ドイツ ラインランドから バスでミュンヘンに立ち寄る。
街の中心、マリエン広場の市庁舎に、ドイツ最大の仕掛け時計:グロッケンスパイルがある。1568年のバイエルン大公ヴィルヘルム5世と、ローレン皇女レナータの結婚式の様子を再現したもの。32体の等身大の人形が この地方の踊りや 騎士の馬上の試合などを舞う。これを見るために、午前11時と12時に、市庁舎前は人々で埋まる。是非 見たいと思っていたが、来る途中の道路が混雑していて、着いたのが12時半、みごとに見逃した。残念でならない。
ミュンへンは バイエルン国立オペラ劇場も有名。ここでルードヴィッヒ2世が ワーグナーのオペラ「ローウェングリーン」を観て感動してその後 生涯 ワーグナーのパトロンを勤めた。王家専用席のある 格調ある 歴史的なオペラハウスだ。ウィーンでウィーン交響楽団の新年コンサートを聴き、ミュンヘンでシュトラウスのオペラ「こうもり」を観たらば、もう完璧、これ以上のお正月はありえない。
今回はミュンヘンの仕掛け時計は見逃し、オペラハウスはバスで通過するだけ。ふてくされて、すし屋へ。しかし、こ、、、これは 何ですか。春巻きの干からびたもの、かっぱ巻き、死んだ魚としか形容できないような刺身が、プラスチックの皿に乗って回っている。中国人の怖い化粧をした女の子が 乱暴にお茶をドンと置いていく。これは危ない。かっぱ巻きだけを 何皿も食べて、15ユーロ払って出る。銀座老舗のすし屋並みの料金を取って、小学生が 海苔巻き作りに挑戦してみましたー、というような 海苔巻き失敗作を食わされた。
再びバスで一路 オーストリアのインスブルックに向かう。バスから眺めるドイツの石作りの家々が オーストリア領に入ると 木造の家に変わってくる。緑が一層 濃くなり 紅葉した木々も見えてくる。そうだ。秋たけなわなのだ。春になったばかりのシドニーから来た。オーストリアで日本のような鮮やかな紅葉が見られるなんて、なんという贅沢。スズカケの木、プラタナス、カエデの緑、黄、紅が調和して美しい。国境を越えても オーストリアは同じドイツ語の国だ。グーテンモルゲンや、グーテンタークでなく、朝でも夜でも使える挨拶言葉「グルスコ」と、ダンケシェーン(ありがとう)を、連発する。
インスブルックは、世界で一番美しい街。小さな街の四方を雪を抱いたチロルの山々が取り囲んでいる。街のどこで写真を撮っても バックに雪山が写る。聞くと 2日前に冷え込んで新雪が降ったばかりだという。雪山と紅葉した低い山々が重なり合って それが街のどこからでも見えて、手が届きそうだ。 街の中心にあるスワロスキ本店でバスを降りた。水晶のアクササリーや動物の置物を作っているスワロスキは チェコスロバキアかハンガリーのものかと思っていたが、インスブルックが本拠だと初めて知った。4階建ての店内を100%観光客の顔で見て回る。色々見て 娘にネックレスを買う。100ユーロ。 ここから歩いて街を見ながら ヒルトンホテルへ。
夕食はチロルの山小屋でチロルの伝統料理を、というコースがあったので申し込む。時間になると、バスが迎えに来て、結構暗い夜の山の中に入っていく。バスのあとは、馬車で山道をさらに登る。2頭立ての馬車の御者の横に座らせてもらって、足元の2匹の犬を抱き寄せる。御者が可愛がっている8ヶ月のセパードと白いテリア犬。寒いので毛布を膝にかけると犬達ももぐって入ってきて可愛い。30分余り 馬車が走っているうちにセパードが何度も馬車から飛び降りそうになり 首輪をしっかり掴んでいなければならなかった。真っ暗で何も見えなかったが、きっと山兎とか 狐とかあるいはもっと怖い動物でもいたのだろう。
着いたチロルの山小屋で、大ジョッキのビールにチキン、ポーク、ザワークラフト(キャベツ酢漬け)が出た。驚いたことに、木の器に載った肉や野菜をナイフもフォークも無しで食べる。それがチロル風 と聞いて 仕方なく手掴みで食べる。飲んで、食べて、愉快な気分で 深夜ホテルに帰って、爆睡する。
写真右は、ミュンヘン市庁舎(仕掛け時計は左の方)
写真中央は、インスブルックのゴールデンルーフの建物
写真左は、インスブルックから見える山々