2026年5月27日水曜日

映画「テイファニーで朝食を」

「テイファニーで朝食を」
宝石店テイファニーは、1837年にチャールスルイス テイファニーによってニューヨークで創業された。彼はフランス革命の時、飢えた人民から斧をもって追われ命からがら財産を投げうってフランスから脱出を試みた貴族たちから、極上で希少な宝石を安く買い付けて富を築いた。このとき革命まで飽食と贅沢の限りを尽くした貴族たちは、階級制度とともにフランスから完全に放逐された。
1878年、南アフリカから世界最大で、最高級最高品質のファンシーイエローダイヤモンドを手に入れたテイファニーはその後、12.8カラットの「リボンロゼット」という装飾品を作って映画「テイファニーで朝食を」の宣伝用ポスターでオードリーヘップバーンに身につけさせた。

この映画はニューヨークマンハッタンのアパートで、女優になる夢をもって裕福な事業家達のエスコートをやっている娼婦と、いつか作家になる夢を持った青年との恋の物語だ。事業家たちは夜はオードリーを必要とするが、朝になったらホテルから放り出すから彼女はテイファニーのデイスプレイを見ながら、パンをかじってアパートに帰る。作家の卵も金持ちの人妻とベッドを共にして、お小使いをもらっている。このへんは、原作者トルーマンカポテイのシニカルなアイロニーが効いている。原作はロマンチックコメデイではない。
ヘップバーンは「ローマの休日」の気品に満ちた若く初々しい女王役や、「シャレード」の健気な未亡人役から一転して、はすっぱな娼婦の役を演じている。彼女が故郷を思い出しながらギターを持って歌う「ムーンリバー」は、その年のアカデミー賞を受賞した。

残念ながらこの1960年代に造られた映画は、実に差別的だ。まず、彼女の住んでいるアパートには、ほかの若者たちと同じように将来認められて立派なカメラマンになりたいという夢を抱いている日本人が住んでいる。ヘップバーンがいつも鍵を忘れてきてアパートに入れないと、彼を無理やり起こしてドアを開けさせる。すると彼は立腹し、怒鳴りながらドアを開けてやるのだ。その彼が日本人だと誰の目にもわかるのは、「ハゲ」で「デブ」で「釣り目」で、「眼鏡」で、「出っ歯」で、なぜがいつも「カメラ」を首から下げているからだ。そして下手でアクセントの強い英語でヘップバーンを罵倒するけれど、彼女は意に介さないシーンに、映画を見ている観衆は腹を抱えて爆笑する。こういうシーンが繰り返される。
映画製作者は、マンハッタンは若い文化人のキャピタルだ、でもそれは白人だけのものという否定しようのない人種差別が常識だった時代に沿って映画を作った。製作当時1960年代初めには、このような人種を笑う、外見を笑う、皮膚の色を笑う、下手な英語のアクセントを笑うことが、平気で行われていた。

1960年代初頭は、マルコムXや、キング牧師などによる黒人公民権運動の広がりの中で、やっと人種差別が社会悪として、捉えられるようになったばかりのころだ。それが後の反ベトナム戦争につながっていくが、米国では徴兵制があり反戦運動をすれば、国辱者として禁固刑をうけるのが当然の時代だった。
米国では1870年に南北戦争ののち黒人の人権が約束されたにも関わらず、黒人の「投票権法」が制定されたのは、1965年のことだ。米国はとんでもない野蛮な差別国家だった。

もう一つこの映画で私が嫌いなところは、ヘップバーンがいったん作家の卵を振り切ってアパートを出ていくときに、飼っていた猫を、豪雨に中で外に捨てていくところだ。こんな非常識なことをされたらたまらない。結局、彼女は戻って来て若者と一緒になることに決めて、一度捨てた猫を拾い上げてハッピーエンドになるわけだけれども、一体命ある猫を何だと思っているんだ、と激しく怒るわけで、「よかったね」と若いカップルの恋物語を見ても、全く、100%、幸せな気持ちになんか絶対、全然ならない私なのであった。


2026年5月21日木曜日

ベングウィルの縛り首ケーキ

この5月、イタマルベングウィル、イスラエル国家安全保障担当大臣は、自分の50歳の誕生日を、パレスチナ人を絞首刑にする法の成立を喜び、「縛り首ケーキ」で盛大に祝った。

イスラエルでは、今年2月3日に「テロリストに対する死刑」法で、有罪判決を受けたパレスチナ人に絞首刑を義務付けることが決まった。判決後90日以内に刑は執行されなければならず、上訴権は認められない。これほど法とは言えない人種差別と暴力是認の法は他にはない。もちろん国際法違反であり、常識からかけ離れた法だ。法律に、パレスチナ人、ユダヤ人といった人種をふるいにかけるような異常な法など、あり得ない。

この男は10代のころから右翼思想に染まり、人種差別による犯罪を繰り返し、何度も警察に拘束され、大学で法を学んだが、イスラエル弁護協会から弁護士資格認定を拒否された過去を持つ。
2023年10月8日が起こると、「5万丁の銃」をヨルダン川西岸パレスチナ入植地に住む入植者らに配った。このシーンをアルダジエラが報道していた。男たちが並んで、玩具を受け取る幼児のように嬉しそうに目をぎらぎらさせて、銃を受け取っては「敵」を探し回っていた。ユダヤ人入植者にとっては銃の登録とか、扱い方の訓練など必要なかったらしい。銃の発射練習は毎日でもできただろう。ベングウィルはこの件だけでも重大な犯罪者だ。

