなおしたり、趣味を楽しんだりできる社会が、ぜんぜん間違ってないのだ。

2025年3月12日水曜日

アンチセミチズム法

豪州のNSW州では、この2月に、アンチセミチズム法という新法が施行された。
アンチセミチズム:反ユダヤ主義という民族差別行為を取り締まり、ユダヤ教信者が安心してシナゴクで宗教行事ができることを目的とする。
ガザでイスラエル政府によるパレスチナ人へのジェノサイトが止めようもなく、5万人の犠牲者が出ている状況で、パレスチナ支援の声が広がっているが、ユダヤ人団体の圧力に負ける形でこのような規制が法制化された。これで豪州のユダヤ人は特別に保護される対象になった。

パレスチナを支援することは決してアンチセミチズム(反ユダヤ思想)ではない。現在の狂信的イスラエル政府によるシオニズムを批判しているのだ。にも関わらずパレスチナへの人道的支援を呼びかけ、イスラエル政府を糾弾する動きに、アンチセミチズムのレッテルを張って規制しようとする動きが急速に進んでいる。
豪州では先住民族アボリジニが、総人口の2%を占めるが、それ以外の、98%は主に欧州からきた移民で形作られた国だ。その中には長い歴史の中で欧州で差別されてきたユダヤ人もたくさん新天地を求めて豪州にやってきた。総人口のうちユダヤ人がどれくらいの比率を占めるかの統計はないが、ユダヤ教を信ずる人口は、豪州の総人口の、0.4%とされる。わずかなそれらの人々を保護するためにアンチセミチズム法が新設された背後には、右傾化する世界情勢と、増えつつあるイスラム教徒の勢力を制したい政府の意思がある。ユダヤ教信者に比べれば、豪州ではムスリム人口は、少なくとも10倍いる。クリスチャンの国だから、ムスリムへの嫌悪感もあるだろう。

法規制ができた切っ掛けは、1月にシドニー東部ドーバーハイツのシナゴクが放火され、ユダヤ人宅の塀に落書きがされ、家の前に駐車した車2台に火がつけられた事件だ。これは3月10日になって犯人が14人逮捕され、アンチセミチズム法とテロリスト法で起訴されるようだ。報道ではムスリムのテロリストによるものとされている。

また2月13日にシドニーの公立病院で、男女2人のナースがソーシャルメデイアでユダヤ人インフルエンサーと会話をしていて、「私たちはユダヤ人はケアしない。そうよ殺すわ。」と軽口をたたいたビデオが大々的に公表され、ナースたちは逮捕起訴された。若者同士の軽口とソーシャルメデイアの影響の大きさを示すものだが、これ以来ナースへのアタック、公立病院への人々の不信と不満で私の職場も影響を受けた。

また政府はこういった事件を機にムスリムへの規制を明らかに強化している。昨年イスラエル政府は、パレスチナガザのハマスをサポートしていたレバノンヒズボラの宗教指導者、ナスララ師を暗殺した。イスラエル軍は、1トン爆弾を、80発投下して彼のいたヒズボラ本部を破壊し彼を殺した。ナスララ師はレバノンの政治リーダーというよりも宗教指導者として人々の信心の支えだったから、彼を暗殺した罪は大きい。2月24日彼の葬儀がレバノンのベイルートで国家行事として行われたが、豪州政府はこの葬儀に参加するために国外に出た人は、二度と豪州に戻ってこられないように、ビザも永住権もはく奪する、と発表した。ムスリムは心の支えだった宗教指導者を悼むこともできなかったのだ。

アンチセミチズム法が出来て、テロリスト法もできて、うっかりユダヤ人をサカナに軽口をたたくこともできなくなった。
こうして社会の監視が強化され、報道管制と言論弾圧が進行していく。
ユダヤ人で冷酷無比の守銭奴、スクルージを皮肉ったデイッケンズのクリスマスキャロルは、アンチセミチズムか?
あくどい金貸し老婆は生きてる価値がないと、ラスコリー二コフに思わせて殺させた、ドストエフスキーはもう読まれないのか????

2025年3月11日火曜日

腐敗するウクライナ政府とNATO

ウクライナ、ロシア間の戦争が始まり、3年目に入った。
開戦前、もともとウクライナのルハンスク州の3分の1、ドネツク州の半分の市民は、親ロシアでロシア国内のパスポートを持ち、ロシアの国政選挙には、国境を越えて投票しに行っていた。かねてからプーチン大統領は、ルハンスク、ドネツク人民共和国の独立を承認するように、ウクライナに呼び掛けていた。

しかしゼレンスキー大統領は、2021年10月ロシア、ウクライナ間のミンスク合意を破り、親ロシア地域をドローン攻撃し2600人の市民を殺害した。
火種を持ち込んだのは、ブッシュジュニア大統領で、ウクライナを、NATO軍に加盟させようとして内戦を拡大させた。1990年ドイツ統一の際には、米国がロシアに「NATO軍の管轄は1インチも東に拡大しない。」と確約した約束を簡単に裏切ったのは、ブッシュからオバマまでの米国大統領だった。
ルハンスク、ドネツク人民共和国のことは、国民投票で独立するのか、ウクライナに帰属するのか、住民の彼らが決めることだ。ウクライナが介入すべきではなかった。

2022年2月にゼレンスキーが国家動員令を発令してから、16歳から60歳までの徴兵が行われウクライナの人口2000万人のうち200万人の国民が参戦している。
EU,米国、豪州からもウクライナには義勇兵が参戦し、純粋にウクライナの領土を守りたいと言う動機の若者もいる。一方雇われてお金のために入隊する兵も多い。コロンビアが最大で、中南米から来た傭兵が最前線に立っている。彼らに払われる給料は、米国とEUの援助金だ。

