2024年8月11日日曜日

沈みゆくツバル

 ツバル(TUVALU)は、英国から1978年に独立したオセアニアの9つの島からなる立憲君主国家で、国王チャールス3世が統治する、ハワイと豪国の中間にある国だ。人口1万2千人、天然資源に恵まれず、人々は農業と漁業で自給自足の生活をしている。
2050年までに地球温暖化によって、サンゴ礁でできているこの島の50%が水没する。

私の住む豪国は移民で形作られた国で、第2次大戦前後は、英国、ギリシャ、イタリアなどから大量の移民を受け入れ、戦後は東欧、ベトナム戦では数万人のベトナムボートピープルを、「6.4」の後は、中国から香港の秘密ルート経由で数百人の活動家を受け入れてきた。
そしてこんどは、ツバルの全住民を豪国の市民として受け入れ、就業、教育、住宅などを提供するという合意をした。(2024年5月)とりあえず、年に280人ずつ受け入れることになった。すでに600人くらいの移民が移ってきて生活を始めているそうだ。

そのニュースを聞いて「よしよし、このような人道的な配慮は感心感心」と、思ったが、とんでもない。
豪国は、昨年米国、英国と3国(AUKS)で軍事同盟を結んだ。それに日本も加わることになっている。豪国はツバルの住民を全部受け入れたあと住民のいない島に、軍事レーダーの基地を置こうとしているのだ。住民のいない軍事基地に当然のことながら核も配備されるだろう。
米国は太平洋の島々に軍事基地を置き、戦争をいつ始めても本国は攻撃されることのない「平和」で「安全」な国で居続けることができる。地上戦が行われたことのない、戦禍の傷一つ持たない唯一の軍事大国だ。その米国を守るため、日本も太平洋の島々も、米国の前線基地、捨て石となる。それを見て豪国の友達は、自分の国は独立国じゃない。カンガルーがぴょんぴょん飛んでいる米軍基地に過ぎないんだよ、と言った。日本は独立国だろうか。日本国憲法よりも日米安保条約と、日米地位協定の方が、幅を利かせている国。国民の税金で米軍基地を置いてもらっている国。
ツバルの住民は、サンゴ礁の島で自給自足してきて、強く住民同士を支え合う文化を持った人々だろう。独特のツバル語を話す人々は、先祖の墓を大切に守り、生まれ育った土地を大切にしてきた人々だ。彼らの「平和」は、米国、英国、豪国の人々にとっての「平和」とは全く異なる存在だろう。

沖縄の八重山、馬毛島をはじめとする日米軍事基地化に反対!
豪国とツバル合意書に反対!
南太平洋の独立国の軍事要塞化、反対!