シドニーに住んでいて、何らかのプロフェッショナルとして活躍している日本人は多い。
コンピューター技術者、研究者、医師、獣医、薬剤師、歯科医、フィジオセラピスト、ナースも私と定期的に交流しているナースだけでも12人くらいいる。しかし、スポーツのさかんなこの国で、先祖代々、肉だけを食べて生存競争に勝ち抜いてきたオージーたちに交じって、日本人が活躍してくれることは、驚異に値する。
日本人が3週間かかって大腿骨骨折から、やっと立ち上がり 歩くためのリハビリに入るのに比べて、オージーは,術後1週間で歩き始めるし、日本人が1週間絶対安静にする心臓のメジャー手術でも、オージーは5日で退院だ。出産後、産婦を1週間は入院させる日本と違って、オージーは、出産後すぐに、産婦に歩いてシャワーを浴びに行かせて、翌日自宅に帰させる。医療現場にいて、体力の差が歴然としている姿を見ているから、肉食欧米型勢力のやるスポーツに、米と魚を食べてきた日本人が 負けずに活躍していることは、大変立派なことだと思う。
サッカーの小野伸二(33歳)が、シドニーで活躍している。
チームは「ウェスタンシドニーワンダラーズ」で、ポジションはもちろん、(MF)ミッドフィールダー。彼が昨年9月に入団して以来、大活躍してくれて、そして遂に このチームが、シーズン優勝をした。もともと、ワンダラーズは、Aリーグ(日本でいうjリーグ)の中で、一番新しいチームで、全く優勝など誰も期待していなかった。優勝といえば、「セントラルコースト マリナーズ」か「、シドニーFC」だろう。今年、「シドニーFC」は、イタリアからアレクサンドロ デル ピエロを入団させ、このチームにはオーストラリア代表サッカルーズの主将ルーカス ニールも居る。また「ニューキャッスル ジェット」には、元イングランド代表のエミール ヘスキーが居る。新しいチームが優勝するとは、誰も思っていなかった。本当に、ワンダラーの優勝は、快挙なのだ。
ウェスタンシドニーワンダラーズの拠点地は、パラマッタという西部。西部の人間は他とは違う。西部劇に出てくる開拓民を思い描いてくれれば良いかもしれない。粗暴で男そのもの、とにかくスポーツに熱狂的で、すぐにヒートアップする。移民も多い。それだけに、オーストラリアで一番人気のあるフットボールよりも、サッカーファンが多い。
小野伸二が、チームのオファーを受けたのが、去年の9月28日、シドニーに到着したのが、10月1日。その日のチームファンたちの空港への出迎えは、熱狂的で、ニュースを見ていても、すごかった。日本語を知らないチームサポーターたちが、「オーノ オーノ シンジ― シンジー」の合唱だった。
9月のシーズン開幕後、彼は、すぐに試合に参加して、チームをまとめていた。彼は攻撃の全権を握り、守備では前線からの守備に貢献する。必要な時に、必要な場所にいて、パスで、アシストする。ボールをよくコントロールして、送り出す。24試合に出場して、7得点を挙げた。快挙だ。でも、10連勝して、臨んだ、3月23日、地元のパラマッタ スタジアムの試合で、足の付け根を大怪我をして、休場した。次の3月29日の試合で チームは勝ち進み、シーズン優勝が決定した。優勝戦に出られなくて、悔しかっただろう。
「ウェスタンシドニーワンダラー」は、Aリーグに参加初年度に優勝したことになる。トニー ポポヴィッチ監督、キャプテンはヴュー チャンプ、小さなチームで、控え選手とレギュラー選手との差がなくて、チームワークが良い。小野に言わせると「誰が出ても同じことをやる。」チームだ。
「セントラルコースト マリナーズ」、「パース グローリー」、「メルボルン ヴィクトリー」、「ブリスベン ロア」、「シドニーFC]、「ニューカッスル ジェット」、「メルボルン ハート」、「ウェリントン フェニックス」、「アデレード ユナイテッド」の10チームが戦い、レギュラーシーズン優勝が決まったので、これからは、後半戦で、セミファイナル2試合と、グランドファイナルがある。これに勝てば、ファイナルの王者となる。オーストラリアで一番のチームとなる訳だ。
すでに、シーズン優勝チームは、アジアサッカー連盟のACLの選抜対象になっている。だから、小野伸二は、オーストラリア代表として、アジアゲームに出場することになる。これは とても嬉しいことだ。
1日も早く、怪我から回復してほしい。がんばれ!