2009年2月11日水曜日

ブッシュ ファイヤー3


2月11日 朝7時現在、ビクトリア州のブッシュファイヤーによる死者:183人、全焼家屋 796。 50人余りが行方不明だが、避難する場がないため、行方不明者は、絶望と思われている。
7000人がいまだに避難しており、いまだ火は燃え続けている。 一方、ニューサウスウェルス州のブッシュファイヤーは 完全に鎮火した。

日本の国土の22倍の広大な土地を、日本の人口の6分の1の人々がヨーロッパから入植して 土地を開拓してきた。国土の80%は砂漠。 農地として開墾した土地も 強風で表土が奪われ、地下水の層が浅いため、塩の層が上がってきて、塩害による農地の砂漠化が進行している。 また、10年来の日照り、旱魃で牧草が消失、家畜農家の被害は広がるばかりだ。ラリアの国土は、急速に砂漠化が進行している。

一方、私達のまわりはこの土地従来の乾燥に強い木、ユーカリがどこにでも生えている。この木は脱皮することで大木になる。剥がれ落ちた幹は 下草や落ち葉と一緒に土を覆い隠す。またこの木は特有のガスを発生させて燃えやすく、いったん火が出ると、地面を覆っている下草とともに、一気に燃え上がる。私達は、自分たちのまわりに、弾薬庫を抱えているようなものだ。

ビクトリア州とニューサウスウェルス州で、ブッシュファイヤーが コントロール不可能な勢いで燃え上がった悪魔のような週末だった。  日曜、月曜と、被害地に留まって人々を励ましてきたケビン ラッド首相は、火曜日になって、会期中で予算編成期だった国会にもどってきて、家を失った人々には新しい家を、燃えた学校には新しい校舎を、消失したコミュニテイーは必ず、もとどうりに戻すまで援助をやめない、と約束した。

自然がいっぱいのラリア、世界遺産のグレイトバリアーリーフ、エアーズロック。そんな遠くに行かずとも、私達が住むシドニーやメルボルンのビジネス中心街から 15分車で走れば海があり、森があり、旅行者が絶えない。 しかし、この国の農業は塩害と旱魃で、苦しんでいる。おまけに何年かごとに繰り返す大規模なブッシュファイヤー。

この国土に未来はないのかもしれない。
他に希望のある土地が 地球上に残っているとすれば、だが。