2007年5月14日月曜日

映画 「CURSE OF THE GOLDEN FLOWER」



ツアン イーモー(ZHANG YI MOU)監督の中国映画「黄金の華の呪い」、原題 「CURSE OF THE GOLDEN FLOWER」を観た。チャッツウッド マンダリンセンターで上映中。 主演、ゴングリー(LI GONG)と、チョーユンファ(CHOW YUN FAT)。

AD 928年の中国皇帝と皇后とその3人の息子達による血を血で洗う 権力争いを描いた映画。 菊の紋章を家系とする皇帝は、部下だった武将に倒され、皇帝の娘は、新しく皇帝になった武将の妻に迎えられて皇后となる。当然、仲の良い夫婦ではない。夫は、父を倒して権力を乗っ取った仇だ。この皇帝夫婦には 先妻とのあいだに、長男、そして夫婦の間にできた男の子が二人いる。皇后は、夫の後継者となる長男を 自分の味方につけておきたいので、肉体関係をもって自分の意のままに繰っている。また彼女は 自分の実の息子、次男を後継者にして、父の家紋 菊の存続を図っている。 しかしそんな皇后の思惑など とっくの昔に 見破っている皇帝は妻を毒殺するために、毎日健康に良いと偽って薬茶を妻に飲ませている。 チャンヤン祭(CHONG YANG FESTIVAL)という、日本の盆にあたる、先祖の死を悼むお祭りの日に、次男は、皇后を擁護して皇帝を倒そうと、万の兵が皇居に向かって反乱をおこすが、敗れて、自死。長男は三男に殺され、三男は父に嬲り殺されて、ついに、世継ぎは誰もいなくなった。皇后は、最後の毒杯を飲み干すように追い詰められる。

こうした歴史映画のおもしろさは、この時代の人がどんな服装で どんな生活様式をし、どんな風に考えていたのか、なかなか本を読んだだけでは 実感としてわからないものが、映像で描き出されると、時代の空気が生き生きと感じられることだ。ローマ時代を、「十戒」や、「ベンハー」で 実感できるように、中国の皇帝も、この映画や、「ラストエンペラ-」「ヒーロー」などで、知ることができる。

それにしても、この20年というもの、中国映画といえば、チャンイーモー監督、女優といえば、ゴングリー。この二人は夫婦だが、6億人の人口をもつ中国に、映画関係者はこの二人しかいないのだろうか?いまだに、ゴングリーは美しく咲く 大輪の花だから良いけど、ツアンイーモーの堕落、大衆路線は、痛ましい。

ツアンイーモーが製作した映画は、1987年の「赤いコーりャン」、それに続く「レッドランタン」、「THE ROAD HOME」、「TRANDOT」、「HOUSE OF FLUING DAGGERS 」、「ヒーロー」、「CROACHING TIGER HIDDEN DRAGON」など。彼の、はじめのころといえば、芸術家や、知識人による民主化運動が厳しく制限されていて、さまざまな制約をはねのけて映画を作ることに 大変な勇気と、ただならぬ反骨精神がなければできなかった。それだけに、初期の作品には、自由への渇望がみなぎっていた。

しかしこの監督が国に認められて、現代中国文化の大御所として とりこまれ、国民的英雄になってしまってからの彼の作品は ただの娯楽作品だ。まあそれも良い。時代は変わるし、人も変わる。

この映画は、莫大な資金と、万人規模の役者を自由に使って、壮大な資金の浪費をして作られた。ただただ、スペキュタクラー!!! どっどっどっと、地響きをたてて、何万人かの謀反の軍団が、皇居を埋め尽くしたかと思うと、つぎには、そのせ数倍にあたる人数の、政府軍がワーっとやってきて、全部殺して、、、すると、とっとっとーと、掃除人夫が 全部死体をかたずけて、それから、さっさっさー、と たくさんの 花をもった女達がその上を、きれいな花で埋めてしまう、あっという間の手際の良さ。ウーン。まいった。

しかし、ゴングリーは いまだに美しい。20年あまり、中国を代表して、トップを走り続けている。「芸者さゆり」では、若いチャンツイー(ZHANG ZI YI )の美しさと、互角で張り合っていた。この人の若々しい体と 30代はじめとしか思えない美しさは、いったい何なんだ。秘訣を教えてほしい。