ゼレンスキーは、国際調査報道ジャーナリスト連合によると、イギリス領バージン諸島にペーパーカンパニーを作り、戦争が始まったばかりの2年間足らずの間に8億5千万ドル蓄財した。現在の資産は18憶ドルだと発表されているが、エジプトの高級避暑地にも、イタリアのトスカーナにも、ヤルタと英国にも豪邸を持ち、キーウには4つのアパートを所有していることを、2017年ウクライナ政府に資産申告している。ほかにもコートダジュールとフロリダに別荘を持っていると言われているが申告されていない。

欧米がお金を出し、ウクライナに戦争を継続させるように充分な兵器を送り込み、ウクライナ人だけでなく最貧国から傭兵を雇って使い捨て、ウクライナのトップは欧米の市民の税金からなる支援金で私財をため込んでいる。 
また新たに英国が米国の代わりにゼレンスキーに送ることを約束した450憶ユーロは、英国が自由にできる資金ではなく、ロシアの凍結されている資産なのだ。これは窃盗罪という立派な犯罪だ。
こういった構造を、腐敗と呼ばずに、何というのだろうか。

ノームチョムスキーは、「人々を受動的にかつ従順に保つ賢明な方法は受け入れられる意見の範囲を厳しく制限しながら、その範囲内では非常に活発な議論を許すことだ。」と言った。トランプに侮辱されたゼレンスキーが可哀そう。味方になってあげて、どんどん武器を送ってあげようーもっともっと殺さなくちゃ、、と言い続ける軽薄な論争を、もういい加減止めよう。
武器を送るな。殺すな。

2025年2月26日水曜日

映画「教皇選挙」

映画「教皇選挙」
監督:エドワード エルガー
2025英国アカデミー賞作品賞受賞作
ロレンス枢機卿:ラルフ フィネス
ベリーニ枢機卿:スタンレィ ツッチ

バチカン教皇の死に伴い、教皇の信認を得ていたロレンス枢機卿が、教皇選挙の指揮を執ることになった。
教皇の死後15-20日のうちに世界から集まってきた120人の枢機卿の中から、選挙で3分の2の得票を得た新しい教皇を選び取らなければならない。世界で14億人の信徒を持つバチカンの元首、ローマ教皇の選出だ。
システイン教会は、選挙のために外部からは閉ざされ、密室で枢機卿だけで協議がなされる。4人の候補者がいる。米国人のベリーニ、カナダのトンブライ、イタリア人のテデスコ、とナイジェリアのナデイミだ。3分の2の得票数が得られないたびに、票は燃やされて黒い煙となって、システイン教会の煙突を見上げている信者たちを落胆させる。候補者同士の陰での争いが始まっている。互いの過去や落ち度が醜いスキャンダルとなって流布される。

まず女性問題でナイジェリアの枢機卿が候補を落とされ、次に金銭の横領でカナダの枢機卿が落とされる。おりしも,教会付近でイスラム教徒による爆破事件が起こり,怒ったイタリアの枢機卿が取り乱し、これは宗教戦争だとイスラム教信徒を侮蔑する差別発言をして人格を疑われる。
そこで立ち上がった、アフガニスタンのカブール出身の枢機卿がクリスチャンの原点に立つ感動的な発言をして、彼が新教皇に選ばれる。人格的にも彼は申し分ない。
しかし降ってわいたように、彼の秘密が暴かれる。秘密を追及するロレンスに向かって、彼は自分が神によって生まれ、神によって作られた人であると言いロレンスを説得する。
というストーリー。

一貫して選挙を取り仕切るロレンスの苦悩が描かれる。新事実が現れるたびに事実を追求し候補者を一人ひとり落としていく。そのたびに苦悩する。正しい判断をきちんと出していくロレンスは、まるで映画の中でキリストのようだ。ラルフ フィネスは苦悩する男を演じる適役と言える。
俗に、人は「セックス」と「金」で堕落するものだが、映画でもそれだけでなくむき出しの人種差別意識まで、崇高であるはずのバチカンの枢機卿の世界でも存在する俗っぽい姿が描き出されていて、残念極まりない。現実では、こんなであって欲しくない。

しかし現実に、ドイツ出身の前教皇も、小児性虐待に関与していた過去がずっと囁かれていた。また、
オーストラリア人で現教皇から全信頼を得て、バチカンの財務長官まで勤めていた、ジョージ ペル枢機卿も、2019年小児性的虐待で逮捕され、6年の禁固刑を言い渡され、実刑に服していたが2020年最高裁で逆転無罪となり釈放された。彼がレイプした少年の1人は自殺し、生存者が訴訟を起こした。
バチカンは公式に、被害者に謝罪すべきだった。
また、世界でも最も豊かな財政を持つバチカンの財務に常に不正が囁かれている。それを止めたいなら財政を公表すべきだ。

ここで、カトリック聖職者が男性ばかりで、結婚は許されないという何百年の歴史に終止符を打つべきではないのか。このまま男だけをトップに立たせるのか。
このまま聖職者による少年少女へのレイプを許すのか。
子供の従順さを利用して個人の欲望を果たすことで、子供を裏切ることは何よりも重大な犯罪だ。
また、このまま教会は、トランプ大統領と同じに「世界は男と女しかいない。」と断言するつもりか。間違っている。この世には男でも女でもない人が沢山居る。数万人に一人の割に、子宮も精巣も持って生まれる人がいる。多くは普通に生活し問題なく結婚する。あなたのとなりにも、そのような人が居て、知らないだけであなた自身がそうした人であるかもしれない。だから差別をしてはいけない。世の中は男と女しかいなくはないのだ。神はそのような人を、人として造られた。

カトリック教会は、変わらなければいけない。それを映画の最後でラルフ フィネスが、穏やかな笑顔で空を見上げ、やっと煙が上がって人々が喜び歓声を上げるシーンで語り掛けている、と私は解釈した。



