ロンドンからドーバー海峡を渡って、フランス領のカラスから ベルギーのブルジェスの街に入る。
英語でブルジェスと呼んでいたが、現地の人はブルッシゥと発音していた。ここは中世の建物、教会がそのまま残っている街を運河が巡らされている、美しい御伽噺のような街。街そのものが 天井のない美術館と呼ばれている。
新作の映画「IN BRUGES」(ブルッジェスにて)の紹介を9月の日記に書いたが、ここが舞台で、二人のヒットマン(殺し屋)を主人公にしたブラックユーモアの 大人のテイストの映画だった。ヒットマンが飛び降りた教会の鐘楼や、広場がそのまま出てきて おもしろかった。 16世紀から続いているという 伝統的レース作りを見学して、ムール貝にビールという食事を考えていたが、小さな街中をあふれかえる観光客、人と人の波で どのレストランもカフェもいっぱい。そんな込み合った石畳を 観光客を載せた馬車が行き交う。全く馬が可哀想。辟易して、ブルッセルに向かう。
ブルッセルはEUの本部が置かれ ヨーロッパの各種機関の代表が集まった ヨーロッパの首都的な存在。ブルッセルの街の中心は 近代的な大型ホテルが林立し、ブランドショップが立ち並ぶ。
しかしいったんグランドプレイスに立ち入ってみると いっきに中世の時代に立ち戻る。GRAND PLACEは、素晴らしい。200メートル四方を、全部壮大なゴシック建築の建物の囲まれた大きな広場。 ビクトル ユーゴが世界で最も美しい広場と、言い、ジャン コクトーが「豊穣なる劇場」と形容した広場だ。一方はブルッセル市庁舎、他方は王の家と呼ばれる市立博物館、他方はギルトハウス。広場に面した美しいゴシック建築は、ホテルとして使われたり、宝石屋、レストラン カフェになっている。有名なベルギーチョコレートの老舗ゴデイバもある。ベルギービール醸造博物館もあり、ビールが供される。ベルギービールは 有名。全土で110もビール醸造所がある。
ギルトハウスは 肉屋のギルト、花屋のギルトなどが集まった建物で、ドアに白鳥の彫り物がある建物は 昔の精肉店ギルトで、マルクスとエンゲルスが「共産党宣言」を 考案した場所だそうだ。今はラ メゾン シーニュというフレンチレストランになっている。 中に入ってみたかったが 夜遅くならないと開かない高級レストランだそうで、閉まっていて残念。尊敬するマルクスとエンゲルスの 終始変わることのなかった友情に思いをはせ、写真をパチリ。
ベルギーではフランス語圏とオランダ語圏とドイツ語圏とが あって、カトリック75%、プロテスタント25%。 熱狂的国民的スポーツというのが どの国にもあるが、ここでは ピジョンレース(鳩のレース)だというのが とても変わっている。小さな鳩が飛ぶのに熱狂するなんて、、、それに比べたら野球に熱くなる日本人や ラグビーに狂うニュージーランド人の方が 健康的な気がする。
ランチは 観光客ひしめくブルッシェで、オランダ語のメニューが読めなくて メニューひとつひとつを英語で説明してくれるような親切なウェイターもいなくて、ムール貝のワイン蒸しなど、メニューで見つけらないまま 2つしかチョイスのないランチコースを注文するはめになった。かくして、運河の風に吹かれながらムール貝でビールをやる計画がオジャンになる。
出てきたのは、ポタージュスープとローストチキンの半身。おいしかったが量が多すぎて 半分もやっつけられない。デザートにケーキが付くのを、辛うじて押しとどめ、ケーキの代わりにコーヒーで許してもらった。15ユーロ。$30以上の観光客価格。
デイナーは 昼食が重かったので全然おなかが空かない。 カフェでケーキとお茶。カプチーノ:3,30ユーロ。ケーキ:5ユーロ。
どちらも観光客しか来ないような店なのに 言葉の通じない客に対して一歩も譲歩しない。メニューを見て、このワッフルの上には何が載っているの?と英語で聞いているのだから、英語で説明してくれればいいものを ウェイターは愛想良く にこにこ笑って フランス語で答えると サッと行ってしまう。紳士的で慇懃だが、頑固なヨーロッパ人のかたくなさが 垣間見える。ぜんぜん嬉しくない。
写真右は、ギルトハウス:マルクスとエンゲルスが共産党宣言を考案した場所と言われている。
写真左は、二枚ともグランドプレイス