2013年11月2日土曜日

オットと台風で上高地が夢の夢に

        

日曜日に上野で仲間たちに会って、月曜日のお昼に天麩羅で兄と姉に会い、夜は仲の良い夫婦にデイナーに招かれた。火曜日にオットを休ませ、水曜日にバスで新宿を出て、上高地に行かれたら最高だと思っていた。ツアーは 朝7時に新宿を出て、新島々まで走って上高地帝国ホテルでランチを食べて夕方まで穂高を目前にして河童橋あたりを散策できるという。新宿に戻ってくるのは夜になるので 翌日シドニーに帰らなくてはならない身には少し大変だが、強行するだけの価値はある。立山、剣と同じ感動を味わえるはず。穂高に会いたい。穂高岳に会いたい。穂高岳山脈の真下で深呼吸したい。

ところが火曜日の朝起きてみると、ホテルのおかみが、台風が東京を直撃するので、強風豪雨注意報が出ているという。問い合わせると、上高地バスツアーはとっくにキャンセルになっていた。30年ぶりとかで東京を直撃する大型台風だという。
同じホテルに泊まっている外人たちが 朝、小雨も気にせずに、でかいリュックを背負って出かけようとするところを捕まえて、ホテルのおかみが一生懸命引き止めようとしている。英語で「ふーうはろーちゅーいほー」って、なんていうの、と聞かれたが「さあー」と私。一瞬、日本語がわからなくて、返事ができない。おかみに何を言われても、全然気にしないでニコニコして外に出ていくガイジン客たちを心配して、パニックになるおかみ。ダイジョブ、ダイジョブ、、若いガイジン青年たち、外国で痛い思いをすれば学ぶことも多い。何でも経験だ。そのために日本まで来ているんでしょう?と言っておかみを納得させる。

近所に朝食を食べに行き、上高地行が夢の夢になって気落ちする。くさっていても仕方がないので風速80Mとか、50Mとか言われている道をタクシーで近所の松坂屋に気晴らしに行く。松坂屋は30年前と全然変わっていない。千駄木に住んでいた時、自転車の前と後ろに娘たちを乗せて、松坂屋の前で母と待ち合わせをしておもちゃを買ってもらったことがある。
オットのシャツを買う。「ライル アンド スコット」というブランドで、胸のところにタカだかワシだかの刺繍が入っている。100%コットンで質も良い。気に入ったので色違いを3枚買う。

私にはエコーの靴を買う。日本のデパートには品質の良いものが置いてある。種類も多い。シドニーでもエコーの靴は買えるが 人口が少ないだけ靴のデザインも限られる。
この20年、靴はエコーと決めて来た。デンマークの小さな工場で作られ始めたこの靴は、本当に歩きやすい。良い皮を使って手縫いしてあるので、形が崩れないし、壊れない。今、職場で履いている靴はもう5年間、毎日使っているが全然壊れない。それだけに安くはない。3万円のショートブーツが気に入ったが、これからシドニーは暑い真夏になるので、シャンパン色の2万円のスリポンにする。
エコーは、デンマークのデイーター カプチャー氏によって開発された、世界で最も履いていて快適な靴だ。皮なめし工場から、原料調達からデザイン、製造、流通まですべて自社グループ内で行われている。牛の皮が工場に納入されてから消費者の手元に届くまで生産過程すべてを、一元化している唯一の靴製造会社。快適なのには秘密がある。足に負担をかけないクッショニング、通気性と除湿性のある靴をつくるために、1にも2にも質の良い皮を使っていることだ。年を取って皮の大きなハンドバッグを持ち歩くのが辛くなってきて、初めてエコーの靴は、同じ皮なのに、どうしてこんなに軽いのか、と考えて思い当った。エコーの皮なめし工場では、厳しい品質が求められるので、エコー製品用だが高級ブランド服や自動車メーカーからも、皮革の卸売を請われているという。エコーの靴を愛用するようになって 若いころハイヒールを常用して足指が変形してしまった足にも辛くない靴が見つかって喜んでいる。デンマークからやってきた丈夫で軽い靴に感謝感謝だ。

デパート最上階で、お子様ランチを大きくしたようなステーキやエビフライやハンバーグまで入っている重いランチを食べて、タクシーで帰りオットを休ませる。夜から台風が直撃するので、夕食のものは買い置きしておくように、ホテルのおかみに言われて あわてて上野駅のアンデルセンでコロッケパンやハムやスープを買いに行く。
山に行けなくなって恨みの台風だが、夜は ホテルで遠足気分。