2007年6月10日日曜日

救急医は自分を救えるか?

6月8日から9日にかけて、36時間あまり NSW州 ニューカッスル近辺が、30年ぶりの強風と集中豪雨に見舞われて、9人の死者を含む、大被害がでている。 シドニーも、3日間 止まらぬ雨と、強風で停電、浸水地帯も出て 倒れた木などで道路、家屋に被害が多く出た。 ニューカッスル海岸には225メートル58000トンの貨物船が座礁し、100単位のヨットなど小型船に被害がでた。洪水で 車ごと押し流されて、8人が死亡確認され、少なくとも3人行方不明。停電と断水で、10日の朝までに、10万人の病人けが人が、援助を待っていた。急遽 病人などシドニーに搬送されたが、5000件の救急車要請の電話に、ニューカッスルの公共機能は麻痺寸前だった。

集中豪雨で道路が遮断され、行方不明者が出ている、という6月8日の夕方、ニューカッスルに住む 獣医の娘は 救急病院に出勤する途中、坂の上にある病院の手前で、滝のように流れてくる豪雨にタイヤがスリップして、先に進めず、タイヤの上まで浸水してくる水に 車ごと流されかけて、かろうじて引き返し帰ってくることができた。しかし、この嵐によって、怪我した犬や猫の患者が絶えることなく、出勤を要請され、ひどい嵐の中を、再度出かけ、夜9時から、翌日午後まで、休むことなく、仕事に追われた。
娘のする手術介助のナースは、洪水のなか、車に4時間閉じ込められたあと、車を捨て、歩いて病院まで来たという。

生きていればこそ、後になって、あんなこともあった、こんなこともあった、と笑って、話ができる。娘が無事でいてくれて、うれしい。 でも、救急医は、救急患者のために、自分の命を余りに 安売りさせられすぎているのではないか?  死者がでて、STAY HOME! STAY IN DOOR! と緊急ニュースで言っているのに 出勤しなければならない人々の命は 誰が守るのか?  答えの簡単には出ない 宿題は残された。