2017年6月12日月曜日
女王陛下の誕生日
人は一度きり生まれてくるだけだが、これほど沢山の誕生日を持った人も他に居ないだろう。
英国の女王陛下のことだ。彼女は今だに、オーストラリアやニュージーランドなどの国家元首でもある。
私が住むシドニーでは,クイーンズバースデイは、6月12日だが、これはニューサウスウェルス州と、メルボルンのあるヴィクトリア州と、タスマニアの3’州だけで、この3州では、毎年6月の第2月曜日を誕生日と決めて祝日となっている。
パースのある西オーストラリア州は9月25日、ゴールドコーストやブリズベンのあるクイーンズランド州は10月2日が彼女の誕生日とされている。
彼女が生まれたのは、1926年4月21日、今年で91歳になった。キングジョージ6世の死にともなって1952年に女王となり歴代最長の期間、女王として君臨し、未だ引退の様子もみせない。
本場英国では、女王の誕生日は6月第2土曜日になる。カナダでは5月25日前の最終月曜日が、クイーンヴィクトリア女王の誕生日で祝日だったので、この日と、現在の女王の誕生日6月14日の両日を祝日として祝う。
フイ―ジ―では、6月第1月曜日が誕生日と決まっている。パブアニューギニアと、ソロモンアイランドでは、6月第2月曜日、ツバルでは6月第2土曜日がクイーンバースデイ。南アメリカのパタゴニア沿岸にある英国領、フォークアイランドでは4月21日が誕生日で祝日。オーストラリアとニュージーランドとニューカレドニアの間にあるノーフォークアイランドでは、6月第2土曜日が誕生日となっている。やれやれ(溜息)。
この日はシドニーでは、主要道路が封鎖されて車が締め出され、ロイヤルミリタリーアカデミーが正装してパレードをするので、沿道を国旗を持った人々や、単に物見高い人々が集まってきてお祝いをしたりする。式典では、その年に活躍した人々に栄誉賞が授与される。
この祭日は、ボランテイアデイともいわれ、どうせ休みだし、することがないから、各地でゴミ拾いや、ホームレスのために炊き出しなどの活動で休日を過ごす人も多い。
午後からはAFL (オーストラリアルールフットボール)の試合がメルボルンクリケットグラウンドで行われる。コリンウッド マグパイとメルボルンン デイモンズが戦うが、これは1856年からずっと行われてきた恒例の試合だ。10万人くらいの人が観戦に来るが、その何十倍の人が、昼からパブでビールをのみながら、テレビ観戦することになっている。
今年はクイーンズバースデイの栄誉賞に900人の人々が選ばれて表彰された。沢山の科学者、文学者、舞踏家、ボランテイア、など様々な分野で活動してきた人が選ばれる。目立ったのは、カンタス航空会社CEOのアラン ジョイスとか、麻薬をバリ島に持ち込んでインドネシアで死刑になった2人のオージー青年の主任弁護士だったジュリアン マホン弁護士。
26年間 アボリジニーのダンサーを育成し、バランガラダンスという組織を監督してきたアボリジニのステファン ペイジ。彼は「ブラック アクテイビスト」として、女王の誕生日の栄誉など受け取らないつもりでいたが、年長者アボリジニ長老たちに説得されて、受け取ることにした、という。活動を認められ、受賞を切っ掛けに沢山の人に見に来てもらうことが大切だからだ。アボリジニの伝統的なダンスだけでなく、白人文化だったバレエを大きく飛び越えた素晴らしい現代的な躍動感いっぱいのダンスは、目をみはる。若いダンサーたちの美しい体の動きには誠に心を打たれる。
女優のケイト ブランシェットも受賞した。彼女はシドニーシアターカンパニーを夫とともに率いて、どんなにロンドンやハリウッドで’活躍していて、仕事をオファーされてもオーストラリアから離れない。パース生まれの謙虚な舞台俳優だ。「THE AVIATOR」でアカデミー賞助演女優賞、ウッデイ アレン監督の「ブルージャスミン」でアカデミー賞主演女優賞を獲得した。気候変動、環境問題の活動家でもあり、難民救済活動家でもある。この女優がとても好きだ。
「勲章」で父のことを、思い出した。父が名誉教授になった年、国から勲章が出るので、受け取るか、と問い合わせて来た。父は、「国が何かをくれるから取りに来い、とは何事か。」と言って怒って断った。早くから実の父親を失くして、その弟の大内兵衛が父親代わりだった。でも断った後で、勲章にはルビーが付いていると聞いて、私が冗談に「どうしてルビーだけもらって、指輪にしてくれなかったの?」と言った時の あわてた父の顔が忘れられない。私の指輪のために、今から勲章を受け取ると、言い直せるだろうか、、と本気で父は慌てたのだった。今でも思い出すと笑ってしまう。
さて、女王の誕生日。休日で電車やバスは間引き運転、休みのカフェやレストランも多い。休日に運転違反をすると2倍の違反切符を取られる。先日混んだ道路で、信号が黄色になったが、大丈夫だと思って右折しきったら、写真をとられていて届いた罰金が520ドル。休日に同じことが起こったら、倍の1040ドル、、、10万円ですぜ。怖くてどこにも出かけられない!