2025年2月23日日曜日

映画「ブルータリスト」

映画「ブルータリスト」
上映時間200分、途中で15分の休憩が入る長編映画。
監督:ブラデイ コーベット。2024年ベネチア国際映画祭、銀獅子賞受賞、主演のエドリアン ブロディは、今年の英国アカデミー主演男優賞を受賞し、アカデミーでも候補作になっている。
美男とは程遠いワシ鼻、「八」の字の眉毛、これほどユダヤ人の典型的な顔の男優はほかになく、「戦場のピアニスト」では忘れ難い優れた作品を主演した。今回もピアニストに続いて、ホロコーストから生還した男の役を演じている。

映画はナチの嵐を生き延びて、難民としてアメリカに渡ってきた人々が、運ばれた船から自由の女神に迎えられ、喜び涙して激しく抱き合うシーンから始まる。しかし、彼らが船底からみたのは、逆さの自由の女神だ。行く先の困難を暗示しているかのようだ。

ポーランドのワルシャワで図書館や市庁舎などを設計、建設したキャリアを持つ建築家ラズローは、戦直後の混乱の中で妻と離れ離れになってしまった。到着したアメリカで富豪の実業家ハリソンに出会い、彼の妻を探し出しアメリカに呼び寄せる事を引き換えに、ハリソンの望む母親の名を冠した礼拝堂を建設することを約束する。

ラスローは依頼に合わせて巨大な街のコミュニテイ全体に貢献できるような、図書館やジムやプールを備えた教会の図を描く。建物の上の窓からは、正午と夜明けの光が差し込むと、教会の教壇に十字架の光が現れるような工夫を凝らしてある。
ラズローはナチから生還してきたが、深い傷をもっていて、生きることを渇望している。彼の激しい性愛も、絶望と苦渋の性愛も、アルコールやドラッグで踏み外さないと正気を保っていられなくなる精神の弱さも、ただただ痛々しい。

題名のブルータリストは、残酷な人の意味だが、この映画では建築様式を言う。フランス語で生のコンクリートを(BETON BRUT )というが、ロココ調などの装飾を凝らした様式ではなく、コンクリートを打ちっぱなしにして壁にペンキを塗らない、モダンで無駄のない建物のことを言う。このようなヨーロッパから来たスタイルや知的なラスローに、アメリカ人の依頼者は、優位性と同時にコンプレックスを持っている。

監督は若干36歳、今後が楽しみだ。映画の初めから終わりまで音楽の使い方が秀逸。不協和音の連発と、同時に流れる音楽に工事現場のくい打ちの音か製鉄所の雑音のような音が、低音に流れていて不安感を呼び起こす。楽しい映画じゃない、と主張しているようだ。

ナチズムによるユダヤ人迫害の歴史は、これまでも数々の優れた映画を生み出して生きた。
エドリアン ブロディの「戦場のピアニスト」、メリル ストリープ主演の「ソフィーの選択」、ケイト ウィンスレット主演の「愛を読む人」、ロベルト ベニーニ監督主演の「ライフ イズ ビューテイフル」、どれも忘れ難い名作だ。
600万人の殺された人々にはそれぞれ600万の「語り」があっただろう。600万人のユダヤ人の悲劇を言うなら、いま、このときに5万人のパレスチナ人はどうか。5万人の語るべきストーリーがある。自分たちの祖父や祖母が過去に痛みを受けた人々が、なぜパレスチナ人の痛みを自分の痛みとして感じられないのだろうか。



2025年2月17日月曜日

USAIDシャットダウン

米国大統領就任式で、新設された政府効率化庁のイーロンマスクが、スピーチのあと人々に向かって異様な敬礼をした。この日、トランプ大統領が矢継ぎ早にサインした沢山の大統領令の内容に、度肝を突かれた世の人々は、マスクの行状などに大して驚かず、話題にならなかったが、そのまま気にせずに通り過ぎてしまいたくない。
豪州では公共の場でナチのシンボルの鍵十字や、ナチ式敬礼をすることは刑法で禁じられている。違反者は1年の実刑と罰金230万円ほどが科される。

右手を胸に当て、腕を伸ばし手のひらを下に向けてから右上に掲げるナチス式敬礼の起源は、ローマー帝国のカイサルにある。 
カイサルは、ルビコンを超えアジア、北アフリカにヨーロッパのほとんどの国々を支配下に置いて、ローマに凱旋した時に、熱狂するローマの人々にこの敬礼で応えた。凱旋パレードは、背中に高く松明の火が燃える象の行列に導かれ元老院議員、楽隊、戦利品を陳列した馬車、捕虜になった敗者を載せた馬車があとに続き、兵士や市民にはボーナスが与えられ、祝宴は4回続いたという。コロシアムではテビレ河の水が引かれて海戦ショーや、剣闘士の剣技、400頭のライオン狩りを人々は楽しんだと伝えられている。

で、、、カイサルの真似をしたマスクだ。就任後、彼の最先鋭の
部下を連れてUSAIDに乗り込み、そのメインコンピューターの情報にアクセスして内容を検討ののち、大統領にシャットダウンするようにアドバイスしたという。
USAIDは1961年、ケネデイ大統領が393憶ドルを計上して創出された組織だ。1961年11月に人類学者を装った(確認できるだけで)12人の米国人スパイが南ベトナム中部山岳地帯に入った。彼らは200万人の文字を持たない山岳民族でベトナム政府に不満を持っていた。それを組織化して低地に住むべトコンと戦わせてベトコンを全滅させてべトナム政権を乗っ取る、というケネデイ大統領による分裂支配の実験だった。1962米国は南ベトナムに宣戦なしの戦争に入った。米国はこんな汚い手で、傀儡の反共サイゴン政府を作ったが、結果は散々たるものだった。ベトナム人によるベトナムは、他国がどんなに資金と武力をを投入しても民族独立の志を奪うことはできなかった。

その後、USAIDは、米国が仕掛けたすべての戦争に、CIAとともに、CIAの手足となって関わってきている。
1999セルビア攻撃、2003イラク攻撃、2011アフガニスタン侵入ではケシ栽培に関わった。2011リビア政府崩壊、ベネズエラの反チャベス運動、ブラジルのボルセナロ支援、中国武漢に生物研究所に出資してコロナ研究に力を入れ、2014ウクライナでマイダン革命を主導し、2021アゾフ連隊を支援した。

