2023年8月30日水曜日

リスペクト ウィメン

RESPECT WOMEN
FIFAウィメンズワールドカップが終了し、スペインが優勝した。チーム総勢が優勝カップを受け取る授賞式前に、ルイス ルピアレスFIFAスペイン会長が、試合で1点を入れたチームキャプテン、ジェニー エルモソの口にキスをしたことで、チームが怒っている。チームだけでなく、怒りは瞬く間に世界中に広がり、女たちは怒り心頭に達して、会長辞任を要求する動きになった。会長はチームから非難されても、「俺は悪くない。キスは同意の上だ。絶対辞任しない。」と言い張っている。キスされたエルモソは、同意などしていない。キスされたことは不愉快なことだった、と言っている。

このようなスキャンダルが起きたのに、FIFAは情けないことに会長をやめさせる規定も権威もない。怒ったチームは、全員がナショナルチームから脱退する、今後、予定されている試合も全部放棄する、と声明を出し、男子FIFAナショナルチームも同様の声明を発表した。米国、スウェーデン、スイスなどEUのチームも共感して、会長の辞任を要求している。ルピアレス会長の母親は、息子が沢山の人によって公正に扱われていないと、抗議して教会でハンガーストライキに入った。50過ぎた息子のために、親馬鹿もいい加減にしてもらいたい。

スポーツにABUSE(権力乱用、虐待)とSEXUAL ASSAULT(性的強襲)は、あってはならない。女性をリスペクト(尊重)する気持ちがあれば、同意なしに、相手が望んでいないのに人の体を触ったり、抱いたりキスしたりして良い訳がない。スポーツでぶつかり合ったりスクラムを組んだり、チームを励ますために肩をたたいたりすることと、スポーツ以外の場で他人の体に触れる事とは全く別のことだ。夫でも息子でも恋人でもない、赤の他人に同意なしにキスをしたことは、相手の尊重する気がないから起きたことで、ABUSE 以外の何物でもない。日本でも刑法改正で、同意のない性的行為を犯罪として訴えることができるようになったことは正しい。

満員電車で他人の体を押し付けたり押されたりすることに驚かない日本の習慣は、他国では通用しない。親子で一緒の風呂に入るなど、とんでもない。話をしていて同意を求めて平気で相手の肩をたたいたり、冗談ついでに相手の腕に触れたり、ゆすったりする人がいるが、インドで既婚女性にそれをやったら石投げ私刑に会うし、アメリカでは撃ち殺される。普通、子供がテイーンになれば男の子も女の子も、親はそれぞれのプライバシーを尊重して体に触れたりしないし、離れて成長を見守る。1個の個人として尊重し、礼儀を守るという社会的規範を守る。

シドニーで医療通訳として登録しているので、夜間でも救急病院に日本人が担ぎ込まれると呼び出されることがある。若い日本人が3人のマオリのガードマンに暴行され瀕死の状態で横たわっていたことがある。バーで酔って、踊り終わったストリッパーに触ったことで、ガードマンに殴る蹴るの暴行を受けた。ガードマンが悪いだろうか?否、ストリッパーならいいだろう、と無遠慮に女性を玩具のように触った日本人が、踊り子を侮辱した刑法にふれたのだ。高校生であろうと、ストリッパーであろうと、娼婦であろうと、相手が望んでいないのに体に触ったり、性的な言葉で中傷したり、何らかの性的行動に出たら、それは性的虐待であり犯罪になるのだ。

リスペクトされなかった女は怒る。
大学では、ペン1本で世界中を駆け巡るジャーナリストになりたくてマスコミュニケーション学科で学んだ。就職先の業界紙で書かせてもらって嬉しがっていたら、気が付いたら連れ込み宿に居て当たり前のように前に社長が座っていた。当時の私は、女はナースか幼稚園の保母か娼婦しか職業の選択肢がないのか、と怒って叫びまわっていた。日本の女には戦前、選挙権さえなかった。戦後進駐軍による配慮で初めて女性に参政権が与えられたのだ。

