2010年2月22日月曜日
オーストラリアチャンバーオーケストラ 第一回定期公演
今年、最初のオーストラリア チェンバー オーケストラ(ACO)の定期公演会を聴いてきた。このあと、11月まで7回 定期コンサートがある。毎回ゲストがよばれていて、フルート奏者や、チェロ奏者や歌手などが 彼らACOと共演する。
今回は団長のリチャード トンゲテイが独奏者になってモーツアルトを弾いた。プログラムは、
モーツアルト バイオリンコンチェルト第4番 Dメジャー
ハイドン 交響曲46番 Bメジャー
グレグ 弦楽4重奏曲 Gメジャー
毎年、席を変えて ちがう場所から聴く事にしているが 今年は2階席の左、舞台の真上の席にしてみた。なので、ヴァイオリニストの後ろの方の人たちは見えない。
リチャード トンゲテイも、副団長のサトゥ ヴァンスカの顔も正面から見られないが、斜め後ろからリチャードがどんな風に このチェンバーを自分も演奏しながら指揮しているかがよくわかる。
チェロとべースのまん前になるので 低音が良いぐあいによく響く。
モーツアルトのバイオリンコンチェルト第4番は、彼が19歳の時に作った曲だ。父親が高く評価されていたバイオリニストで、作曲家だったので 彼は早くからピアノの名手だった。14歳のザウルスブルグの宮廷オーケストラの団長になってからは、バイオリン奏者としても認められ いくつものコンチェルトを作曲した。
コンチェルト第4番が ことさら有名なのは 鈴木バイオリンのおかげだ。鈴木バイオリンの教科書は1巻から10巻まであるが、その最後の9巻と10巻はモーツアルトのコンチェルト4番と3番だ。鈴木バイオリンの教科書になるくらいだから、練習すれば誰でも弾けるようになる。しかし、ジャズでいうとアドリブの部分になる「カデンツア」になると その弾き手の「音楽」が問われるから、ちょっと練習したくらいでは 弾けない。アドリヴって、ジャズでもロックでも そうじゃないかな。 リチャード トンゲテイは、長い長い華麗なカデンツアを弾いてくれた。この人のカデンツアは 誰にも真似できない。
次のハイドンは 正統派バロックの良さを正統的な室内楽団が演奏してくれて、耳に心地よい。最後のグレグ、弦楽4重奏曲は 重厚で 技術的に スリルに満ちた難曲だった。とても良かった。
大喜びする聴衆がブラボーを連呼しても、どんなに長く拍手しても足踏みしてアンコールを求めても、ACOの定期コンサートでは 団員は演奏が終わるとサッサと 壇上から引き上げる。お客たちが駐車場から 車を出すのに混みあって苦労しているころには、団員達、楽器かついで夜の街に消えている。
観客に媚びない。実力があるのだ。
彼らの潔さが好きだ。