USAIDが、難民支援で救った命は数えきれないとしても、組織自体が望む望まないに関わらず、「世界で他国の政権転覆」と「内政干渉」に利用されてきたことは事実だ。最貧国を援助すると言うことは、それぞれの国の特殊性、国内事情やそれを握る経済構造に精通する必要がある。そういった情報は、軍や帝国主義者が最も欲しい情報でもある。良かれと思って援助することが、腐敗した新たな権力者を作り出す。また、どんな組織も大きくなって、豊富な資本がつくと腐敗する。組織というものが、必ず大きくなると腐敗するものだと言う事実を忘れてはならない。

ワシントンでのトランプの就任式に、アマゾンのジェフべゾズも、メタプラットフォームのマークザッカーバーグも、トランプに100万ドル寄付した後、式に同席していた。この2人の男たちのトランプへ忠誠を誓う態度の豹変は、ただの損得勘定だけではなかった、と思う。
カイサルも、ローマで暗殺されたあとは、しばらくはその死体を放置されたのである。

写真は都庁の建物に映し出されたゴジラ。会えて嬉しかった。



2025年2月7日金曜日

日本旅行 その3

上野のホテルから新宿のホテルに移ったら、フイリピンに滞在していた教授こと、山田修さんがマニラから着いたその足で会いに来てくださった。

私のたっての願いで新宿の長崎ちゃんぽん皿うどんで、家族全員と会って、旧交を温めた。彼とのなれそめは、とマゴに聞かれて35年前のこと、すっかり忘れていたがようやく思い出した。娘たちがマニラインターナショナルスクールで学んでいた頃、そこでわたしは午前中は中学生、午後は高校生にバイオリンを教えていた。マニラで日本語の新聞を発行して編集記者だった彼が、音楽室にインタビューに来たのだった。音楽の話をロクにせず、「なぜ塩見孝也がブンドを割って赤軍を作ったことが間違いだったのか。」とか「新左翼がコケたのは当時の党派が子細な戦術の違いで分裂したことに全責任がある。」とか、しっぽり2-3時間話した記憶がうっすら。彼は何でも知っている。わからないことがあって調べるのがめんどくさかったり難しい時、聞くと何でも教えてくれる。わたしの百科事典だ。

翌日は6人で明治神宮におまいりした。神道と仏教の違いが良くわからない義理の息子スコットに、神道がいかにかつての大戦で現人神天皇が300万の国民の命を奪ったかを言及し、神宮の森は残すべきだが、神道は過去の遺産でお伽話にすぎないと説明。その足で原宿、竹下通りに出て、ドーナッツを買って公園で食べ、古着など見た。15歳のマゴが気に入ったジーンズをみつけられて良かった。女子組が買い物にうつつを抜かしている間、男子組は自転車を借りて代々木公園を走り回り、それでもエネルギー持ち甘してバッテイングセンターで大汗をかいていた。スコットは毎朝みんなが寝ている間、退屈しのぎにひとりで遠出の散歩で新宿御苑を何周もしている。

次の日、次女家族は新宿からバスで富士急ハイランドで1日中遊んできた。天気に恵まれ富士山がよく見えたようだ。遊び疲れて夜暗くなってやっと帰ってきた。私と長女は新宿散策、紀伊国屋、世界堂、伊勢丹、追分団子,高野フルーツパーラー、カフェでカニの身が沢山入ったパスタをやっつけた。
翌日は銀座に出て、新しいビルのGSIX, ソニービル、和光、三越、よしのやの靴、MUJIホテルなどなど見たのあと、銀座4丁目の「ライオン」でビールとジャーマンソーセージを食べた。むかし大学でマスコミを学び、当時銀座5丁目にあった新聞社に勤めた。昼飯はいつもライオン、仕事帰りには一緒に採用された5人の新人仲間で上司の悪口を肴に飲んで食べた。1年後セクシャルハラスメントを会長から受けて退職し、女性がずっと働ける職業を、と思って大内兵衛のアドバイスに従って美濃部都政が作ったばかりの看護学校に行きナースになった。今も75歳現役ナース。人生わからないものだ。
娘たちはマゴ達をホテルに残して夜、西口夜店通りからゴールデン街まで足を伸ばして焼き鳥とビールを楽しんでいた。

最後の夜は都庁のビルのゴジラ放映を見て、寿司よねがみでコース料理を食べ、翌朝ホテルにスーツケースを預けて「渋谷スカイ」に行った。素晴らしい眺め。しかし、東京を上から眺め、これから大地震や原子力発電所の事故が起きたら人々はどこに逃げたら良いのだろう、東京の緑の少なさに唖然とした。

空港行のバスを待つ間、吟遊詩人スーマ―さん(Masaaki Sudo)さんがわざわざ横浜から飛んで会いに来てくれた。自分の作った歌をマイクを通さずに伝えられる距離で語り弾きをしている稀有で貴重な人。「寒弾」というエッセイを毎月書いて印刷して全国、全世界の根強いファンに郵送している。画家たちとも交流があって「寒弾」の表紙はいつも斬新な絵だ。彼と話していると、声そのものに優しさと思いやりが籠っていて、心地よい。以前は帰国ごとに彼のライブで、他の友人達を集めて会っていたが、今回はスケジュールが合わなかった。
会いたくて会えなかった方々、Green Design Work の平山さん、村松ゴン、父のお弟子さんたちなど会えなくて残念だったけど、こんどまた。
写真は渋谷スカイ



2025年2月6日木曜日

日本旅行、その2

今回の日本旅行は1にも2にも長女が半年かけて、情報収集や計画を作ってくれたおかげで、事故もなく18万円の旅行保険を使うこともなく最小限の時間で最大限の観光旅行ができた。プロの旅行コーディネーター並みにホテルや新幹線、レストランの予約もシドニーでやっておいてくれて、選ばれた店で食べた食事や、おやつに「ハズレ」はなかった。感謝だ。

