2026年8月20日木曜日

尊厳死法


豪州には尊厳死法がある。正確には、VOLUNTARY ASSISTED DYING LAW:自発的死の介助法とでも訳せるだろうか。豪州北部準州を除いて全州で、それぞれの州議会で承認されている。
この法は限られた条件下で死を望む患者が死ぬことを医療者が介助できるという法だ。ただし、精神病と老人に多い認識障害を持つ患者は、死にたいという自己判断が明確ではないために除外される。
用意された薬を自分で服薬するか、医師による静脈注射によって、命を終えることができる。条件は州によって多少異なるが以下のとおり。
1)18歳以上で本人による申請
2)治癒する可能性のない病気で、耐えがたい痛みがある
3)2人の医師による承認が必要
4)豪州の市民か永住者

現在この法について論議されているのは、2人の医師が判断することになっているが、希望患者が医師に直接会って診察を受け実行するのに電話診療で医師が承認できるかどうかについてだ。豪州は広大な土地にわずかな人口が暮らしている。遠隔地に住む患者は医師に診察を受けるにも、入退院するにも小型飛行機を必要とする人が沢山いる。そんな患者が2つの別々の病院や施設に所属する医師に会うだけでも、何百キロもの移動を必要とする。
都市に住む私達、忙しい人にとっても、かかりつけの医師と直接会わずとも電話でやり取りすることが多い。電話で軽い風邪症状など説明して、薬をオンラインで処方してもらい、近所の薬屋で薬を受け取ったり、血液検査やレントゲンなど検査もオンラインで依頼してもらい、本人は直接検査所に行くことができる。
いずれ、尊厳死法でも1人は電話による医師の承認だけでケースによっては認められるようになるだろう。


クリスチャンの多くはこうした尊厳死には反対の人が多いが、自分の人生を自分が選び、自分の死を自分で選ぶという選択があっても良いと思う。

つい最近私の職場でも、この法によって患者ひとりを見送った。
95歳、心臓病で、バイパス手術を何回も受け20年あまり心臓病で苦しんできた方だった。心臓が充分働かないから呼吸がいつも苦しく、関節炎で歩行困難もある。しかし頭ははっきりしていて自分の死は家族に見守られながら自分で納得する形での死を望んでいた。インド生まれの英国人。結婚して事業のために豪州に来て家族を持った。彼が生まれたころの植民地インドは、英国人の中でもケンブリッジなどエリート中のエリートが渡航したがった。新しい土地で事業を始めたり、官僚や外交官として任地でキャリアを重ねるのがエリートコースのひとつだった。彼の物腰の柔らかさや、品のある様子を見れば育ちの良さが想像される。
最後の日は、ご子息に囲まれ談笑しながらお茶会をして、到着した医師の注射を受けて旅立っていった。

老人の死は悲しいことではない。
その人が生きた実りの多い、豊かで長かった人生を祝福して敬意をもって見送ることが、残された人々の務めだ。
老人専門の高度医療施設に努めているが、入所してきたお年寄りが皆、自分が良い人生を歩んできた、と満足して幸せな気持ちで旅立っていくのを見送るのも、仕事の一つだと思っている。
歌は、ジョン マイヤー「SLOW DANCING IN BURNING ROOM」

2026年8月13日木曜日

高市首相のメロン

日本の高市総理が、豪州の労働党首相を表敬訪問した時に、日本のメロンを2個持って行って、その後、豪州首相がコメデイアンの番組で、それをちゃかして大笑いしたことで、自由党が国会でこれは外交問題だ、と嚙みついた。
「日本の首相のお土産は、何だったの?」 とコメデイアンに問われて、「2個のメロン」と彼が答えたときに、コメデイアンはグラマーな女性の胸がゆっさゆっさ揺れているゲスチャーをして、それにつられてアルバニージ首相も笑いながら、同じジェスチャーをして笑った。


お笑いの番組で面白おかしく質問する方も、質問に答える方も下品で、不愉快だ。


しかし豪州でメロンは、1個5ドル、500円くらい。暖かいから全国どこでも出来る。メロンの値段はキャベツやブロッコリーと同じ値段だ。野菜より安いときもある。
日本の温室で育ったマスクメロンの価値は、日本人にしかわからない。どんなに甘くて美味かは、食べた人にしかわからない。価値のわからない人にプレゼントしてはいけない。
フイリピンの大統領を表敬訪問するとき、沖縄産のバナナは持っていかない。
ロシアの大統領と初めて会って仲良くしたかったら、タラバカニの缶詰めをあげない。

何をもらって嬉しいか、それなりに考えて日本のメロンを持って行ったのだろうが、高市首相は笑われている。もう少し、外交を学んでほしい。 



2026年8月12日水曜日

高市首相の🍈その1

今年の5月に日本の高市総理が豪州のアルバニージ首相を表敬訪問した時に、2個のマスクメロンをお土産に持って行った。これを、コメデイアンのニッキーオズボーンが、アルバニージをゲストに呼んだ自分の番組で、大きなメロンを胸で抱えて、それがグラマー女性を揶揄するようなジェスチャーをしてみせて笑いを取った。これに怒った前日本大使:山上慎吾が抗議声明を出した。豪州首相が日豪交流をちゃかして笑い、日本の文化を侮辱した、という内容だったが、この前大使の言ったことはもっともだ。