わたしは医療現場でナースをしている。
よく切れるメスで人のおなかを割ってみると、内臓は綺麗なピンク色。ユダヤ人もアメリカ人もロシア人もインド人もスーダン人もイラク人も、肌が黒くても白くても茶褐色でも、内臓はみんなみんなビロードのようなつやつやした同じピンク色だ。
鋭利な針で静脈を刺すと、人の血液は赤い色。ウクライナ人もキリギス人もカタール人もラオス人もリヒテンシュタイン人もガーナ人も、目が黒くても青くても緑色でも、みんなみんな血はおんなじ赤い色だ。
人はみんな年を取る。脳が委縮して、いずれ食事も尿排便も自分でコントロールできなくなる。ウクライナ人もタジキスタン人もシェラレオーネ人も韓国人も日本人も、みんなみんな年を取ればひとりで生きていけなくて他の人の支えがいる。みんなみんな脳の萎縮を止められない。
みんなみんな、人は美しいピンク色の内臓を持ち、赤い血を持ち、委縮する脳をもって生まれてくる。憎み合う理由はない。

イスラエル軍によって殺された
パレスチナガザでの死者:76,000人
パレスチナヨルダン川西岸での死者:2000人
レバノンでの死者:3000人
ベングウィルは50歳の誕生日にパレスチナ人を絞首刑にできることが嬉しくて、「縛り首ケーキ」にかぶりついた。
しかし彼も年を取る。彼が自分で銃を持てなくなって、パレスチナ人とユダヤ人を見分けられなくなって、エホバの教えも思い出せなくなるまで、わたしたちは待たなければならないのだろうか。


2026年5月19日火曜日

ユーロビジョン2026

ユーロビジョンが今年で70周年を迎えた。
ヨーロッパで、毎年行われてきた世界最大の歌唱コンテストだが、今年はイスラエルによるガザでのパレスチナ人へのジェノサイトに抗議してスペイン、オランダ、アイルランド、アイスランド、スロベニアが参加を拒否した。
ヨーロッパ各国が代表する歌手が歌い、舞台を見ている10万人の聴衆と、テレビを通してみている1億人と思われる人々が携帯電話で投票して優勝国を決め、その優勝国が翌年の開催国となる。かつてアバやセリーヌデイオンなどを輩出してきた音楽祭だ。

ユーロビジョンは70年の長い歴史の中で、文化に抑制をかけてきた「東ヨーロッパ」の国々の間では、かつては、これを見ることができず、人々は自分たちでアンテナを手に入れて秘密警察から隠れて見ていた。隠しアンテナを持つことがレジスタンスでもあった。ユーロビジョンで歌われた曲を歌い、若者の間で共有することが抵抗運動でもあったのだ。

今年はオーストリアのウイーンで開催された。昨年の優勝者の男性歌手はボーイソプラノよりも高いハイソプラノの声で力強い歌唱力を見せる圧巻のパフォーマンスを見せた。2014年には、同じくオーストリアが優勝し、LGBTQで女性の姿でありながら、もと男性の濃いヒゲを残したコンチータ ヴルストが、声量のあるドラマチックな舞台を演出した。モーツアルトやシュトラウスが活躍したウイーンは、やっぱり文化が革新的で刺激的だ。

総じて女性シンガーのパフォーマンスは,元気いっぱい、激しいリズムのヒップでホップなボーカルと、ブレイクなダンスで舞台を圧倒したが、男性歌手は失恋や母親を恋い慕う歌とか、湿っぽい歌が多い様に思えた。昔は男性は涙を見せない強い男が良かった時代から、女性の支えがないとダメ男ばっかり、という本音を見せるようになった、ということか。
興味深いのは、投票をする人々が自国を投票できない仕組みなので、自分の国の近所の国に投票することだ。仮に少し前まで戦争をしていたボスニア、セルビア、アルバニアといった国々、英国とアイルランド、ギリシャとキプロス、といった決して仲の良くない敵対していた国が、自分たちと文化、言語が共通だったり、似通っていたりしている隣近所の国々の心情を共有していると思われる点は、興味深い。

ウイーンから16,000キロも離れた南半球の豪州は、何年も何年もユーロビジョンに参加したいと、団体に申し出てきた甲斐あって参加が許されて、今年はデルタゴッドラムが出場し、第4位に選ばれた。彼女の歌唱力とベテランパフォーマーとしての自信に満ちたピアノを弾きながらの舞台は立派だった。彼女は若くして人気絶頂だった時に死の病、ホジキン病になり苦しい化学療法の末サバイバルした人だ。
優勝国を選ぶ投票の開票を待つ間、セダーサムソンの語り弾きや、ビリージョエルの語りや、過去の受賞作を若い人達が歌ったりして、なかなかよくできた音楽祭だった。ただ舞台を派手に絢爛豪華にレイザーをふんだんに使って目まぐるしい舞台が続いて、10万人の観衆は目がチカチカして全員が、吐いたのではないか、、また出演者たちもキレキレの激しいダンスで、脳震盪を起こしたのではないか、と医療従事者としては心配したのであった。
写真は優勝したブルガリアのバンガランガ



