2025年5月7日水曜日

日米同罪

なぜ米国への世界の信頼が失われたかというと、国の土台となっていた「民主主義」と「法」が機能していないからだ。
トランプは大統領選挙で圧勝し、議会を無視して次々と「大統領令」を頻発してきた。

移民の強制送還、USAIDの資金を凍結し職員を解雇、連邦政府職員を次々と解雇し、大量人員削減し、メキシコ湾を改名し、グリーンランドの自治に介入し、イスラエルへの武器支援とパレスチナ侵略に加担し、ウクライナ停戦案と引き換えに地下資源の強奪を画策し、中国への関税145%を課し、CIAを解体するという。

国際的にも国際法から逸脱して国連を無視してきた。国際司法裁判所(ICJ)に加盟せず、パレスチナの自治政府を認めず、国際刑事裁判所(ICC)に加盟せず、イスラエルのパレスチナ侵略を支援し武器兵器を送り続けている。パリ協定から脱退し気候変動に我関せずと、石油をもっと掘れ、もっと掘れと世界の動きに逆らい、環太平洋パートナーシップTPPを破棄し、各国に高い関税を課し、イラン核合意、中距離ミサイル合意などの国際合意を無視し、イランに圧力をかけ、さらに圧倒的軍事力で一方的に、イエメンを爆撃している。
これらのうち、ひとつでも民主主義的に市民に選ばれた議会で決定したものはない。法的根拠も国民参加による信任もない。1人の人間が勝手気ままに政策を打ち出す間、米国議会は一体何をやっているのか。民主党は生きているか。もう死に絶えているのか。いまや米国には「民主主義」も「法」もない。

そして

日本はなぜ世界から信頼も、尊敬も失ったのか、というと、「民主主義」と「法」が機能していないからだ。「閣議決定」で何もかもが決められ、民主主義が機能していない。
2014年、7月閣議決定で集団自衛権の行使が認められ、憲法を改正するまでもなく、2015年には安保法制ができて、2,022年安保3文書改定が行われ、日本は戦争ができる国になった。

2024年、防衛庁はイスラエル製ドローン爆撃機を導入することを決め、住商エアロシステム、日本エアクロフドサプライなど輸入代理店を通して購入することになった。国際司法裁判所がイスラエルに対して国際法で禁止されたジェノサイトをもって、暫定措置命令をだしている、その当の5万人のパレスチナ人を殺害しているドローン爆撃機を、日本は買う。殺傷効果は実証されている。

2019年から渥美大島、宮古島、2023年石垣島に自衛隊の軍事施設が完成、与邦国島、馬毛島にも自衛隊駐屯基地ができ、広島県呉市にも京都にも弾薬庫が増設される。2023年から5年間で、軍事費を43兆円に増額し、米国製巡航ミサイルも購入して、敵基地攻撃能力を持つ専守防衛をするという。
これらは議会で討議され民主主義的議会を経て決定されたことだろうか。否。「閣議決定」と防衛庁と米国との合意だけで決められて、もはや、憲法などの「法」の力でくつがえすことができない。
「議会民主主義」も「法」も機能していないことでは、トランプ政府も日本も同罪なのだ。なんということだろう!

写真は自由の女神
その台座には1883年エマラザルスの詩が刻まれている。
自己流の意訳は

あなたの苦しみをわたしによこしなさい  重荷を下ろして  息をついて  拒まれたあなたの苦しい思いを  わたしによこしなさい  あなたのために  光を高く掲げて金の扉を開けましょう。



2025年5月6日火曜日

ベトナム戦争終結50周年

先日、ベトナムでは終戦50周年を祝う、国を挙げての祝祭が行われた。
20年にわたる民族解放戦争(1955-1975)のために、300万人のベトナム人、31万人のカンボジア人、6万人のラオス人が命を落とした。米軍の落としたナパーム弾、クラスター爆弾、枯葉剤ダイオキシン散布が繰り返され、ベトナムの土地は焼き尽くされた。

また58220人の米軍兵も命を落とした。そして戦後20万人以上の戦争のトラウマによる自殺者も米国は記録したといわれている。ベトナム戦争当時、米国も連合軍のオーストラリア、ニュージーランド軍、韓国軍にも徴兵制があった。若者は望む望まないに関わらず戦場に送られたのだ。

1975年4月30日サイゴン陥落に伴い、米軍連合軍撤退後、豪州のマルコムフレイザー首相は、9万人のベトナム人難民、12万8千人のカンボジア人を豪州に移民として迎い受けいれた。
オペレーションベビーリフト(operation baby lift) という言葉がある。米軍撤退によりベトナムに残された米国人との混血児の赤ちゃんが3200人余り、小さな靴箱に入れられて、軍用機に載せられて、米国と豪州に送られた。そのうちの1人、リーダイ氏は、豪州でいま下院議員になっている。

1968年に大学に入って、大学入学1日目からまっすぐ街に出て敷石を割りアメリカ大使館に向かってぶん投げる日々を送った。それはアジアの市民として、ベトナム解放戦線に連帯する、ごく当たり前の行動だった。デモで逃げ遅れ機動隊に囲まれて蹴られ、殴られ、盾でぶっ飛ばされたり、毎晩鉄筆でアジビラを書いたり、小さな諍いで停学をくらったりしたが、この世代の誰もが同じような経験をしていたと思う。
30年前に豪州に移住して、ベトナム戦争時、反戦運動で逮捕され収監されたことのある同年輩の人と話したが、日本で学生が受けた警察権力による弾圧など比べられないほどの弾圧を彼は受けていた。徴兵拒否は、即「国賊」扱い。国民として許されない反政府で卑怯者として警察署でも、監獄でも権力者からもおなじ受刑者からも暴力を受けたそうだ。釈放された後も国賊、共産主義者のレッテルを張られ、尾行され、電話盗聴され、手紙や交友関係までずっと監視され続けたそうだ。
国はそれほど共産主義者に寛容ではなかった。
マルコムフレイザーのような、ベトナム難民や混血児受け入れに積極的でも「国防」とは別の話なのだ。

この5月3日豪州では下院総選挙が行われた。現、労働党党首アンソニーアルバニー二首相が再選された。定数150のうち現在カウントされたところで89議席を確保して労働党単独政権をもつことになる。
対する保守連合の自由党は40議席、党首ピーターダットンは警察出身で、なにをとち狂ったか、原子力のゲの字も関係なかった豪州にクリーンエネルギーのためと称して原子力発電所を全国7か所に建設してエネルギー消費に備える、と言い出した。豪州歴史上今まで誰も言わなかった、何の根拠もない原発を言い出した自由党に、国民が正気に戻って「NO」を投票で示したことは、全く正しい。もし自由党が選挙で勝っていたら、この男が首相になっていた、と思うとぞっとする。2度と豪州で原発などというタワゴトを言い出す輩が出てこないことを祈っている。