2025年4月23日水曜日

B-2 スピットステルス爆撃機

米軍は英国領デイエゴガルシア島に、B-2スピットステルス爆撃機を配置した。アフリカとアジアの間にあってインド洋に浮かぶチャゴス諸島のひとつだ。この戦闘機は全翼式ジェット戦闘機で1機20億ドル、同じ重さの金と同価格というほど、高価で高性能な戦闘機だ。
2023年10-7以降、米軍はパレスチナを攻撃するイスラエルを支援するために、紅海に空母を派遣していたが、今回デイエゴガルシア島に、最新鋭の戦闘機を配備したということは、いよいよターゲットをイランに向けて、戦争準備態勢に入ったことになる。
米軍はサウジアラビア、オマーン、UAE、ヨルダン、シリア、イラクに米軍基地を持つ。米国は中東の安全維持のため、と言いながら他国に戦争を仕掛けては、その国の油田の権益を奪い取り、米軍基地を作ってきた。
CIAの誤った情報に従いオサマデインラデインを匿っていると理由を付けて、米軍は2001年9月にアフガニスタンに空爆を開始し、2021年まで実に20年もの間、傀儡政権を作り戦争を続行し、17万6千人のアフガニスタン人を殺害した。また2400人のアメリカの若者を戦死させ、3800人の米国民間軍事会社の傭兵を戦死させた末、みじめな米軍撤退という名の戦線逃亡をした。そして何万ものアフガンの米軍協力者や米軍が訓練した政府軍を置き去りにした。ブッシュ、オバマ、トランプ、バイデン大統領は、この戦争犯罪人だ。
2003年にはイラクに大量兵器があると言う理由で、サダムフセインを倒すためにイラクを爆撃し、100万人のイラク人を殺戮、イラクの総人口の5%を失わせた。英国イラク調査委員会は、2016年、イラクへの参戦は不当だった、と結論した。米英軍によってサダムフセインは殺されるべきではなかった。
2011年カダフイ大佐をリビアから追放するために、オバマ大統領下の米軍はリビアを9700回爆撃し、カダフイ大佐を殺害し数十万人のリビア人を難民しし、国を2分してリビアの世界で最も良質だったオイルと天然ガスの基地を奪った。独立の英雄として優れたリーダーだったカダフイ大佐は決して殺されるべきではなかった。
2011年オバマ大統領下の米軍は、シリアでもアサド大統領を失脚させるためシリア内戦に介入し、国を2分して主要な油田を占領した。ダマスカスが陥落し、アサド大統領が失脚したのち、モハメドアルシャウラが暫定政権を取ったが、一方で米軍に支援されたイスラエル軍は危機に乗じて、ゴラン高原を占拠しユダヤ人の領土を拡大している。アサド大統領を失脚させるべきではなかった。
2015年から、オバマ大統領下の米軍は、イエメンでサウジアラビア主導の連合軍に関与しイエメンを空爆、この時の攻撃だけで50万人のイエメン人が命を失っている。現在は、イスラエルの組するフーシ派が、紅海で商船を攻撃している、という理由で米軍は直接イエメンに空爆を繰り返している。
2024年9月には、レバノンのベイルートで、イランの宗教指導者ハッサンバスララを空爆で殺害し、米軍を後ろ盾にしたイスラエル軍によるレバノン地上侵攻戦で、数千人の死者を出した。卑劣な通信機器の一斉爆破では、37人の死者、4500人負傷者を出した。これに米国のCIAが関与したことを認めている。10月にはレバノンへの地上侵攻が始まり戦闘が続いている。ハサンナスララはイラン人の心の支えであり、殺されるべきではなかった。
米軍はアフガニスタン、イラク、リビア、シリア、イエメンで、200万人を超える殺人を行ってきた。その土地で戦争を仕掛けて殺しまくって米軍基地をつくり、油田を強奪する。米国は一時として戦争を止めたことがない。武器製造会社が国の経済を支えている。地中海沿岸にはまだ手つかずのオイルと天然ガスが埋まっているからだ。
サウジアラビア、オーマン、UAE、ヨルダン、シリア、イラク、そしてデイエゴガルシア島の米軍基地が、ぐるりとイランを囲んで、さらなる中東諸国のオイルを奪おうとしている。
日本は、どんなことがあってもこれに加担してはいけない。
殺すな!
(写真は、1機20憶ドルのB-2スピリットステルス爆撃機)