豪州も日本の民間テレビ局同様、低俗な番組が多すぎる。
首相をはじめとする政治家やタレントに、料理を作らせたり、クイズに答えさせたり、子供に答えにくいような質問をさせて面白がるような番組が沢山ある。政治家が庶民との間を縮めて人気を得ようとして、そういった番組に出演するのは勝手だが、庶民派それほどバカではない。同じ番組で、アルバニージが結婚するならどんな女性が良いか、と問われて彼が人気歌手の名をあげたことで、マスメデイアに厳しく批判された。本当に馬鹿だ。
ケビンラッド元首相が同じ質問をされて「世界中で私の妻ほど素晴らしい女性は居ないので、妻以外の人など考えたこともない。」と答えていたが、これが模範解答だ。

豪州では、国のリーダーと国民との距離は、日本とは比較にならないくらい近い。何か事件が起こると日曜でも、マスメデイアは、首相が通っている教会でも、ジョッギング最中でも自宅でも押しかけて、インタビューする。それをニュースの時間に報道しニュースキャスターがどんどん質問して、首相が答えに窮してもお構いなしだ。政治家に日曜も休暇もない。
あらかじめ質問項目を知らされていて、官僚が作った答えを読むだけの記者会見をするような脳の足りない政治家など、豪州で見たことがない。

ただ、英国でも豪州でも、首相や政治家や元首である皇室をユーモアとウィットで笑い飛ばす文化がある。
それはそれで貴重な慣習であって、言われた方がそれをウィットで返すだけの教養が必要とされる。笑って返せないような人には、言う方もそうしたアイロニーやシニカルなユーモアは言わない。事程左様に「外交」には「笑い」が大切で、立派な外交をするには教養のあるユーモアとウィットが必要なのだと思う。それはメロンを胸にもっていって、豊かな胸を持った女性を笑うような低俗さとはかけ離れている。アルバニージ首相は、謝罪すべきだ。首相はいやしくも国民から選ばれたのだから、せめて4年間はプロの職業人として24時間、マスメデイアに追及されてもびくともしない存在でいて、さらに上質なユーモアとウィットを備えているべきだと思う。



2026年8月2日日曜日

いろいろな死

んな死に方をしたいかは、どんな生き方をしたいかと同じくらい大事なことだ。でも違うのは、あまり自分では選べないことだ。
豪州で私立の老人高度医療施設でナースをしている。今年で21年目になる。数え切れない患者を見送ってきた。 アルツハイマー、パーキンソン、精神分裂症、癌末期、人工栄養、胃瘻、人口肛門、MS、難病、糖尿病、などなどの患者のほとんどが、老人性認識障害をもっていて、尿排便がコントロールできない。

入所時に家族と本人に、心臓麻痺や脳卒中になったとき人工呼吸で延命したいかどうか、肺炎などの感染症になったとき病院で集中治療をしてほしいか、施設で服薬治療するだけで良いか。骨折などの怪我した時には、病院で治療するかどうか、嚥下障害で物が食べられなくなったときにどうしてほしいか、死ぬとき牧師を呼ぶかどうか、死んだら 献体か埋葬か火葬か、希望の葬儀会社があるかどうか、などの質問に答えてもらう。それがその後に予期しない死が起きたときの、法的な証言にもなる。
入所のためには個室:5千万円、2人部屋:3千万円くらいのデポジットをしなければならない。患者は死ぬまで施設で看護されるので家を所有する必要はない。家を売却してデポジットを払い入所してきて、亡くなった場合、施設で使われた金額を差し引いた金額が家族に返される。 収入のない老人のために政府は老人年金を支給するので、月付きにかかる費用はそこから政府に吸い取られ、最初にデポジットされた数千万円のお金は、無事家族に返金される。しかし患者が何年施設で長生きするかわからない。子供達よりも長く生きる場合もある。
豪州で働く人の最低賃金は、とても高くて、1時間$26.44、円安の今なら1時間2700円くらいなので、人件費がばかにならない。3交代24時間のナーシングに加え、暖房、冷房、ベッド、食事、レクリエーションを提供するには費用が掛かる。半分は政府が援助しているので、豪州ではナーシングホームは半公共施設ともいえる。

患者たちは朝シャワーを介助され、朝食、モーニングテイー、ランチ、アフタヌーンテイー、夕食、寝る前の軽食を提供され、その合間に施設で専門の人の指導で体操、ダンス、ゲーム、映画鑑賞、バスでピクニックに行ったりする。ナースは、投薬、怪我の治療、人工栄養の管理、体にチューブをつけている人の管理、癌末期の鎮痛対策、医師との情報交換、政府への一人一人の患者の報告などなど、とても忙しい。

多くの場合、死は突然やってこない。嚥下障害が出てきて流動食も呑み込めなくなったら、終末医療の準備をして家族の了解をとって、モルヒネなどで苦痛のない死を迎える。
何年たっても忘れられない患者が沢山いる。いつも思い出すのは脳の障害で5歳程度の知能になってしまった50代の体の大きな農場主だ。いつも私の後をぴょこぴょこぴょこ、ついて回るので、アキコのペットと呼ばれていた。仕事に来るのをドアのところで待っていてくれて、ドアを開けると、飛び跳ねて喜こんでくれる。うーんと考え事をしていると、心配そうに顔を覗き込む。大男なのにしぐさが5歳児なので可愛くて仕方がない。子守唄を歌って寝かしつけるのが私の仕事だった。1週間休暇を取っている間に肺炎であっけなく亡くなっていた。

