2011年5月11日水曜日

映画 「ミッション:8ミニッツ」




新作アメリカ映画「SOURCE CODE」、邦題「ミッション:8ミニッツ」を観た。なかなか おもしろい。
監督のダンカン ジョーンズの二作目の作品。最初の作品は、SFスリラーというか、ミステリー心理劇と言うか、人の心を描いた映画の「月に囚われた男」。
この監督の父親は 役者や映画監督もできるマルチで ロックの神様、デビット ボオイだ。
http://www.imdb.com/video/screenplay/vi1777835289/

キャスト
コルター ステイーブンス:ジェイク ギレンホール
キャプテン ゴッドウィン:べラ ファミーガ
プログラム責任者    :ジェフリー ライト
クリステーン      :ミシェル モナハン

ストーリーは
アフガニスタンに派遣されていた空軍パイロットの コルター ステイーブンスが あるとき目が覚めてみると シカゴに向かう列車の中に居た。前の座席にすわって 親しげに話しかけてくる女性は 自分の知り合いらしい。どうして自分が列車に乗っていて クリステーンという女性から ショーンと呼びかけられるのか、全く覚えがない。混乱して、列車の洗面所に駆け込むと、そこの鏡には 見た事のない男の顔が映っている。ポケットの中の財布には鏡に映ったショーンという学校の先生の顔写真が入っている。
その瞬間に列車は火を吹いて爆発。コルターは 吹き飛ばされて気を失う。目が覚めてみると 彼は鉄の箱の中で 座席に拘束されている。
鉄の箱の名は ソースコード。

奇妙な 電気コードばかりが張り巡らされている鉄の箱には、テレビのモニターがあり、キャプテン ゴッドウィンと名乗る軍人の女性が コルターに語りかける。キャプテンはコルターに 乗っていた列車に仕掛けられた爆弾と、爆弾犯を見つけるように命令する。

猶予は8分間。
脳には死亡する直前の 8分間の記憶が死んだ後もしばらく残っている。その記憶に 別人の脳がトリップして入り込むと 死ぬ前の8分間を追体験することができる。ソースはコルターの脳だ。ショーンが死ぬ前の8分間の脳に コルターの脳が入り込むことが出来れば 爆弾犯を捉えて、次の犯行を未然に防ぐことが出来る とキャプテンは言う。
シカゴ警察は、シテイーの中心を走る列車に爆弾が仕掛けられている という予告を受けていた。第1発目の爆弾は シカゴに向かう列車で すでに爆破されていた。ショーンもクリステイも含めて 乗客は全員死亡していた。第2発目は 市の中心を走る列車に仕掛けられ 規模も大きな爆弾だと犯人は言う。もし爆発すれば 被害の大きさは計り知れない。是が非でも 爆発を止めなければならない。
爆破予定時間が迫っている。

コルターは 再び列車の中に送り込まれる。8分間で爆弾を見つけて 犯人を探し出さなければならない。コルターは必死で爆弾を探し出す。爆弾は見つけた。しかし犯人を捜す途中で8分間は過ぎ 爆発。コルターは 何度も 爆弾犯が見つかるまで 8分間ごとに 列車のなかに送りこまれる。
コルターは何度も失敗し、キャプテンと話すうちに 自分が すでにアフガニスタンの空軍戦で死亡していることを知る。しかし、軍は内密にコルターの脳だけを生存させておいて その脳をソースに死ぬ直前の他人の脳にトリップする技術を開発していた。キャプテンの命令は絶対だ。コルターは何度も何度も列車に乗せられて 8分間の爆弾犯探しをさせられる。

コルターは 父親をとても尊敬 敬愛している。自分の脳が生きていることを父親に伝えたいが、それはできない。
彼は、死に物狂いの犯人探しの末、とうとう犯人を捕らえる。ついにシカゴ市内で列車が大爆発することは 未然に防ぐことが出来た。しかしそれまで生かされ利用されていた コルターの脳は、、、、。
というお話。

サイエンスフィクションともミステリーとも言える。面白い映画だ。デ カプリオの「インセプション」同様に 観ている人が 自分なりの理解の仕方ができる。よくわからない映画は それだけ解釈が多様で どんなふうに理解しても許される。

反戦映画「ジョニーは戦争に行った」の先を行っている。手足体を失ったジョニーの脳は生きていた。同じように この映画では 戦闘で体を失ったコルターの脳は生かされていて 死ぬ人の8分前の脳に乗り移って 犯人探しまでやらされる。死んでも死ねない軍の新兵器だ。タイムスリップならぬ、ブレインスリップ。

しかし人の脳は 命令に従うだけのために あるわけではない。人はたった8分間にも 人を愛し 恋して 歓びも哀しみも感じることが出来る。それを、コルターを演じたジェイク ギレンホールは、とても上手に演じている。
人がこんなに悲しかったり、嬉しかったり、怒ったり 愛を求めたりする生きものだった ということが改めてわかる。
コルターが心から敬愛して慕っていた父に コルターの友達だと言って電話をするシーンがある。涙が出る。

最後に コルターが脳の生命装置を打ち切られると知っていて、クリステーンと笑いあって抱き合いながら死んで行こうとするシーンがある。自分だったら8分間だけ命を預けられたとき、何をするだろうと思って、とても切ない。
ジェイク ギレンホール、テイーンのアイドルだった可愛い子ちゃんから、人間の哀しみを体言できる良い役者になった。
おもしろい映画だ。「インセプション」が好きな人、「月に囚われた男」が好きな人ならば 絶対楽しめる。