ナスパ新潟越後湯沢でスキーと温泉三昧をしてから、新幹線で上野のホテルへ。上野は、娘たちが生まれた文京区千駄木に近く、昔は幼い娘たちを自転車の前と後ろに載せて、上野動物園や不忍池、松坂屋や博物館に行き、1日遊んできた場所だ。私たちの裏庭のようなものだった。

アメ横で買い物を楽しんで、もんじゃ焼きやウナギや日本風洋食を食べ、私が子供の時から親しんできた西洋美術館に行ったら人がいっぱいでチケットが売り切れと。モネ特別展をしていたらしいが、そんなにモネ、日本人の間で人気者だったっけ。拒否されてびっくりしながら次女は浅草へ。釜浅で料理包丁を買い名前を彫ってもらって満足。
次の日は東京駅切手ビルの花丸寿司に直行、北海道でしか取れない新鮮で実のしまった魚介類の美味しいこと。動けなくなるまで寿司を堪能した。

それから沖縄時代からの古い友人森さんに銀座「ろくさん亭」で美味しいローストビーフをご馳走になった。料理の鉄人何とかいう人の店だそうだが、これほど美味しいローストビーフを生まれてから食べたことがない。感激だ。JALのアテンダンスを長いことされた経験で美味しい店を良く知っている。50年前女子のあこがれだった当時の花形スチュワーデス、狭いところで制服から振袖に着替えて食事をサーブするなど厳しい訓練を受け、それをリタイヤ後も仕事にしてきた人だけあって、立ち振る舞いも食べ方も早くて美しい。

次の日は新豊洲に足を運び、チームラボプラネッツで美術体験.水、光、森を体で感じる美術館、これは楽しい体験だった。
そのあとは新豊洲市場で1日中食べ歩き。魚のスープで作ったラーメンがとても美味しかった。1万5千円の茹でた冷凍のタラバガニを市場で売っているので食べたくて、でもホテルでどうやって?と未練心いっぱい、、立ち去りがたい気持ちに揺れ動きながら、ゆりかもめで帰ってきた。そして上野のホテルから、新宿のホテルに移動する。
写真はチームラボプラネッツ



2025年2月5日水曜日

日本旅行 その1

1月20日正午のカンタスエアラインで日本に向けて出発。2018年以来7年ぶりの日本。長女と、2人のマゴを含めた次女家族を連れた総勢6人で、火急目的のない休暇旅行を楽しんだ。
3年間の沖縄、8年間のフィリピン、29年間の豪国といった長い外国暮らしで、すでに両親を見送り父の遺産を受け継いだ兄とは音信不通、日本には数少ない友達が居るだけになった。

旅行目的はスキー。雪を見たことのない13歳と15歳のマゴ達にスキーを習熟させること。
残りは東京見物と買い物。
羽田に着いてJALウェストウィングホテルに1泊し、10時間のフライトで窮屈した体を休め、翌日新幹線で新潟越後湯沢温泉へ。
本当にトンネルを抜けると雪国だった。トンネルを抜ける瞬間を写真に収めようとカメラを構えていた次女が、もうすぐ下りる駅を前に、新幹線の荷物置き場から全員分のスーツケースを出そうとみんなが、てんやわんやでカメラショットのタイミングを失ったことが至極残念だった。
宿はそれぞれの部屋から、大きな越後の山々が広がる絶景に面していて景観には申し分もない。次女家族のファミリールームもそれぞれ分かれていて広々とした良い部屋だった。

翌日はゲレンデに出て家族全員、午前午後2時間ずつのスキーレッスンを受けた。雪に触るのが生まれて初めての13歳と15歳は、驚くことに、たった1時間のレッスンで、上手に滑れるようになり、先頭に立ってリフトに乗って滑り出す。驚愕すべき彼らの運動神経は、サッカー、フットボール、テニス、ラクロス、水泳、クリケットで鍛えあげられている。スキーの先生が必死でスローダウンさせようとしても、言うことを聞かず気持ちよさそうに滑っている。それを横目に私は50年ぶりのスキーが恐ろしくて、及び腰、バランスも取れず転んでばかり、先生が付き切りでお世話してくれる。

翌日は両ひざが2倍に腫れて、早くもスキーリタイヤ。しかし、娘たち家族がスキーを楽しんでくれることが何より。今回の旅行目的は、マゴ達がスキーを滑れるようになること、これが早くも第1日目に達成された。温泉も良い。文句なしだ。

スキーのあと夜はホテルのレストランの「ふぐ鍋コース料理1人6000円」とかの宣伝には見向きもせず、街に下りて行って新鮮な魚介類の寿司を思い切り食べた。13才のマゴが急に黙って食べなくなったので、気になっていたらワサビのいっぱいついたマグロを思い切り食べてショック状態だったのだ。注文はテーブルに着いているアイパッドでするのだが、子供の時に日本を離れた次女が「わさび無し」という漢字の意味を誤解して、子供たちにはわさび無しを注文したつもりでわさび付きを注文していた、という訳。そんなこんなで、街では連日、寿司や蕎麦や海老や新潟湯沢の名物を堪能した。
スキーをリタイヤした私は、ホテルのジムで泳いだり歩いたりしていたが、プールがスキーのゲレンデが見渡せる広く大きな窓に面していて素晴らしい眺めだった。スキーリタイヤ後も満足だ。



2025年2月4日火曜日

シドニーに旅行からかえってみたらば

何年かぶりに2週間ほど日本に帰国して、その半分をスキー、あと半分を新宿で遊び惚けてきて、昨夜遅くシドニーに戻ってきた。
久しぶりに少しは現金も必要かと思って銀行のATM自動支払機で300ドル下ろそうとしたら、150ドルしか出てこない。頭にきて、雪男並みの歩調で銀行の中に入ってモンクを言ったら、15分待たされて、真っ赤な爪で2重につけまつ毛したおねえさんが、まず開口一番「機械だってまちがえますからね。」だって。
いきなりケンカを売ってきた。「機械だからまちがえてもいいのか?」と問うと、「機械が間違わないとでも言うの?」と宇宙人でも見るような顔でのたまう。オーストラリアで一番大きな信用第一の銀行で、私は30年近くのお客様で、自分のお金を下ろそうとしてポンコツ機械から150ドルしか出てこなくて、でも300ドル引かれている。客を15分待たせて、間違いを機械のせいにして、残りの150ドルは1か月間の調査の上、私の言い分が正しければ150ドルを口座に返します、だと。