リスペクトされない女は怒る。
今でも男女不平等で、職業上意思決定権が少なくて世界146カ国中、日本は116位。わずかな国会議員数。同じ職業に就いているのに年平均収入が男の70%しかないのは、どういうからくりなのか。
女は怒る。
オーストラリアでは今年になってから、81000人の女性がパートナーによって殺された。1週間に1人以上。男の言うことを聞かない女は殺されて当たり前か? 暴力によってしか女性を納得させることができないオツムの軽い卑怯者に殺された女性の口惜しさ。

勝ち抜いて世界一になったFIFAスペインチームは、チームリーダーがルビアレス氏に、ABUSE されたことで世界中の女性の怒りを一身に浴びている。彼がどんなに意地を張っても、法的手段にでても、いつまでも今の地位に踏みとどまっていることを許してはならない。
レオナルド コーヘンの「ハレルヤ」を歌ってみた。
I am singing [ HALLELUJAH ] by LEONARD COHEN.




2023年8月23日水曜日

日米豪安保条約、反対!

日本では8月15日が「敗戦」記念日だが、オーストラリアでは9月2日が「戦勝」記念日。日本が戦艦ミズーリで降伏文書に調印し正式に戦争が終わった日だ。今年で78回目になる。シドニー、メルボルン、パースなど主要都市では、毎年与野党政治家、軍関係者、引退軍人やその家族などが参加して大きな式典とパレードが行われる。

日豪間でいえば、1942年2月10日に日本軍はオーストラリアのダーウィンを爆撃し、湾内に居た6艘の大型船が沈没、市庁舎や病院が焼失、人口5千人のひなびた田舎街で252人の死者を出した。人々は日本軍がシンガポールやマニラを侵攻していることは知っていても、まさか自分の国が爆撃されるとは夢にも思っていなかった為、混乱を極めた。その後、西オーストラリアのブルームへの爆撃では民間人70人が死亡、ニューカッスルとシドニー湾では、日本の特殊潜水艦が侵入し、魚雷によって海軍の補助艦が撃沈されて21人の死亡者を出した。
また、1942年2月15日シンガポール陥落などによって、捕虜になったオーストラリア兵は、3年半に渡って収容所で、ビルマ鉄道建設などの強制労働を強いられた。合計2万2376人の捕虜のうち8301人が死亡。日本軍がジュネーブ協定を守らず、捕虜を劣悪な環境と暴力で死に至らしめたことで、いまだにオーストラリア人の日本人に対する印象は、攻撃的、卑怯、野蛮、と至って良くない。

今年2023年7月13日に、2007年に締結された「日豪円滑化協定」が発効した。これで「日米安保」が「日米豪安保」として動き出す。3国は、軍事協定により国防軍を共同運用をし、有事の際には共同軍事行動することになった。日本の自衛隊基地や米軍基地にオーストラリア兵が米国兵同様ビザに関係なく出入りできる。
7月21日から8月4日までオーストラリアで行われた合同軍事演習では、自衛隊が参加して、三菱重工が製造した12式地対艦誘導弾が、シドニー近くのジョービスベイで発射訓練が行われた。このミサイルは射程距離200キロ、海上の艦船を攻撃する。これらの軍事演習は、「自由で開かれたインド太平洋」のためだそうだが、誰のための自由、誰のために開かれた海なのか。「自由」が米国とその連合軍側にとってだけの「自由」であって、他の国の「自由」を踏みつけ抑制する自由であるならば、それは断じて「自由」ではない。

将来の「自由で開かれたインド太平洋」を考える前提として、なぜ日本軍が過去に戦争で、他国にないほどの310万人の死亡者を出したのか。なぜオーストラリアを爆撃したのか、何故韓国を併合し、中国を侵略したのか、何故アジアの国々を蹂躙したのか、なぜ当時日本のGDPの12倍を持った米国に宣戦布告したのか、反省し考察すべきだろう。

