2022年9月22日木曜日

今日は国家元首の死にともない休日

オーストラリアの元首クイーンエリザベス2世が亡くなって9月22日が国民が喪に服するため、休日になった。
おかげで当日手術を受ける予定だった全豪で5000人の患者の外科手術が、急遽延期されることになった。患者たちの中には心臓、肝臓、腎臓の移植を長いこと待っていた患者も、進行性の癌の手術を祈るように待っていた患者も、骨髄移植を待つ小児癌の患児も、手術までモルヒネで痛みを抑えながらじっと待っていた患者もいる。手術まで免疫抑制剤を服用したり抗癌剤を投与されていた患者も予定変更は大きな負担になったことだろう。
交通機関も休日間引き運転になり、オフィスも閉じ、それらの客を当てにしているレストラン、カフェも商売にならないので閉店した。経済損失は20憶ドルだそうだ。

3か月前には女王継承70年周年のお祝いのためにバッキンガム宮殿バルコニーからにこやかに手を振り、2日前には新首相と握手していた女王が亡くなって、彼女の死を悼む人々がスコットランドからロンドンのウェストミニスター寺院に安置されるのを路上で見送りした。その数10万人。棺に頭を垂れるために寺院に続く8キロ、14時間を並んだ人の数は25万人。続いて棺がウェストミンスターからバッキンガム宮殿に戻る車の葬列を見送った人の数10万人。警官1万人、軍人1500人が警備を固め、オーストラリアからは39人の陸、海、空軍が葬列に加わった。

イタリア人移民のアンソニーアルバニーオーストラリア首相は、10人のオージー市民を連れてロンドンに飛び、葬儀に参列した。アルバニー首相が連れて行った10人は、オーストラリアデイに各州から推薦された功労者を市民が選んだ人々だ。
1)DYLAN ALCOTT:車いすテニスプレイヤーのチャンピオン。
2)VALMAI DEMPSEY:ボランテイアで50年間救急車に乗り人命救助に尽くしている人。
3)MIRIAN ROSE:アボリジニの最初の教師で1975年から教育に尽くしている。
4)SHANNA WHAN: 自分もアルコール中毒だった経験から中毒患者の救済、教育に尽くしているチャリテイーファウンダー。
5)SABA ABRAHAM:アフリカ、エリトリアからの難民だった経験を活かし200人の難民が仕事に就くために援助をしてきた。
6)KIM SMITH:元警官、ドラッグで苦しむ若者の間にスポーツを普及させた。
7)HELEN MILROY:最初のアボリジニのドクターで子供の教育、家庭内暴力からの保護のために戦っている。
8)TRUDY LIN:歯科医として24時間遠隔地で診療しホームレスなどを救助している。
9)CHRIS WALLER:女王の馬の訓練士
10)DANNY ABDALLAH:2年ほど前シドニー西部で3人の子供と姪の4人の子を赤信号を飲酒運転で暴走した車に牽かれて殺されたお父さん。子供たちは8歳、11歳、12歳と13歳だった。この悲惨な事故は車社会のオーストラリアでも大きく報道され、4人の子供を一瞬で失った親達への同情、怒りと共感から沢山の義援金が集まった。お父さんはこのお金をもとに「4GIVE 」FORGIVE 許し基金を設立。罪を許し、犯罪のもとのドラッグ飲酒を無くし被害者をサポートする活動を始めた。自分の命より大切な、育ち盛りの子供たちを失った父親が、許しに至るまでの心の軌跡を思うと胸が痛む。実に立派な人だと思う。
そんな10人を連れて首相は葬儀に参列して、皆そろって同じ飛行機で帰国した。

新国王チャールズ3世は、北アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イングランド4国の国王として宣誓を終え、その後、オーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、カリビアンの国々など14か国の元首として宣誓して即位した。彼は9月9日の女王の死の4日後、国王として北アイルランドに飛び、ベルファストでシンフェン副首相と握手し書面にサインしたが、ペンがインク漏れで字が書けなかったらしくて、椅子を蹴って「I can't stand this pen!」と叫んでいた。(笑)。また彼は翌日ウェールズに飛んだが、大変冷ややかに迎えられ「反チャールズ」呼ばわりする声が大きかった、と報道された。スコットランドもウェールズも一括して大英帝国の一部扱いされて嬉しくない人が多い。

今のところオージーの意識調査でオーストラリアから元首を取り除き共和制に移行すべきだと言う声は54%、若い人ほど共和制を望んでいる。国民投票で憲法を変えて共和制をとるか、立憲君主制を維持するか、1999年に国民投票したときの結果は、君主制に落ち着いた上、国民投票に6千万ドルも費用が掛かったので、簡単に再投票をするわけにもいかないし、そのころから
日本の評論家は、どうしてオージーが大英帝国の君主制から抜け出せないのかと不思議がる人が居るが、敗戦国の日本が戦争を主導した天皇制をなぜ70年もの間、平気で遺棄できないでいるのかを、問うてみることの方が先だと思う。

レオナルドコーヘンの「ハレルヤ」を歌ってみた。1984年作。ユダヤ人コーヘンが10年かけて80節15ページもある歌詞を書いて作った曲。ハレルヤはヘブライ語で、「褒めたたえよ、賛美せよ」の意味。歌詞のいたるところに旧約聖書の物語が出てくる。詩をどう解釈するか勝手だが、私は失恋に歌だと思う。歌詞を訳してみる。

ダビデが竪琴を奏でてユダヤ王を喜ばせた  秘密の和音があるって  でもお前は音楽に関心ないだろう こんな感じ AマイナーからメジャーFに音を落として 困惑して王がハレルヤを歌うよ
お前は神を信じていたけど  その証拠が欲しくて  パトシェバが屋根の上で水浴びしているのを見ていた 裸体が月明かりに輝いて  ダビデは彼女を縛り付けた  だから神は彼を王座から引きずり下ろし  その髪を切って無力にした そしてお前にハレルヤといわせた
僕は前にここに来たことがある この床を歩いたことも お前に会うまでは一人で暮らしてた  大理石の凱旋門に君の旗をみた  愛は勝利したんじゃなくて  冷たくて 壊れちまったハレルヤなんだよ
I am singing [ HALLELUJAH ] written by Leonard Cohen in 1984.