2011年7月19日火曜日
映画 「ハリーポッター死の秘宝 パート2」
映画「ハリーポッター死の秘宝 パート2」、原題「Harry Potter and the Deathly hallows;part2」を観た。
http://www.imdb.com/title/tt0926084/
製作:デヴィッド ヘイマン
監督:デヴィッド イエッツ
原作:JK ローリング
キャスト
ハリーポッター :ダニエル ラドリフ
ハーマイオニー グレンジャー:エマ ワトソン
ロン ウェルスレー :ルパード グリント
ヴォルデイモート卿 :レイフ ファインズ
10年間 ハリーポッターを観て来た。今回が8番目の作品で これでストーリーが終了した。8つの作品というと、2001年の第一作 「賢者の石」、第二作「秘密の部屋」、第三作「アズカバンの囚人」、第四作「炎のゴブレット」、第五作「不死鳥の騎士団」、第六作「謎のプリンス」、第七作「死の秘宝パート1」そして「パート2」だ。
スコットランドのエジンバラで生活保護を受けていたシングルマザーだった、JK ローリングが 書いて出版した作品を デヴィッド ヘイマンが見出した。1997年刊行から、7巻で終了するまで ずっと世界中でベストセラーを誇った。4億5千万部の本が売れ、世界中の子供達に愛された。分厚い本を夢中になって読む小学生の姿に感心しながら、自分でも夢中で読んだ。これはおもしろい。
8作品のなかでは やはり第一作の「賢者の石」が一番印象に残る。
孤児で いじめられっこだったハリーが 俗悪物の叔父さん宅で 寂しい思いで迎えた11歳の誕生日に、自分が魔法使いだということを知らされる。ホグワーツ魔法魔術学校に入学を許されて キングルクロス駅から 壁を破って 魔法学校行きの列車に乗り込む。そして、ハーマイオニーとロンと親しくなって、ともに魔法を勉強するうちに、自分の額にある稲妻の傷の由来と 自分の両親が殺された事実を知らされて ダークロード、闇の世界と戦う決意をする。
11歳の美少年のハリーと、小生意気なハーマイオニーと、お人よしのロンとロンの家族、ダンブルトン、すべての登場人物が生き生きとして 巧みに描かれている。感嘆したのは 魔法のお話のストーリー性だけでなく 随所に出てくるデテイルの緻密さだ。不思議な魔法の動物達、移動に使うホウキ魔法の杖 ひとつひとつに もっともな説明がつく。
魔法の使い方も、理論と技術と実践と練習の積み重ねをしないと、とんでもないことになる。ドラえもんはいつでもどこでも 竹コプターや どこでもドアや自動翻訳コンニャクを出してくれるが、ハリーポッターの魔法は 練習したからといって、誰にもできるようになりはしない。理論の学習と練習の積み重ねを経てやっと使用できる。 悪の魔法の世界に脅されながら 習ったばかりの魔法を3人が 知恵を出し合いながら駆使する。味方も敵も 魔法使いだから 信頼していた先生が敵だったり、3人の結束も時として怪しくなったり、、。
魔法学校のスポーツ クィデイッチ競技もおもしろかった。地上にはないルールで空を駆け回る。
次々とハリーたちに課せられる困難な課題に、ハリーは ハーマイオニーとロンの助けを借りて 辛うじて応じることができる。いつも問われる3人の結束。この3人にとって、友情が第一であって、親ではない。この作品の独特の心地よさ、乾いた空気が一体なんだろうか と思って考えてみたら 思い当たるのは3人の自立心の強さ、親との距離だと、思い当たった。
11歳のハリーは孤児だが、魔法で両親に会えても ベタベタしない。親のほうもハリーを励ますだけだ。ロンの両親は むしろ孤児のハリーに優しくする様に勤めていて ロン自身も親に甘えない。ハーマイオニーも、マグル(人と混血の魔法使い)ゆえに、両親の命が危険にさらされると 迷いなく両親の記録や記憶から 自分を完全に消え去ってしまう。自分から親を失くしても 取りすがったり泣いたりしない。親と子の関係が とてもさらりとしていて、センチメンタルな情感が左右しない。とてもイギリス的なのだ。このイギリス人の親と子の距離感と子供達の自立心の強さが、とても心地良い。
今回の映画で 初めて味方がか敵なのか なかなかはっきりしなかったホグワーツ魔法学校の スネープ先生とハリーの母親との関係がはっきりわかった。彼は嫉妬に狂ってハリーの敵に 身を売ったのだ。こんなスネープに殺されてしまったダンブルトンが惜しまれる。
宿敵 ダークロードのヴォルデモードとハリーの決戦で、一瞬 ハリーは 臨死体験をして 死の世界で恩人ダンブルトンに会う。でもダンブルトンは ハリーを地上に送り返すのだ。
ヴォルデモードの恐ろしさ。本当の悪そのものだ。邪悪の蛇の不気味さ。死喰い人たちの追撃。ヴォルデモードを演じたレイフ ファインズが すごく怖い。鼻のない顔が不気味だけれど、あのハンサムな役者の高い鼻は、化粧の下でどうなっているんだろう。
気弱でいじめられっ子だったネビルが 男らしくなって大活躍する。彼が邪悪のもとの蛇を断ち切らなかったら ハリーたちに勝ち目はなかった。ハリーの最初の初恋の少女チョウ チャンも出てきた。壮絶な闘いのなかで、ハーマイオニーとロンは心を一つにする。ドラゴンもでてきて、3人を乗せて空たかく飛ぶ。大蜘蛛も巨人も出てくる。最後だから、登場人物が全部出てきた。
ロンの双子のお兄さんは 戦闘で死ぬ。ヴォルデモードと死喰い人達との戦いは たくさんの犠牲を出した。しかし分霊箱を破壊したハリーは戦いに勝つ。
本当に3人はよくやった。同じ年頃の子供達にとって、等身大で悩み 苦しみ傷ついて 乗り越えていく3人の姿が 大きな励ましになったに違いない。
JKローリングは、たぐいまれな ストーリーテラーだと思う。
「スターワーズ」より、「ロードオブザ リング」より、「ナルニア物語」より、「パイレイツ オブ カリビアン」よりも 物語性、映像、音楽、役者たち、全ての面で優れている。とても満足した