2026年6月26日金曜日

シルクロードを鉄道で

イランと中国は鉄道でつながっている。
中国の西安からカザフスタン、トルクメニスタンを通ってイランの首都テヘランに達する、この全長10399キロの中伊鉄道は、シルクロード直通線と言ってよい。
ホルムズ海峡を通じる海上だけではない、イランは世界につながっている。これからエネルギー供給国としてだけでなく、米国のドル決済を拒否して、西アジア回廊を通して、グローバルな大国になっていくだろう。
数千億ドルのイラン国家の資本が、1979年のイラン革命から、米国の圧力で凍結されて続けてきたが、正しく、国際社会はこの凍結を解除せざる負えなくなるだろう。

海底では、アジアとヨーロッパをつなぐ通信ケーブル、ペルシャ湾と紅海などイラン周辺の海底にデジタル通信の動脈が、張り巡らされている。アジア、ヨーロッパ間の90%の情報、貿易など金融取引が、このケーブルを通して行われている。この海底ケーブルをイランが、切断をしたり、切断しなくても情報を傍受する技術を持てば、イランは世界の軍事、企業に介入することができる。

イランを一貫して苦しめてきた米国は、第2次世界大戦で地上戦で損害を受けなかったラッキーカウントリーとして、戦後世界の金の80%、2万トンを所有し、米国ドル金融決済システムで、世界を自由に操ってきた。大国として他国を侵攻しては、オイルを奪い、他国の政権に介入し富を奪取し、資本主義社会の究極の醜さをさらしてきた。

1961:ベトナム戦争、キューバ侵攻、1973:チリ、アジェンデ追放、1979:ニカラグア介入、1979:イラン介入、1993:セルビア攻撃、2001:アフガニスタン戦争、2003:イラク侵攻、2011:リビア攻撃、シリア政権奪取、2025:ベネズエラ大統領誘拐、イラン爆撃。ソマリア、ルワンダ、コンゴ、ナミビア、アンゴラ、モザンビーク、スーダン、、、数えきれない。戦後の米国政府の手は血で汚れ、世界の最悪暴力団としての歴史を更新し続けている。

国際法を無視し、他国の主権を侵害し、多国間貿易を拒否し一人勝ちを誇ってきた米国の実際の姿を、後ろを振りかえって見てみるがいい。アメリカファーストの掛け声で60年代から生産に従事してきたブルーカラー労働者がかつての繁栄を夢見てトランプに投票したのに、外国への介入とインフレで、オバマが始めた国民健康保険も捨て去られ、貧富格差は拡大するばかりだ。移民攻撃、人種差別も改まらない。ホームレスの数も世界一。

米国による一極支配の時代は終わったのだ。
これから始まる多極社会、ドル決済でなく、それぞれの国の貨幣を尊重し、国際法、国連憲章の理念に立ち返り、イランやキューバなどすべての国の資産凍結を解除し、パレスチナ、イラン、レバノンの再建に、世界は力を注がなければならない。
写真は、イラン中国間を走る中伊鉄道

2026年6月12日金曜日

ワンネーション党、人気投票で第2位に

豪州に30年あまり居住しているが、国政に極右が台頭してきて、圧力を感じている。それは米国、英国、イタリア、ドイツなど欧州勢の右極化の動きと連動しているようで、急速に拡散されてきて無視することができない。

30年前に、フィッシュアンドチップス屋を営むシングルマザー、ポーリンハンセンが、ワンネーション党を作って、「反移民、豪州は豪州人だけのもの」と、言い出した時は、どの放送局もマスコミも、国会議員も、民間人も、彼女を馬鹿にして大笑いしたものだ。ポーリンのポを言っただけで、お笑いのネタとなったりした。30年前の話だ。

豪州は人口の4人に1人は、外国生まれ。移民の力で作られてきた国だ。それを人々は誇りにしている。
第1次世界大戦のあと、豪州の人口は600万人を切っていた。このままでは豪州は、お隣のインドネシアなどに占領されたら抵抗できない、という恐怖から大規模な移民政策を進めてきて現在に至る。
第2次世界大戦後は、88万人の英国人とアイルランド人、24万人のドイツ、北欧、オランダ人、30万人のポーランドなどの東欧人、52万人のイタリアなど南欧の人々が船でやってきた。
大戦で親を失った英国からの孤児だけでも5万人引き取られた。ギリシャ人などギリシャに住むギリシャ人の次に豪州に住むギリシャ人人口は多いそうだ。
ベトナム戦争では、9万人のベトナム人、13万人のカンボジア人が、ボートでやってきて移民になった。6月4日の天安門で迫害された活動家たち数百人は秘密ルートで豪州に送られてきた。また2019年の香港の国家安全維持法の制定で、弾圧された、沢山の活動家も英国パスポートを捨てて豪州に移住してきた。彼らはこの国でドクターになったり技術者として活躍している。

ポーリンハンセンは、クイーンズランド州で市会議員になったのち、連邦下院議員に選ばれたが、選挙運動違反と詐欺容疑で刑務所に一時収監された。しかし、めげずに激しい人種差別と反移民を訴え、しぶとく、2016年に上院選挙に出馬して国政についた。
2025年11月に、モスリムのブルカを豪州で禁止することを訴えて、イスラム女性の着るブルカを着て国会に出て、議会を騒然とさせた。この結果、彼女は7日間の党院停止処分を受けた。
そのワンネーション党が、徐々に議席を増やし、人気投票でいまや現労働党に次ぐ第2党になった。長年政権を担当してきた自由党を押しのけて、現労働党に次ぐ2位の座を占めたと思ったら、彼女に小型飛行機をプレゼントする輩が出てきて、それに乗って西豪州に講演に行くと発表されたら、2日間で1億ドルの寄付が集まったと、昨日報道された。

自由党の支持が落ちたのは、日本の自民党に対する「中道左翼」が力を失ったのと似ている。リーダーシップが感じられない。古い人材の再利用、自民党の左派と変わらない、存在感がない、といったところか。自民党は、セクト争い、不正選挙疑惑,中傷動画、統一教会資金、裏金などなどスキャンダルだらけなのに、戦後最大の議席数を伸ばして、「党内極右」が闊歩している。

米国はもともと人種差別の国で、バラクオバマ大統領でさえ自分の戸籍謄本を議会に見せなければ国民だということを、議員たちに納得させられなかった。移民排斥、メキシコ国境に壁を作り、ICEが市民を平気で殺してる。白人でプロテスタント以外の国民は、グリーンカードを持っていてさえ身の安全が保障されない差別国家だ。
英国でも労働党政権の閣僚がエプスタインのお友達で刑事事件となり、元王子も追及されて労働党への信頼は地に落ちた。右派の台頭を待つばかりだ。

豪州での問題はインフレと住宅難だ。住宅供給が人口増加に後れを取っていて、若い夫婦が買う家がない。借家の申し込み1件に対して50件の家族が殺到する。大急ぎで建設中だが人材も資材も間に合わない。 戦争の影響で、ガソリン代が上がり、インフレと相まって将来が不安だ。この際、移民受け入れをやめて、小さな政府と緊縮財政で、国の経済を立て直してもらいたい、という意見はそれなりに理解できる。
しかし良識を持った人々が過去の人種差別の歴史を反省し、多文化社会、多民族社会の実現を体現させてきた何十年もの努力を、わずかな不満のために覆されてはならない。右極化を許してはならない。

写真:ポーリンハンセンは、ムスリムのブルカを着て議会に出て騒然とさせた。