2020年8月3日月曜日

たった一人だけ出演する映画を2本

映画はカメラ技術、撮影、舞台、音楽、音響効果、衣装、言語、歴史、時代考証、配役、すべてのジャンルを統合して作られる総合芸術だ。大型スクリーンでフルに映画館内に響き渡る音を全身で受けながら鑑賞するために作られている。だから映画は映画館で見なければよさがわからない。COVID災いで、外出が制限され映画が見られないことが辛い。仕方なくヴィデオを見ている。
映画製作にはとても大きなお金がかかる。いかにバジェットを抑えながら質の高い映画を作るか監督の知恵の使い方だろう。

登場人物がたった一人という設定で作られた2本の映画がある。「ALL IS LOST」と、「BURIED」。どちらもとてもよくできた映画だ。製作費を10倍以上、上回る興行成績を出した。芸術にとって、贅沢とはお金をかければ良い訳ではないということがよくわかる。どちらも忘れ難い作品に仕上がっている。

邦題:「オールイズロスト 最後の手紙」
原題:「ALL IS LOST」2013年作品
監督:J C チャンドラー
出演:ロバート レッドフォード
ストーリーは
男はヨットでインド洋を航海している。家族がいるのか、なぜ外洋に単独航海しているのかわからない。しかし慣れた帆の使い方、ヨットから眺める360度青い海から登る太陽、夕日を見つめる男の姿からは、余裕と真に海を愛する男の姿が想像される。
しかし不運は突然やってくる。貨物船から荷崩れして落としていった巨大なコンテナが漂流してきて、ヨットの横腹に激突し穴をあける。大急ぎで穴を埋めるが、終わらぬうちに大嵐が訪れてヨットは大海に浮かぶ木の葉のように波に遊ばれる。浸水中のヨットのマストが折れて男の頭を直撃する。

気を失っていた男が目を覚ました時には、船内は水に浸かりヨットは半没していた。GPSも無線の水に浸かって使えない。男は、ヨットを捨てて、救命ゴムボートに乗り移る。運び出したのは救命具、六分儀、水と缶詰。ヨットは沈み、やがて姿もなくなっていく様子を、ゴムボートから見つめる。運び出した頼みの水はコンテナに海水が混じって飲むことができない。六分儀で太陽の位置から現在地を予想する。徐々にボートが北上して流されていることがわかる。救命具に入っていた釣り道具で魚を釣るが、糸にかかった獲物はサメに奪われてしまう。大型貨物船が通りかかったので必死で発煙筒を炊くが、相手は気付かずに、ゆうゆうと横を通り過ぎていく。飲み物も食べ物もなく、希望も失われた。ガラスの瓶に助けを呼ぶ手紙を入れて海に流す。

漆黒の夜の海に遂に明かりが見える。男は最後の力を振り絞ってタライに日記帳をちぎって火を炊く。遠くに見える明かりは近付いてこない。錯乱状態になった男はボートの中にあるすべてのものを火の中に放りこむ。遂に火は燃えあがりゴムボートも燃えてしまう。男は海に身を投じる。静かな暗い海に沈んでいく無抵抗の男。そのとき底のほうから海上に光が差してくる。男は夢中で浮上していく。太い腕が男の腕をとらえる。
というおはなし。

最後の一瞬が感動的だ。この3秒のシーンのために105分の長い長い孤独な映画があったと言える。良い終わり方だ。見事だ。J C チャンドラーによる、76歳のロバート レッドフォード一人登場する映画。老いてもなおこの役者は美しい。
人が山に登るのも、ヨットで単独航海するのにも理由はいらない。人生が充実していてもしていなくても、生活に不満があってもなくても、人は山に登るし遠洋に出る。帰ってこられないかもしれなくても、全然かまわない。人とはそういうものだ。


邦題:「リミット」
原題:「BURIED」2010作品
監督:ロドリゴ コルテス
出演:ライアン レイノルズ
ストーリーは
2006年のイラク。アメリカ人ポール コンロイは米軍のトラック運転手として働いていたが、トラックごとアンブッシュに会って、誘拐された。気がついたときは棺桶の中に身を横たえて、その棺は砂漠に埋められているらしい。棺の蓋は鍵がかかっているのか、重くて持ち上げることができない。真っ暗な中で手探りしてみると、バッテリーが半分になった携帯電話とフラッシュライト、ライター、ナイフなどがある。突然携帯電話にかかってきた男の声に応えると、男は身代金を今夜の9時までに払わないと放置された棺桶の中で死ぬことになる、と予告される。