怒りながら150ドルポケットに入れて、しばらく休んでいたジムのプールで泳ごうとしたら、2週間ジムに来られない間、メンバーシップを維持するための手続きを依頼していたができておらず、2週間で50ドルが取られていて、また怒り爆発。「どうして?」と聞くと「コンピューターも間違えるからね。」と、全身タットー筋肉ムキムキのお兄さんに言われた。

ボーっとしてたら、ほんの30分の間に合計200ドル(2万円)失くすところだった。そう ここはオーストラリア。鷹揚、いい加減、機械音痴、間違っても誰も謝らない国。

100円の買い物をするだけで「いらっしゃいませ、お釣りの金額は間違いありませんか、ご確認ください、ありがとうございました、またおいでください。」と言ってくれる日本のサービスと、優しいホスピタリテイを望んではいけない。昨日帰ってきたばかりなのに、もう懐かしい。涙。



2025年1月17日金曜日

イーロン マスク

世界はアポカリプス、マッドマックス化してきた。世界がどんどん野蛮になっていく。力のあるものだけが生き残り、男たちは奇妙な乗り物を乗り回してオイルを奪い合い、土地を確保するために殺し合う。
世界一の資産を持つ男がその財力を駆使して、貴重なレアメタルとオイルが埋蔵されてる地域を、調べつくして軍事力で独占する。地下資源が豊富なアフリカや南米や中国の地下資源は、赤子の手を捻るように簡単に収奪される。 グリーンランドが、米国の51番目の州になったらば、次は台湾が欲しいだろう。ついでに太平洋の島々も、ハワイを強引に独立させずに吸収したように、、。
資本主義経済の究極が、こんな平べったい貧相な顔をした一人の男に象徴される。トランプはこの男の橋渡しでしかない。
暴力と傲慢と野蛮な力によって、世界の地図が変わっていく。

だけど 
いま医療現場で働いている自分の目からみると、お金も物も土地も財力も、大切ではないと確信できる。裕福な人もそうでない人も、医療現場では全く等しく扱われる。医療現場ではまず「救命」命を助けることのために、医療チームは最大限に力を尽くす。そのつぎに救った命はそれが尽きるまで生きるための生活の質を維持することに力が向けられる。どんなに良い人も、そうでない人も裕福でもそうでない人でも処置は同じで変わらない。仮に裕福でも、病院のベッドで苦しんでいるとき、その床に上等なカーペットが敷いてあるかどうか、とか、ベッドサイドのランプが18金でできているかどうか、とか、ナースが若くて美人かどうかなんて、気にする余裕はない。

年を取れば、人は等しく病気もするし、脳も委縮する。自分で尿排便ができなくなれば、施設に入らなければならない。癌で耐え難い痛みに襲われれば、誰かしらにモルヒネを打ってもらわなければならなくなる。人は一人では生きられない。
だから
力が余っていても人を傷つけない、人の物を奪わないように心がける。
そして
苦しい時、ちょっと我儘をいっても許してくれる友達や、自分が動けなくなったときでも優しくしてくれる仲間をできるだけ自分の周りにたくさん作りたい。

エリッククラプトンの「TEAR IN HEAVEN」を歌ってみた。彼が4歳の息子に死なれたときに彼が作った歌。



2024年12月31日火曜日

2024 年の終わりに

ウクライナでは、プーシキンの宝石のような詩の数々も、ドストエフスキーや、叡知の結晶のようなトルストイの書籍も、学校や図書館から運び出され、焼き払われたのか?
もうウクライナでは、ショスタコビッチもラフマニノフも演奏されないのか? もうチェホフもゴーリキーも上演されないのか?
もうウクライナでは、ユリウス暦に従ってクリスマスを祝うことはできないのか?人々はロシア語ではなく、慣れないウクライナ語でしか語り合えないのか?

なんということだろう。戦車は、人々の支えだった宗教も文化も言語さえも奪っていく。

パレスチナでは、4万5千人以上の市民の命が奪われ、1万人の行方不明者は、爆撃で崩壊した瓦礫の下に埋まったままだ。学校も救援物資トラックも病院も爆撃され、生きながら患者たちが焼き殺されていく。シオニズムという嵐の前に、言葉もない。
資本主義経済の避けようもない帰結としての戦争。
生産したものをできるだけ高くたくさん供給しなければならず、それによって蓄積した富を増大させ経済成長する事によってのみ生き延びられる資本主義経済のシステムは、当然ながらオイル収奪、エネルギー源独占、他国侵略と戦争を産む。

トマピケデイの、「暴力装置としての国家が介入し、資本税を徴収することによって富の公平配分を実施しなければならない。」という説をお伽話として聞いておこう。
斎藤幸平の「脱成長」と、「地球をコモンとして管理する」説も意識ある世代と限られた条件と努力によって、社会を改良はできても、資本主義の国々の強奪や軍事力には勝てない。
政治も宗教も上部構造は下部構造に規定されるという厳然たる事実は、それが資本主義経済そのものだということを歴史が語ってきた。それを壊さないと殺し合いも飢えも終息しない。
Where have all the books gone in Ukraine?
Like jewels Pushkin poets, Fyodor Dostoevsky, and the enlighten Leo Tolstoy's words?
Have taken away from schools, and from libraries for burning down?
Have the Ukraine stopped listening and playing Shostakovich and Rachmaninoff's beautiful concerts?
Have the Ukraine never played Chekhov or Maxim Gorky on stage?
Have the Ukraine changed their mother tongues Russian to Ukraine language, and celebrate Christmas at Western calendar, not Julian calendar?
long time passing
long time ago?
Where 45000 Palestinian civilian, women and children gone in the Gaza Strip?
Where 10000 Palestinian missing people gone? They have been under the rubbles.
Where have the justice gone ? Where have the law gone ? Where have human conscience gone ?
long time passing
long time ago?

