2010年10月18日月曜日

女性総督、女性首相、レズビアン閣僚




オーストラリアは世界で初めて女性に参政権を与えた国だが、それから116年もたって、今年になってやっと 女性の首相を迎えた。
労働党内部に対立があり、ケヴィン ラッド前首相との確執があり、連邦下院選挙では、与党労働党:74議席に対し、野党自由党:73議席という、たった1議席差で 辛うじてジュリア ギラード首相の首がつながった。74議席といっても 内容はグリーンの1議席と 無所属議員2人を含めての 与党主流派だから、今後も労働党だけで突っ走ることはできず、波乱ずくめだろう。
それにしても、ようやく女性首相が誕生したことを嬉しく思う。

オーストラリアは 英国国王エリザベスを元首とする 立憲君主国家だ。
憲法では英国国王の代理である「連邦総督」が 議会の開会,休会,解散、議会を通過した法案の承認、拒否、修正要求。行政の執行権、閣僚の任命、解散権、国軍の指揮権をもっている。現在の連邦総督は 初めて女性が選ばれた、クエンテイン ブライス(QUENTIN BRYCE)。彼女は、女性かくあるべしという女性の見本のような 人だ。教養高く、気品のある容姿、立ち振る舞い、身に纏っているカラフルな美しいスーツ、、、彼女の趣味の良さと、気品あふれる姿は、ダミ声、どかどか歩きのエリザベス女王とは比べものにならない。月とスッポンだ。本当に素敵な女性。

国の連邦総督が女性、首相がジュリア ギラード、そして加えて、ニューサウスウェルス州の知事が クリステイーナ カネリ、二人の男の子のお母さん、オーストラリア育ちのアメリカ女性だ。そしてまた、シドニーシテイー市長が これまた女性のクローバー モア(CLOVER MOORE)だ。

シドニーに住む私は 女性がボスの政治機構の中で生活していることになる。
連邦総督:クエンテイン ブライス
首相:ジュリア ギラード
NSW州知事:クリテイイーナ カネリ
シドニー市長:クローバー モア。
これって、すごいことかもしれない。日本だったら、女性天皇、女性首相、女性東京都知事、女性区長のもとで生活するのと同じことだ。こういうことは、今後実現しない。アメリカでも実現しない。女性大統領、女性州知事、女性町長。

そのジュリア ギラード首相が 第2次ギラード内閣を正式に発足させたが、任命式が連邦総督府で行われた。
任命された首相をはじめとする14人の閣僚が それぞれ奥さんとかパートナーとかを連れて 次々と車で総督府に到着して 式に向かう様子が ニュースで映し出された。ジュリア ギラードは独身だが、長年のパートナーがいる。仲良く、手を繋いで式場に向かった。

前環境相のペニー ウォンは 今回 「予算、規制緩和相」になったオーストラリア生まれの中国女性だが、ガールフレンドを連れて式場に入った。大勢のカメラマンのフラッシュに 驚きながらもペニーの後をついて式場に向かうオージー女性の姿を見ながら こういう光景を 日本で見ることはまずないだろうと思った。同様に、アメリカでも まず同じことは起こらない。
レズビアンの閣僚が 就任式にガールフレンドと共に式場に現れる ということが、当たり前に行われて、それを誰一人として オーストラリアでは注目しない自然さが、とても快かった。

そういえば先ジョン ハワード首相政権下で 野党だった3党の全部:労働党、グリーン、国民党の党首が3人とも ゲイだったことがある。いまでも、グリーンの党首 ボブ ブラウンはゲイだが、とても人望がある政治家だ。彼なしに、ジュリア ギラード政権は発足できなかった。
こうしてみると、オーストラリアは 改めてジェンダーに優しい 新しい国だということができる。それが とても自然だ。
そんな国に住んでいる。そのことが とてもうれしい。

写真は
連邦総督クエンテイン ブライス
シドニー市長クローバー モア
予算相ペニー ウォン