2025年4月9日水曜日

肋骨骨折

人には痛みに敏感な人と鈍感な人が居て、私は鈍感。
その朝は、職場で若い人たちへのトレーニングがあって、とても忙しかった。仕事が終わって、家に帰ってやれやれと、夕食後のニュースを見ようとしたら、少し前から左胸が重かったが、突然ひどく痛くなって呼吸ができない。心臓をわしずかみされている感じ。浅い息を吸うが息が吐けない。鉄の腕でで心臓が掴まれて、痛くて両手で強く抑えていないと、胸から背中に放射する痛みが強くて立っても座っても居られない。血圧を測ってみると上が200近く、脈も信じられないほど速い。
これって心筋梗塞だよね。じゃなかったら急性肺炎か気胸か。浅い息で地面を這うような姿で車に辿り着き、へろへろ運転で2ブロックほど先の救急病院に到着。受付で胸痛を訴えた。
オーストラリアでは、死因の第1番がハートアタックなので、私のような老人が胸痛を訴えると、トリアージナンバーワン、すぐに心電図、血液検査、レントゲン検査に回される。
救急室はあっちでもこっちでも血を流したり、吐いている赤ちゃんや、鼻が折れて変形した顔の人や、泣いている救急患者に挟まれて、待つこと3時間。

結果は何にも悪くない。けれどお家に帰れない。以前、私が病院の心臓外科病棟に勤めていたことがあるのを知っている若い女性のドクターは、何故かわからないけれど、胸痛が収まらない患者は、家に帰したがらない。その胸痛は前兆に過ぎなくて、家に帰したとたんに大発作が起こって翌日死んで見つかるかもしれないからだ。再検査で再び2時間待つが、結果は良し。救急室で5時間待って、検査結果が良いのに痛みが治まらない。
どうしてだろうねーと、検査結果の画面をドクターと二人で眺めながら不思議不思議。ところで、その顔のアザは何なの?と聞かれて、ウーム、思い出した。今朝、職場に向かって入り口で蹴つまずいて転んだのだった。硬いコンクリート道路で倒れて左側の頬と、肘と手と膝小僧と腰を打った。でも忙しくてすっかり忘れていた。

「そっか、肋骨を打っていたんだ。なあんだ、肋骨骨折じゃん。」と女医さんと一気に「謎」が解けて大笑い。ハイタッチに、ばんざい。わっはっはと笑いあって、やっとお家に帰れる嬉しさでぴょんぴょん跳ね上がりたい気分。肋骨骨折の診断が下って、大喜びする女医と患者の姿も珍しいだろうが、心臓じゃなくて良かった。肋骨骨折の治療法はない。休めば治る。
嬉々として、でも痛くて空気中をクロールで半分溺れながら泳ぐような姿で帰宅して3日間、何もせず自重していた。食べて寝るだけの3日間。4日後には、娘たちの誕生会ランチのため、家族全員がそろう。家族に迷惑が掛からなくて良かった。
年寄りのひとり暮らしは充分楽しいが、それなり、小さなドラマもあったりしてはらはらする。

LADY GAGA「ALWAYS REMEMBER US THIS WAY」
レデイ―ガガのこの曲は、一緒にバンドをやっていた男の子が死んでしまって、女の子がそれを思い出して歌っている。自己流の訳は以下。