I am singing [ Auld Lang Syne ] in the end of 2024.
「蛍の光」を歌ってみた。



2024年12月24日火曜日

映画:グラデイエイター1&2

イタリアを旅行したことのある人は、ローマの中心にあるカラカラ浴場を観たことだろう。AD2世紀に造られローマ市民に「庶民の宮殿」と呼ばれ、観劇や図書館まで完備した大浴場リクリエ―ション施設だった。今でもそこでオペラが行われ有名歌手の舞台になっている。それを建設した皇帝カラカラが、映画に出て来て馬鹿殿様ぶりを見せる。
リゴリースコット監督による映画の半分以上は史実に基ずいているから、面白くないわけがない。

当時、ローマの円形劇場コロシアムに集まる数十万人のローマ市民を前にして、猛獣や奴隷や他の剣闘士と戦うグラデイエイターは、高額な報酬を得られる人気稼業だった。戦って得られた貯金額によっては、ローマ市民として余生を送ることができた。当時のローマ帝国は100人の長老による元老院とローマ市民による直接民主主義的な投票によって国政が執行されていた。AD1世紀から500年近く、ローマ帝国の領土は最大限で、全ヨーロッパ、中近東、アフリカに及んだ最盛期で、最も華やかな時代だ。

映画:グラデイエイターⅠのストーリーは、
実在したローマ皇帝の中で最も賢帝と言われた皇帝マルクスアウレリウス(リチャードハリス)は自分の右腕だった将軍マクシムス(ラッセルクロウ)を次期皇帝に指名する予定だったが、それを知ったバカ息子コモドス(ホアキンフェニックス)は父親を殺し、マクシムスに皇帝殺しの濡れ衣を着せ、彼の家族を殺害、辛くも暗殺を逃れたマクシムスが、グラデイエイターとなってコモドスに復讐するが、自分も命を落とす。というお話だった。

映画:グラデイエイターⅡのストーリーは
皇帝マルクスアウレリウスの右腕だったマクシムスと皇帝の娘ルッチラとの間には、秘密の息子がいた。それが今回の主役ルシアス(ポールメスカル)。彼はローマの属州で孤児として育ったが父親に似て教養があり体が大きく勇敢で、ローマとの戦争に敗れ捕虜として奴隷商人に買われ、ローマに連れてこられる。彼の強さは破格の強さで、選ばれてローマのコロシアムで、アフリカから連れてこられたライオンやサイや狂暴サルと死闘を繰り返して名を馳せる。奴隷商人(ベンゼルワシントン)の野望は知恵の足りない皇帝カラカラに取り入って自分が次期皇帝の権力を奪取することだが、そのコマとしてグラデイアエイタ-のルシアスを使う。何も知らなかったルシアスは、アガシウス将軍(ペトロパスカル)に自分が前皇帝の娘ルッチラ(コニーニルセン)とマクシムス(ラッセルクロウ)との間に生まれた息子であることを知らされる。ルッチラは母親としてルシアスを守ろうとして、反逆者として命を落とし、アガシシウス将軍も皇帝に殺される。それを見てルシアスは反逆の時来たり、として皇帝もその側近も亡き者にする。というおはなし。

全編モロッコで巨大なコロシアムが実際に造られて撮影された。豪華絢爛のローマ帝国史になかでも最も華やかだった頃のコロシアムに、数十万人の市民が押しかけ、どう猛な野獣とグラデイエイターが戦う。コロシアムに実際海水を引いて、人食いサメを放ちガレー船とガレー船とで海上戦闘を繰り広げる、当時のローマ帝国の栄華、豪華な人々のレジャーが殺して、殺して、殺しまくるのを見物することだった。それが人々の労働からの解放で楽しみ、歓喜だった。
この映画、執念の父子、復讐劇といえる。年末には忠臣蔵を見る日本人に丁度よいタイミングだ。観て損はない。