2000年代、米国はイラク、アフガニスタンに、誤った情報によって露骨な侵略をして傷だらけになって撤退した。
2010年代、米国は、イエメン、リビア、シリアに代理人として軍事行動をおこした。
2020年代、米国はウクライナに代理戦争を仕掛け、台湾をけしかけている。
戦争を一貫して続行している国、米国。戦争を続けざるを得ない、武器産業に経済を牛耳られている国、米国。その一翼を担う国、日本。わたしたちは額に汗して働いたお金が、米国が武器を無限大に製造し、売り付け、消費されるために使われていることを認識しなければならない。優秀な成績で大学を卒業した君は、総合企業ジャイアントの三菱重工に就職するのか。いま会社が製造しているミサイルは一体誰に向けられているのか。撃てば必ず倍にして撃ち返される。それでも君は撃つのか。誰に向けて。

ベットミドラーの「バラ」を歌ってみた。英訳してみると:
 愛は大きな河   流れて川下で葦に抱かれる  愛はカミソリ   心を切り裂き傷つける   愛は飢え   休みなく求められる   愛は花  あなたはその花の種    壊れるのが怖くて   人に触れることもなく   目をつぶったまま
掴み取ろうとしない  与えようとしない  そんなじゃあダメ   一人きりの夜   遠い路を歩いていて  運が良い人だけしか愛に出会えないと思うのかい?  冬の冷たい雪の下に蹲っている種   春になれば陽を浴びて  薔薇の花を咲かせるよ
I am singing [ THE ROSE ] by Bett Milder



2023年8月20日日曜日

8月の映画いろいろ

最近見た映画で面白いと思ったのは「ミッションインポッシブル、デッドレコ二ング」だ。61歳の役者が本気で自分の命を懸けて映画造りをしている。このシリーズ1では、潜水して6分以上息を止める訓練をして16トンの巨大水槽の中で敵と格闘し、水槽を爆発されて流されても生きていたし、「ゴーストプロトコール」では828メートルの高層ビルの壁に張り付いて、片足だけで宙ずりになっても、落ちなかったし、「ローグネーション」では、時速400キロで飛ぶ飛行機の外側のドアにしがみついても息をしていたし、今度は手錠を付けたまま黄色のファイアットでカーチェイスのあと、暴走する列車に標高1200メートルの崖から飛び降りても生きていた。

マイケルジャクソンもそうだが、プロのエンタテイナーとして、人に楽しんでもらえるなら足の1本や2本失くしても本望と、命も差し出している潔さが、切ない。第2部は来年に公開されるそうだが、まだ彼の敵は姿を現していない。認識カメラに映らない人を動かし、潜水艦を吹っ飛ばす未知の悪い奴が、どう出てくるのか楽しみだ。

ハリウッドの俳優組合のストは大きく報道されたが、実際AIで、顔だけのトム・クルーズやライアンゴスリングが、画面で大暴れして1本の映画がCGで作れるところまで、テクニックが進んでいるとは、嫌な時代になったものだ。それは「インデイアナジョーズ」最終作を見た時に、80歳の役者が、ギャングをかっ飛ばしたり、走る列車の屋根で乱闘を繰り返すフイルムをみたときに、感じた嘘くさい不思議感覚につながる。自分と等身大のはずの役者がAIで加筆修正されて出てこられても嬉しくない。

「バービー」は、歌って踊って楽しいコメデイで、マーゴットロビーが可愛らしい。馬鹿っぽい映画ではなくフェミニズムもアイデンテイテイやルッキズムや女性差別を真面目に取り扱っているという宣伝だったが、どれも中途半端な踏み込みなので、単なるミュージカルコメデイとして見るのが良い。初めて人形のバービーが人間世界に行って、カルフォルニアビーチで人に囲まれたとき、バービーは、「私にはヴァギナが無くて、ケンにはペニスがないのよ。」といきなり言って自己紹介する。そして沢山の人に触れ、バービーは悲しさも悩みも怒りも嫉妬や妬みもある人間になるために、ヴァギナを作ってもらいに医院に行くことで映画は終わる。人にはジェンダーがあるから人は人なのだと言うことが、可愛いバービーにわかってもらえたことは、喜ばしい。