豪州には安楽死法(VOLUNTARY ASSIST DYING LAW)があって、様々な規制があるが条件が整えば死ぬことができる。その州に3年以上住んでいること、6か月以内に亡くなると予想され、耐えがたい痛みがある、といった条件で2人以上のドクターが判定した場合に限られる。

94歳で自分で歩けて尿排便障害もなく、認知障害もない、家族もみな独立していて心配もない、血液検査結果は問題ない健康体。でももう何にも興味が持てず死にたい、という。可愛らしい思いやりのある優しいおばあちゃんがいた。医師は必死で抗うつ薬を投与したり、サイコロジストもサポートしたが、頑として死にたい。彼女は5週間、自分から飲まず、食べず、最後は枯れ木が倒れるように眠ったまま亡くなった。彼女には、まったく健康だったので安楽死法が適用できなかった。本当に優しい人で前の日まで自分で立って抱きしめてくれた。顔を近ずけるとほほを撫でてくれた。最後の時はその手を上げようとして力なく、そのまま逝ってしまった。

職場で一番仲の良かったのが、ドイツ人のナースだった。彼女は自由党支持、私はグリーン支持だったから口つば飛ばして政治談議したり、同じ映画を見て解釈が違って熱い議論になったり、唯一オペラでは意見があって同じソプラノ歌手のファンだった。仕事仲間でこれほど心許せる仲間は、この21年間他に居なかった。コビッドの大騒ぎの間、ナースたちは物凄いプレッシャーの中で働いていた。職場を往復するにも半径10キロ以上移動できないと言われ、途中でポリスに車を止められて尋問されたり、職場ではガウン、ゴーグル、キャップ、手袋の姿で、患者に死なれないために必死だった。その最中、彼女が仕事に出てこないし電話にも応答がないので娘さんに家を訪ねてもらったら、ベッドで亡くなっていた。コビッドがなかったら、彼女は死んでいなかっただろう。でもベッドで眠ったまま何の苦しみも痛みもなく、病気で苦しむこともなく眠ったまま逝ってしまった。彼女が職場で使っていたマグカップでお茶を入れて、わたしは76歳の今も彼女が座っていた椅子に座って働いている。

いろんな死がある。 それを自分では選べない。でもたくさんの人の心の中で、いつまでもいつまでも生き続けるような、そんな死に方をしたいものだ。
歌は浜辺の歌


2026年7月31日金曜日

中国は日本のマザーカウントリー

日本の首相は戦争をしたくて仕方がないらしいが、戦争を始める前に誰と戦争をしたいのか、わかっているのだろうか。

世界で今最も必要とされているレアメタルの、90%を、過去10年間、独占輸出しているのは、中国だ。希土類元素レアアースは、17種類の金属物質を言い、これを商業的に利用可能な商品にするための分類工程が極めて複雑だとされている。中国の技術力は、レアアースを分離精製し、100%近い純度を持つ製品を作り出している。世界中で喉から手が出るほど欲しい製品、これを中国から売ってもらえなくなったら、携帯も、PC も、精密機器も、EVも、レーダーも、武器も製造できなくなる。
米国の防衛産業は、中国の輸出するレアアースに完全に依存しているのが現状だ。

また世界で今後最も需要が確実化されているEV分野で、売れている車の70%が中国製だ。昨年、中国は3億台のEVを製造売却した。日本でも人気の外車レナードは、中国に支社と工場を置いて中国製ロボットと中国の技術で車を作っていて、1台$23,000で世界に向けて輸出している。この値段より中国製のBYDなどの車は、これよりもずっと安い値段で売っている。中国ではバッテリーも5分で充電できるという。また、バッテリーチェンジステーションに行くと、使っていたバッテリーを、新しく充電したバッテリーに、取り換えられる店が普及してきたそうだ。運転手は車に乗ったまま、ロボットがバッテリーを、たった4分で交換する。これだけ進化していて、何を今さらガソリン車を買う必要があるだろうか。

中国の食糧需給率は100%、日本は35%。
中国のエネルギー自給率は80%、日本は0%。
中国の軍隊は、2600000人、陸軍96万人、海軍24万人、空軍40万人、ロケット軍10万人、予備兵、武装警察110万人。
日本の自衛隊は、22万人。
日本の自衛隊員を増やしたかったら、憲法を変えて自衛隊を軍隊にして徴兵制を取り入れるしかない。と、同時に、いまウクライナのゼレンスキーがやっているように、国境を閉鎖して18ー60歳までの男性の国外脱出を止めるしかないが、それでも全然足りない。

米国は武器を日本に売りつけてきたが、米軍は日本を守らない。どうして米軍を日本に置いているかというと、米国が被害に遭わないように日本という防波堤が必要だからだ。
中国は日本のマザーランドだ。氷河期は1つの大陸で、日本は大陸の1部だった。海水上昇によって大陸から分離した日本は、みなし児になった。いつまでも反抗期のテイーンのように中国に楯突かない方が良い。もう現実を認識して、中国を敵視するのをやめよう。

