2012年4月9日月曜日

初めての外国人が参加する東京見物



朝、いつものように6時に起きて、ホテルの朝食をとるためにカフェのある階下に下りる。ブッフェ朝食一人2300円、、高い。オットはコーンフレークにトースト2枚、オレンジジュースと果物、といつも家で食べているものと同じ朝食そのまま。無いのがパパイヤ。1年365日 パパイヤを食べてきたのに それが無い。日本の気候ではパパイヤは育たないから、、、と どうして私が謝らないといけないのかわからないが、一応謝っておく。でもオットはうれしそうに缶詰のフルーツポンチを食べてご機嫌。「日本は何もかも綺麗で静かだね。」と、昨日から同じ言葉を繰り返して感激している。

私は白いニッポンの御飯と海苔と佃煮、漬物、焼いた鮭とサワラ、味噌汁に大感激。ああ、ニッポンの御飯があれば、味噌汁も漬物もおかずも無くても嬉しい。塩をかけただけでも良いぞ。同じ日本から持ってきたコシヒカリやアキタコマチの種をもとに オーストラリアで育てられたオージーコシヒカリやオージーアキタコマチが 少しでも冷めるとポロポロになって不味くなるのはどうしてだろう。ニッポンで焚いたニッポンのお米は本当に特別だ。目を丸くして眺めているオットにかまわず、御飯のまわりにいろんな佃煮、ふりかけ、鮭フレーク、昆布、沢庵、梅干を乗り切らないくらい載せて、焼き海苔でくるんで これ以上は入りません というまで食べる。君は食が細いね、、といつもオットは 言っていたが、食が細いのは大味なオージーフードだからでしょ。ちゃんとした日本食ならば相撲取りと同じくらい食べられる。ズボンのボタンを外したところで、迎えに来たバスに乗る。

東京駅の「はとバス」乗り場でバスを乗り換えて、東京タワーへ。
東京タワーの展望台からも富士山が見えた。バスの乗客は、ドイツ人夫婦、アメリカ人3人組、ニュージーランド人老夫婦、子供3人連れたオージー家族、娘連れのインド人夫婦、アイルランド人男カップル、おまけに中国人ガイドをつけた12人の中国人。なんで、英語ガイドつきの外国人ツアーに英語が全く通じない中国人団体が便乗しているのか、原因不明。
英語ガイドは中年男性で、揺れるバスの中、ホワイトボード片手に日本の文化や言葉について、とてもよく説明してくれた。

東京タワーから皇居見物に向かう途中、ガイドがこれから皇居に行きますが皆さんは天皇や皇族たちと会うことはできません。と言うと、オットが、「どして?」と、無邪気に聞いたのには笑った。ガイドは予期せぬ質問に、冷や汗をかきながら 国民でさえ一年に2回、正月となんだかの日にしか天皇には会えません、、、と答えている様子が必死で、おかしかった。オーストラリアの元首はイギリスのエリザベス女王だが、人々はことあるごとに女王をこき下ろしたり皮肉で笑ったり、日本の皇族よりは自分に身近な存在として捉えている。
皇居の何だか門で下りて、バスが駐車できないので、歩きなさいと言われ、列の最後尾で足を引きずるオットを抱え、バスに乗り遅れそうになる。バスで皇居を一周してくれるわけではないから ツアーでは皇居の大きさがわからない。お堀端の門で止まって周りを見渡しても、高いビルが聳え立つばかりだ。バッキンガムの護衛兵交代を見物する価値はあるが、皇居前広場の30分は何だったのか よくわからない。バスにもどると、12人の中国人が、アキヒト、マサコ、アイコ、、と、大きな顔写真を次々に手にとって、大声で唾飛ばして中国語でわいわいやっていた。親日本中国人の間では 日本の皇族はハリウッドの俳優なみの人気らしい。

次は浅草。オットはニコンD5000を首から下げていて、それが嬉しくて仕方がない。バスを降りたとたん入り口横のお賽銭入れの小さな建物でカメラを構えて動かない。皆はとうに本堂に向かっていて、完全にツアーからは落ちこぼれた。お寺の本堂にたどり着くまでには 小さな祠や、小ブッダや 賽銭箱などいろいろな珍しい建物があるが、まず本堂に向かわないと、、、とオットを説得して 入り口の門をくぐり、ご利益の煙をあびて、本堂に向かう。
オットのためにニコンD5000を買ったのは、2年前だが、その二年間にオットがこれを使ったのは、西オーストラリアを旅行したときだけで、今回の旅行が2度目のカメラデビューだ。目が悪いから 対象を見つけ、映すまでに、時間がかかる。動く相手ならポーズを取ったまま、待たされすぎて完全に怒っているから、笑顔で取れた写真がない。動かない対象なら はじめのうちは人々がレンズの前を空けてくれているが、余りに時間がかかるので通行人が横切り、人は動く。シャッターを押した時には レンズの前を通り過ぎた人の横顔アップだったりする。それでも、ニコンは、オットの宝だ。以前、使わないなら二人目の赤ちゃんが生まれた娘にあげなさい、、と命令したとき、「わかった。あげましょう。」と言う目に キラッと光る水滴があり、その案は取り下げた。以来、ニコンはオット以外誰も触らない。

浅草から秋葉原へ。そこで私達は はとバスとサヨナラして、タクシーで神楽坂の料亭へ。兄のはからいで、兄夫婦、姉夫婦と会食する。どこに行っても、誰に会っても、何を食べても いつもニコニコ笑っていて 気の利いたことを言うでもなく、人や出された料理を褒めるでもなく、けなすでもなく なんでも嬉しくてただ、ニコニコしている。だが、それがオット。それで良い。そのために日本に来たのだから。