アリゾナの焼けるような太陽に、目が沁みて痛い。 あなたが私を見る目に燃える火を見たい。  カルフォルニアに埋まってる金みたいに 自分で見つからなかった自信を、あなたがくれた。  だから息が詰まって、言葉が見つからない。   いつもサヨナラを言うたびに、とても傷ついた。  陽が落ちる時、バンド演奏が終わる時、いつも私たちのことを思い出す。
夜、恋人たちは詩を口ずさむ  私たちは韻をふむやり方も知らなくて  だけど あなたはどこにも行かないということ   私の一部分だもの   あなたは絶対死んだりしないって
私は息が詰まって言葉が見つからないとき  いつもサヨナラをするとき とても傷ついた   陽が沈むときバンド演奏が終わってしまっても  いつもみたいに  こうやって思い出す。





2025年4月1日火曜日

トランプのロシア、ウクライナ間の停戦案

バイデン前米国大統領が無条件でウクライナに送った、総額1197憶ドルの武器代金を回収するために、トランプ現大統領は、ウクライナの鉱物収益分配協定への調印をゼレンスキー大統領に求めている。
トランプの意向を受けて、スコットベーセント財務長官が、ゼレンスキーに調印を求めている18項目の協定は、ウクライナを米国に売り飛ばすような協定だ。協定には、ウクライナのレアな鉱物だけでなくウクライナ全土の石油、ガス、未開発鉱床を含む全部の鉱物を、無期限に米国が採掘権を持ち、管理するという酷い内容だ。これにゼレンスキーがサインすると、ウクライナは米国の植民地になる。
ここに来て、ゼレンスキーが協定にサインする代わりに、NATOに入れてくれる約束はどうなったのか、トランプに聞いたら、彼はそんな約束はない、と激怒したという。

しかし事実は今年の1月に、英国ストーマ―首相とゼレンスキーとの間で、ウクライナの地下資源を英国と共同で開発し、英国が100%負担して利益を取るが、その代わりにウクライナの安全を保障する、という2国間の合意ができていた。もちろん英国はウクライナを単独で守らない、空約束だ。
安全を保障しないが、今までの武器費用を返済しろと迫る米国と、安全は保障するが鉱物は全部英国の物だと言い張る英国。

トランプは、もう一方のロシアの大統領プーチンにも激怒していて、どうして停戦しないのか、と恫喝している。トランプの停戦案をロシアが飲むわけがない。まず停戦して、NATO 軍を両国の間に平和維持軍として送る、というとんでもない提案だ。EUからの軍の派遣は、そのままEUの参戦を意味する。今までウクライナに武器を送っていたEUが、中立の立場で停戦を維持するわけがない。ロシアに対し開戦することになって、戦線拡大以外の何でもなくなり、EUは国境監視団、平和維持軍という名の攻撃型最先鋭の兵をロシアに送るだろう。仏国、英国、独国の要請を受け、求められたならば、オーストラリア政府まで平和維持のために派兵するとアルバニー二首相は言った。冗談ではない。

クリミア、ドネツク、ルハンスク共和国の独立を認め、ロシアにもウクライナにも帰属しない自治権を認めることを、ロシアのプーチンは開戦前から主張していた。彼らのことは彼らが決める。ウクライナは手を引くべきだった。また、ゼレンスキーはNATOに入れてもらって米国基地と英国基地のもつようになる夢を見るべきではなかった。
ロシアもヨーロッパ各国も、英国も、みんなみんなウクライナのオイル、ガス、鉱物を欲しがっている。それを武器産業が煽って戦争が起きて、また停戦という名の戦線拡大が起きつつある。

国家とは、国民に安全と平和を守り、それぞれの生活と命を保障する義務があるにも関わらず、、、。
なんということだろう。エイプリルフールでも笑えない。

2025年3月31日月曜日

50年前の日本の職場

日本の学生も、有配偶女性も103万円の年収を超えると、所得税の支払いが発生し、親や夫の会社からの手当の支給が無くなる。また収入が130万円を超えると、収入全体に掛かる15%ほどの社会保険料を払わなければならない。
だから、
税金も社会保険料も払わないで済むように、学生も主婦も、月に10万円程度の給料以上にならないように、時間を調整しながら働いている、という。
また5千人以上の大企業で働く女性の70%が非正職員で、同じ5千人以上の大企業で働く男性の70%が正社員という雇用形態を保っている。女性がいかに優秀でも時給1000円で働け、学生は親に、女性は夫に食べさせてもらえ、ということのようだ。
男女差別の醜い日本。