2026年7月24日金曜日

日本の少子化と移民促進

日本の少子化の勢いが止まらない。
カップルが持つ子供の数が1人以下になって久しい。
また、日本人の生涯未婚率が上がっている。男性28%、女性17.8%。単独世帯数は、男性36%、女性64%だという。
いよいよ1人1世帯という生活スタイルが定着してきた。少子化を止めるには、若い人に結婚を奨励したり、若夫婦に子供手当を支給したりすることよりも、男女にかかわらず子供を持ちたい人が、安心して生み育てる環境を整えることの方が大切だと思う。

30年前に豪州にシングルマザーで2人の子供達と移住した。
自治体の面接官に、「あなたには何ができるのですか?」と問われて、豪州に来る前はバイオリン教師をしていたと言ったが、資格でひっかかり、成城大学でマスコミを学び記者をやったと言っても、豪州では紙屑より何の役にも立たない。なんちゃって、、だけど、看護師の資格を持っている、と答えたら、「よし、それだ!」というわけで、職業訓練所に無料で入れることになった。
外国で看護師をやっていた経験を持つ移民が、豪州の看護大学の指定する職業訓練校に通うことになって、出会ったクラスメイトは、セルビア人、アルバニア人、ポーランド人、ロシア人、クロアチア人、フィリピン人、スリランカ人、中国人だった。
クラスメイト全員が、シングルマザーだった。アルバニア人でクリスチャンの人など、私の娘くらいの年齢なのに、戦火を逃れてイタリアに着き、難民キャンプの、冷たい体育館のコンクリートで赤ちゃんを出産した、という。それぞれの人が豪州にたどり着くまでのストーリーは、私自身のストーリーを含めて書けば、電話帳くらいの厚さになる。

政府は,16歳以下の子を持つシングルマザーの移民に対して職業訓練所に無料で通わせてくれただけでなく様々な支援をした。(うちの子たちは16歳を超えていたので、いくつかは除外)
1)ブリッジングビザ 2)国民健康保険証
3)無料の職業訓練校と試験の合格したら正看護師資格を与える
4)電車、バス、フェリー1日1ドル(当時)で乗り放題のカード  5)電話、電気、ガス代半額  6)映画、コンサート、バレエなどの半額  7)薬代 8)学資金援助
などなどだ。

子供が一人前に育つためには時間がかかる。国が支援するならば子供の母親をまず、その能力を生かせるように支援して、職業人に育て、自立して暮らせるようにする、という政府の支援の仕方は立派だった。
豪州では、1869年から1969年まで、政府がアボリジニーの子供たちを強制的に母親から取り上げて教会施設などに送り込んで教育をした。それが社会にとっても子供たちにとっても良いことだと当時は考えられていた。しかし親を失い情愛に満ちた経験を持たない子供たちは教会や、白人の里親に使用人のように酷使されたり性的被害にもあった。親にとっても子供にとっても、その歴史的トラウマの大きさは計り知れない。これを、2008年にケビンラッド首相が公式に謝罪した。

英国では、1949年から1976年まで、未婚女性が妊娠すると、国と教会が、赤ちゃんを強制的に取り上げて強制養子縁組をした。その数、17万人。この恥じるべき歴史を辞任する直前の、キースターマー首相が公式謝罪をした。つい先月のことだ。
首相の会見に、招待された被害者の母親は毅然たる態度で「産院で顔も見ないまま赤ちゃんを奪われた恨みは、もう昔のことだが、今後このようなことはどこの国でも行われてはならない。」と言っていた。

女性が子供を産み育てることに、政府が介入して様々な悲劇も、恥ずべき歴史も経てきた。これからの少子対策は、子供を持ちたい女性が自分の意志で子供を生み、育てるシステムを社会が整備するすることが第一歩だ。子供を持ちたい人は沢山いるだろう。人にはいろんな生き方がある。ゲイカップルが養子を迎える家庭もあれば、シングルマザーを選択する家庭もあるだろう。それぞれに合った支援のシステムを作っていけば良い。女性が男性に頼らずに生きていける社会、男性も女性も自立した関係で、互いに尊重して生きていける社会でなければいけないと思う。



2026年7月21日火曜日

スペイン サッカーで優勝

サンチェス首相、スペインのFIFA2026優勝おめでとう!
EU、 NATOの同盟国でありながらパレスチナ、イランに軍事介入してきた米国を批判して、トランプから一方的に貿易、金融関係を停止させられ幼児言語で侮辱され続けてきたが、志を貫いてきた勇気ある首相。
オリンピックもサッカーも商業手段になってしまいスポーツマンシップから遠く離れたが、FIFAの最終優勝戦は良いゲームだった。

120分間走り続けた39歳のアルゼンチンのメッシの雄姿は、ペレ、マラドーナと共に人々の記憶にずっと残るだろう。彼は何度もコーナーから素晴らしいキックを渡しているのに、それをゴールに繋げられなかった若手チームメイトに心底落胆したのかもしれない。