ポールは米軍国務省に電話して事情を説明するが、米国政府はテロリストとの交渉はいっさいしない。しかし軍の救助班が、君を救助するだろうと約束する。ポールは救助班に電話をつなげる。そうしているうちに近くで爆発音がして、棺桶の角が破損したらしく砂が音を立てて棺に流れ込んでくる。パニックに陥ったポールに向かって誘拐救助班は、、3週間前にもそうした米軍兵士が救助された事例を出して、ポールを安心させようとする。そうするうちに、ポールの雇い主から電話があり、ポールは自分がトラブルに巻き込まれてが会社から解雇されたことを知る。死ぬ前に解雇されたら自分の死後、家族への補償金が一切出ない。ポールはあせる。自分を落ち着かせるように、田舎に居る妻に電話する。「一体何なの?」け気だるい妻の聞きなれた声。そして母親にも電話する。「自分は何も変わりなくやっているから元気でね」と、さり気ない別れの言葉。
誘拐救助班から朗報がもたらされる。「君の居所がわかったから、いまからドリルで掘り出してあげるからね。」ポールは希望を見出す。しかしドリルの音は聞こえてこない。やがて救助班の声、「違った、すまない、本当に済まない。」
遠くモスクからコーランを読む浪々とした声が聞こえる。棺桶のフラッシュライトが消え、漆黒の闇。
というおはなし。

登場する一人きりの役者が、狭い棺桶の中で身動きが極端に制限される中で、誘拐犯、イラクの米軍司令官、誘拐救助班、会社の雇い主、妻、母親などと、携帯電話を通してドラマが進行する。声だけの世界で、映画を見ている人々が、実際の映像をみているかのように豊かな想像ができる。軍人のプロフェッショナルな対応、妻の育児と日常生活に翻弄されている、あまり夫婦仲が良いとは思えない、教養も垣間見られない妻の口調、そして出来の良くない息子にも心優しいが、息子の心を読むことのできない母親。それぞれの性格や生活態度や、ポールとの結びつき方が、絵のようにわかる。95分間が、長く感じない。みごとだ。
究極の密室劇だから、閉所恐怖症の人が見たら気が狂うか、病状が悪化するから見てはいけない。



2020年7月6日月曜日

3000人の自宅監禁を許して良いのか

オーストラリアは英国女王を元首とする立憲君主制を維持しているが、その下では連邦国家として、連邦政府と州政府とが組織されている。6つの州と1つの準州すなわち、ニューサウスウェルス州、ビクトリア州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州、タスマニアと北部準州のそれぞれが立法、行政、司法の3権を持っていて、連邦政府と対等な関係にある。
モリソン首相は、3月13日 COVID対策のためにナショナルキャビネット「国家非常時内閣」を創設し、保健医療専門家を加えた連邦と、各州のリーダーが、COVID対策を討議、決定することにした。このナショナルキャビネットは、国境閉鎖、外出禁止などによって起こる失業対策や、企業助成金、景気刺激策などを打ち出すとともに、外国からの渡航者には2週間のホテルでの滞在を強制、食料品調達と病院への通院以外の外出禁止、レストランはテイクアウェイのみ、劇場、映画館、美術館、図書館閉鎖、スポーツを含むイベント禁止、美容院休業、結婚式葬式参加者の制限、などを次々と発表した。

6月に入り、患者数が減ってきて、連邦政府による制約が徐々に緩められてきたことを受けて、それぞれの州でも州境の封鎖が解けて、人々が自由に移動できるようになってきた。
オーストラリア全体で、COVIDによる死者は104人。シドニーを抱えるニューサウスウェルス州は、人口も感染者数も多かったが、感染者が多く出たシドニー北部は比較的裕福層の住む地域で海外旅行から帰ってきた人や、クルーズ船からの帰還者がCOVIDを持ち込んだ、と言われてる。今になってやっと人々が、1.5メートル間隔を開ければ、外出も、買い物も、外食も、ジム参加や図書館や美術館にも行けるようになった。私自身も半年ぶりに、家族で顔を合わせることができ、念願の孫たちに会うことができて、心から喜んでいる。

ところがビクトリア州では、5月にいち早く外出禁止が解けて人々が出歩けるようになったはずだったが、6月末からメルボルン北部でクラスター感染が起き、患者数が徐々に増え、州境は再び封鎖、厳しい外出制限も課されるようになった。嫌な感じ、と思っていたら、突然昨日、土曜日にビクトリア州総督ダニエル アンドリューが、驚くべき発表をした。怒りでいっぱいだ。

クラスター感染のあったメルボルン北部にある公立の9件の高層タワーアパートに住む、3000人の住民を自宅監禁、隔離、外出禁止、訪問者禁止にするというのだ。40人の看護師が、すべての住人3000人のCOVIDテストのために集められ出動し、500人の警官が、アパートの出入り口を固めて誰も外出したり、訪問者が入ったりできないように警備するという。今日、7月5日に、それは始まった。発表が急だったために、アパートの住人のなかには、監禁されることを全く知らなかった人も多かったという。住人には難民が沢山いる。英語のニュースがわからなかった人も多くいたと思う。

オーストラリアでは、生活保護者や障害者、老人、退役軍人、軍人未亡人、低所得者は政府の査定を受けた後、公営の住居に入ることができる。その人の収入によって一般のアパートよりずっと低価格の家賃、または無料で家が提供される。ニューサウスウェルス州では、そういった住居は近所を見回してもどこにでもあって、どれが公営なのかわからないことが多い。しかし残念なことに、地域によってはアルコール中毒や犯罪の巣になっているところもあるようだ。