50年前大学でマスコミを学び、小さな業界紙新聞社に入り、女性の編集記者は初めてと言われ嬉しかったが、醜いセクシャルハラスメントを受けて1年後に退社。ずっと女性が働ける職場と思ってナースになった。悲しかったのは、新聞社に入社したとき、5人の男の新入社員同士で、ものすごく結束して仲が良くて、互いに新米で叱られながらも強い友情で結ばれていた。だけど1年後に社長からハラスメントが起きた時、嘘のように5人の結束が消えてみんな瞬時に離れて行って、孤立無援になったことだ。誰も話を聞いてくれなかった。今思い出しても胸が痛い。

オーストラリアに移住して30年目に入る。いまもナースをやっていて、オージー同僚たちに、日本の自慢話をしている。
実際日本の都立病院に居た頃、美濃部都知事の計らいで、ナースの為には寮も、保育所も確安で用意されていた。大きなナース用のロッカーがそれぞれにあって、その日に着た白衣は、備え付けのエアシューターで地下3階に送ると、翌々日にはパリっとアイロンがかかった綺麗な白衣が届けられた。風呂もシャワーも完備していた。「白衣をドーンとエアシューターで落っことすと、ピューンとアイロンのかかった白衣が届くんだよ。クリーニング代無料だよ。50年前の話だよ!!!」と言うと仲間の誰もが目を丸くして「日本ってすごい」と感嘆してくれる。その病院で2人の娘を持ち、職場の高い窓から下を見ると、よちよち歩く娘たちを含めた幼児らが病院のテニスコートで遊んでいるのが見下ろせた。真冬でも半そで短パンの幼児たち。幸せだったころの話。そんなのをオージー同僚はしっかり羨ましがってくれる。日本も良いことろが沢山あった。
しかし制度的にはこの半世紀、50年もの間、何も変わらず、女性は男性に食べさせてもらわなければ生きてこられないという、なんという差別社会。

オーストラリアでは正社員の時給より、非正職員の時給がずっと高い。非正職員には、年次有給休暇や有休の病欠がないので、当然だ。私は年6週間の有給休暇は絶対きっちり取る。
最低賃金は正職員で時給$24.10(2506円)、非正職員で$30.13(3133円)これはワーキングホリデイで来ている若い人も、バイト学生も共通で、最低賃金を守らない雇用主は罰せられる。
給料のほかに、給料の12%を雇用主は、それぞれの職員の積み立て年金に入金する義務がある。また12%は自動的に国民健康保険に引かれる。税金額も20%くらい引かれる。額面と実際の受取額のすごい違い! だから毎年給料アップを求めてフツーにデモをやる。
こうしてこの国で30年近く働いてきて、職場のセクシャルハラスメントや男女差別は感じないが、パワーハラスメント、ボスからの虐め、管理職のポジション争いの醜いやりとりは、しっかりある。自分が働く目的意識を持ち、常に向上意識をもたないと、蹴落とされるし、職場に留まっていられない。それは、どんな職場にも言えることだと思う。働くと言うことは、生きる事、男でも女でも大変だ。

日本で、職場や地域社会にセクシャルハラスメントを受けた人が、駆け込めるような場がないことは間違っているし、、、非正職員の時給がが正職員の時給より安いなんて絶対、間違っているし、、、シングルマザーが保育園や学童保育に子供を任せて働けないような地域社会は、間違っているし、、、仕事の悩みで自殺者が出るようなことは全くもって、間違っている。
性別に関係なく、年齢に関わりなく、学歴に関りもなく、熱意を持った者が快適に職場で働きながら、結婚したり、子供を持ったり、離婚したり、定期的に旅行したり、職場の仲間と誕生日を祝い合ったり、年を取っても大学で学びなおしたり、趣味を楽しんだりできる社会が、ぜんぜん間違ってないのだ。