しかしゲームは初めから終わりまで、圧倒的にスペインがリードしていた。ゴールトライは、アルゼンチン:ゼロに対して、スペイン:20回近く、そのうちの3回は完ぺきなゴールだった。だから3対0で試合は終わるはずだった試合が、審判の判断で、1回はファウル、2回目はインサイトだったことになって、1対ゼロの結果となった。審判が正しかったかどうか? FIFAそのものがFIFA平和賞受賞者のトランプによる米国試合、しょせんダーテイーマネーだったのか。今後は、スポーツを愛する圧倒的多数の人々を侮辱するような、組織そのものを変えていかなければいけない。


FIFA開催前に米国に入国できなかった、ソマリアの審判が、米国に入国できず帰国させられた。
イランのサッカーチームも関係者も入国制限のために、メキシコに滞在し、試合前後に休息のために1晩も米国に留まることが許されず、移動のために飛行機で米国メキシコ間を往復しなければならなかった。
まったくフェアではない決めごとを、たった一人のマッドマックス大統領の「わがまま」でそれが通された。

現在米国が入国制限をしている国は、実に39か国。ブルキナファソ、マリ、ニジール、南スーダン、シリア、ラオス、シオラレオネ、アンゴラ、アンテイグア、バーブーダ、ガボン、コートボワール、ペナン、ドミニカ、キューバ、トーゴ、ベネズエラ、アフガニスタン、ミャンマー、チャド、コンゴ共和国、赤道ギニア、エリトリア、ブルンジ、ジンバブエ、エリトリア、ガンビア、マラウイ、モーリタニア、ナイジェリア、セネガル、タンザニア、トンガ、ザンビア、リビア、ハイチ、ソマリア、スーダン、イエメン、イラン。

戦後物質的に指導力を発揮してきた米国では、世界で米国でしか得られないものもある。学術的な、ある資格を米国でしか取得できないため、動物のお医者さんである私の娘は、その資格のために渡米した。その後、豪州でその資格を持つ数少ないドクターとして活躍しているが、入国制限されている国のスペシャリストには、それができない。


自分が生まれる国を自分で選んで生まれてくることはできない。
自分の肌の色も、民族も、生まれてきた自分の選択によるものでも、努力して自分で獲得したものでもない。
だから
そこに「制限」をかけるべきではない。トランプが決めた入国制限をかけられた国々を見ると、この白人で、キリスト教徒で、男のマッドマックスが、自分の生まれつきの優位性をどんなに誇り、それ以外を見下してきたかがわかる。男、白人、キリスト教徒、どれも自分が選択し努力して獲得したものではない。いつまでこの男1人の「わがまま」を許しておくのか。

わかままで金のことしか頭にない「精神的未熟児」、「脳内空洞症候群」で、誰からも憎まれているのに、誰も無視できない男のことを、いまだに支持している米国国民の不幸を思う。 



2026年7月13日月曜日

バルカンのフラミンゴを守れ


アルバニアの人々は、いま怒っている。バルカン半島のアドリア海に面した美しい国。人口の90%がイスラム教徒の伝統的な、アルバニア語を話す人々だ。

トランプ大統領の義理の息子ジャレットクシュナが、アルバニア最大の島、サザン島の土地を買い占めて開発計画を進めている。サザン島はアドリア海地域で最も大切にされてきた自然保護湿地で、フラミンゴやウミガメが生息している。フラミンゴは塩湖に発生するプランクトンや甲殻類を食べる大型水鳥だ。彼らの群舞する姿は、目を奪われる美しさだ。サザン島は、人々にとって、本土から日帰りでシュノーケルを楽しめる避暑地であり、水鳥などの自然に触れることができる土地として親しまれてきた。自然環境を守り、環境を保護するためにタバコも、ペットの持ち込みも禁止してきたそうだ。
ここに、米国資本で大規模なリゾート開発が持ち込まれたら、近代的な高級ホテルが建設されて、酒あり、ドラッグあり、カジノあり、売春ありの米国型、富裕層優先のリゾートになってしまうだろう。

アルバニア周辺の国々の歴史は、とても分かりにくい。
チトー大統領が統一したユーゴスラビアは、彼の死後6つの共和国に分解してしまった。クロアチア、スロベニア、マケドニア、ボスニアヘルツエコビナ、セルビア、モンテネグロ。
セルビア共和国にあるコソボは、人口のほとんどがアルバニア人で、少数派のセルビア人と互いに、今もなお衝突を繰り返している。1997年コソボ解放軍が独立をめざして蜂起したが、米国、NATOの介入によって、ミロソビッチは逮捕され、国際法廷で裁かれた末、獄死した。
今もNATO軍による平和維持部隊が、コソボには駐留している。しかしミロソビッチが国際法廷に引きずり出されるほど、アルバニア人に対して戦争犯罪を犯したのかどうか、米国による介入は正しかったか、NATOは米国による誤った情報で踊らされただけではなかったか、疑問だらけだ。 ともかくアルバニアを含むバルカン半島の歴史は、血なまぐさい。
地中海沿岸のリゾートで夏を過ごす贅沢は、誰もが夢見ることかもしれない。
しかし、トランプファミリーのリゾート計画が強行されると、フラミンゴとウミガメの楽天地は、破壊されるだろう。また、ジャレルクシュナのリゾート開発は、環境問題にとどまらない。これは、アルバニア共和国に人々にとって、「主権問題」ではないのか。裕福な外国人投資家によってリゾート地ができて、誰が利益を得るのか。それはアルバニアの現地の人々では決してなく、投資した外国人の手に渡る。トランプファミリーの懐を富ませるだけだ。