2026年5月16日土曜日

プラダを着た悪魔2

差別を見過ごさない
「プラダを着た悪魔」20年前にそれなりヒットした同名のハリウッド映画の続編が再び映画化されて市場に出ている。アカデミー主演女優賞を重ねて取ったメリルストリープとアンハサウェイとエミリーブラントと、それらを支えるイタリアの名優スタンレイドゥッチの4人が、20年の年月を感じさせないで、まったく同じような顔と体形で姿を現したのは驚くべきことだ。4人とも好きな役者だ。メリルの「ソフィの選択」が忘れられない。ここまで女性の悲哀を表情一つで表現できる、彼女の役者ぶりには驚いた。

映画では華美で激しい競争を強いられるファッションの世界で、それぞれが、だまし合ったり、出し抜いたり足を引っ張りあったりもがきながら、商売に血眼で頑張る女たちを描いている。10分ごとに長身で、見栄えのあるアンハサウェイが、次々とブランド服をつっかえとっかえ着て出てくる姿は、それなり愉快で、レデイガガが、ショーで歌うシーンも良かった。なによりも、本場ミラノでショーが開かれ、そこがミラノ大聖堂で、ダヴィンチの「最後の晩餐」が見られたのもおどろきだ。

ただ
チャオという中国人らしい女性が新人として会社に採用されてくる。おきまりの「人種差別と偏見で笑いと取る」レイシストビューだ。背が低く、目が吊り上がって、眼鏡をかけて、ダサい服を着た女。映画の中でちょっとした笑いを取るための演出は、私がアジア人であるかどうかにかかわりなく不愉快。人の見た目で笑いを取る、ということをしてはいけない。教養はそのためにあり、片足の人の歩く姿を、指さして笑わないだけの良識をわたしたちは持っていたのではないか。
人は生まれつき成長ホルモンのいたずらで背の伸びない小人症の人も居れば反対の人も、指が4本で生まれてくる人も居る。ナースとして、山火事が起きボランテイアで人々を守ろうとして顔に火傷を負った患者をたくさん見てきた。山火事で消火に当たる人はまず顔から火傷を負うから、ケロイドでフランケンシュタインみたいな顔になる人が多くいる。彼らの姿は異様でも、やってきたことは、誰よりも崇高で美しい。癌で顔半分を手術でなくした人や、声帯のない人や、片目になっても社会復帰している人も沢山居る。外見の違いや障害があっても彼らの社会への貢献は何よりも貴重だ。人は見た目で笑うような幼稚で無教養な社会で生きてはいけない。人種を笑う、異形を笑う、障害を笑う、ような人は、自分が病気や事故で同じ目に遭わないと、笑うことを止めないのだろうか。

人は生まれたときサルと同じ、というか、生まれたときにすぐに立ち上がれないという意味で動物にも劣る。
それを立派な人にするかどうかは教育の力による。サルに劣ったまま大人になるか、教養を身に着け人類に貢献する人になるかは教育にかかっている。だから差別をしないという教育が大事だ。中国人らしい女性が映画に出てくるシーンは、ほんの10分、しかしそのたった10分の差別的な笑いが、暴力に通じるだけに、社会は許してはならないのだ。一方的に笑われることは笑う方が意図しているかどうかにかかわりなく傷を受ける。そうした暴力を見過ごしてはならない。
そう思い当たって、この映画を見続けていると、物質主義のアメリカファッションの世界が、マイアミの豪邸にふんぞり返るトランプに共通するアメリカ文化の、華麗でなく「貧相」、文化的でなく「低俗」、品格でなく「軽薄」に感じられて、このうえなくむなしくなるのであった。


2026年5月12日火曜日

ハンタバイルス アウトブレイク

ハンタバイルスが世界を震撼させている。

豪華クルーズ船MUホンデウス号には150人近くの、23か国から来た旅行者が乗っていた。大西洋を航海中アルゼンチンからカポベルデ沖に達し、スペインのカナリア島に到着するまでに3人の死亡者と2人の重症感染者を出した。今後感染者も死者も増えるだろう。
カナリア島政府と住民が、船の入港と乗船者の上陸を拒否したため、各国政府は23か国、150人をそれぞれの政府が用意したチャーター機で母国に帰国させた。日本人乗客は英国機で英国に飛び、そこで隔離された。
豪州政府は、5人の乗客と、1人のニュージーランド乗客のために特別機を出して、西豪州パースに飛んで、そこから数キロのところに新たに作られた隔離病院に収容する。ここは、2020年コビッドパンデミックのとき、患者収容先に困った政府が大急ぎで作った隔離施設で500床のベッド数があるが、一度も使われることなくコビッド感染は収束した。ニュースで見ると、500床の個室は、ホテルのようだ。