メルボルンの9つの公営高層タワーアパートはそうした低所得者のほかに、難民がたくさん住んでいる。ソマリア、スーダン、シリア、イラクなどから戦火を逃れてきた難民だ。彼らは1軒のユニットに6人も7人もの大家族で暮らしている。当然老人も多い。
彼ら難民は自分の国で家を焼かれ、家族を失い、死の恐怖を体験し、国を追われてきて精神的にトラウマを抱えているため、精神病や、自殺願望、アルコール中毒などに陥る人も多い。保護が必要な人々だ。

クラスター感染が起きたと言われているが、先週水曜日に73人、木曜日に77人、金曜にに66人、土曜日に108人感染者が出て、それで突然の3000人自宅監禁となったわけだが、感染者のうちの9つの高速タワーアパートの感染者は、そのうちたった23人だという。別の新聞では30人だという。事実がわからない。30人の新感染者のために、3000人の住む高層タワーアパートを完全封鎖することが合理的なことなのかどうか、情報が足りなくて全然わからない。事実が報道されていない。

以前からメルボルンではアフリカンギャングという名前で、ちょっとした盗みや喧嘩などを起こしたソマリア人の若者に対して、アメリカでいま起きている黒人を異常な暴力で押さえつける白人警官が起こしている問題と同じような、「警官による暴力」が問題になっていた。

9つの公営高層タワーアパートの3000人の住民は、500人の警官に見張られながら、完全封鎖、監禁されて、人との交流を遮断されて、いったいどんな気持ちでいるだろうか。政府はその期間は家賃を払わなくて良い、失業対策費を捻出する、などと言っているが、封鎖が解除になって、人は普段通りに以前の職場に戻れるものだろうか。そのアパートに住んでいたことがわかって、学校に戻った子供はいじめられないだろうか。封鎖されている間、赤ちゃんのミルクは足りるのか。糖尿病患者のインシュリンは大丈夫か。子供たちは好きな食べ物が食べられるだろうか。ただでさえ、この3か月の外出禁止や様々な制限で、疲れ切っている人々にとって、心の再生は可能だろうか。

感染を防ぐということが、人に心を殺すような方法でなされてはいけない。
感染を予防するために難民が犠牲になるようなことは許されない。低所得者を一般人と分断してはいけない。COVIDを理由に差別を助長してはいけない。
今後、この人たちの身の上に何が起こるのか。目をつぶらずしっかり見ていかなければいけない。なんて悲しいことだろう。

2020年6月16日火曜日

わたしのCOVID19

依然として米国では20州余りの州で、COVID19に感染した新しい患者が増え続けており、現在死亡者は、約12万人。9月までに20万人の死亡者が出ると予想されている。

こうした中でニューヨークの公立病院の最前線というべき感染病棟に勤めるシニアナースが、一般では知られていない内部の現状と深刻な問題点を暴露している。まず、政府側が、症状が出たらまず家で休むように繰り返しアドバイスしたため、患者が呼吸抑制が起きるまで家に居て、病院に到着した時点ですでに治療できないほど手遅れになっている、という点。患者数が多く医師不足で、感染病の専門家でない医師や、医学生が治療に当たっているため、ベンテイレイターの扱いミスによる事故死が多発している。こうした医療過誤による死亡も、COVID19による病死として扱われていること。ベンテイレーターを使うような重症患者のケアに、州は一人につき2万9千ドルの予算を出しているため、予算を確保するために重症でない患者にもベンテイレイターを使って、そのために死亡する症例が後を絶たない。また鎮静剤が過剰に投与されているために、その副作用で呼吸停止する患者も多発していること。

患者は、COVID19によって肺炎を起こしていて、十分な酸素が脳に送られていないので、意識混乱しており自分で酸素チューブを引き抜いたり、抗生物質やほかの症状緩和剤を点滴している点滴チューブを、自分で抜きとったりする。それを止めさせるため、ほとんどの患者は両手をベッドの両側の柵に縛り付けられている。それで患者は、錯乱状態のうちに、両手の自由を奪われて為すすべもなく亡くなっている。
大切な家族を失う人々にとっては、こうした医療過誤は許せないことだろうが、世界的なパンデミック大流行で患者数が増えたため、患者の抑制や、ベンテイレーターの誤作動や、酸素過剰投与や、鎮静剤過剰投与で亡くなる人は多いことは、理解できる。また。こういった様子を毎日見ているナースが、泣きながら現状を告発,喋り捲らずにはいられなかった気持ちもよくわかる。