2025年3月12日水曜日

アンチセミチズム法

豪州のNSW州では、この2月に、アンチセミチズム法という新法が施行された。
アンチセミチズム:反ユダヤ主義という民族差別行為を取り締まり、ユダヤ教信者が安心してシナゴクで宗教行事ができることを目的とする。
ガザでイスラエル政府によるパレスチナ人へのジェノサイトが止めようもなく、5万人の犠牲者が出ている状況で、パレスチナ支援の声が広がっているが、ユダヤ人団体の圧力に負ける形でこのような規制が法制化された。これで豪州のユダヤ人は特別に保護される対象になった。

パレスチナを支援することは決してアンチセミチズム(反ユダヤ思想)ではない。現在の狂信的イスラエル政府によるシオニズムを批判しているのだ。にも関わらずパレスチナへの人道的支援を呼びかけ、イスラエル政府を糾弾する動きに、アンチセミチズムのレッテルを張って規制しようとする動きが急速に進んでいる。
豪州では先住民族アボリジニが、総人口の2%を占めるが、それ以外の、98%は主に欧州からきた移民で形作られた国だ。その中には長い歴史の中で欧州で差別されてきたユダヤ人もたくさん新天地を求めて豪州にやってきた。総人口のうちユダヤ人がどれくらいの比率を占めるかの統計はないが、ユダヤ教を信ずる人口は、豪州の総人口の、0.4%とされる。わずかなそれらの人々を保護するためにアンチセミチズム法が新設された背後には、右傾化する世界情勢と、増えつつあるイスラム教徒の勢力を制したい政府の意思がある。ユダヤ教信者に比べれば、豪州ではムスリム人口は、少なくとも10倍いる。クリスチャンの国だから、ムスリムへの嫌悪感もあるだろう。

法規制ができた切っ掛けは、1月にシドニー東部ドーバーハイツのシナゴクが放火され、ユダヤ人宅の塀に落書きがされ、家の前に駐車した車2台に火がつけられた事件だ。これは3月10日になって犯人が14人逮捕され、アンチセミチズム法とテロリスト法で起訴されるようだ。報道ではムスリムのテロリストによるものとされている。

また2月13日にシドニーの公立病院で、男女2人のナースがソーシャルメデイアでユダヤ人インフルエンサーと会話をしていて、「私たちはユダヤ人はケアしない。そうよ殺すわ。」と軽口をたたいたビデオが大々的に公表され、ナースたちは逮捕起訴された。若者同士の軽口とソーシャルメデイアの影響の大きさを示すものだが、これ以来ナースへのアタック、公立病院への人々の不信と不満で私の職場も影響を受けた。

また政府はこういった事件を機にムスリムへの規制を明らかに強化している。昨年イスラエル政府は、パレスチナガザのハマスをサポートしていたレバノンヒズボラの宗教指導者、ナスララ師を暗殺した。イスラエル軍は、1トン爆弾を、80発投下して彼のいたヒズボラ本部を破壊し彼を殺した。ナスララ師はレバノンの政治リーダーというよりも宗教指導者として人々の信心の支えだったから、彼を暗殺した罪は大きい。2月24日彼の葬儀がレバノンのベイルートで国家行事として行われたが、豪州政府はこの葬儀に参加するために国外に出た人は、二度と豪州に戻ってこられないように、ビザも永住権もはく奪する、と発表した。ムスリムは心の支えだった宗教指導者を悼むこともできなかったのだ。

アンチセミチズム法が出来て、テロリスト法もできて、うっかりユダヤ人をサカナに軽口をたたくこともできなくなった。
こうして社会の監視が強化され、報道管制と言論弾圧が進行していく。
ユダヤ人で冷酷無比の守銭奴、スクルージを皮肉ったデイッケンズのクリスマスキャロルは、アンチセミチズムか?
あくどい金貸し老婆は生きてる価値がないと、ラスコリー二コフに思わせて殺させた、ドストエフスキーはもう読まれないのか????