ハンタバイルスは、ネズミ、蝙蝠、爬虫類や魚類が感染源になるバイルスで、発症した生物や人から呼吸器を通して感染する。細菌バクテリアよりも細胞が小さいため抗生物質が効かないし、治療法はない。致死率40%といわれるが、まだよくわかっていないバイルスで、昔からあったが潜伏期間が1日ー24日、コビッドは2週間の隔離で擬陽性者が済んだのに対して、はるかに長い期間隔離されなければならない。
クルーズ船内で亡くなったのは、69歳と70歳の夫婦と、もう1人の3人で、アルゼンチンでバードウォッチングしたことが感染の契機になったかもしれないと言われている。年寄りは肺炎で亡くなるものだが、リタイヤして老後を楽しんでいた仲良し夫婦が一緒に亡くなったのは悲しいことだ。

注目すべきは、英国政府の対応だ。
1人のハンタバイルス感染者が、クルーズ船から降りてセントヘレナ島のその先にある、トリスタンデクンバ島という小さな南太平洋の島に戻った。セントヘレナ島は、アフリカと南米との間にある島で、アフリカ大陸から1840キロ離れ、ナポレオン皇帝が島流しにあって、1821年に、51歳で亡くなった島だ。
パリ観光をした人は、パリの立派なナポレオン墓を訪れるだろう。これはあまりにセントヘレナ島の墓が母国から離れていることに同情した政府によって、遺体を掘り起こしてパリに運んだものだ。セントヘレナ島に行くには、小型機か船だと南アフリカケープタウンから5日間船に乗らなければならない。
で、、、
さらに、そこから飛行機で着陸できる空港がないため、2,400㎞の距離を船で5日間船旅をしなければトリスタンデクンバ島にたどり着けない。そんな島に、疑感染者のクルーズ乗客が帰ったのだ。
英国政府は、島中の住民の感染を予防、治療の対応をするために、昨日、6人のパラメデイックと2人のドクターをパラシュートで島に落下させた。南大西洋の小さな島、ケープタウンから5日間でセントヘレナ島、そこからさらに6日間の船旅でたどり着ける英国植民地、トリスタンデクンバ島の住民のために、これだけのことをする。英国政府。
パラシュートでピューンと島に降りていくドクターたちの姿に、医療関係者であるわたしは心から感動したのであった。
地図の一番下にある赤丸がトリスタンデクンバ島、真ん中がセントヘレナ。一番上の白いのが英国。



2026年5月9日土曜日

母の日に

母の日に
娘たちに
あなたがたは幼いうちに故郷を失い
友達を失い
父親をなくし
母国語を失い
愛犬を失い、愛猫を亡くした
それでも
新しい場所になじみ
新しい言葉で
たったひとりで問題を解決し
愛する小さな命たちの墓を建て
失くしたものよりももっとたくさんのものを獲得してきた
しっかり足を地につけ
生きてきてくれた
それが一番の私の誇り
ありがとう ありがとう
母の日に贈られた
花を飾り
チョコレートをかじり
ゴリラでも1週間で食べきれないほどの果物籠を前に
むしゃむしゃ むしゃむしゃ むしゃむしゃ
食べているよ
ありがとう


2026年4月22日水曜日

武器国家日本の復活

㋃16日、日本の与党連合は「防衛装備品及び技術移転に関する3原則」の改訂と、その運用指針を承認した。次いで4月21日、閣議と国家安全保障会議によって、それらが承認され防衛装備品の輸出を、「救難」や「輸送」だけに限定してきた「5類型」の制約が撤廃された。従って、日本は晴れて、殺傷能力のある武器を、いつでもどこでも、もんくなしに海外輸出できるようになった。

輸出先は日本と協定を結んでいる18か国、G7、スウェーデン、豪州、インド、フイリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、UAE、シンガポール、モンゴル,バングラデイッシュだ。輸出できるかどうかは、国家安全保障会議で決定し、国会には「事後通告」する、という。国会は「事前」に武器売買を討議できず、民主的なプロセスが望めない。これは「秘密取引」というやつだ。政府は国民の稼いだお金で、他国と秘密取引ができることになった。
NYの成り上がり不動産屋だった男がボスの米国でさえ、武器の売買には事前通知が必須であって、曲がりなりにも議会を重視する制度があるというのに、それが日本では望めない。

4月18日には、小泉進次郎防衛大臣が、豪州に来て日本製の戦艦を売りつけ、リチャードマーズ防衛大臣から契約を取った。2世議員のトロい奴かと思ったら金儲けには案外すばしこい奴で、4月21日の武器輸出閣議決定を待たず、4月18日に豪州のお買い上げサインを受け取っている。最上艦フリゲート11漕のうち3漕が、三菱重工長崎造船機械工場で建設され、残りは三菱重工の技術で豪州で作られる。豪州は、11漕全部を受け取る10年後までに200億ドルの予算を投入する。

その前には高市首相は、閣議決定で「公務員の予備自衛官法案」と、「全住民収容シェルター」を決定し、全国にミサイル配備を進めている。
彼女は三菱重工から毎年、3,300万円の献金を受けとっている、そのお返しに、当社への受注を、1兆6803億円使ってあげている。
軍事兵器工場ミツビシが豪州に戦艦を売り込むために、どれだけ裏金を使ったか知らないが、えげつない死の商人、それと一体となった自民党政権を支持する国民は、自らの手で自らの首を絞めている。

