2010年2月10日水曜日
飛行機でランランのライブを聴く
ビジネスクラス空の旅を 東京、台湾間で楽しんだ私たちは その後、台湾、シドニー間の9時間をエコノミークラスで地獄の空の旅をすることになった。
満席で乗客はインド人と中国人ばかり。マナーの悪さで世界一を競い合う両国民が、そろって安い航空運賃のチャイナエアラインで旅行している。メシは家畜が死なない程度、9時間の間、食事の時以外 みごとに 一切飲み物のサービスはなかった。水入りペットボトルくらい無料で配ったってチャイナエアラインが倒産するわけじゃない。最低限のサービスくらいしないと エコノミック症候群で太ったインド人や中国人のおっさん達がバタバタ倒れて死ぬぞ。
おまけに ビジネスクラスのフライトアテンダントと、エコノミーのとでは 天使と鬼ほどの違いがある。同じ航空会社で同じ制服を着ているのに この差はどう理解したらいいのか。ビジネスのサービスでは メイド喫茶のホステスなみの笑顔と至れりつくせりのサービスだったのが、エコノミーでは誰も笑わない。一人のアテンダントなど、私の横で食事のトレイをひっくり返し、そこらじゅうサラダや果物が飛び散って私の皮のハンドバッグにもドレッシングが飛んできたが、決して誰も謝罪しない。どの女の子も1週間続く便秘で 苦しくて仕方がないような顔を終始していた。
しかし、地獄の狭苦しさと、汚れた空気で窒息しそうな機内の不快感を100%の天国にしてくれたのが、ランランのピアノだった。音楽の偉大な力。ランランのおかげで 嘔気に満ちた機内の空気が一瞬のうちに清らかな高原の空気が流れ出し、豊穣な音の世界で満たされた。
心が躍る。なんという美しい音を出すのだ。この人は、、、これで人間だろうか。人の形をした神ではないか。
ライプチッヒ ゴワダス オーケストラ
リカルド チアリー 指揮
ランランによるメンデルスゾーン ピアノコンチェルトNO1
2009年 ガラコンサートライブ
ランランがすごい。ソロイストとして若手で一番と言う話は聴いていたが、ライブを観るのは初めて。
ピアノの前に座ったとたん この人は完全に自分の世界をバリアで作ってしまう。観客やオーケストラに目もくれない。彼のホコリひとつない真空の密室で 彼はピアノに触れる。彼の指は自然 ひとりでに踊りだし、空中を自由気ままに飛び歩く。
緑の深い森を駆け巡る。天に向かって羽ばたく。宇宙の果てまで 星を捕まえに行く。清涼な風、氷のような星を捕まえて、体まで透明になりながら飛んでいく。指だけが、鍵盤の上を走る。なんという豊かな音量。深くてそして、熱い音だ。これほどピアノの豊かな表現に 心を動かされたのは 初めてかもしれない。恐るべしランラン。
オーケストラも良かった。コントラバスが5台。バスーンが2台。どうりで低音が響きわたっている。すごい。ランランの演奏に 観客は総立ちのスタンデイングオべーション。
彼はアンコールに応えて、ショパンのエチュード3番を弾いた。
ピアノ曲として すごく有名で、ピアノを弾く人は 大抵弾いた事のある こんな小曲を彼は1音1音 大切に丁寧に、弾いた。すごい。一つ一つの音に命が吹き込まれ 誰もが知っている旋律が まるで全然ちがう生きもののように、呼吸し、微笑み、そしてささやいてくれた。夢のようないっとき。 パーフェクト。ブラボー。涙がでてくる。
もう一曲 ショパンを弾いた後、最後のアンコールは、「真夏の夜」から、結婚行進曲。これこそ誰もが結婚式場で聞いている 子供でも知っている曲。これをトランペットのファンファーレに続いて、ランランは 力強く きっぱりと、誇らしげに弾いた。ブリリアント。
嵐のような拍手。
本当に素晴らしいピアニスト。ランランのライブフィルムを見せてくれたチャイナエアライン大好き。コンサート全フィルムを見せてもらえるなんて、本当に幸運だった。台湾経由で日本に行くには 他のチョイスがなくて、仕方なく乗ったエアラインだったが、正解だった。ありがとう ありがとう チャイナエアライン。