映画で、ジュリー クリステイーに逢えたことが、とても嬉しかった。デビッド リーン監督、不朽の名作 「ドクトルジバゴ」の「ラーラ」だ。
カナダ映画「AWAY FROM HER」を観た。クレモンオルピアン、各地デンデイー館で、上映中。 邦題は未定。「彼女から遠く離れて、」か? 監督サラ ポーレイ(SARAH POLLEY)、若干28歳の女優で監督の 初めての作品。 62歳の妻の役に、イギリス人のジュリー クリステイー(JURIE CHRISTIE)、その夫にゴードン ピンセント(GORDON PINSENTO)。
この映画、これ以上の役者は望めないというほどの 熟練の役者2人が演じたことで、辛うじて映画として成功した、と言える。動きの少ない、難しい役を、二人は、ほとんど出ずっぱりで、表情の変化と、場面場面に合った服装から髪型までの雰囲気造り 役造りに凝りに凝っているのが、わかる。ふたりとも本当の役者のなかの役者だ。 それにしても、ドクトルジバゴのラーラ、、、なんと美しく年をとったのだろう。 これほど美しい60代の女性を 他に見た事がない。何の曇りもない 澄み切った青い瞳。純白の長い髪、知的な容貌、表情の一つ一つが、生き生きしている。ジェーン フォンダが 同じように年をとって、最近の映画「モンスターマザー」に出演していたが、彼女、小柄なだけに 衰えが痛ましいほどだった。 キャサリン ヘップバーンも、昔、死ぬ前 ヘンリー フォンダと、「たそがれ」という映画で老夫婦役をやったが、首から肩にかけての 衰えがあわれだった。ジュデイー クリステイーは若くて 映画界でちやほやされる時期に、人気にこだわりなく リベラリストとして社会運動に関わり、独特の’自分らしい生き方をしてきた。60代になっても、彼女らしい個性的なスタイルをくずさない。素晴らしい女優だ。
ストーリーは、 フィオーナ(ジュリークリステイー)とグラント(ゴードン ピンセント)は、44年間 一度も離れたことがない 仲の良い夫婦だった。アイスランドから移民してきた彼女が、18歳でまだ学生だったときにグラントは結婚を申し込み、そのとき、どんなことがあっても、君から離れないでそばにいる と約束したのだ。夫婦は20年余り、カナダ、オンタリオの国立公園の近く、自然の豊かなところに家を建てて住んでいる。二人で クロスカントリースキーを楽しみ、自然を愛し、毎晩夜になると、夫は妻に本を読んで聞かせる。しかし、フィオーナの、記憶力が衰え、しまったものが、見つからないなど、奇妙な行いをするようになってきた。彼女は 自分で本を読み、自分がアルツハイマー病で、いったん症状が進むと、治療の効果が 期待できないことを知る。遂に、徘徊が始まり、自分の家に帰れなくなったある日、彼女は夫の反対を押し切って ナーシングホームに入ることを決意する。夫は、症状の悪い日があるかと思うと、良い日もあるので、どうしても、あきらめきれない。
自分のところに良くなって戻ってくると思い込んでいる夫を残して、妻は、自分で自分のことを決められるうちに、と、ナーシングホームに入る。入所から初めの30日は、入居者が慣れるように、夫は面会に行くことが出来ない決まりになっている。30日間、結婚してから初めて妻から離れて暮らしたあと 夫が面会に来てみると、妻は同じホームにいる認知障害の男の恋人になっていて、夫が誰だかもうわからない。妻が 別の入居者と肩を並べて、ゲームをしたり、一刻も離れずに世話してやったりしている姿を、呆然をして見つめる夫。もう、夫が毎日来て、本を読んであげても、妻はうわの空。夫が たまりかねてある日 私が夫で44年間一度も君のそばを離れたことがなかったのに、どうしてどうして、他の男の心が移ったのか、、、と、問いただしたときの、妻の困惑。彼女は、「HE DOES NOT CONFUSE ME」私を困らせるのは あなたであって、彼は私を混乱させたり、困らせないでいてくれる、と言って泣く。
はたから見れば、認知障害は、脳が縮小して感覚も鈍くなっているように見えるが、患者本人は、記憶が失われ、自分を確認することができなくなってきて、本当は本人が一番つらいのだ。妻には自分の過去の記憶がない。昔のことを、持ち出して言われると 自分をますます確認することができなくなって 不安が増すばかりだ。夫も可哀想だが 妻のつらさも身にしみてせつなくて、この映画、すごく泣ける。
夫は妻のそばから絶対 離れずにいる、と約束したのに、妻をナーシングホームに入れて 傍にいてやることが出来ないことへの自責の念に苦しみ、妻の心変わりを これは自分の約束を守らなかったことへの復讐なのだと思い込む。 妻は記憶のない自分のよるべのない不安で不確かな自分自身から逃げるように そこにいる男の世話をしてやることで 何とか自分を保とうとする。
どんなに満ち足りた結婚生活にも 必ず終わりがくる。どんなに 喜びに満ちた生活でも、死を避けることは出来ない。
悲しい映画「NOTEBOOK」 邦題「君に読み聞かせるノートブック」も、心に残る映画だったが、この映画も、すごく泣かせる。ジュリー クリステイーの存在感だけで、すごく満足できる映画。それと、カナダの自然の美しさ。雪景色の素晴らしさも、特筆に値する。