カタールは自国内のアルウデイド米軍基地を撤収させる。バーレーンから2000人の米軍とその関係者が帰国した。サウジアラビアも数十年かけて何百億ドルもかけてプリンススルタン米軍基地を作ったが、たった1日のイランによる攻撃でレーダーを失い基地の機能が失われた。イランに叩かれて、UAEも、イラクもシリアも、中東の国々が、イランの筋の通った外交に、正気をやっと取り戻し、米軍基地を撤退させようとしている、この時期に、日本は、正反対に軍国化を進めている。
このひと月に、これほど日本の軍国化が急速に進められてきたことは今までなかったことだ。なにもかも閣議決定で事が進められて、議会制民主主義は完全に封印されている。今の日本は断じて民主国家ではない。


2026年4月13日月曜日

イラン軍テルアビブ攻撃

遂に!!!これでガザのパレスチナの人々の飢えと渇きを、イスラエルの人々も知ることになるだろう!

2026年4月8日水曜日

わたしはあなたと居たい


わたしは、イランの発電所の前で、人間の盾となって座り込んでいる、あなたの隣にすわっていたい。
わたしは、爆撃されるとわかっていて去年の今日も、おととしの今日も、いつもどおりにサウスパレスの油田で汗を流している、あなたの横で働いていたい。
わたしは、夫の研究が国のため、世界のためになるとわかっていて働いてきた物理学者の妻でありたい。
わたしは、将来はお医者さんになる、と言う小さな娘を、ミナブの小学校に送り出した母親になりたい。
きょうは、
わたしは、テヘランの製油所の前で、誇り高い国旗を腕に抱え、あなたといっしょに、ほほを風にくすぐられて
ふふっと
笑いあっていたい。
I wish to sit down beside Iranian Power Station, like you are doing as a Human Shield.
I wish to work with you in the South Pale oil refinery, like you have been working today, last year's today ,and the year before today as a day's routine.
I wish to be a mother like you, baby girl who wants to be a doctor to send Minab Elementary School.
Today,
I wish to sit with you, who proud of holding Iranian National Flag, front of a Oil Refinery in Teheran as a human shield.
With you
Looking at each other, smilling with cool breeze such a beautiful Spring day.

2026年4月7日火曜日

ゼレンスキーの汚職

この3月後半から4月にかけてウクライナのゼレンスキー大統領は、サウジアラビア、UAE、カタール、シリア、トルコなど各国を回って、ウクライナ製のドローンを売り歩いてきた。
彼が電卓をカチャカチャやっている間にも、キエフでもドンバスでも自分の国の青年たちが前線で命を落とし、市民も被害を受けている。
その間にも、イランでは世界一の軍事力を持った米国によって、沢山の市民が殺されて、石油施設が火に包まれて、テヘランに黒い雨を降らせている。いつ、トチ狂ったネタニヤフが核ボタンを押すか、地球の存続が疑われるような事態だというのに、ゼレンスキーは平然と商談で、札束を数えている。

ゼレンスキーは2021年10月26日、ミンスク合意を破り、ドンバス地方をドローン攻撃した。ドネツク州、ルハンスク州には65万人のロシア人が住み、そのうちの数千人が犠牲になった。
2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻以来、プーチン大統領の主張は、1ミリも変わっていない。クリミアとドネツク州、ルハンスク州の独立を認め自治権をウクライナが認めなければならないということだ。それを認めていれば、ロシアは侵攻しなかった。しかしゼレンスキーは、ロシア人の多く住む州の自治権を認めず、NATOメンバーになって自国の防衛をNATOに任せたがった。
2022年2月22日のロシアが侵攻すると、ゼレンスキーは直ちに国境を閉鎖して国民総動員令を出して18歳から60歳までの男子を束縛した。
国債調査報道ジャーナリスト連合(ICI)によると、ゼレンスキーはこの時から英国領バージン諸島にペーパーカンパニーを作って、2021,2022の2年間で8億5千万ドル蓄財した。それからすでに6年経つが彼の私財は空前の規模になっていることだろう。
フォーブスのマットダロットによるとゼレンスキーの財産は高級ヨット5漕と3機のプライベートジェット、サウジアラムコの株など79億円を所有するというマスコミのお話を否定して、私財はキエフの家など14億円の株を含めて26億円に過ぎない。彼の妻が銀行に2億6千万円、1億3千万円の宝飾品を持っているだけだ、と言っているが、彼はいま武器会社から契約のための賄賂を受け取った疑いで法廷で争っているところだ。

戦争を長引かせているのは、誰か?
ゼレンスキーは過去4年間、米国とEUを始めとする国々を飛び歩いて、執拗に「もっとお金が欲しい」「もっと武器が欲しい」といって歩く「集金人」だった。それがいまや、戸別訪問の「押し売り」になった。
ゼレンスキーの大統領任期は2024年5月20日に切れている。
ゼレンスキー、戦争をこれ以上長引かせるな。戦争を止めろ。降伏宣言を出し国連平和軍の出動を要請しろ。26億だか79億だかの金塊を後生大事に腹巻にでも入れて、さっさと月にでも飛んで行け!



2026年3月29日日曜日

76歳 恋をする

76歳 恋をする
「5年前に初めて会った時から、ずっと好きでした。」と、元アフガン戦士、熊のような大男に言われて、ゲゲ!!!まずい、メンドくさ!