これは、一部の腐敗したアルバニアの政府による「売国行為」であり、国民への「裏切り行為」だ。金による買収、米国ユダヤ資金による植民地化、とどまることのない元ニューヨークの不動産屋トランプの欲望、、、こんなどす黒い雲が、EUのなかで一番貧しい国、アルバニアを覆っている。
押しとどめなければいけない。


2026年7月4日土曜日

人道ビザを100万人に

豪州が、戦後100万人の「人道ビザ」を発給した記念に、記念切手が発行されると報道された

第1次世界大戦のあと人口600万人を切った豪州では、第2次世界大戦前後、ヨーロッパから戦火を逃れて沢山の移民がやって来て、職を得て生活基盤を作る手助けをしてきた。これら数百万人の移民以外に、人道ビザでやってきた難民とは、生まれて育った国が消失したり、他国に占有されたり、政治的な理由で亡命せざるを得なかった人々や、LGBTQなど迫害を受けてきた人々に出されるビザだ。
移民も難民も政府の受け入れビザに違いがあるが、いったん永住権や市民権が出ると、その後は同じプロセスで、国民健康保険と510時間の英語教育を受けられる権利が与えられる。

私は小さな私立の医療施設で働くが、同僚のマリアは、シエラレオーネから来ていて、父親がダイヤモンド鉱山の持ち主だったが、鉱山が英国企業に乗っ取られて、命を狙われて追われるように移民してきた。またもう一人のガーナから来たナースは、レズビアンだったので、2000年シドニーオリンピックの時に選手として来豪しそのまま移住した。またシニアナースのラデイアは旧ユーゴスラビアから来たので、「チトーは英雄だった。」と思わず私見を言ったら、彼女火のように怒って「コミュニストのチトーのくそやろう。」と、、、ユーゴ統一の犠牲者だったのだ。
国民の4人に1人は外国生まれの豪州では100人100様の現代史に沿った物語がある。

もとあったグループに新しい人が入ってきたら、決められたルールが理解されなかったり、コミュニケーションがうまくいかず新人を受け入れるよりも排除しようとする動きが必ず起きる。
戦後50万人ものイタリア移民が豪州に来たとき彼らは、シドニー中心に近いライカットの街に住み着いた。それをオージーらは「臭い、汚い、黒髪黒目のどぶネズミ」などと言いあったそうだ。いまではライカットのイタリア街は、高級イタリアレストランの並ぶ静かな美しい町だ。チャイナタウンも同様。30年前、私が豪州に来た頃、カブラマッタの街は、ベトナムから来たドラッグデイラーがのさばって、学校に行かない子供たちが徘徊していた。自浄効果によって今は街が整備され、ベトナム出身の上院議員もいて、ドクターや法律家も多い。
新しい到着者を迎える側も、迎えられる側も少しの我慢強さと、歴史への理解と、良識と、好奇心が必要なのだ。キーは「マルチカルチャル」(多文化主義)

豪州では労働党と自由党の2大政党がほぼ選挙ごとに交代で政権を取ってきたが、この関係を脅かす新しい極右の台頭が目立ってきた。ポーリーハンセンによるワンネーション党だ。最近の人気投票では、現政権の労働党が33%、次いでワンネーション党が29%、自由党が17%、グリーンが13%という結果が出た。
ワンネーション党のこのバカ女(おっと失礼)は、豪州はマルチカルチャーを止めて、モノカルチャー(単独文化)に切り替えるべきで、マンダリンとアラビックを豪州でしゃべるのは、もう許さない。英語以外の言葉は禁止すべきで、外国から移民してきた人々に健康保険や年金を出すべきではない。と語っている。

マルチカルチャー(多文化主義)は豪州では保守党の自由党が60年前に言い出した言葉だが、人口の4分の1が外国生まれの国民で形作られた国の姿をよく表したことばだ。自由党党首は、ワンネーションとの違いを強調したくて、「わが保守党はマルチカルチャーを生み出してきたお父さんお母さんなのであって、これは豪州のエンジンであり、豪州の基盤なのである。」と言っている。でも今年まで90%以上の国民に支持されていた言葉だが、今日の報道では,74%の支持に落ちてきたそうだ。

国力とは労働力のことであり、その国が力のある国かどうかは、労働人口の数による。超音波弾道ミサイルや、AIデータを使ったドローンや核兵器の力で一時的にその国が戦争に有利になっても、その国を支える国民の経済力がなければ国は維持できない。
モノカルチャーではなくマルチカルチャーを、排除ではなく受け入れを。人口減少ではなくて移民受け入れで人口増加を維持していくべきだとおもう。


2026年7月3日金曜日

サメの保護とクジラの保護と

昨日、民主党のクリスミン、ニューサウスウェルス州知事が、サメ対策のために$34ミリオン(3千400万円)の予算を割いて365日、日の出から日没まで、すべてのビーチにドローンを飛ばして、人々の命を守ると発表した。

先月31歳の女性が、クージービーチというシドニーで最も人気のあるビーチで、安全区域とされていた場所で泳いでいて、サメに襲われて両手両足に大怪我を負って、数週間危篤状態だった。被害者が1歳に満たない赤ちゃんのお母さんで、学校の先生だったことで彼女の赤ちゃんを抱く写真が瞬く間に拡散され、テレビ局に数万ドルの寄付金が寄せられた。彼女が意識を取り戻しました、というニュースがトップニュースで報じられるほどだった。

