2023年8月2日水曜日

もっとストを、もっと抵抗を!

「明日、ハートアタック起こすなよ!」と言って笑い合う。明日パラメデイック(救急隊員)がストライキに入るからだ。救急車が来ない。
パラメデイックはドクターやナース同様1日3交代で昼夜、病人や怪我人の搬送をする。交通事故や列車事故、火災、水害などの犠牲者の手当をし、搬送前の現場で心臓蘇生術を施し、インシュリンやモルヒネも打つ。普通の人が人生で絶対出会わないような惨状で人を処置することもあるタフな仕事だから、自殺者も、うつ病発症も多い。インフレで物価が7%上がり、給与が上がらないままで、良いはずはない。救急隊員のストライキで、普段から呼吸困難のある障害者や、子供がラグビーなどの激しいスポーツの試合を控えている親などは心配だろう。しかし人々はストに慣れて理解している。はずだ。

鉄道、バスなどの交通労働者もストライキは、しょっちゅうだが、電車とバスと同じ日にストを組まないし、事前にわかっているから、代替えバスや代わりの電車で通勤できる。
この3月、オーストラリアでは最低賃金が7%上がり、$23.23、日本円にして1時間2100円になった。これは州政府の決定ではなく連邦政府の決めた事なので、ワーキングホリデイで外国から来た子供たちや、果物や野菜の収穫期にきた季節労働者にも、ほかの労働者同様に最低賃金以上支払われないと、雇用主は数百万ドルの罰金が科される。

ナースは、さんざんデモとストをやって、昇給15%された、が、まったく実感がない。ニューサウスウェルス州だけで、8400人の正看護師、13300人の医療従事者が不足していて、現場では人が足りなくてキューキュー言っている。
この3年間コヴィッドによって、職場は激しいストレスに見舞われた。3年過ぎても、うちの職場では、毎日職員が入り口でコヴィッド検査をしてから仕事に就く。2か月前、再々度目に1人の見舞い人からコヴィッド感染が広がり、20人余りの入院患者が感染した。再びプラスチックの靴カバー、ガウン、フェイスシールド、ゴーグル、マスク、手袋の姿で3週間働いた。その疲労度は並みではない。もううんざりなのだ。
思えば3年前コヴィッドが高齢者には死病と言えるほど猛威をふるった頃、73歳の私は自分は高齢者で感染リスクが高いが、働いていてコヴィッドで死んでも異議申し立てせず訴訟も起こさない、という誓約書にサインして職場に残った。ロックダウンの間、職場に向かう途中、車をパトカーに止められて、勤務表と通勤許可証を見せなければならなかった。
一番仲の良かったドイツ人ナースを失くした。彼女は仕事が終わった後、自宅で疲れてきって眠って、そのまま目を覚まさなかった。次の日に職場に来ないので、少し遠くに住む娘に訪ねて行ってもらったら、もう息をしていなかった。あれからもう2年近く経つのに、彼女のマグカップでコーヒーを入れながら思い出すと涙が噴き出してくる。頑固で誠実、読む本や映画の趣味も同じ、これほど気の合うナース友達は他に居なかった。
小さな職場なのに、2人もストロークを起こした。手塩にかけて大事に育てた新人ナースたちも、次々と辞めて行った。

人は病院で生まれ、病院で死ぬ。人は必ず一生に何度か身体的な疾病に病み、一生に一度は必ず精神を病む存在だ。
人の生と死をしっかり見つめることのできない人は医療に向いていない。そういった現場で働く人に納得のいく待遇を望むのは、人として当然のことだ。15%の昇給で喜べるはずもない。インフレ、物価上昇、GST10%の圧迫、ロシアウクライナ戦争で便乗値上げのガス電気代、みな政権の経済政策の失敗ではないか。
もっと職場放棄を!
もっとストライキを!

スーマ―作詞作曲の「夜明けまで」を歌ってみた。

I am singing [ TILL DAWN ] written by Poet: SUEMARR( Masaaki Sudo)
You are leaving far away. I was dancing ignorantly. Smiling with breaking heart. I have been feeling never ending love. Thinking about you I'll sing till dawn. The season ends and turns over. You are leaving. never looks back. Thinking about you. I'll sing till dawn. I'll cover myself with soft linen. Spin into yarn. Disappear my senseless words. Thinking about you I'll sing till dawn.