5年前、下行腎静脈が詰まって不具合をきたし大病院で、透視造影を見ながら静脈にコイルを入れる手術をすることになった。「やってみなければわからないので、手術が2時間で終わるか4時間かかるかわからない。終わったらナースが回復室から家族に電話をするので迎えに来てもらってください。」とドクターに言われて困った。何時に終わるかわからない身柄引き受けを頼める人がいない。やむなく以前乗ったタクシーで、必要な時は会社でなく自分に電話をください、といって名刺を渡された運転手に電話をした。
その人は自宅から40分ほどの距離の病院で、私を下ろして病院の駐車場で4時間、手術が終わるまで待っていてくれた。全身麻酔の反覚醒状態で、身柄を引き取ってもらって、ずいぶん親切な人だ、と思った。

車の事なら何でも相談してください、と言われていたので、家の前で車を追突されたとき、運ばれた救急病院から電話をした。「まっすぐの見通しの良い1本道で、右折のウインカーを出していたのに、相手はスピードを緩めずぶつかってきた。私は悪くない、悪くないのに車はぺっちゃんこ!どうしてくれるんだ。」と1オクターブ高い黄色い声で、きゃーきゃー言いたてたら、「だまりなさい。私にまかせろ。」と一言。黙っているうちに事故車の引き取り先と、手ごろな値段の新しい車を自宅まで届けてくれて、事故処理一切をやってくれた。パールホワイトのピカピカの新しい車が来て、嬉しくて、ずいぶん親切な人も居るものだ、と思った。

胃も腸も内視鏡検査を受けることになって、再び病院で全身麻酔で検査を受けて、、回復室にいる私を家族の代わりに迎えに来てくれて、本当に親切な人だと思った。でも他にも足の悪いおばあさんをよく助けているようなことを言っていたので、年寄りに親切な人なのだと思っていた。

1年経ってピカピカだった新しい車も、不用意で不器用で不注意な運転のため、みごとに前後左右かすり傷だらけになった。どうしてコーナー曲がるごとに車体に傷がついてしまうんだろう。で、電話をしたら、ついてきなさい、と修理屋まで先導してくれて、修理屋は、車の外側をぜんぶ取り外して、叩き直してペンキを塗って大きなオーブンで乾かすのだという。全部治って来るまで、私の職場の送り迎えしてくれた。ずいぶん親切な人だと思っていた。

遠くに住む娘家族と、少し離れたところに住む娘、みんなを連れて日本にスキー旅行をした時、空港への送り迎えをしてくれて、行くとき飛行機の中で食べるようにと、ナッツお詰め合わせを持たせてくれた。
職場から派遣されるカンファレンス、夜の会合、友達とのデイナー、など数え切れない程、送り迎えをしてくれた。とても親切な人だと思っていた。

クリスマスに家族が来るので、古ぼけたカーペットを捨て、新しいのを買おうと、IKEAに行ったが気に入ったカーペットは重くて大きくて、とてもIKEAのセルフサービスで持って帰れない。電話をしたらすぐ来てくれて、6畳間用の重いカーペットをひょいと畳んで肩にかついで運んでくれた。家に着いて、自分でもびっくり、カーペットの上のでかい机は、読みかけの本、読み終わった本、読む予定の本が30冊あまり乗っていて、食べかけのお菓子、飲み物、請求書やいろいろごたごたが載っていた。それを動かし、古いカーペットを丸めて倉庫に仕舞い、新しいのを敷いて机を元の通りにもどしてくれた。その速さと丁寧さには目を見張った。ずいぶん親切な、、、
そこで突然、中腰になった元アフガン戦士に「5年前から好きでした。」が始まったのだった。私が76で、あなたは16歳年下だって、わかってるよね。で、、、こうして「ずいぶん親切な人」が、「わたしの特別な人」になったのだった。
娘たちがそれぞれ家族を持ち、「おかあさん業」を終え、2度も未亡人になって「妻業」を終え、このままの脳みそが働らいてくれる間は、仕事を続けて、あとは死んでいくだけだよな、と思っていたが、そっとあたためてくれるブランケットができて、このごろはよく眠れる。



2026年3月25日水曜日

世界最大の油田が燃えている

遂にトランピャニフ:2つの国の大統領と首相は,イランのサウスパルスガス油田を攻撃した。世界最大のガス田が燃えている。何と罪深いことをしたのか。これで戦線拡大は間違いない。

これまでの経過で、はっきりわかったことは、
1)世界中の米軍基地が、災いの元だ。
世界中に散らばっている米軍基地が安全を保障することはない。
横須賀米軍基地から出発したミサイルが、沖縄を経由してイラン攻撃を行い、たくさんの死者を出している。バーレーン、クウエート、UAE、カタール、オマーン、サウジアラビアもみんな米軍基地がある故に攻撃された。独立国は、外国の軍事基地を置くべきではない。

2) だれも空を守ることはできない。
アイアンドームなどなかった。
カタールの中東最大の米軍基地アルウデイド米国空軍基地は60憶ドルかけて建設され、米英空軍を受け入れてきたが、今回イランのミサイル攻撃を受けて、対空防衛システムもレーダーも損傷した。イスラエルも爆撃されている。米国の死の商人、ロッキードマーチンも、レイセオンもポンコツ製品を中東の国々に最高額で売りつけてきたが効果なし。