カナダ映画「AWAY FROM HER」を観た。クレモンオルピアン、各地デンデイー館で、上映中。 邦題は未定。「彼女から遠く離れて、」か? 監督サラ ポーレイ(SARAH POLLEY)、若干28歳の女優で監督の 初めての作品。 62歳の妻の役に、イギリス人のジュリー クリステイー(JURIE CHRISTIE)、その夫にゴードン ピンセント(GORDON PINSENTO)。
この映画、これ以上の役者は望めないというほどの 熟練の役者2人が演じたことで、辛うじて映画として成功した、と言える。動きの少ない、難しい役を、二人は、ほとんど出ずっぱりで、表情の変化と、場面場面に合った服装から髪型までの雰囲気造り 役造りに凝りに凝っているのが、わかる。ふたりとも本当の役者のなかの役者だ。 それにしても、ドクトルジバゴのラーラ、、、なんと美しく年をとったのだろう。 これほど美しい60代の女性を 他に見た事がない。何の曇りもない 澄み切った青い瞳。純白の長い髪、知的な容貌、表情の一つ一つが、生き生きしている。ジェーン フォンダが 同じように年をとって、最近の映画「モンスターマザー」に出演していたが、彼女、小柄なだけに 衰えが痛ましいほどだった。 キャサリン ヘップバーンも、昔、死ぬ前 ヘンリー フォンダと、「たそがれ」という映画で老夫婦役をやったが、首から肩にかけての 衰えがあわれだった。ジュデイー クリステイーは若くて 映画界でちやほやされる時期に、人気にこだわりなく リベラリストとして社会運動に関わり、独特の’自分らしい生き方をしてきた。60代になっても、彼女らしい個性的なスタイルをくずさない。素晴らしい女優だ。
ストーリーは、 フィオーナ(ジュリークリステイー)とグラント(ゴードン ピンセント)は、44年間 一度も離れたことがない 仲の良い夫婦だった。アイスランドから移民してきた彼女が、18歳でまだ学生だったときにグラントは結婚を申し込み、そのとき、どんなことがあっても、君から離れないでそばにいる と約束したのだ。夫婦は20年余り、カナダ、オンタリオの国立公園の近く、自然の豊かなところに家を建てて住んでいる。二人で クロスカントリースキーを楽しみ、自然を愛し、毎晩夜になると、夫は妻に本を読んで聞かせる。しかし、フィオーナの、記憶力が衰え、しまったものが、見つからないなど、奇妙な行いをするようになってきた。彼女は 自分で本を読み、自分がアルツハイマー病で、いったん症状が進むと、治療の効果が 期待できないことを知る。遂に、徘徊が始まり、自分の家に帰れなくなったある日、彼女は夫の反対を押し切って ナーシングホームに入ることを決意する。夫は、症状の悪い日があるかと思うと、良い日もあるので、どうしても、あきらめきれない。
自分のところに良くなって戻ってくると思い込んでいる夫を残して、妻は、自分で自分のことを決められるうちに、と、ナーシングホームに入る。入所から初めの30日は、入居者が慣れるように、夫は面会に行くことが出来ない決まりになっている。30日間、結婚してから初めて妻から離れて暮らしたあと 夫が面会に来てみると、妻は同じホームにいる認知障害の男の恋人になっていて、夫が誰だかもうわからない。妻が 別の入居者と肩を並べて、ゲームをしたり、一刻も離れずに世話してやったりしている姿を、呆然をして見つめる夫。もう、夫が毎日来て、本を読んであげても、妻はうわの空。夫が たまりかねてある日 私が夫で44年間一度も君のそばを離れたことがなかったのに、どうしてどうして、他の男の心が移ったのか、、、と、問いただしたときの、妻の困惑。彼女は、「HE DOES NOT CONFUSE ME」私を困らせるのは あなたであって、彼は私を混乱させたり、困らせないでいてくれる、と言って泣く。
はたから見れば、認知障害は、脳が縮小して感覚も鈍くなっているように見えるが、患者本人は、記憶が失われ、自分を確認することができなくなってきて、本当は本人が一番つらいのだ。妻には自分の過去の記憶がない。昔のことを、持ち出して言われると 自分をますます確認することができなくなって 不安が増すばかりだ。夫も可哀想だが 妻のつらさも身にしみてせつなくて、この映画、すごく泣ける。
夫は妻のそばから絶対 離れずにいる、と約束したのに、妻をナーシングホームに入れて 傍にいてやることが出来ないことへの自責の念に苦しみ、妻の心変わりを これは自分の約束を守らなかったことへの復讐なのだと思い込む。 妻は記憶のない自分のよるべのない不安で不確かな自分自身から逃げるように そこにいる男の世話をしてやることで 何とか自分を保とうとする。
どんなに満ち足りた結婚生活にも 必ず終わりがくる。どんなに 喜びに満ちた生活でも、死を避けることは出来ない。
悲しい映画「NOTEBOOK」 邦題「君に読み聞かせるノートブック」も、心に残る映画だったが、この映画も、すごく泣かせる。ジュリー クリステイーの存在感だけで、すごく満足できる映画。それと、カナダの自然の美しさ。雪景色の素晴らしさも、特筆に値する。