ニューヨークの医療最前線に比べたら、比較するにも及ばないが私にとっても、この3か月は地獄のようだった。そしてそれはまだ続いている。
いまの職場で週に40時間、フルタイムで、15年間働いてきたが、この3か月で髪が半分になった。いつも4週間ごとに行くサロンの美容師に指摘されて初めて気が付いたことだが。最後の1本の毛が抜けてハゲになる前に週40時間働いていたのを、30時間に減らすことにした。職場は病院と老人ホームの中間施設で、骨折で病院で手術して歩けなくなった年寄りが、階段のある自分の家に帰れるようになるまで滞在したり、癌の末期でもう家族が世話できない患者や、糖尿病治療が安定するまで入所する人や、徘徊癖のある認識障害老人などが50人ほど入所している。一人の患者が5つも6つも病気を持っていて、治療も多方面に渡る。
3月にオーストラリアでCOVID19による死者が出て国境、州境封鎖されてから、職場と自宅を車で往復する以外、外出しないように努めてきた。予定していた4月の日本旅行はキャンセル、孫に会うのも友達に会うのも自分から避けて、ヨガ教室も、リメデイアルマッサージも行かずに我慢、コンサートも美術館も図書館までキャンセルして、職場に病原菌を持ち込まないように最大の神経を使ってきた。うがい、マスク、PPE、毎日制服の洗濯、職員への教育、職場での外来者への対策、などストレスで神経が擦り切れそうだ。

日本でもCOVID19によって、患者を受けいれた病院も、受け入れ病院に指定されなかった病院も一様に、患者数が減って経営危機に陥っている。それはどの国の医療施設も同様で、経営赤字が深刻だ。施設を生き延びさせるのには、職員削減で対応するしかない。ただでさえ、いつ職場でCOVID19患者が出て爆発的に集団感染するかわからない状態で、ストレスフルな仕事を続けているうえ、職員が減らされて今まで2人でやっていた仕事を、一人でやりきらなければならない。おまけに経営側は、経験のあるシニアナースより、大学を卒業したばかりの右も左もわからない新人ナースを安く働かせようとする。おかげで礼儀も教養も熱意も知識もない分からず屋の新人ナースを教育しながら、今までの何倍もの仕事をこなさなければならない。
疲れ切っていると、経営者はリタイヤを勧める。70になったばかり。1日ロッキングチェアーに座って編み物をするつもりはない。社会に参加しているのだ。病院は人が生まれ、死ぬところだ。人が生まれ、喜びに満ちた人生を生き、悲しみ、怒り、そして満ち足りた思いで死んでいくところだ。生きるための現場に少しでも関わり、より良い生き方を模索していたい。
経営者たちの執拗で悪質な圧力を平然とやりすごし、COVID19をかかえて、あんなこと、こんなこと、あったよね、と笑って話せる日がくるまで、前を見て行く。こんなことで、へこたれてたまるか。


2020年5月24日日曜日

COVID19終息後はちがう世界が待っている

いま世界中で500万人の人がCOVID19に感染して苦しんでおり、すでに35万人の人が亡くなった。

全米では、160万人が感染、10万人が亡くなっている。世界一の軍事力を持ち、世界一の規模の経済力を誇っている米国で、世界一の死亡者数が毎日記録更新されている。飢えた人々がフードサービスを受けるために、5時間じっと車の中で列を作って待っている。その国の大統領トランプは、マラリア予防薬ハイドロオクシロロクインを服用しているから、「俺は元気だ」そうだ。失業者が増え治安が悪くなり不穏な空気になっていて、銃の売り上げが最高を記録しているそうだ。

英国では4万人に近い死者が出ており、自分も感染して死にかかったボリス ジョンソン首相は、医師や看護師の交代時間になると家の外に出て、「CLAP FOR CARERS」 ケアラーに感謝をこめて手をたたいている。サッシャー首相時代に彼女は新自由主義経済を採用し、病院や公共機関を民間に売り渡したため、病院施設は設備などが最低の状態だったことが、COVID19で、他のヨーロッパの国々に比べてはるかに多い死者を出すことになった。

日本では5月20日の段階で16385人の患者数、771人の死亡者を数えている。東京オリンピックを1年延期することが発表されたのが3月24日、この遅すぎた判断が患者数を増やすことにつながった。3月24日「新型コロナ対策特別措置法」が発表されたが、その時点で、世界中でCOVID19による死亡者は10万人に達していた。日本では、PCR検査数が世界一少ないにもかかわらず、陽性率は世界一高い。恥ずかしいことだ。この国の首相によると、すべてアンダーコントロールだそうだが、現実には老人ホームや障害者施設などで、たくさんの死者が出ているはずだ。

オーストラリアでは、5月24日今日の段階で、感染者7100人、死者102人だ。モリソン首相は3月13日に保険医療専門家を加えた連邦、州の首相会議を開き、COVID19への対策は、連邦各州のリーダーで構成される「国家非常時内閣」ナショナルキャビネットで、対策を講じる事に決めた。そこで事業体への支援、失業者対策、非課税給付金など、660憶ドルの経済対策費を拠出することが決まった。小事業体への非課税助成、ビジネスに25万ドルまでの無担保の貸し入れ、今まで福祉助成金をもらっていた人にその倍に当たる援助金助成、失業者に月1500ドルの失業補償、またすべての労働者の退職金(スーパーアニュエーション)を、60歳になっていなくても、2万5千ドルまで無利子で引き出して良いことにした。50万人が申請し、平均8500ドル引き出しているそうだ。