3)たかがニューヨークの成り上がり不動産屋が始めた、対イラン戦争は不動産屋の負けだ。

4)3,000年の歴史のあるペルシャ国の人々は、誇り高く死ぬことを恐れない。聖戦のために命を投げ出す、殉死の精神を甘く見るな。

5)カタール首相の言葉は事実だ。「この戦争で得をしているのはテヘランでも、ワシントンでも、ドーハでもない。イスラエルだけだ。」

6)セイエドアッパス アラグチ外相の言葉が真実だ。「アラブ諸国から米軍基地を撤去することと、イランへの経済制裁を全面解除されるまで停戦はない。」
イラン副大統領モハメドレザ アレクの言葉が正しい。「イランが戦争を始めたわけではない。この戦争をどのように終えるのか決めるのはイランだけだ。」

写真はイスラエルと米軍によって攻撃され燃えている世界最大のイランのサウスパレスガス田



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2026年3月10日火曜日

イランのサッカーチーム

いま豪州では、サッカーのアジアンカップが行われているが、イランの女子サッカーチームが、対韓国、対豪州、対中国戦に全部負けて、3月10日の今日イランに帰国することになっていた。
彼女たちは、イランが近隣諸国のアメリカ基地を攻撃したことに抗議して、最初の試合、対韓国戦の前に全員そろって国歌を歌わなかったことで、イランメデイアから激しい非難をうけていた。圧力があったのだろう、つぎの第2試合と第3試合には全員が、敬礼をして国歌を歌っていた。

彼女たちがイランに帰国したら、厳しく責任を追及されるのではないかと心配されていたが、本日の深夜に滞在先のホテルにトニーバーグ内務大臣が出向いて、選手のうち5人の亡命を確認した。チームのキャプテンを含む5人の選手は、連邦警察の保護下におかれ、ビザを与えられた。
在豪のイラン人で、反イラン政府のグループは、残りのチーム選手達の安否を鑑みて、今日滞在先のゴールドコーストからシドニー経由でイランに帰国するためのバスの前に座り込み、彼女たちの帰国を阻止しようとした。

スポーツ選手が国際試合のときに、姿を消したり亡命するのは、よくあることだ。
わたしの親友の1人もガーナの陸上選手として2000年シドニーオリンピックに来て、そのまま亡命して市民になった。レズビアンだったからだと思うけど、よくわからない。
今回の件では、午前2時にアルバニー二首相に、直接トランプ大統領から電話があった、という話も出ている。深夜に彼女たちが滞在するホテルに内務大臣が行った、というのも異常だが真相はわからない。


豪州がついに湾岸に空軍戦闘機 E-7Aウエッジテイル戦闘機を派遣することになった。
早期警戒管制機で、背中にレーダーがあって長期間滞空しながら敵機を監視するそうで、その技術者85人も派遣される。行先はアラブ首長国連邦(UAE)で、この国には2万4000人のオージーが住んでいるので、彼らの保護が目的だそうだ。「攻撃」はしない、「防御」だけだ、とマスメデイアが追及しても、防御、防御をくりかえし、それ以上は国家秘密で公表できないそうだ。
わたしたちは何が起こっているのかよくわからないうちに、戦争に巻き込まれ、ちょっと巻き添えにあっているだけでなくいつの間にか、参戦して、戦争の当事者になっている。

つぎは日本の番だ。





2026年3月5日木曜日

イランによる爆撃は自己防衛

米国はいまだ膨大な数の武器をウクライナに送り、請求書はEUに送りつけて、故意に戦争を長引かせ、ベネズエラを政治的に支配し、キューバに圧力をかけ、イランに数千のミサイルとドローンの雨を降らせて、ラマダン中のイラン国民を殺害し、オイルタンカーを爆撃して中国ににらみを利かせている。

トランプ大統領の夢、世界1の強い男による世界侵略は、現在進行中だ。彼は「国際法は存在しない。」と豪語し、米国議会の討議や承認なしに他国を攻撃し、国内法も存在しないことを証明した。彼の前に法は存在しない。
米国の兵器産業は、古い型の兵器をすべて使いつくし、新しい兵器を次々と発注してくれるトランプが嬉しくて仕方がないだろう。

2025年3月にCIAもFBIも同席する米国情報機関の場でギャバード国家情報長官が「いまイランは核兵器を製造していない。ハメナイ最高指導者は核兵器計画に賛成していない。」と調査結果を述べている。 爆撃前の2月28日、核交渉中のオマーンのバドルアルブサイデイ外相は、イランが「爆弾製造につながる核物質を保有しない。」合意に達していたと語っている。IAEA(国際原子力機関)管轄下にあったイランの核施設は、どんな屁理屈をつけても米国が爆撃すべき理由は、まったくなかった。
イスラエルと米国による先制攻撃に、イランが反撃することは、国際法では個別集団的自衛権の行使であって、国際的に容認されることだ。イランによる周辺国の米軍基地に対する攻撃は自衛にすぎない。

