2024年8月22日木曜日

2人のアイリッシュアメリカン大統領

米国大統領の座には、歴代WASP:白人、アングロサクソン、プロテスタントが就いてきたが、例外が2人いる。
アイルランド人でカトリックのジョンF ケネデイと、ジョーバイデンだ。アイルランド人を理解することなしに米国を理解することはできない。
昨年、ジョーバイデンは初めてアイルランドを訪問したが、人々からは、「よくぞ、故郷に帰ってきてくれた。」と大歓迎された。ケルト文化を持ちゲーリックを話すアイルランド人は、その不幸な歴史ゆえ、世界中に散らばっている。アイルランドから遠く離れて異国に移民したその子孫の数は、本国の人口の10倍に上る。

ケネデイは1960年11月に大統領に就任すると、すぐにグリーンベレー(米国陸軍特殊部隊)を発足させてベトナムに送った。表向きはベトナムの共産化を止めるというものだったが、ベトナム戦争を開始したのは彼だ。米軍は1961年11月から南ベトナム解放民族戦線を壊滅させようと、ゴジンジェム大統領を傀儡政権化し、枯葉剤散布、ナパーム弾など重火器攻撃を始め、ゴジンジェムの民族主義が邪魔になると、クーデタをおこさせて彼を殺害、グエンカオキに首をすげ替え、激しい北ベトナムへの爆撃を初め、戦線を拡大した。
1975年3月、北ベトナム軍の大規模な攻勢により南ベトナム政府は崩壊したが、大使館の屋上からヘリコプターで逃亡する米国人や軍関係者の、惨めな敗残者ぶりは記憶に新しい。この戦争で米軍は300万人のベトナム人を殺し、31万人のカンボジア人、6万人のラオス人を殺し、当時徴兵制だった米国の5万8220人の若者の命を奪った。

2001年9月米国同時多発テロが起きて、主犯のオサマデインラデインを匿っていると言う理由で、米軍は、アフガニスタンへの空爆を開始した。ガ二傀儡大統領を立て、米国主導の西側国家陣営にアフガニスタンを引き入れようとしたが、米国の政治目的は完全に失敗した。
米軍の「撤収」というよりタリバン軍が勝利して進軍し、首都カブールに迫ってきたため、米軍は慌てふためいて逃げ出した。彼らは早々航空基地を閉鎖してしまったため、民間人も米軍が訓練したアフガン軍人もすべてが置き去りになった。米国がアフガン戦争につぎ込んだ費用は、2兆ドル(220兆円)2400の戦死者、米国民間軍事会社の戦死者は3800人を超えている。「撤収」時に2000の軍用装甲車、8万の各種車両、4機の軍用機、100のヘリコプター、60万の自動小銃、2千万の小銃弾、900万発の機関銃弾なども置き去りにされた。この逃亡劇でバイデン大統領と、オースチン国防長官は米国内で批判にさらされ辞職を迫られた。
2人の米国大統領は、野望を持って他国に介入し、それが負け戦になると傀儡政権も国民も見捨てて逃亡して来た。米国の歴史はその繰り返しだ。

日本は米国追従を止めなければいけない。
沖縄を環太平洋の最前線の基地にしてはいけない。
軍拡を止めて、軍縮を!
I am singing 「YOU RAISE ME UP 」






2024年8月11日日曜日

沈みゆくツバル

 ツバル(TUVALU)は、英国から1978年に独立したオセアニアの9つの島からなる立憲君主国家で、国王チャールス3世が統治する、ハワイと豪国の中間にある国だ。人口1万2千人、天然資源に恵まれず、人々は農業と漁業で自給自足の生活をしている。
2050年までに地球温暖化によって、サンゴ礁でできているこの島の50%が水没する。

私の住む豪国は移民で形作られた国で、第2次大戦前後は、英国、ギリシャ、イタリアなどから大量の移民を受け入れ、戦後は東欧、ベトナム戦では数万人のベトナムボートピープルを、「6.4」の後は、中国から香港の秘密ルート経由で数百人の活動家を受け入れてきた。
そしてこんどは、ツバルの全住民を豪国の市民として受け入れ、就業、教育、住宅などを提供するという合意をした。(2024年5月)とりあえず、年に280人ずつ受け入れることになった。すでに600人くらいの移民が移ってきて生活を始めているそうだ。