国境封鎖、外出禁止令のおかげて、3月から4月までたったひと月に、60万人が失業、5人に1人の割合で失業している。 3月にCOVID19が問題になった時からつい最近まで、モリソン首相は日曜も含めて毎日記者会見をして、COVID19の感染状況を報告し、さまざまな対策のついての質問に応じてきた。いまは細かい取り決めは州政府に任されているため、州知事も、毎日記者会見に応じている。例えば今週は、レストランで食事はできず、テイクアウェイだけだったが、来週からは10人まで、1,5メートルの間隔をあければ、レストランで食事ができる。NSW州では来週からビューティーサロンに行っても良いが、ビクトリア州ではまだ許されていない、戸外で10人までなら友達と会っても良くなったが、来週から50人まで集まって良い、6月から教会もオープンする、などなど。

ただこのような非常時に政府や権威筋はいろんな悪だくみをしている。
まず5Gのコロナ追跡アプリを、携帯でダウンロードすることを、政府が強く勧めていることだ。このアプリでは、COVID19感染者がいる場所が携帯を通してわかるため、そこには近付かないようにして自分を守ることができる、ということで政府が推進したために30万人がすぐにダウンロードした。しかしこのようなアプリで、自分の情報を簡単に政府に差し出してしまった人々のプライバシーはどうなるのか。また5Gは、もともと軍が開発した情報兵器であって人の行動を監視する目的で開発された。また磁気による血小板の減少や癌の発生など、人体への悪影響が見逃せない。COVID19が終息したら、このアプリは廃棄すると言っているが、情報はこの資本主義社会の金よりも価値があるので、簡単に廃棄できるとは思えない。

またCOVID19で、司法による刑事裁判で従来2人いた裁判官が一人に減らされた。重要犯罪でないような裁判の審議をCOVID19のために遅延することを恐れての判断らしいが、いままで2人で判決が下されていたのが、たった一人の判断で有罪、無罪が決まる被疑者にとってはフェアではない。重要犯罪でないとはいえ、無罪になるのと、有罪で罰金1万ドルを課せられるのとでは、その人の人生にとっての意味は全然違うではないか。

またまた、オーストラリアでは、フットボールをやらない奴はオーストラリア人じゃないというくらい盛んな、NRL(ナショナルラグビーリーグ)だが、やっと外出制限とスポーツ観戦禁止のなか、来月から観客なしで試合が始まることになった。プロのフットボールの選手たちは、20%給料カットされることになって、気の毒だが、試合の際の2人いたレフリーが今回から1人に減らされた。100メートル10秒で走るプロの男たちのゲームだ。スピードに乗ったボールを追うレフリーが、減らされて、たった一人のレフリーの判断で違反者が退場になったり、1点損したり、得したりすることになるのは、フェアだろうか。

というわけでCOVID19のおかげで、さまざまな変化が表れている。病気で死ぬのは嫌だから、みんな良い子にして首相や大統領や知事や警官のいうことを守るように努力している。でも盲目でいてはいけない。事態の変化をしっかり見守っていないといけない。COVID19が終息した時に、私たちは今までいたような自由や権利が失なわれているのかもしれない。疑いながら、しっかり見ていこう。

歌は「ワルシャワ労働歌」


2020年5月2日土曜日

ウェットマーケットは閉鎖されなければならない。


 


恐ろしい勢いでCOVID19が、世界中に広がっている。5月15日の段階で、感染者460万人、30万人の死者が出ている。
アメリカでは、8万5千人がCOVID19が原因で亡くなり、ニューヨークだけで、たった1日に166人の人が亡くなった。その多くが貧困層にいるアフリカンアメリカンだ。また全米労働者の内3千3百万人が失業に直面している。この失業者数は、オーストラリアとニュージーランドの全人口を足した数を上回る。
また、英国では、3万4千人、イタリアでは3万1千人、スペインでは2万8千人の方々が亡くなった。オーストラリアでは、100万人が検査を受け、現在感染者は7022人、死者98人となった。

そうした中で全米の医療権威筋は、このCOVID19が人為的に作られたものでも、遺伝子操作で故意につくられたものでもなかった、という調査発表をした。これで武漢のウイルス研究所が殺人ウイルスを「製造」してばらまいたという陰謀説が否定されたことになる。事故で研究所からウイルスが漏洩したか、あるいは初めから言われていたように、武漢のウェットマーケットから野生動物を介してヒトに感染したという説が有力になった。中国政府は、感染が報告されてすぐ、ウェットマーケットを閉鎖し、武漢を封鎖して他の地域と交流を絶った。この早業が、中国国内でのウイルスの拡散を最小限に留めることになった。

ウェットマーケットとは一般的に生きたままの動物や魚を扱い、客の要求に沿ってその場で殺して売りさばく市場のことを言う。中国だけでなくタイ、インドネシア、ベトナムなどにもあるが、工場で処理されスーパーマーケットで売られる肉類と違って、衛生管理の悪い市場で生きた動物を扱うことで、かねてから批判にさらされていた。とくに野生動物の売買では捕獲禁止になっている珍しい動物の密猟と密輸の源にもなっている。