コリアフォーカスの徐台教によると、2025年6月米国がイランへの核施設爆撃する前、在韓米軍基地にある8つのパトリオット砲台のうち3つが500人の運用兵とともに中東に送られたそうだ。今回の件で、沖縄の核はどうなのか。いま米軍基地に動きはないのか。
と、思っていたらやっぱり、日本の横須賀基地からイージス艦が、出発して沖縄を経由して、イランの初期攻撃に参加、米国艦隊からミサイルを発射して攻撃していた。


法も外交も通用しない、人としての英知も良識も失われた世界で私たちは悄然としているしかないのか。



2026年2月26日木曜日

最近読んだ本2冊

最近読んだ本2冊
「愛犬王 平岩米吉」日本を代表する犬奇人と呼ばれた男:片野ゆか著
江戸時代から続く竹問屋、上総弥6代目の父親甚吉の息子、平岩米吉は東京江東区亀戸の裕福な家庭に生まれ、「家を継がず好きなことをしていい。」と言われて成長した。6歳の時、滝沢馬琴の「椿記弓張月」、源為朝の活劇ドラマを乳母から聞かされて、それが彼の一生を決定してしまう。
お話というのは
為朝は親のない狼の子を引き取り,可愛がって大事に育てるが、ある晩その狼が激しくほえたてて眠っていた為朝に吠えかかる。可愛がっていた狼だが、やはり犬と違って野生の血が勝って、自分に襲い掛かってきたのかと思って、刀を振り下したその瞬間に頭上から落ちてきたのは鮮血にまみれた樹の幹ほどある大きなうわばみだった。その喉元には首だけになった狼がしっかり噛みついていた。主人の命をうわばみから守ろうとした狼が主人に首をはねられたのだった、という狼のお話で、狼の忠誠心が泣かせる。
元来犬好きだった米吉は、成人すると自由が丘に屋敷を構え、土地をフェンスで囲い「犬科生態研究所」を設立。多数の犬と狼を放し飼いにして、ついでにジャッカルやハイエナ、タヌキ、ジャコウネコまで手に入れて動物たちの生態を観察し、記録した。
動物と一緒に暮らしながら研究するのは「ソロモンの指環」で知られるコンラートロレンツ同様の方法で、彼はノーベル生理学、医学賞を授与されるが、その40年以上も前に、平岩米吉はそれを実行していた。
延べ60頭の犬、数十頭の狼と暮らし、時として添い寝までして考察したところ、犬と暮らす狼はその独特の吠え方を止め、犬と同じような声で食事をねだり、主人に甘えるようになったという。ただ主人が外出すると悲壮な遠吠えを繰り返し、その声だけが犬とは違っていた、と彼は記録する。
1934年に月刊誌「動物文学」を刊行し、シートンの「シートン動物記」と、ザルテンの「小鹿物語」の翻訳を日本で初めて掲載し、出版活動を成功させた。室生犀星、中西悟堂、古賀忠道、柳田國男、折口信夫、長谷部言人、徳富蘇峰、まどみちお、小川未明、堀田守、南方熊楠などなどの著名人がこの雑誌に´寄稿した。
また愛する犬たちの命を奪ったフイラリアの研究で、日本獣医生命科学大学の黒川和夫とともに貢献した。著書は、雑誌「動物文学」のほかに「犬の行動」、「私の犬」、「犬と狼」など。
有り余る財力で動物たちと生きた究極の愛犬家の一生、、、うらやましい限りだ。
私も宝くじに当たったら、彼のように自由が丘に800坪の池と1000坪の庭を持つ家は無理だとしても、どこかの田舎で犬と猫のホスピスを作りたい。

それともう1冊
千早茜著の「雷と走る」
子供だった自分が親の仕事の都合でローデシア(と思われる)に家族赴任する。治安が悪いので高い壁とガードマンが常駐する屋敷で、人間ほどの大きさで、人にはめったに慣れないガードドッグを飼うことになる。赴任早々ガードドッグの子をもらいに家族で出かけて父の犬、弟の犬、と選んでいくが自分は母親犬から見捨てられた小さくてをミルクを飲む元気もない子犬を選んで、大事に育てる。この犬はやがてほかの犬より一回り大きく育ち、犬たちのリーダーとなり、自分には誰よりも忠実さを示す。どこに居ても体をぴったりつけてきて片時も離れない。学校から帰ると庭の芝生でこの犬にもたれて、おやつを分け合い幸せな時を過ごした後、家族は犬を残して日本に帰ることになる。犬との一体感、犬との共感、犬との完璧な信頼感を経験したため、結婚するはずの男を前にして逡巡する自分に罪悪感を感じるが、いま一歩前に踏み出せずにいる。
犬との絶対愛と、人間との不確かな愛。
その気持ちがとてもよくわかる。犬は特別だ。
主人が危ないとき、助っ人は自分より強い相手にどう立ち向かうか考え、妥協の余地はないか、武器は、、などと考える。しかし犬は瞬時にもう走り出して主人をレスキューしようとする。人間と全然ちがう。主人を助けようと雷のような速さで飛び出していく犬を誰も止めることができない。読んでいて、自分のむかしの犬がフィリピンでの9年間、どうれだけ私たち家族を守ってくれたか、その幸せだったころを思い出して大泣きしてしまった。