去年9月22日の「ドルフィンを食べないで」と、今年2月21日の「再びドルフィンを食べないで」の記事に続いて 3たび「ドルフィンを食べないで」を続ける。
アメリカの海洋保護協会という団体が 和歌山県太地町の追い込み漁 突きん棒で数百頭のドルフィンが叩き殺される姿を撮影し、長編ドキュメンタリーフィルムとして完成 発表することになった。地元にわからないように隠密に潜入、プロの潜水カメラマンが長時間潜ったまま ドルフィンが惨殺される姿をフィルムに納め、これがドキュメンタリーフィルムとして編集された。フィルムが世界をかけめぐり、ドルフィンを殺して食べる日本の伝統の良し悪しが世界で問われようとしている。発表はこの6月。
女優のヘイデン バネッチアが、テレビで、「日本のタイチから帰ってきたところよ。イルカ漁を止めさせるためなら、何度でも行くわよ。人間として当たり前のことでしょう?」と発言していたのを聞いて、ふーん こんなきれいな人がドルフィンを守るために危ないところに行ってきて、えらいなーと思ったが、このとき、フィルムを回していたのか と、あとで納得がいった。
ドルフィンを 21世紀の今、経済大国で食べ物の有り余っている日本人が毎年何百頭も叩き殺して食べている。エスキモーだってアボリジニーだって食べたりしなかった人間の友達ドルフィン、人間の幼児なみの知能を持つ野生動物を 日本人が食べている。このことを、日本人は知らなさ過ぎる。無知は犯罪を助長する。日本のメデイアは どうして報道しないのか?
このフィルムが発表されたら在外日本人に、いっせいに日本バッシングの嵐が襲い掛かってくるだろう。私には 世界中からの厳しい批判に抗して足を踏み固めて立っていられるかどうかわからない。今でさえ、日本人とわかると、振り向きざま、クジラ食うなよ、と言われ、唾を吐きかれられそうになっているのが現状だ。私はひどい目にあっていない、と言う人は 自分に向けられた軽蔑と非難を英語がよくわからなくて何を言われているのか知らずにすませているか、外国にいても日本人としか付き合いがなく、狭い日本人社会を作ってコップになかで暮らしているかだ。
日本の水産庁では 南極海における捕鯨で、ミンククジラ900頭、ナガスクジラ50頭 調査捕鯨のために捕獲、肉を市場に流通させている。 一方、国内では沿岸捕鯨についても 捕獲粋を、例えば和歌山の太地町には小型鯨類のマゴンドウ300頭、バンドウイルカ990頭,ハナゴンドウ550頭などと、細かく頭数を指定して日本沿岸での捕鯨を許可している。同じ静岡県伊豆でも、追い込み漁で小型捕鯨捕獲粋が認められているが全く捕獲が行われなくなっている。イルカが余り来なくなった上 経済的に出漁しても採算が合わなくなったためだと言う。
太地町で捕鯨が今でも続けられているのは 400年の歴史を誇る伝統だからという。しかし伝統、文化をささえる下部構造、経済流通基礎がなくなれば 伝統などただの メルヘンだ。良い伝統もあれば、悪い伝統もある。世界のモラルに抵触するような伝統は廃棄しなければならない。
日本以外、世界の国々から批判されながら 南極海で捕鯨を続けている水産庁の日新丸から何千トンもの鯨肉が洋上で パナマ船籍オリエンタルブルーバードという船に移されて、日本に到着しつつある。新鮮な 取れたての鯨肉が 市場に出回るだろう。この肉の中には 母親と共に殺された赤ちゃんのミンククジラの肉も含まれている。血にまみれて母と子が一緒に海中から日本船に引き上げられるときのフィルムは 日本以外の国では毎日報道されニュースに取り上げられた。
調査捕鯨の運営は日本鯨類研究所が水産庁から研究委託されているが 財源は国庫補助だけでは足りず、鯨肉の売り上げでまかなわれている。従って、調査捕鯨と言いながら、商業取引が前提の調査捕鯨であって、科学調査など、現実にやっていない。そのことで、IWC (国際捕鯨委員会)からも批判されている。さらに、日本は国際法に違反して、絶滅危惧種のザトウクジラやナガスクジラを捕獲して、肉を食卓に運んでいる。恥ずべき国だ。
1)ドルフィンを小型鯨類として殺して鯨肉として流通させていることに反対する。ドルフィンを食べていることを知らずにいる消費者をだまし、またどうしても、鯨肉を食べなければならない理由も消費者にはない。
2)沿岸捕鯨は船でドルフィンを岸に追い込み1頭1頭 棒で叩き殺すという方法、このような残酷な方法で幼児並みの知能を持った 群れで生きる野生動物を殺して食べることは、倫理的にも許されない。
3)加えて、南極海で行っている調査捕鯨と言う名の商業捕鯨は、世界的な野生動物保護と言う観点から大きく外れ、国際法違反を犯してまでも、絶滅危惧種にある大型動物を殺すことは許されない。
以上に観点から、すべての捕鯨に反対する。また、アメリカの海洋保護協会によるドキュメンタリーフィルム作成の勇気と努力を讃えたい。