2011年2月17日木曜日
ジェームス キャメロンの映画 「サンクタム」
「タイタニック」で泣かせてくれて、「アバター」で、新時代の映画テクニックを鮮やかにみせて度肝をぬかせてくれたジェームス キャメロンの新作「サンクタム」3Dを観た。原題「SANCTUM」で、密室とか、聖地とか 神聖な場所という意味。
同時に 大型映画館アイマックスでは、「タイタニック3D 海底のゴースト」、原題「TITANIC 3D GOHSTS OF THE ABYSS」という題名の 彼のフィルムの上映が始まった。2001年に「タイタニック」を作ったときに 役者のビル パックストンとともに、撮影隊が 沈んでいるタイタニック号探索のために潜水したときのドキュメンタリーフィルムだ。これは映画には使われなかった45分間の記録映画。1912年にイギリスからアメリカに向かって航海中に 氷山に当たって、沈んだ船には、宝物も亡くなった人の骨もそのまま手付かずに残っていると思われる。100年間ちかく沈んでいたタイタニック号の眠っている姿は、さぞ神秘的だろう。アイマックスの大画面で3Dで観たら、迫力満点にちがいない。
映画「サンクタム」の方は いちおうスリラーという分野に分類されている。
製作:ジェームス キャメロン
監督:アリスター グリアソン
キャスト
隊長フランク:リチャード ロスベルグ
息子ジョシュ:ライズ ウェイクフィールド
助手カール :ローン グラフト
カールの恋人:アリス パーキンソン
ストーリーは
南太平洋のエサアラ洞窟(ESA-ALA CAVE)は 世界最大規模の洞窟と思われるが その全容は まだ探検しつくされては居ない。この 地上から数百キロ下降したところに入り口がある洞窟内の すべて地形を明らかにして、太平洋に通じているはずの 経路を明らかにすることで 初めて洞窟の全容がわかる。
野心と探究心に燃える 隊長フランクに率いられた探検隊は、何ヶ月も洞窟にこもっている。洞窟が通じているはずの 海までの道を見つけ出すことが当面の目的だ。しかし、洞窟の中は複雑を極めている。ひとつの道を発見すれば突き当たり、洞窟から洞窟まで潜水してたどり着いてもまた 行き止まりという状況を繰り返していた。
隊長フランクのもとに 助手カールが冒険好きの婚約者を連れて やってくる。案内役は フランクの17歳の息子ジョシュだ。息子は家庭を顧みないで 洞窟にこもってばかりいる父親に反感をもちながらも、父の力になりたいと思っている。
一行は ヘリコプターで ジャングルを切り開いた山のてっぺんに降り立って、洞窟の入り口からパラシュートで洞窟内に降り立つ。ベースキャンプのある中ほどまで数キロ 岩を越えロッククライミングの要領でひたすら 地底に下る。
そこに大型のサイクロンが襲う。多量の鉄砲水が流れ込み 地上に戻る為の経路が破壊された。地上に戻る道は失われてしまった。洞窟の中に残ったのは 隊長フランクと息子と 助手カールのカップルだけだ。一行は洞窟の奥へ奥へと入っていく。海に至るまでの逃げ道を探し出さなければならない。そして一行は、、、。というお話。
洞窟の中が美しい。何万年もかけて、自然が作り出した芸術品。
しかし、探検に女が加わると どうしてストーリーが こんなにバカっぽくなるのだろう。女は馬鹿だ、といわれているようで 腹立たしい。冒険好きだけどダイビングが得意ではない、死人からダイバースーツを剥ぎ取って着る事を拒否したため低体温症で動けなくなる それでいて「あたしには これできないわ。いやーん。」などと 生きるか死ぬかの瀬戸際に 言っている。「もう、、、やめろ!!!まったくイライラする。」
おまけに、ストーリーは 単純で、「なんだ!」というような内容。
しかしジェームス キャメロンにとって 話の筋なんて どうでも良かったのだろう。洞窟の中の美しさ。水の中の神秘。彼は これに魅惑されている。
本当に 洞窟の中の水が美しい。地下深いので ライトがないと見えないが、青い真水を潜水する。この先がどうなっているのか わからない。酸素ボンベの残量と脱出との戦いだ。狭い通路を潜り抜ける時 酸素ボンベなどの装備を損傷することは直接 事故死に直結する。いつも強力な 指導力で人を率いてきた父への尊敬と反発、愛と憎しみ、信頼と背反。17歳のひ弱な青年が 死を目前にして、一人前の男になっていく様子が良い。
3Dの大画面のなかで、観客もみな水浸しになって水底に沈みながら 出口は、出口は、、、と わずかな希望を手繰り寄せながら 苦しい呼吸を繰り返していく、そんな体験のできる映画だ。平日の朝10時、ひとりで 他に誰も居ない映画館で観た。前から3番目 中央の座席、画面の水を真正面からあびて ぬれねずみになったり 水中を浮遊したり、洞窟探検を堪能した。
タイタニック以来、海底に魅せられてしまった ジェームス キャメロンの海への思いが 充分伝わった。ヒマラヤも 南極も北極も秘境やジャングルも冒険者達によって 走破 探検されつくしてしまった。洞窟もしかり。それでも未踏の地 まだ人に知られていない サンクタムを求めて冒険者は留まることを知らない。
ストーリーを大切にする人には この映画はつまらない。でも海の好きな人 海底探索や洞窟探検が好きな人には楽しめる。3Dで 迫力があるので、3D眼鏡と 水着とタオルを持って、どうぞ。