2011年3月2日水曜日

リアン ニルソンの映画 「身元不明」



映画「身元不明」、原題「UNKOWN」を観た。

アクションスリラー映画 アメリカ ワーナーブラザーズ製作。
監督:ジャゥメ コレット セラ
キャスト
ドクターマーチン ハリス: リアン ニーソン
妻 リズ        : ジャヌアリー ジョンズ
ジーナ タクシードライバー:ダイアン クルーガー
マーチン ハリス その2: エイデン クイン

ストーリーは
科学者ドクターマーチン ハリス(リアン ニーソン)は 学会に参加するために 妻のリズ(ジャヌアリー ジョンズ)を伴い ベルリンにやってきた。ベルリンは初めてだ。
二人は 曇り空、雪がちらつく寒い空港から タクシーに荷物を積み込んで ホテルに向かう。しかし、ホテルに着いたときに マーチンは パスポートや 学会で発表する原稿の入った一番大事なアタシュケースを タクシーに積み残して、空港に残したまま来てしまったことに気がついて、あわてて、別のタクシーで 空港に戻る。

気が動転しているマーチンは、女性のタクシー運転手(ダイアン クルーガー)に 無理を言って 空港への近道を走るように頼み込むが、運悪く交通事故にあって 車は河に転落、マーチンは命は助けられるものの 昏睡状態で病院に運び込まれる。3日後、マーチンが昏睡から覚めたときには、自分が誰であるのか思い出せない。自分を証明するものは 何ひとつ身につけていない。不思議なことに ホテルで自分を待っているはずの妻や アメリカ大使館やベルリン警察から 行方不明の届出が出ていない。自分を探している人はいない。自分は 一体誰なのか わからない。

病院のベッドで テレビを見ていると、学会が開催されるニュースが報道された。これを見て にわかに 自分が学会のために来ていた事と、妻を残してきたホテルの名を思い出す。ドクターが止めるのも聴かず、マーチンは 病院を抜け出してホテルに急行する。
しかし5年余りの間 愛し合ってきたはずの妻は、マーチンを見て 知らない人だ と言う。そして妻に寄り添っているのは、見たこともない男だ。その男は ドクターマーチン ハリスだと名乗り、パスポートを見せる。パスポートの横には 妻を抱いた男の写真が貼ってある。
全く同じ所で撮影した妻を抱いた写真を マーチンは自分のパスポートケースに持っていた。しかしパスポートは アタシュケースとともに、失くしてしまった。マーチンは自分を証明することができない。

混乱しているマーチンに、プロの殺し屋が追ってくる。病院に戻ったマーチンのところにも 殺し屋が追ってきて、次々と自分を保護してくれる職員が殺されていく。安全なところは どこにもない。マーチンはジーナ(ダイアン クルーガー)という 事故にあったときに 乗っていたタクシードライバーに助けを求める。彼女は ボスニアから違法難民で、ベルリンでは不法労働者だった。二人は、年老いた私立探偵に出会う。彼はむかしのヒットラー時代のSSの生き残りだ。強力な この探偵の裏コネクションで調べた結果、マーチン ハリスが他の男に取って代わられた裏には、巨大な組織があることを突き止める。マーチンはジーナを伴って 逃げ回りながら、自分は誰なのか、殺し屋は何を狙っているのか、突き止めなければならない。

ことの真相がわかりかけてきた私立探偵は 消される。ジーナの友達も まわりにいる人たちも次々と殺されていく。追われながら 自分が誰なのか探し求めるマーチンに わかったことは、、、
というお話。
スリラーなので、その先は言えない。入り組んだスパイ劇なので、ちょっと考えなければストーリーが読めなくなる。それだけに おもしろい。

「シンドラーのリスト」、「72時間」(原題TAKEN)、「Aチーム」のリーアン ニルソンが大活躍する。彼の巨大な骨格、鼻筋が通った高い鼻と うすい唇、、外観からすると怪力ロボット、殺人マシーンのような役柄が ドクターマーチンの役に似合う。
私生活では 長年連れ添った奥さんの ナターシャ リチャードソンを 2009年のカナダモントリオールでのスキー事故で亡くしたばかり。
「72時間」では、誘拐された娘を取り戻す為に、刑事から情報を得ようと、好意的で親切にしてくれる刑事の妻を ちゅうちょなく平気で撃つシーンには驚いた。彼に笑顔は似合わない。無表情に じゃんじゃん敵をやっつけていく。アクション映画は、どんどんスピードを増し、残酷さを上回っていく。息つくひまもない。沢山の人が死に、たくさんの建物が壊れ、車も家も燃え上がる。

ダイアン クルーガーが可愛い。罪もないのに、たまたま男を助けた為に 複雑な事情に巻き込まれ 友人を殺され 自分の命まで狙われて 何度も何度も死線を潜り抜けなければならない。クロアチア難民という役柄なので ぎこちないアクセントで英語をしゃべる舌足らずが可愛い。

オーストリアの人気テレビ番組「インスペクター レックス」で ストックナー刑事を演じている役者カール マルコビックが リーアン ニーソンが入院した病院のドクター役で出ている。これが嬉しかった。ドイツ人の とても良い役者なのだ。インスペクター レックスでは、レックスという立派で賢い警察犬に いつも命を助けられるドジな刑事役だけど、彼が主役のドイツ映画「ヒットラーの贋札」では、彼の役者としての良さを証明してくれた。
この映画では ちょい役というか端役。こんなとき「カール マルコビックがカメオだった、、」という英語の言い方をする。カメオは小さな貝殻や象牙に彫刻を施した芸術品で 指輪やネックレスになる。そんな小さくて よく手をかけた宝石のような存在。彼がこの映画に出ていたために映画全体が引き締まって良くなったので 彼はカメオみたいだった。

この映画 スリルとサスペンスに、ミステリー謎解きが加わっておもしろい映画に仕上がっている。
日本公開は5月7日だそうだ。