1月にはシドニー湾で、6メートルの高さの岩場から海に飛び込んで遊んでいた子供がサメに襲われて両足に大怪我をして、翌日には、シドニーシテイ近くのデイワイビーチで11歳のサーファーが襲われ、またその翌日はマンリービーチで25歳のサーファーが大怪我を負う、というたった48時間に3件のサメによる事故が起きた。

シドニーばかりでなく、オーストラリア全体でサメによる人身事故は、2025年に21件起きていて、5人が死亡している。怪我をせずともサーフボードを噛みつかれるなどの接触事故も含めると、105件に上る。これに対して政府は、ビーチにシャークネットを張りめぐらせてサメが陸地に近いところに来ないようにしているが、ネットによって亀やイルカやクジラが傷を受けることも多く、海洋生物保護の見地から批判が多く、またネットの破損も多い。ビーチにはライフガードが常駐していて、溺れる人の救助や、サメが見つかった場合、ヘリコプターを出動するなど対策は取られてきた。ドローンやヘリコプターでサメが確認された場合、直ちに遊泳やサーフィンが禁止される。しかし被害は起こる。

365日ビーチにドローンを飛ばしてサメ対策するのに今後34ミリオンドルを使うという決定は良いことのように思われるが、シドニーっ子は、夜明けとともにボードを抱えて海に入り、ひと泳ぎして、それから仕事や学校に行く人も多い。真冬の今でも、同じだ。生活とビーチとが密接に関わっている。どれだけ被害を減らせるだろうか。
サメは希少生物で存亡危機にあり保護対象だ。人に被害を与えるからと言ってむやみに殺せない。昨年ニュースで、サメに襲われ片足を持っていかれそうになった女性が、救急隊の運ぶ担架から、気丈にも「殺さないで、私をアタックしたサメを殺さないで。サメは悪くない。ビューテイフルクリエイチャー(美しい生き物)を殺さないで。」と叫びながら運ばれていく姿に感銘を受けた。
共存が難しくても自然環境を守りたい、生き物を殺さない、というのがシドニーっ子たちの心意気だろうか。

南半球はいま真冬。クジラウォッチングの時期だ。
クジラは南太平洋で赤ちゃんを産んで、餌を求めて南極海にやってくる。シドニー沿岸でも子供を連れたお母さんクジラが、暖かい海を渡って南極大陸と豪州の間を行き来する姿が見られる。6万頭ものザトウクジラが南に向かって回遊するそうだ。巨大なクジラが潮を吹く姿、お母さんクジラに必死でついていく赤ちゃんクジラの姿など、本当に愛らしい。運が良いと、シドニーのビーチ高台から肉眼でその姿が見られるから、沢山の人々がビーチ沿いで目を凝らす。
野生の生き物を、殺さない、共存する、被害にはできる限り保証する、これがキーだと思う。

2026年6月26日金曜日

シルクロードを鉄道で

イランと中国は鉄道でつながっている。
中国の西安からカザフスタン、トルクメニスタンを通ってイランの首都テヘランに達する、この全長10399キロの中伊鉄道は、シルクロード直通線と言ってよい。
ホルムズ海峡を通じる海上だけではない、イランは世界につながっている。これからエネルギー供給国としてだけでなく、米国のドル決済を拒否して、西アジア回廊を通して、グローバルな大国になっていくだろう。
数千億ドルのイラン国家の資本が、1979年のイラン革命から、米国の圧力で凍結されて続けてきたが、正しく、国際社会はこの凍結を解除せざる負えなくなるだろう。

海底では、アジアとヨーロッパをつなぐ通信ケーブル、ペルシャ湾と紅海などイラン周辺の海底にデジタル通信の動脈が、張り巡らされている。アジア、ヨーロッパ間の90%の情報、貿易など金融取引が、このケーブルを通して行われている。この海底ケーブルをイランが、切断をしたり、切断しなくても情報を傍受する技術を持てば、イランは世界の軍事、企業に介入することができる。

イランを一貫して苦しめてきた米国は、第2次世界大戦で地上戦で損害を受けなかったラッキーカウントリーとして、戦後世界の金の80%、2万トンを所有し、米国ドル金融決済システムで、世界を自由に操ってきた。大国として他国を侵攻しては、オイルを奪い、他国の政権に介入し富を奪取し、資本主義社会の究極の醜さをさらしてきた。

1961:ベトナム戦争、キューバ侵攻、1973:チリ、アジェンデ追放、1979:ニカラグア介入、1979:イラン介入、1993:セルビア攻撃、2001:アフガニスタン戦争、2003:イラク侵攻、2011:リビア攻撃、シリア政権奪取、2025:ベネズエラ大統領誘拐、イラン爆撃。ソマリア、ルワンダ、コンゴ、ナミビア、アンゴラ、モザンビーク、スーダン、、、数えきれない。戦後の米国政府の手は血で汚れ、世界の最悪暴力団としての歴史を更新し続けている。