しかしこの8月は1953年作、関川秀雄監督による「ひろしま」を観るべきだ。日本教職員組合制作、1955年ベルリン国際映画祭受賞作。8万8千5百人のボランテイアによってフイルム化されたそうだ。私は7歳で学校で先生が、日本国憲法について「主権が国民にあります。」「日本は二度と戦争を繰り返さないと誓いました。」と誇らしげに胸を張って語った時の様子をはっきりと覚えている。このころの教師は民主主義のなかった時代に教育を受けて教師になり、民主主義を教えることが使命だと考えていた。 映画の中で岡田英治が演じる先生は、貧血で倒れる生徒をみて被爆と白血病について生徒に理解を求め、被爆による同じ広島県人どうしの差別と偏見についても踏み込む。戦後7年経ち警察予備隊ができ、朝鮮戦争のために再び、工場では弾丸を作り始める。そういった動きに敏感に反応する子供たち。映像が素晴らしい。
まさにエイゼンシュタインの「戦艦ポチョムキン」であり、ジッロポンテヴオ監督の「アルジェの戦い」に共通するリアリテイだ。映画はこのような真実を伝えるために作られる。観た後に感動が押し寄せる。


熊本県民謡「五木の子守歌」を歌ってみた。

I am singing [ LULLOBY for ITSUKI ] Kumamoto country song.
Awaiting the harvest festival. My master might give day-off. Might not I don't know. I was sold for nursemaid. My master has luxurious life. beautiful dress. Even I might died Who care me? A Cicada shrills at back yard. Don't cry baby at my back. Its me really cry out. If I would be died, bury me beside the road. Someone who pass by will leave flowers for me. Leave a Camellia for me. The rain makes the flower lively brighten.



2023年8月9日水曜日

映画「オッペンハイマー」


映画「オッペンハイマー」
監督:クリストファーノーラン
原作:カイバード,マーチンシヤ―ウィン作「オッペンハイマー原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇」2005年ピューリッツア―賞
配役:ロバートオッペンハイマー:キリアンマーフィー
   妻、キャサリン:エミリーブラント
   グローブス陸軍中将:マットデイモン
   ストラウス国家エネルギー専門委:ロバートダウニージュニア
世界で初めて原子爆弾を開発した理論物理学者オッペンハイマーの半生記。
1926年ハーバード大学を最優秀の成績で卒業したロバートは英国ケンブリッジ大学留学を経て、独国ゲッテイゲン大学でニルスボーアに出会い、またスイスではウェルナーハイゼンベルグや、アルベルトアインシュタインに会い理論物理学の専門性を高め、博士号を取る。その後カルフォルニアバークレーで教鞭をとる。

1942年陸軍レズリーグローブス准将から、原爆を開発するための計画を持ち掛けられて、「マンハッタン計画」のリーダーとなる。翌年彼の発案で広大な砂漠ニューメキシコに、ロスアラモス研究所を建設、関係者家族すべてを移住させ、原爆開発を主導した。
時に太平洋戦争で米国軍の消耗は大きく、早急に戦争を終結させる必要があり、一方ナチドイツもソ連も原爆を開発しているという情報があり、それよりも先に米国で原爆開発をすることが急がれていた。日本でも原爆の開発が行われていて、原爆よりも強力な水素爆弾がいつどこの国で制作されるのか、どの国々も互いに疑心暗鬼に陥っていた。
1945年7月16日、ロバートたちはロスアラモスで、人類最初の核実験「トリ二テイ」を成功させる。実験の成功で米国の英雄に祭り上げられたロバートは、ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下と、その威力に衝撃を受け、以降の水爆制作と研究所長の継続を拒否、国の命令に従わないことで、共産主義者、ソ連のスパイと中傷され攻撃されながら生きる。ロバートは共産主義者であったことはなかったが、彼の弟と妻が共産主義者だった。政治的にロバートを貶めることによって、ストラウス国家エネルギー委員は、後に商務長官となる。というストーリー。