2025年3月11日火曜日

腐敗するウクライナ政府とNATO

ウクライナ、ロシア間の戦争が始まり、3年目に入った。
開戦前、もともとウクライナのルハンスク州の3分の1、ドネツク州の半分の市民は、親ロシアでロシア国内のパスポートを持ち、ロシアの国政選挙には、国境を越えて投票しに行っていた。かねてからプーチン大統領は、ルハンスク、ドネツク人民共和国の独立を承認するように、ウクライナに呼び掛けていた。

しかしゼレンスキー大統領は、2021年10月ロシア、ウクライナ間のミンスク合意を破り、親ロシア地域をドローン攻撃し2600人の市民を殺害した。
火種を持ち込んだのは、ブッシュジュニア大統領で、ウクライナを、NATO軍に加盟させようとして内戦を拡大させた。1990年ドイツ統一の際には、米国がロシアに「NATO軍の管轄は1インチも東に拡大しない。」と確約した約束を簡単に裏切ったのは、ブッシュからオバマまでの米国大統領だった。
ルハンスク、ドネツク人民共和国のことは、国民投票で独立するのか、ウクライナに帰属するのか、住民の彼らが決めることだ。ウクライナが介入すべきではなかった。

2022年2月にゼレンスキーが国家動員令を発令してから、16歳から60歳までの徴兵が行われウクライナの人口2000万人のうち200万人の国民が参戦している。
EU,米国、豪州からもウクライナには義勇兵が参戦し、純粋にウクライナの領土を守りたいと言う動機の若者もいる。一方雇われてお金のために入隊する兵も多い。コロンビアが最大で、中南米から来た傭兵が最前線に立っている。彼らに払われる給料は、米国とEUの援助金だ。

ゼレンスキーは、国際調査報道ジャーナリスト連合によると、イギリス領バージン諸島にペーパーカンパニーを作り、戦争が始まったばかりの2年間足らずの間に8億5千万ドル蓄財した。現在の資産は18憶ドルだと発表されているが、エジプトの高級避暑地にも、イタリアのトスカーナにも、ヤルタと英国にも豪邸を持ち、キーウには4つのアパートを所有していることを、2017年ウクライナ政府に資産申告している。ほかにもコートダジュールとフロリダに別荘を持っていると言われているが申告されていない。

欧米がお金を出し、ウクライナに戦争を継続させるように充分な兵器を送り込み、ウクライナ人だけでなく最貧国から傭兵を雇って使い捨て、ウクライナのトップは欧米の市民の税金からなる支援金で私財をため込んでいる。 
また新たに英国が米国の代わりにゼレンスキーに送ることを約束した450憶ユーロは、英国が自由にできる資金ではなく、ロシアの凍結されている資産なのだ。これは窃盗罪という立派な犯罪だ。
こういった構造を、腐敗と呼ばずに、何というのだろうか。

ノームチョムスキーは、「人々を受動的にかつ従順に保つ賢明な方法は受け入れられる意見の範囲を厳しく制限しながら、その範囲内では非常に活発な議論を許すことだ。」と言った。トランプに侮辱されたゼレンスキーが可哀そう。味方になってあげて、どんどん武器を送ってあげようーもっともっと殺さなくちゃ、、と言い続ける軽薄な論争を、もういい加減止めよう。
武器を送るな。殺すな。

