アルバニアの人々は、いま怒っている。バルカン半島のアドリア海に面した美しい国。人口の90%がイスラム教徒の伝統的な、アルバニア語を話す人々だ。
トランプ大統領の義理の息子ジャレットクシュナが、アルバニア最大の島、サザン島の土地を買い占めて開発計画を進めている。サザン島はアドリア海地域で最も大切にされてきた自然保護湿地で、フラミンゴやウミガメが生息している。フラミンゴは塩湖に発生するプランクトンや甲殻類を食べる大型水鳥だ。彼らの群舞する姿は、目を奪われる美しさだ。サザン島は、人々にとって、本土から日帰りでシュノーケルを楽しめる避暑地であり、水鳥などの自然に触れることができる土地として親しまれてきた。自然環境を守り、環境を保護するためにタバコも、ペットの持ち込みも禁止してきたそうだ。
ここに、米国資本で大規模なリゾート開発が持ち込まれたら、近代的な高級ホテルが建設されて、酒あり、ドラッグあり、カジノあり、売春ありの米国型、富裕層優先のリゾートになってしまうだろう。
アルバニア周辺の国々の歴史は、とても分かりにくい。
チトー大統領が統一したユーゴスラビアは、彼の死後6つの共和国に分解してしまった。クロアチア、スロベニア、マケドニア、ボスニアヘルツエコビナ、セルビア、モンテネグロ。
セルビア共和国にあるコソボは、人口のほとんどがアルバニア人で、少数派のセルビア人と互いに、今もなお衝突を繰り返している。1997年コソボ解放軍が独立をめざして蜂起したが、米国、NATOの介入によって、ミロソビッチは逮捕され、国際法廷で裁かれた末、獄死した。
今もNATO軍による平和維持部隊が、コソボには駐留している。しかしミロソビッチが国際法廷に引きずり出されるほど、アルバニア人に対して戦争犯罪を犯したのかどうか、米国による介入は正しかったか、NATOは米国による誤った情報で踊らされただけではなかったか、疑問だらけだ。 ともかくアルバニアを含むバルカン半島の歴史は、血なまぐさい。
地中海沿岸のリゾートで夏を過ごす贅沢は、誰もが夢見ることかもしれない。
しかし、トランプファミリーのリゾート計画が強行されると、フラミンゴとウミガメの楽天地は、破壊されるだろう。また、ジャレルクシュナのリゾート開発は、環境問題にとどまらない。これは、アルバニア共和国に人々にとって、「主権問題」ではないのか。裕福な外国人投資家によってリゾート地ができて、誰が利益を得るのか。それはアルバニアの現地の人々では決してなく、投資した外国人の手に渡る。トランプファミリーの懐を富ませるだけだ。