この映画は理論物理学者の半生を描いた作品であって、ヒロシマ、ナガサキの映像は全く出てこない。日本人も出てこない。

日本は敗戦まぎわだったのに原爆が落とされて壊滅的な被害を受けた、と一方的に被害者的立場を主張する人が多いが、原爆投下前、何度も米国から勧められていたポツダム宣言を、鈴木貫太郎首相は、1945年7月26日に「ポツダム宣言黙殺、戦争邁進」と、世界に向けて発表している。
この時点でニューギニアでは第18軍10万人の兵士のうち9万人が餓死していた。沖縄では6月23日に組織的戦闘は終え、牛島満司令官はサッサと無責任にハラキリ自殺しているが、住民が投降すれば後ろから敗残兵が住民を撃ち殺し、隠れていた洞窟は火炎放射器で焼かれていた。兵士は東南アジアのジャングルでは餓死か、死ぬための万歳攻撃を命令されていた。この時点で誰一人降伏、敗戦を言っていない。
原爆投下ののちになって大本営天皇が1945年8月15日に初めて玉音放送で「残虐な原子爆弾で罪もないものを殺傷し、悲惨な損害を与えられ、このまま戦争を継続すれば我が門族は滅亡する。」ゆえに無条件降伏する、と発表した。無条件降伏せず、戦争を長引かせた末の原爆投下の責任は天皇にある。

この映画のハイライトは、言うまでもなく「トリ二テイ」の臨界実験だ。天才的物理学者たちの理論が初めて検証される瞬間。世界中の科学者が研究中の新兵器が生まれる瞬間、今か、今かというカウントダウンの後、関係者たちが予想していたよりもはるかに強力な爆発を身に浴びて、歓喜する人々、涙流して抱き合う博士、研究者、兵士たち。実験成功。何の疑いもなく最大の殺傷兵器の誕生、大成功。

この映画のクライマックスを冷静に見ていられる日本人はまず居ないだろう。
大量の涙と嗚咽でにじむ映像に耐えながら、いま沖縄の米軍基地に駐屯して日米合同演習をしている自衛隊の若者たちは、米軍と共にミサイル基地を拡大し、軍港を作りながら、「あなたたちは誰を守るつもりでいるのですか?」と問いたかった。

映画の中でトリ二テイ実験以降米軍への協力を拒否したロバートは国の裏切り者、共産主義者、スパイのレッテルを張られるが彼を支える妻が立派だ。公聴会で「キャサリンあなたはコミュニストだろう、10年前スペイン共産党にお金を送っているじゃあないか、」と追及されるが、姿勢を正したエミリーブラントが「フランコ独裁化で飢えた子供たちが路上で餓死していた。子供たちのためにお金を送って何が悪いか」と一喝するシーンに胸がすく思いだ。

トルーマン大統領が原爆投下を決断したとき、一刻も早く戦争を終える。「マイ ボーイズ バック」(うちの兵士達を帰国させたい)と言うせりふがあった。
はたして天皇は降伏するとき、皇軍230万人の死、その多くは外国の地で餓死した青年たちの姿が、頭の隅に少しでもあっただろうか。MY BOYS BACK!
MY BOYS  BACK!!!



2023年8月2日水曜日

もっとストを、もっと抵抗を!