そのニュースを聞いて「よしよし、このような人道的な配慮は感心感心」と、思ったが、とんでもない。
豪国は、昨年米国、英国と3国(AUKS)で軍事同盟を結んだ。それに日本も加わることになっている。豪国はツバルの住民を全部受け入れたあと住民のいない島に、軍事レーダーの基地を置こうとしているのだ。住民のいない軍事基地に当然のことながら核も配備されるだろう。
米国は太平洋の島々に軍事基地を置き、戦争をいつ始めても本国は攻撃されることのない「平和」で「安全」な国で居続けることができる。地上戦が行われたことのない、戦禍の傷一つ持たない唯一の軍事大国だ。その米国を守るため、日本も太平洋の島々も、米国の前線基地、捨て石となる。それを見て豪国の友達は、自分の国は独立国じゃない。カンガルーがぴょんぴょん飛んでいる米軍基地に過ぎないんだよ、と言った。日本は独立国だろうか。日本国憲法よりも日米安保条約と、日米地位協定の方が、幅を利かせている国。国民の税金で米軍基地を置いてもらっている国。
ツバルの住民は、サンゴ礁の島で自給自足してきて、強く住民同士を支え合う文化を持った人々だろう。独特のツバル語を話す人々は、先祖の墓を大切に守り、生まれ育った土地を大切にしてきた人々だ。彼らの「平和」は、米国、英国、豪国の人々にとっての「平和」とは全く異なる存在だろう。

沖縄の八重山、馬毛島をはじめとする日米軍事基地化に反対!
豪国とツバル合意書に反対!
南太平洋の独立国の軍事要塞化、反対!



2024年8月7日水曜日

老人虐待

個人主義で権利意識が強く、自分の要求が通らないとすぐに警察を呼んだり、弁護士を付けて裁判を起こす欧米文化をもった豪国に、28年間住んでいる。
ここでの老人の権利は、日本から来た私の目には充分保護されているように感じるが、それでもまだ老人が虐待されているというレポートが政府に報告されてきて、エイジケアへの締め付けと管理が厳しくなる一方だ。
18年間、私立のベッド数50の高度医療付きエイジケアに勤めている。経管栄養患者、人工肛門、経尿管患者,、腎臓透析、癌末期、アルツハイマー、呼吸器閉塞、癲癇、精神分裂症などの患者がケアされている。ほぼ全員が食事、排せつを自分でできない。
日本の老人ホーム、ケアサービスでも働く人が不足しているが、ここでも人手不足は深刻だ。1日3交代で勤務を組んでいるが、スタッフの怪我や急病には、派遣会社に頼るか、今いるスタッフで穴埋めするしかない。過去2年半COVIDの間は、思い出すだけでゾッとするほど過重勤務で、自分が感染して死ぬかもしれないのに職場から離れられないストレスで、心身共に危機状態で働いていた。仲間に死者も深刻な病人も出た。今思うとこの時期私も精神に異常をきたしていたと思う。一番仲の良かったドイツ人のナースに死なれて彼女の葬式に取り乱して参加することができなかった。

老人虐待が社会問題になって患者の拘束が、もう何年も前に禁止になっているから、立てないのに自分は立てると思ってベッドから転落する患者には、ベッドを限りなく低くして、周りにマットを敷きつめ、ベッドで患者が動くとセンサーが鳴るようにして転落を予防している。ベッド柵も拘束の一種だということで、全国の施設でベッドに柵を付けることが禁止された。
ハイパーアクテイブで徘徊し転倒したり、暴力をふるう患者には、行動を制限する鎮静効果のある薬剤を使うが、これも家族が承諾する場合のみ投与できて、処方した医師は州政府に報告書を出し、毎月許可を得なければならない。
アルツハイマー病は脳が縮小して、せん妄や記憶障害が出るが、多くの患者はそれだけでなく癌の末期、うつ病、精神分裂病などを併発していて症状も人によって全く異なる。自分の便をこね回して顔に塗りつける人、歩行介助しようと手を出す恣意的に強く握って泣くまで放さず攻撃を止められない人、歩けなくても歩こうとして何度でもベッドや椅子から転落を繰り返す人。夜中じゅう叫ぶのを止められない人。
みんな自分に注目して優しくして欲しいのだ。
ストロークを起こした人は再発しないように血液をサラサラにする薬を服用しているので、出血しやすく簡単にアザができる。小さななアザでも患者家族が老人虐待だと訴えるので、発見したらすぐに、州の保険局に報告書を出す。アザひとつでも報告書、風呂場での転倒など、PCに列記する報告書は何十枚分にもなる。

これほど気を付けていても老人虐待を訴えたり、警察を呼ぶ家族が3か月に1件くらい起こる。しかし、大半の患者と患者家族はスタッフと仲良くなって、しまいには患者が亡くなるまで信頼関係で強く結ばれる。施設では、若いスタッフの教育、使いやすい設備充実など、もっと改善すべきところもあるが、人をケアする仕事に就いている人々は、人間への愛情を持った人々だと思う。

患者の人権を尊重し、それぞれの人の個性を生かし、命終えるまで患者の人としての尊厳を守る。そのために職場では最大限の努力をしてきたと思う。
人は年を取る。年を取れば脳は委縮する。それによって自分が将来どんな症状が出るのか、それを予想することはできない。
だから、生きて脳が正常に働いている間は、「他人を傷つけない」。「憎まない」、「殺さない」ということをみんながみんな日ごろ心がけたら良いと思う。