2024年12月24日火曜日

映画:グラデイエイター1&2

イタリアを旅行したことのある人は、ローマの中心にあるカラカラ浴場を観たことだろう。AD2世紀に造られローマ市民に「庶民の宮殿」と呼ばれ、観劇や図書館まで完備した大浴場リクリエ―ション施設だった。今でもそこでオペラが行われ有名歌手の舞台になっている。それを建設した皇帝カラカラが、映画に出て来て馬鹿殿様ぶりを見せる。
リゴリースコット監督による映画の半分以上は史実に基ずいているから、面白くないわけがない。

当時、ローマの円形劇場コロシアムに集まる数十万人のローマ市民を前にして、猛獣や奴隷や他の剣闘士と戦うグラデイエイターは、高額な報酬を得られる人気稼業だった。戦って得られた貯金額によっては、ローマ市民として余生を送ることができた。当時のローマ帝国は100人の長老による元老院とローマ市民による直接民主主義的な投票によって国政が執行されていた。AD1世紀から500年近く、ローマ帝国の領土は最大限で、全ヨーロッパ、中近東、アフリカに及んだ最盛期で、最も華やかな時代だ。

映画:グラデイエイターⅠのストーリーは、
実在したローマ皇帝の中で最も賢帝と言われた皇帝マルクスアウレリウス(リチャードハリス)は自分の右腕だった将軍マクシムス(ラッセルクロウ)を次期皇帝に指名する予定だったが、それを知ったバカ息子コモドス(ホアキンフェニックス)は父親を殺し、マクシムスに皇帝殺しの濡れ衣を着せ、彼の家族を殺害、辛くも暗殺を逃れたマクシムスが、グラデイエイターとなってコモドスに復讐するが、自分も命を落とす。というお話だった。

映画:グラデイエイターⅡのストーリーは
皇帝マルクスアウレリウスの右腕だったマクシムスと皇帝の娘ルッチラとの間には、秘密の息子がいた。それが今回の主役ルシアス(ポールメスカル)。彼はローマの属州で孤児として育ったが父親に似て教養があり体が大きく勇敢で、ローマとの戦争に敗れ捕虜として奴隷商人に買われ、ローマに連れてこられる。彼の強さは破格の強さで、選ばれてローマのコロシアムで、アフリカから連れてこられたライオンやサイや狂暴サルと死闘を繰り返して名を馳せる。奴隷商人(ベンゼルワシントン)の野望は知恵の足りない皇帝カラカラに取り入って自分が次期皇帝の権力を奪取することだが、そのコマとしてグラデイアエイタ-のルシアスを使う。何も知らなかったルシアスは、アガシウス将軍(ペトロパスカル)に自分が前皇帝の娘ルッチラ(コニーニルセン)とマクシムス(ラッセルクロウ)との間に生まれた息子であることを知らされる。ルッチラは母親としてルシアスを守ろうとして、反逆者として命を落とし、アガシシウス将軍も皇帝に殺される。それを見てルシアスは反逆の時来たり、として皇帝もその側近も亡き者にする。というおはなし。

全編モロッコで巨大なコロシアムが実際に造られて撮影された。豪華絢爛のローマ帝国史になかでも最も華やかだった頃のコロシアムに、数十万人の市民が押しかけ、どう猛な野獣とグラデイエイターが戦う。コロシアムに実際海水を引いて、人食いサメを放ちガレー船とガレー船とで海上戦闘を繰り広げる、当時のローマ帝国の栄華、豪華な人々のレジャーが殺して、殺して、殺しまくるのを見物することだった。それが人々の労働からの解放で楽しみ、歓喜だった。
この映画、執念の父子、復讐劇といえる。年末には忠臣蔵を見る日本人に丁度よいタイミングだ。観て損はない。