2002年に中国広東省で起きた、SARS(重症急性呼吸症候群)では、8000人の感染者、800人近くの死亡者を出したが、原因はコウモリの糞からウェットマーケットで売られていたジャコウネコを介して、変異した病原体がヒトに感染し発病したと言われてる。ウェットマーケットでは捕獲された動物は、小さな檻に閉じ込められて、たくさんの客の目にさらされて、仲間が目の前で殺され、肉を刻まれ売られていく姿を見ているから、極端なストレスにさらされている。病原菌にも弱い。

野生動物を自然宿主にしているウィルスが、家畜などを経由してヒトに感染する事象は、これまでも多かった。ウシから天然痘や結核が持ち込まれ、豚やアヒルからインフルエンザが人に感染する。ネズミからペストが蔓延したことも有名だ。アフリカのチンパンジーがもっていた免疫不全ウイルスが変異して、ヒトにエイズをもたらせた事実も記憶に新しい。エボラ出血熱も、アフリカのコウモリからチンパンジーを介して、ヒトに感染したものと、報告されている。

2002年には広東省で、コウモリの持っていたウイルスがジャコウネコを介して、変異してヒトに重症急性呼吸症候群(SARS)を発症させた。香港にも広がり、たくさんの死者を出した。また2012年には、サウジアラビアで、コウモリからヒトコブラクダを介して、変異したウィルスが、中東呼吸器症候群(MARS)を、引き起こして沢山の犠牲者を出した。
オーストラリアでも、コウモリの糞で汚染された草を食べたサラブレッドが、致死率の高いウィルス、ヘンドラウィルスによる感染症をおこし、その馬を介護していた、獣医と調教師が’亡くなっている。

つい最近のタイ、バンコックにあるウェットマーケットを報道陣が訪れたドキュメンタリーフイルムでは、ありとあらゆる動物が売られている様子が映し出されて、ショックを与えた。犬、猫、カエル、キツネ、カモシカ、アルパカ、ダチョウ、孔雀、ヘビ、トカゲ、ワニ、亀、ハクビシン、サル、ネズミ、コウモリ、アルマジロ、ビーバー、極彩色の鳥、などなど、その国に生息していない動物がアフリカやほかの東南アジアや中東から密猟で密輸されて売られている。、絶滅の危機に瀕している山岳地帯に住む山猫の子供まで捕獲され売られていて、胸が痛んだ。

武漢にあるウェットマーケットは、2200万ドルかけて新しく改築されることになり、中国政府は野生動物の飼育、売買、またそれを食用にすることを禁止した。
しかし世界各国で野生動物の売買は、現実に継続されている。これを止めなければ、これからも野生動物を介して、たくさんの病原菌がヒトを苦しめることになるだろう。

サイの角を精力剤にするために、サイが密猟されて絶滅寸前になっている。二日酔いを治すために、クマが生きたまま針を刺されて、胆汁を抜かれている。日本人がスッポンを食べるように精力を付けるためにサソリや亀やコウモリをスープにする人々もいるそうだ。美味と言われる、アルマジロの密猟も許しがたい。肥満体の人が脂肪分の少ない肉を求めてカエルやヘビを食べる。これらの野生動物が体に良いという迷信はすべて「誤解」であって、科学的な事実ではない。

一時、性病を発病した金持ちたちが、バージンと交われば治癒するという根も葉もない説に浮かれて、東南アジアで無垢な少女たちが売春の犠牲になったことがある。バージンを凌辱しても性病は治らないし、サイの角を飲んでも、ヘビの生き血を飲んでもインポテンツは治らない。亀やヘビを食べても痩せないし、珍しい動物を飼育しても自慢にならない。生きたクマからとった胆汁を飲んでも、ヒトの肝臓がどうなるわけでもなく、消化されて便になるだけだ。シャークのヒレスープを飲んでも、コラーゲンでお肌がつるつるになることはない。胃で消化され排泄される。クジラもイルカも、ゲジゲジも、毛虫も単なる蛋白質にすぎない。ヒトの体も蛋白質だ。そのヒトには他にたくさんの食べものの選択肢がある。それなのになぜ、ヒトは野生動物を売買するのだろうか。ウェットマーケットは閉鎖されるべきではないか。

野生動物とヒトはずっと共生してきた。世界の人口が増え、野生動物のテリトリーは狭まるばかりだ。動物とヒトとが狭い地球で共生し合わなければならなくなった。ヒトは野生動物を密猟し、密輸し、飼育し、虐待して食べてきた。ほかに家畜から蛋白源がとれて、日々食べ物が余って捨てられているというのに、欲で野生動物にまで手を出してきた。そして野生動物を介するウイルスが原因の病気になって、やっと野生動物の危機を知ることになった。
30万人のCOVID19による死亡者、これは自然発生したわけではなく、野生動物を虐待してきたヒトによる人災でおきたことなのだ。同じ不幸を繰り返さないために、ヒトは動物たちの声を聴き、学ばなければならない。