2025年2月26日水曜日

映画「教皇選挙」

映画「教皇選挙」
監督:エドワード エルガー
2025英国アカデミー賞作品賞受賞作
ロレンス枢機卿:ラルフ フィネス
ベリーニ枢機卿:スタンレィ ツッチ

バチカン教皇の死に伴い、教皇の信認を得ていたロレンス枢機卿が、教皇選挙の指揮を執ることになった。
教皇の死後15-20日のうちに世界から集まってきた120人の枢機卿の中から、選挙で3分の2の得票を得た新しい教皇を選び取らなければならない。世界で14億人の信徒を持つバチカンの元首、ローマ教皇の選出だ。
システイン教会は、選挙のために外部からは閉ざされ、密室で枢機卿だけで協議がなされる。4人の候補者がいる。米国人のベリーニ、カナダのトンブライ、イタリア人のテデスコ、とナイジェリアのナデイミだ。3分の2の得票数が得られないたびに、票は燃やされて黒い煙となって、システイン教会の煙突を見上げている信者たちを落胆させる。候補者同士の陰での争いが始まっている。互いの過去や落ち度が醜いスキャンダルとなって流布される。

まず女性問題でナイジェリアの枢機卿が候補を落とされ、次に金銭の横領でカナダの枢機卿が落とされる。おりしも,教会付近でイスラム教徒による爆破事件が起こり,怒ったイタリアの枢機卿が取り乱し、これは宗教戦争だとイスラム教信徒を侮蔑する差別発言をして人格を疑われる。
そこで立ち上がった、アフガニスタンのカブール出身の枢機卿がクリスチャンの原点に立つ感動的な発言をして、彼が新教皇に選ばれる。人格的にも彼は申し分ない。
しかし降ってわいたように、彼の秘密が暴かれる。秘密を追及するロレンスに向かって、彼は自分が神によって生まれ、神によって作られた人であると言いロレンスを説得する。
というストーリー。

一貫して選挙を取り仕切るロレンスの苦悩が描かれる。新事実が現れるたびに事実を追求し候補者を一人ひとり落としていく。そのたびに苦悩する。正しい判断をきちんと出していくロレンスは、まるで映画の中でキリストのようだ。ラルフ フィネスは苦悩する男を演じる適役と言える。
俗に、人は「セックス」と「金」で堕落するものだが、映画でもそれだけでなくむき出しの人種差別意識まで、崇高であるはずのバチカンの枢機卿の世界でも存在する俗っぽい姿が描き出されていて、残念極まりない。現実では、こんなであって欲しくない。

しかし現実に、ドイツ出身の前教皇も、小児性虐待に関与していた過去がずっと囁かれていた。また、
オーストラリア人で現教皇から全信頼を得て、バチカンの財務長官まで勤めていた、ジョージ ペル枢機卿も、2019年小児性的虐待で逮捕され、6年の禁固刑を言い渡され、実刑に服していたが2020年最高裁で逆転無罪となり釈放された。彼がレイプした少年の1人は自殺し、生存者が訴訟を起こした。
バチカンは公式に、被害者に謝罪すべきだった。
また、世界でも最も豊かな財政を持つバチカンの財務に常に不正が囁かれている。それを止めたいなら財政を公表すべきだ。

ここで、カトリック聖職者が男性ばかりで、結婚は許されないという何百年の歴史に終止符を打つべきではないのか。このまま男だけをトップに立たせるのか。
このまま聖職者による少年少女へのレイプを許すのか。
子供の従順さを利用して個人の欲望を果たすことで、子供を裏切ることは何よりも重大な犯罪だ。
また、このまま教会は、トランプ大統領と同じに「世界は男と女しかいない。」と断言するつもりか。間違っている。この世には男でも女でもない人が沢山居る。数万人に一人の割に、子宮も精巣も持って生まれる人がいる。多くは普通に生活し問題なく結婚する。あなたのとなりにも、そのような人が居て、知らないだけであなた自身がそうした人であるかもしれない。だから差別をしてはいけない。世の中は男と女しかいなくはないのだ。神はそのような人を、人として造られた。

カトリック教会は、変わらなければいけない。それを映画の最後でラルフ フィネスが、穏やかな笑顔で空を見上げ、やっと煙が上がって人々が喜び歓声を上げるシーンで語り掛けている、と私は解釈した。