国際法を無視し、他国の主権を侵害し、多国間貿易を拒否し一人勝ちを誇ってきた米国の実際の姿を、後ろを振りかえって見てみるがいい。アメリカファーストの掛け声で60年代から生産に従事してきたブルーカラー労働者がかつての繁栄を夢見てトランプに投票したのに、外国への介入とインフレで、オバマが始めた国民健康保険も捨て去られ、貧富格差は拡大するばかりだ。移民攻撃、人種差別も改まらない。ホームレスの数も世界一。

米国による一極支配の時代は終わったのだ。
これから始まる多極社会、ドル決済でなく、それぞれの国の貨幣を尊重し、国際法、国連憲章の理念に立ち返り、イランやキューバなどすべての国の資産凍結を解除し、パレスチナ、イラン、レバノンの再建に、世界は力を注がなければならない。
写真は、イラン中国間を走る中伊鉄道

2026年6月12日金曜日

ワンネーション党、人気投票で第2位に

豪州に30年あまり居住しているが、国政に極右が台頭してきて、圧力を感じている。それは米国、英国、イタリア、ドイツなど欧州勢の右極化の動きと連動しているようで、急速に拡散されてきて無視することができない。

30年前に、フィッシュアンドチップス屋を営むシングルマザー、ポーリンハンセンが、ワンネーション党を作って、「反移民、豪州は豪州人だけのもの」と、言い出した時は、どの放送局もマスコミも、国会議員も、民間人も、彼女を馬鹿にして大笑いしたものだ。ポーリンのポを言っただけで、お笑いのネタとなったりした。30年前の話だ。

豪州は人口の4人に1人は、外国生まれ。移民の力で作られてきた国だ。それを人々は誇りにしている。
第1次世界大戦のあと、豪州の人口は600万人を切っていた。このままでは豪州は、お隣のインドネシアなどに占領されたら抵抗できない、という恐怖から大規模な移民政策を進めてきて現在に至る。
第2次世界大戦後は、88万人の英国人とアイルランド人、24万人のドイツ、北欧、オランダ人、30万人のポーランドなどの東欧人、52万人のイタリアなど南欧の人々が船でやってきた。
大戦で親を失った英国からの孤児だけでも5万人引き取られた。ギリシャ人などギリシャに住むギリシャ人の次に豪州に住むギリシャ人人口は多いそうだ。
ベトナム戦争では、9万人のベトナム人、13万人のカンボジア人が、ボートでやってきて移民になった。6月4日の天安門で迫害された活動家たち数百人は秘密ルートで豪州に送られてきた。また2019年の香港の国家安全維持法の制定で、弾圧された、沢山の活動家も英国パスポートを捨てて豪州に移住してきた。彼らはこの国でドクターになったり技術者として活躍している。

ポーリンハンセンは、クイーンズランド州で市会議員になったのち、連邦下院議員に選ばれたが、選挙運動違反と詐欺容疑で刑務所に一時収監された。しかし、めげずに激しい人種差別と反移民を訴え、しぶとく、2016年に上院選挙に出馬して国政についた。
2025年11月に、モスリムのブルカを豪州で禁止することを訴えて、イスラム女性の着るブルカを着て国会に出て、議会を騒然とさせた。この結果、彼女は7日間の党院停止処分を受けた。
そのワンネーション党が、徐々に議席を増やし、人気投票でいまや現労働党に次ぐ第2党になった。長年政権を担当してきた自由党を押しのけて、現労働党に次ぐ2位の座を占めたと思ったら、彼女に小型飛行機をプレゼントする輩が出てきて、それに乗って西豪州に講演に行くと発表されたら、2日間で1億ドルの寄付が集まったと、昨日報道された。

自由党の支持が落ちたのは、日本の自民党に対する「中道左翼」が力を失ったのと似ている。リーダーシップが感じられない。古い人材の再利用、自民党の左派と変わらない、存在感がない、といったところか。自民党は、セクト争い、不正選挙疑惑,中傷動画、統一教会資金、裏金などなどスキャンダルだらけなのに、戦後最大の議席数を伸ばして、「党内極右」が闊歩している。

米国はもともと人種差別の国で、バラクオバマ大統領でさえ自分の戸籍謄本を議会に見せなければ国民だということを、議員たちに納得させられなかった。移民排斥、メキシコ国境に壁を作り、ICEが市民を平気で殺してる。白人でプロテスタント以外の国民は、グリーンカードを持っていてさえ身の安全が保障されない差別国家だ。
英国でも労働党政権の閣僚がエプスタインのお友達で刑事事件となり、元王子も追及されて労働党への信頼は地に落ちた。右派の台頭を待つばかりだ。

豪州での問題はインフレと住宅難だ。住宅供給が人口増加に後れを取っていて、若い夫婦が買う家がない。借家の申し込み1件に対して50件の家族が殺到する。大急ぎで建設中だが人材も資材も間に合わない。 戦争の影響で、ガソリン代が上がり、インフレと相まって将来が不安だ。この際、移民受け入れをやめて、小さな政府と緊縮財政で、国の経済を立て直してもらいたい、という意見はそれなりに理解できる。
しかし良識を持った人々が過去の人種差別の歴史を反省し、多文化社会、多民族社会の実現を体現させてきた何十年もの努力を、わずかな不満のために覆されてはならない。右極化を許してはならない。

写真:ポーリンハンセンは、ムスリムのブルカを着て議会に出て騒然とさせた。