歌っているのは、キャロルキングの「YOU GOT A FRIEND」



2020年4月14日火曜日

良識ある報道を




4月13日イースターマンデーに、民間チャンネル9のニュースではトップに、老人ホームに勤める看護助手が、6日間もCOVID19症状が出ていたのに出勤していたために施設の中の1人の老人が発病した、と報じた。その口調は一方的に看護助手を責める厳しさで、政府の保険大臣にわざわざ「今後、医療従事者は症状が出ていたら出勤してはいけない。きちんと自制するように。」と繰り返し言わせていた。老人ホームという年寄りが安全で静かに暮らせるサンクチュアリに、悪い職員が病気をまき散らしていた、というような論調は、中世の魔女狩りや、火あぶりのリンチを思わせる。
外出禁止令で一挙に自宅待機者や失業者が増え、それがいつまで続くかわからない、そんな社会の閉塞感、政府への不信感、将来への不安感が蔓延している。そういった不安定な状況で不満をどこかにぶつけてはならない。今ほど、人が良識というものをもつことが求まられているときはない。

この看護助手はおそらくアジアか南米からの移民で、6か月ほどの研修で資格の取れる介護者として、今どこでも人手が足りなくて困っている病院や医療施設で働いていたのだろう。人を世話するのが大好きで、良い人もいれば、とりあえずオーストラリアで働いて永住権がとれるかどうかやってみよう、という目的で来豪しただけの介護職に適さない人もいる。
6日間COVID19の症状が出ていた、というが、今オーストラリアは秋で花粉アレルギーまっさかり。冬に向かって急激に気温が下がり風邪気味に人も多い。また、インフルエンザの予防注射が始まったが、生ワクチンだから注射後1-2日インフルエンザの症状が出る人も多い。軽い風邪症状で働いていたことを責めることはできない。

自分もCOVD19のものすごいプレッシャーに中で働いている。自宅の入り口にはパジャマなどが入った「入院バッグ」が用意してあって、発病したら、できるだけ20分ほど先の救急病院までそれを持って歩いていくつもりだが、いよいよ呼吸困難で救急車を呼ばなければならなくなったら救急隊にそのバッグを一緒に持って行ってもらうように大きく注意書きをしてある。職場ではCOVID19患者を運ぶ救急車の面々と接触するし、施設の酸素ボンベや医療品や、洗濯ものや、食料の配達や業者などと対応しなければならず、普通のナースよりずっと感染の機会が多い。
悲しいが娘たちにも、孫たちにも会えない。孫には1月以来一度も会えずにいる。でも毎日自宅に帰れるだけでもましか。公立病院に勤めるドクター、ナースたちは自分たちの家族に感染させないために、病院が貸し切ったホテル住まいしている人も多い。小さな子供を抱えたドクター、ナースたちが仕事で疲れ切って、冷たいホテルの枕で寝る姿を思うと、とても申し訳ないと思う。

そんな中でアジア系のドクター、ナースは病院の制服で通勤中、「武漢に帰れ!」とか、「コウモリ食うな!」などと嫌がらせや、唾を吐かれたりした。その後は「コロナうつすな!」、とか「あっち行け!」だ。電車やバスや路上で暴力を振るわれた例もたくさん出てきて、遂に政府は、「危険なのでナースやドクターは病院の制服で出勤しないでください。」ということで、フロントラインで働く医療従事者に悪態をついたり嫌がらせをした加害者は$5000の罰金が言い渡されることになった。

かなしいことだ。政府や警察に緊急法によって罰則を作ってもらわないと、人を傷つけることをやめられないのか?良いことと悪いことを、政府と警察に教えてもらわないとわからないのか? 失業したり、収入が半減したり、レントが払えなかったり、将来の見通しが見えなくなって不安になると、何かに当たりたくなる。しかし、そんなとき、皿を割ったり、壁に拳を打ち付けたり、妻を殴ったり、子供の肌にタバコの火を押し付けたり、ドクターやナースを罵倒し蹴飛ばしたり、しないでいることだ。何の罪もない子供までCVID19で死んでいるのだ。全米で死者22108人、たった1日でニューヨークでは758人が亡くなった。70%はアフリカンアメリカンだ。
良識を持つこと。いま生きていることを大切にして、より良く生きることが望まれている。

歌っているのは「MY WAY」

2020年4月12日日曜日

ジョージぺル枢機卿、6年の実刑から一転して無罪

peru 
4月7日、COVD19で、人々が混乱している最中を狙ったかのように,ビクトリア州検察によって逮捕され、6年間の禁固刑を言い渡され服役中だったジョージ ぺル枢機卿が、最高裁で出た無罪判決を受けメルボルンのバーウオン刑務所を出所した。
服役するまで彼はバチカンのナンバー2の実力者、財務局長菅を務めていた。彼はメルボルンの大司祭だった1996年に、教会合唱団の13歳の二人の少年に性行為を強いた罪で逮捕され、2018年に6年の実刑を下された。その後、実刑に服しながらビクトリア州裁判所に再審を求めていたが去年、却下された。再び連邦政府の最高裁判所に控訴して、今回、彼が問われていた5つの罪状に対して証拠不全を理由に、最高裁判所は彼に無罪判決を出した。寝耳に水とはこのことか。驚いて言葉も出ない。怒りでいっぱいだ。

