2008年10月31日金曜日

いよいよイタリア ベニス!







オーストリアのザウスブルグからべネト平原を抜けて 橋を渡ってやっと夕方になってからイタリア ベニスに入った。憧れのベネチアだ。
グルスコ(こんにちわ)とダンケシェーン(ありがとう)が、ボンジョールノとグラーチェに取って代わる。なりふりかまわずこれを連発する。

まずホテルコンチネンタルに。ベニス市内に車は入れない。重い私達のスーツケースはベニスの入り口 セントルチア駅でバスからボートタクシーに乗せられてホテルに先に運ばれていった。

事前にツアーダイレクターから クギを刺されていた。イタリアに外国人が望むようなホテルはない。イタリアで観光客に気に入ってもらいたいと思っているようなサービス業関係者など居たためしがない。出した料理が気に入らなければ食べなければ良い。外国人がお望みの物など出すつもりはない。子供じゃあるまいし10時以降にカプチーノなど飲む奴は馬鹿だ。お湯で薄めるようなアメリカンコーヒーなど作れない。飲みたければアメリカで飲んでくれ。というのがイタリア人だから、ホテルに入って、文句を言わないで、と。

人ごみを歩いて橋を渡りホテルに到着。娘とツインの部屋は小さいが別に文句を言うほどのことはない。ただ、バスルームに窓があり、レースのカーテンがあるだけで、向かいの建物の窓も開いている。夜暗くなってから どちらかのバスルームの明かりを点けると 中が丸見えになる。他の人は気にならないのだろうか。窓に大きなバスタオルをかけて、カバーして、やっと安心してお風呂につかる。

夕闇迫る外に出てみると、狭い路地の両側は宝石店、仮面専門店、ベネチアグラス専門店が並び、人々がぞろぞろ歩き回っている。ベネチアグラスでできたアクセサリーも パーテイーに使う華やかな仮面も、素晴らしい。全部持って帰りたい。

夕食はホテルのレストランで。ベランダから運河を通ってくる風が心地よい。イタリアのよく冷えた白ワインを早いピッチで飲みながらコース料理を。前菜にスパゲテイがでた、とても嬉しい。と思ったら、メインにチキン。イタリアに来てパスタとピザ以外のものを食べたくない。鶏肉に呪われているのか?と、思っていたら、勘違い。イタリアでも北イタリアの教養人は、パスタやピザのような南イタリアの貧乏人の食べ物は食べないのだそうだ。知らなかった。イタリアでは北と南とは まるで言葉も人種も違うのだから 食習慣が違うのは当然だ。ベニスは かつて完全に独立した共和国だった。商業都市として東西の貿易の要として富を謳歌した。ベニスとナポリなんかと一緒くたにしたら 叱られる。全然別の国として考えなければいけないのだ。

ベニスの2日目はサンマルコ広場までボートで行き、サンマルコ寺院を見学する。829年アレクサンドリアから持ってきた聖マルコの聖遺骸を祭った寺院。内部は床も壁も みごとなモザイクで埋め尽くされている。ベネチア共和国の富を象徴したような建物。とにかく大きい。カメラに収まりきらない。 寺院の前には 高さ96メートルの大鐘楼が立っている。
サンマルコ寺院のとなりがドウカーレ宮殿。共和国時代の総督の住居、政庁、裁判所だった。ここでも教会と権力者の住居は隣同士だ。白とピンクの大理石でできた建物。これも巨大な ゴシック様式の建物。内部は見られなかったが 2階3階の広間は16世紀の美術品で飾られ、世界最大の油絵テイントレットの「天国」や フレスコ天井画があるそうだ。

この宮殿の横からゴンドラに乗って運河から街を見物する。ドウカレ宮殿から運河を隔てた隣の建物は 昔 政治犯を収容した牢獄だ。かかっている橋の名は、ため息の橋。この橋を渡れば二度と外には戻れない囚人が ため息とともに振り返ったからだという。カサノバは収容されたが脱獄して、女泣かせを止めなかった。実在の人物だそうだが、晩年はどんな生活だったのだろう。映画「カサノバ」では、私の大好きな、オージー俳優で今年28歳で亡くなったヒース レジャーがカサノバの役をやった。彼が演じると女たらしも 全然いやらしくなくて、当時のベニスの貴族達の豪華な暮らしぶりや華美な服装が美しくて楽しい映画だった。 ゴンドラからその鉄格子や、ホテルダニエリのわきを通り、様々な建物を見る。こぎ手はしまのシャツにベレー帽のハンサムな青年、大きな櫂で小運河を自由に漕いでいく。でもカンツオーネを歌ってはくれない。

陸にあがって、地元のガイドについて 沢山の教会、沢山の像や家々、建物を見た。かつて政治を司っていた貴族達の家や貿易物資を保管する巨大な倉庫などを見た。人がやっと行き交うことが出来る狭い路地を通り抜けると 広場に必ず井戸がある。それを中心に人々の生活が広がっていった様子がわかって、興味深い。狭い路地にある小さな靴屋が手製の靴を作っているところを覗いたり、沢山の橋をわたり、そこを潜り抜けるゴンドラに乗った人々を冷やかしたりした。

ランチはスタンドカフェで、立ったままピザを温めてもらってコーヒーを飲む。見る物が多すぎて どんなに歩き回っても追いつかないのでとても座ってゆっくり何かを食べている余裕がない。15ユーロ。高い。3000円で立ち食いそばならぬ、立ち食いピザを食べたことになる。

朝から快晴、強い太陽の陽に照らされて早朝から歩き回っているので足の痛みもはんぱでないが、今日しかベニスに居られないと思えば、我慢も出来る。    その痛い足で、ガラスファクトリーに行く。せっかくベニスに来たのだ。どんなに高くても 一番気に入ったグラスを買おうと思っていた。一つ一つ 熱い炉で口で息を吹き込んで 手作りで作った本当のグラス、、、一生の宝になるだろう。職人が目の前でガラスの馬を作る。熱い竈から出したガラスの塊をちょっとペンチで引っ張ると馬の脚ができて、あっという間に完璧な馬の置物ができる。魔法を見ているようだ。ガラスの色付けは 紫はアメジスト、赤は本当の金を溶かして色付けするそうだ。赤に凝った金の飾り絵柄の入ったワイングラスをセットで買う。しっかりした足がついていて、ひとつでもとても重い。値段などひとつ200ドルでも300ドルでも どうでも良く、クレジットカードを渡して、シドニーまで送ってもらうように依頼する。本場に来て、作るところを見て本物を買ったという満足感で、充分だ。

夕方は、ボートで1時間 ブラノ島に行く。ボートと食事で65ユーロ。ブラノ島は それぞれの家が自分の色を持っていて、並んでいる家々が緑、ピンク、青、黄色、紫、というように どの家も同じ色はない。そんな家並みが御伽噺に出てくる家のようで 愉快で楽しい。レストランでワインを飲みながら、スズキのような白身の魚を食べる。エビフライ、イカフライ シーフードパスタも出てくる。満腹のおなかをかかえて、お土産屋を見て ボートでホテルに帰ると もうすっかり夜中で まわりの宝石店、仮面専門店などみんな店じまいしている。仮面を買って持って帰りたかったが、泣く泣くあきらめてベッドに入る。