日豪間でいえば、1942年2月10日に日本軍はオーストラリアのダーウィンを爆撃し、湾内に居た6艘の大型船が沈没、市庁舎や病院が焼失、人口5千人のひなびた田舎街で252人の死者を出した。人々は日本軍がシンガポールやマニラを侵攻していることは知っていても、まさか自分の国が爆撃されるとは夢にも思っていなかった為、混乱を極めた。その後、西オーストラリアのブルームへの爆撃では民間人70人が死亡、ニューカッスルとシドニー湾では、日本の特殊潜水艦が侵入し、魚雷によって海軍の補助艦が撃沈されて21人の死亡者を出した。
また、1942年2月15日シンガポール陥落などによって、捕虜になったオーストラリア兵は、3年半に渡って収容所で、ビルマ鉄道建設などの強制労働を強いられた。合計2万2376人の捕虜のうち8301人が死亡。日本軍がジュネーブ協定を守らず、捕虜を劣悪な環境と暴力で死に至らしめたことで、いまだにオーストラリア人の日本人に対する印象は、攻撃的、卑怯、野蛮、と至って良くない。
今年2023年7月13日に、2007年に締結された「日豪円滑化協定」が発効した。これで「日米安保」が「日米豪安保」として動き出す。3国は、軍事協定により国防軍を共同運用をし、有事の際には共同軍事行動することになった。日本の自衛隊基地や米軍基地にオーストラリア兵が米国兵同様ビザに関係なく出入りできる。
7月21日から8月4日までオーストラリアで行われた合同軍事演習では、自衛隊が参加して、三菱重工が製造した12式地対艦誘導弾が、シドニー近くのジョービスベイで発射訓練が行われた。このミサイルは射程距離200キロ、海上の艦船を攻撃する。これらの軍事演習は、「自由で開かれたインド太平洋」のためだそうだが、誰のための自由、誰のために開かれた海なのか。「自由」が米国とその連合軍側にとってだけの「自由」であって、他の国の「自由」を踏みつけ抑制する自由であるならば、それは断じて「自由」ではない。
将来の「自由で開かれたインド太平洋」を考える前提として、なぜ日本軍が過去に戦争で、他国にないほどの310万人の死亡者を出したのか。なぜオーストラリアを爆撃したのか、何故韓国を併合し、中国を侵略したのか、何故アジアの国々を蹂躙したのか、なぜ当時日本のGDPの12倍を持った米国に宣戦布告したのか、反省し考察すべきだろう。
2000年代、米国はイラク、アフガニスタンに、誤った情報によって露骨な侵略をして傷だらけになって撤退した。
2010年代、米国は、イエメン、リビア、シリアに代理人として軍事行動をおこした。
2020年代、米国はウクライナに代理戦争を仕掛け、台湾をけしかけている。
戦争を一貫して続行している国、米国。戦争を続けざるを得ない、武器産業に経済を牛耳られている国、米国。その一翼を担う国、日本。わたしたちは額に汗して働いたお金が、米国が武器を無限大に製造し、売り付け、消費されるために使われていることを認識しなければならない。優秀な成績で大学を卒業した君は、総合企業ジャイアントの三菱重工に就職するのか。いま会社が製造しているミサイルは一体誰に向けられているのか。撃てば必ず倍にして撃ち返される。それでも君は撃つのか。誰に向けて。
ベットミドラーの「バラ」を歌ってみた。英訳してみると:
愛は大きな河 流れて川下で葦に抱かれる 愛はカミソリ 心を切り裂き傷つける 愛は飢え 休みなく求められる 愛は花 あなたはその花の種 壊れるのが怖くて 人に触れることもなく 目をつぶったまま
掴み取ろうとしない 与えようとしない そんなじゃあダメ 一人きりの夜 遠い路を歩いていて 運が良い人だけしか愛に出会えないと思うのかい? 冬の冷たい雪の下に蹲っている種 春になれば陽を浴びて 薔薇の花を咲かせるよ
I am singing [ THE ROSE ] by Bett Milder