彼は1996年から2001年までメルボルン大司教を務めていたとき、部下のジェラルド リステル牧師が、4歳の子供を含む54人の小児に対して性犯罪を犯していたが、この牧師と同じ部屋を共有していたにもかかわらず証拠を隠滅し、家族から被害が報告されると牧師を他の教区に移動させスキャンダルを封印してきた。
また本人も、1961年にサマーキャンプで12歳の少年を強姦した罪で起訴されたが、その後、理由不明で審議取り下げになっている。
メルボルン大司教から2001年シドニー大司教に抜擢されたとき、ぺデファイルをカバーアップしたということで、反対運動が起きたが、無事シドニー大司教を2014年まで務めて、バチカンの財務局長官に抜擢された。世界の権力と財力を持ったバチカンの財布係だ。

ロイヤルコミッションは、カトリック牧師の7%がぺデファイルで、1950年から2009年までの間に、4400件余りの被害届が出ているとして調査を始めた。2016年にコミッションは証人としてジョージ ぺルを召喚したが、彼は応じなかった。

この4月7日、無罪を勝ち取り自由の身となって出所したジョージ ぺルは、「自分の無罪が証明できてうれしい。」と語り、続けて「小児性的虐待は教会の癌のようなもの。カトリック教会では昔から組織的に行われてきたことだ。」とメデイアにむけて、まるでぺデファイルは教会の問題であって、自分とは関係がないような発言をシャーシャーと述べ立てた。6年間実刑判決を受け2年に渡って刑務所で刑に服していた間、一度でも自分がレイプした子供のことを思いやる機会はなかったのだろうか。純真な心を、自分の欲望のために踏みにじって、どうして平気で教壇に立てるのか。被害者の傷は大きい。一般に子供の時にレイプ被害にあった人は、30歳代になって初めて自分の身に起こったことを、人に話せるようになる、という統計がある。30歳を超えるまで一人で苦しんで、やっと言葉に出せるようになる、そのような子供についた深い傷について加害者として考えたことがなかったのか。

彼は、一晩メルボルンの教会に泊まり翌日、4月8日には自分で車を運転してシドニーに向かった。シドニーの手前ゴルバーンで警察署に車を止め、執拗についてくるメデイアを追い払うように要請した。メルボルンからシドニーまで12時間の運転、ラグビーで鍛え切ったぺルにとって、12時間にの運転など何とも無いことだろう。その車を追わずにいられなかったメデイアの気持ちがわかる。
彼が出所した日の新聞の大見出しは、「恥ずべき枢機卿の過去」、続いて「小児性的虐待は教会の癌」「証拠が足りないというだけで、ジョージ ぺルが無罪だということでは決してない。」「証言だけでは証拠不足だからといってぺルが何もしなかったわけでは断じてない。」と続いた。ペンの力は健在だ。

被害者は、「最高裁は自分が24年前に虐待されたという証拠が、有罪を決定するには不十分だという。最高裁が納得するような証拠を出して証明するのは非常に難しい。他にもたくさん被害者がいるはずなので、名乗り出てきてほしい。」と言っている。性被害にあったすべての人が、モニカ ルベンスキーのように、ビル クリントンの精液のついたブルードレスを大事に持っているわけではない。何故証拠なのか。なぜ証言では不足なのか。メルボルン警察の長年の捜査によってやっと強姦罪を立件でき、被害者たちの声と世論やロイヤルコミッションの力を得てと、やっとバチカンのナンバー2に実刑を与えることができたというのに、無罪放免とは。

いままで何度も言ってきたことを、また繰り返すが、ぺデファイルは一時の心の迷いではなく、病気でもなく、その人についてきた「嗜好」だ。病気ではないから治らない。嗜好は、罰せられても、拘禁されても、教育されても治らない。年を取ってセクシャル アクテイブでなくなっても、「嗜好」は変わらない。死ぬまでぺデファイルはぺデファイルだ。
彼は76歳で実刑判決を受け、78歳で自由の身になった。しかし彼が過去にやってきたことは警察署の分厚いファイルに収まっている。被害者のうち、一人は精神の均衡を失いドラッグのオーバードーズで亡くなっている。自分より先に息子に死なれた親の気持ちがわかるか。ジョージ ぺルの輝かしい牧師生活は、おびただしい少年少女の死によって成り立っている。天国に行きたくないのかな。メデイアには嘘がつけても、自分には嘘をつけない。自分がやったことは ごまかせない。
実刑を受けていた間も、彼はバチカンから高給を受け取っていたそうだ。それをすべて吐き出して、被害者に対して申し訳なかったと、どうして今、謝罪できないのか。