「明日、ハートアタック起こすなよ!」と言って笑い合う。明日パラメデイック(救急隊員)がストライキに入るからだ。救急車が来ない。
パラメデイックはドクターやナース同様1日3交代で昼夜、病人や怪我人の搬送をする。交通事故や列車事故、火災、水害などの犠牲者の手当をし、搬送前の現場で心臓蘇生術を施し、インシュリンやモルヒネも打つ。普通の人が人生で絶対出会わないような惨状で人を処置することもあるタフな仕事だから、自殺者も、うつ病発症も多い。インフレで物価が7%上がり、給与が上がらないままで、良いはずはない。救急隊員のストライキで、普段から呼吸困難のある障害者や、子供がラグビーなどの激しいスポーツの試合を控えている親などは心配だろう。しかし人々はストに慣れて理解している。はずだ。

鉄道、バスなどの交通労働者もストライキは、しょっちゅうだが、電車とバスと同じ日にストを組まないし、事前にわかっているから、代替えバスや代わりの電車で通勤できる。
この3月、オーストラリアでは最低賃金が7%上がり、$23.23、日本円にして1時間2100円になった。これは州政府の決定ではなく連邦政府の決めた事なので、ワーキングホリデイで外国から来た子供たちや、果物や野菜の収穫期にきた季節労働者にも、ほかの労働者同様に最低賃金以上支払われないと、雇用主は数百万ドルの罰金が科される。

ナースは、さんざんデモとストをやって、昇給15%された、が、まったく実感がない。ニューサウスウェルス州だけで、8400人の正看護師、13300人の医療従事者が不足していて、現場では人が足りなくてキューキュー言っている。
この3年間コヴィッドによって、職場は激しいストレスに見舞われた。3年過ぎても、うちの職場では、毎日職員が入り口でコヴィッド検査をしてから仕事に就く。2か月前、再々度目に1人の見舞い人からコヴィッド感染が広がり、20人余りの入院患者が感染した。再びプラスチックの靴カバー、ガウン、フェイスシールド、ゴーグル、マスク、手袋の姿で3週間働いた。その疲労度は並みではない。もううんざりなのだ。
思えば3年前コヴィッドが高齢者には死病と言えるほど猛威をふるった頃、73歳の私は自分は高齢者で感染リスクが高いが、働いていてコヴィッドで死んでも異議申し立てせず訴訟も起こさない、という誓約書にサインして職場に残った。ロックダウンの間、職場に向かう途中、車をパトカーに止められて、勤務表と通勤許可証を見せなければならなかった。
一番仲の良かったドイツ人ナースを失くした。彼女は仕事が終わった後、自宅で疲れてきって眠って、そのまま目を覚まさなかった。次の日に職場に来ないので、少し遠くに住む娘に訪ねて行ってもらったら、もう息をしていなかった。あれからもう2年近く経つのに、彼女のマグカップでコーヒーを入れながら思い出すと涙が噴き出してくる。頑固で誠実、読む本や映画の趣味も同じ、これほど気の合うナース友達は他に居なかった。
小さな職場なのに、2人もストロークを起こした。手塩にかけて大事に育てた新人ナースたちも、次々と辞めて行った。

人は病院で生まれ、病院で死ぬ。人は必ず一生に何度か身体的な疾病に病み、一生に一度は必ず精神を病む存在だ。
人の生と死をしっかり見つめることのできない人は医療に向いていない。そういった現場で働く人に納得のいく待遇を望むのは、人として当然のことだ。15%の昇給で喜べるはずもない。インフレ、物価上昇、GST10%の圧迫、ロシアウクライナ戦争で便乗値上げのガス電気代、みな政権の経済政策の失敗ではないか。
もっと職場放棄を!
もっとストライキを!

スーマ―作詞作曲の「夜明けまで」を歌ってみた。

I am singing [ TILL DAWN ] written by Poet: SUEMARR( Masaaki Sudo)
You are leaving far away. I was dancing ignorantly. Smiling with breaking heart. I have been feeling never ending love. Thinking about you I'll sing till dawn. The season ends and turns over. You are leaving. never looks back. Thinking about you. I'll sing till dawn. I'll cover myself with soft linen. Spin into yarn. Disappear my senseless words. Thinking about you I'll sing till dawn.