2024年12月17日火曜日

大ユダヤ国家創出

大ユダヤ帝国創出
シリア国家消滅
パレスチナ国滅亡
これが毎日進行していることだ。シリアのアサド大統領が追放されてからの、この2週間、西側ジャーナリズムが流す報道への気持ちの悪さは例えようがない。
「独裁者に抑圧されていた市民が、解放されて歓喜に涙しています。」「迫害され拷問されていた民主主義の善良な市民が、遂に自由になりました。」「少数派のクリスチャンが、クリスマスを祝えると言って喜んでおります。」
テロリストで独裁者アサド大統領が、テロリスト軍団HTSに、乗っ取られてテロリストISISも、アルカイダも、守り切れないゴラン高原と国連の定める緩衝地帯をイスラエル軍が占拠した。それらの土地をテロリストから守るため、連日、そして今も数百数千の爆弾を落として、テロリストから市民を守っているそうだ。
テロリストって何だ?
いま独裁者アサドを倒したHTSリーダー:モハメドアリシャウラは英雄扱いだが、米国国務省から2005以来テロリストとして,1000万ドルの懸賞金つきで指名手配されていた。
今、米国とイスラエルは彼を英雄として懐柔し、操り人形として利用するためのスケジュールを練っている。
悪夢の再現、いつも観たてきた悪夢の再現だ。
米国は
2003:イラクで、サダムフセイン独裁者を倒した(オイル目的)
2011:アフガニスタンでオサマデインラデインを倒すため進駐した(オイル目的)
2011:リビアでカダフイ大佐を倒した。(オイル目的)
2011:シリアでアサドを倒せなかったが3分の1の国土とオイルを奪取した。
これが現在まで続いて、シリアは米国西側諸国からの経済封鎖によって経済的に困窮し、長引く戦争で人々は苦しんできた。
いま、イスラエル軍は多量の爆弾を落としてシリアの国家施設や軍事施設を破壊し、すでに市民の生活基盤も破壊してブルドーザーで「整地」している。イスラエル人セトラーを移住させるためだ。このようにしてイスラエルは、国際法に違反して、パレスチナの西岸地域の土地80%を奪い、セトラーに住まわせた。またガザを徹底的に破壊しパレスチナ人をジェノサイド攻撃し、家々をブルドーザーで整地している。かれら「選ばれた民」はパレスチナ全土に住み着く。そして、シリアにも。
バグダッドでCNNの報道官にマイクを向けられて、おばさんが「今年は教会でクリスマスが迎えられます。」と喜びを語らせられていたが、、、おっと!西側ジャーナリスト何言ってんの? アサド大統領はクリスチャンで、シリアでキリスト教徒が迫害されたことはない。
ついでマイクを向けられたおじいさんは、ひとこと「LEAVE US ALONE,」と言った。そうだ。ほっといてくれ!
シリアのことは米国ではなく、イスラエルでもなく、シリアの国民が決めることだ。ほっといてくれ!  汚れた手を引け! 
Is it great and wonderful that the Dictator Assad has been deported and people of Syria have been feed??? Are they happy Israel grabbing Syrian land??
Syria has been taken over the bunch of terrorist Jihadists : Hayal Tahror al Sham( HTS). Now, the leader: Muhammad Al- Jawlani is a[ HERO ] of the Syrian, according to Western media, however at 2005,Washington DC put on his head $1000 million award as a wanted terrorist.
Israel seized a buffer zone between the Israeli occupied Golan Hights and the rest of Syrian territory that was established 1974.
US governments spokes man stated that Israel should grab the land of Syria. It is important Israel-Syrian buffer zone which potentially creates a vaccum that could have been filled by terrorist organizations that would threaten state of Israel and civilians inside Israel. Every country has the right to take action against terrorist organization."
The short term HERO of Syria : HTS seems civilians of Syria make happy. However Israel settlers already started bulldoze the land of Syria. Israel took over and expanded their LAND again.
US won Iraq and Libya for [ OIL ] and now again and again.
One of Bagdad man told [ Enough and Enough. Leave us alone.]
Yes!
Leave them alone!


2024年12月4日水曜日

ソ-シャルメデイア禁止法

世界で初めて豪国では、16歳以下の子供がソーシャルメデイアにアクセスすることを禁止した。
ソーシャルメデイアとはFB、ティックトック、X、インスタグラム、スナップチャットなど、但しユーチューブやワッツアップの教育番組は例外とされた。すでに議会を通過したので実施を待つばかりだ。
FBや、X などに16歳以下の子供が登録するのを許したメデイアは、$50ミリオン、5000万円の罰金が課される。メデイアは、ただちに登録者の年齢を確認して、16歳以下の子供を見つけたらアクセスを中止しなければならない。
この決定には教育関係者からは、あまりに子供たちがソーシャルメデイアに時間を取られる「中毒症状」を起こしやすいことと、医療関係者からは、ソーシャルメデイアにのめりこんだ子供の「メンタルヘルス」が憂慮される事態になっているという背景がある。ソーシャルメデイアを通じて友達グループから虐めにあって、12才の少女が自殺したしたことで、家族がメデイアを法に訴えているが、似たような状況で命を絶ったテイーンの家族が声を上げていた。
この法案が決議されて、政府は「豪国はワールドリーデイングのアクションをした。」(世界を主導する)と自画自賛、鼻高々だ。

十分な議論が尽くされたとは言い難いが、基本的にはこのソーシャルメデイア禁止法に私も賛成だ。16歳以下の子供は本を読むべきだ。今子供たちは、10万円以上するアップル携帯をもって学校に行き、少しでも時間があるとゲームに興じたり、テイックトックで友達とオモシロ動画を送りあって共有して楽しんでいる。それをグループで共有できない子は仲間外れだ。おもしろ動画は1分程度の短いもので、そんなショート動画ばかり見ている子供は注意力を1分しか保てない、注意力散漫で集中力のない子供になってしまう。1日2時間以上ソーシャルメデイアに時間を取られる子供は、学校での読み書き、考える能力が20%落ちた、と言う統計がある。

大人も本を読まず、新聞さえ読まない。本という広く深い叡知の泉に出会うことなく大人になる子供を見るのは辛い。自分がどれほど本が人間形成に役立ってきたか、日々実感できるからだ。音楽もオペラハウスやライブミュージック会場に足を運んで実際の音のなかに身体を浸して体感する喜びを知らずに、メデイアによる電子音で満足してしまう子供の存在は哀しい。コンチェルトに15分、交響曲に90分、オペラに3時間、じっと座って音の奏でる素晴らしさを知ることは決して人生に無駄にはならない。
それをいうと、小姑、化石、博物館行きーと言われるだろうが気にならない。
FB、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどIT企業は、世界1リッチな、イーロンマスクを始めとして世界の富を独占している。ソーシャルメデイアを通じて、個々人からデータを集めて抽出し、それをもとに経済効果を高め資本を蓄積している。個人がスマートフォンを使えば使うほど、消費欲求がアルゴリズムに導かれ、情報操作によって、資本家に富が集積する。世界の富の半分以上が数人の資本の私財になっている。

ソーシャルメデイアは道具に過ぎない。
便利に使えばよい。
そしてじっくり座って本を読み、実際に足を運んで音楽を聴き、映画は映画館で鑑賞し、美術館に行って優れた作品を見たら良い。16歳以下の子供たちに、ゲームを止めなさい、テイックトックを見てはダメ、などと言わず、16歳以下の子供に良い生活態度を身につけさせたかったら、大人が毎日本を読み、音楽に感動し、美しい絵を見て、良い映画に涙を流す、そういう生活をしたら良い。ところで、このソーシャルメデイア禁止法、他の国も、あとに続くだろうか。