2011年1月2日日曜日

新年ウィーンフィルコンサートと 秦の始皇帝稜兵馬俑




正月1月1日の夜は ウィスキーを飲みながら、家で 恒例の新年ウィーンフィルハーモニーオーケストラのコンサートを ハイヴィジョンTVで観て聴いた。
とても良いコンサートだった。新年を迎えて、明るい軽やかな気持ちに満たされた。

歴史あるウィーンフィルのコンサートの 指揮者を誰に任せるかは 毎年、楽団員の投票で決めるそうだ。2002年には、当時、ウィーンフィルの音楽監督を勤めていた小沢征爾だった。2007年はズービン メタ。
そして、今年はフランツ ウェルザー メスト。演奏された曲は ほとんどヨハン シュトラウスのワルツ、ポルカなどのダンス曲ばかり、リストが1曲あった。お決まりのように アンコールに シュトラウスの「美しく青きドナウ」が演奏され、最後は 「ラデッキー行進曲」で締めくくった。

「美しく青きドナウ」の演奏中 6人の可愛らしい少年少女のウィーンバレエ団が、会場に入ってきて、会場の通路で 音楽にあわせて踊るサプライズもあった。少女の一人は日本人だったのではないかな。
表立っては言わないが、ウィーンフィルには ウィーン生まれの音楽家しか入れない、男が望ましい、勿論白人だけ、 と囁かれている そんなウィーンフィル、、、。差別の砦というか、前世紀の遺物みたいなオーケストラだが、その音の軽やかさ、新年コンサートに見せる華やかさは、他のオーケストラには見られない。

映像を見ていると、この会場のウィーン学友協会の「黄金のホール」に、各国の皇族や大使やアラブの王様なんかに混ざって いつも和服姿の日本人観客が多いのが目につく。JTBで音楽三昧ツアーとかがあって、世界一入手困難なこのチケットを 結構買い占めているのだろう。

テレビで観ていて 会場にいるより得をした気になれたのは、コンサートの合間の休憩時間に、ウィーンフィルが ロシアに遠征旅行したときのフィルムを見せてくれたことだ。ぺテルスブルグに 大勢のメンバーが 家族も連れて、大型豪華船で行ったときの 船内での練習風景や ぺテルスブルグのコンサートの様子や エストニアの戸外コンサートの様子が見られて、とても良かった。やはり ブラスに強いオーケストラは強い。
どうしてか、会場に楽器が時間内に届かなくて、メンバーが みな外で普段着のまま待てっていて、とうとう楽器を載せたトラックが着くなり、一目散に楽器をむしりとり、舞台に上がって 普段着のまま演奏したコンサートもあったようだ。そういうフィルムが いちばん、見ていて嬉しい。
新年の嬉しいコンサートだった。

3時間近いコンサートを 夜の12時まで聴いて、翌日2日は朝から、ニューサウスウェルス州立美術館に行った。
ここは 大好きな美術館。
普段は人がほとんど居ない館内で、お気に入りのセザンヌとピカソの絵の前で のんびり過ごす。
いま、中国からきた「秦の始皇帝稜兵馬俑」の展示をやっている。

中国で最初の皇帝、始皇帝。BC259-BC210。 この人の墓の入り口に 6000の実物大の兵隊、50の戦車、200頭の馬が埋まっていたのが 発見されたのが1974年。その後も発掘が継続されていて、いまでは100台あまりの戦車、600頭の馬、8000体の戦士が展示されているそうだ。
現在 掘り出されたすべては 現地で博物館になっているが、そのうちの一部が オーストラリアに貸し出されてやってきた。

海を越えて やってきた「始皇帝稜兵馬俑」のうち 8体の人物像は:将軍、兵隊、射手、騎兵、膝をつく射手、戦車の御者などで、2頭の馬は 戦車用の馬と、乗馬馬だ。
それと、4頭の馬と戦車の御者の2分の1の像もある。これが白馬で ブロンズでできた戦車が飾り立てられていて とても美しい。見惚れてしまった。付属する装飾品などもたくさん展示されていた。掘り出されたときに 兵隊たちが武装していた武器は 4万点、すべて本物の武器だったそうだ。それらも 展示を見ると 柄のところが それぞれ装飾されていて、美しい。感動的だ。
この「秦の始皇帝稜 兵馬俑」の一部が、外国に貸し出されたのは、初めてだそうだ。

始皇帝。
BC246年にたった13歳で即位、戦国時代分裂していた7国をまとめて、君主となり史上はじめて中国を統一し 自ら皇帝を名乗った。郡県制を統括、各郡に警察、行政を置き、言語、漢字文字、度量衡を統一、民間の武器所有を禁止、没収し、焚書坑儒を徹底した。このころの中国の歴史が一番おもしろい。

70年代に 兵士達の像が続々と掘り起こされ 何千体も出てきたとき ニュースを見て圧倒された。鳥肌が立った。いつか、本物を見たいと思っていたが、シドニーで 一部を見ることができた。とても嬉しい。
充実した正月だった。

写真はNSW州立美術館所有のセザンヌの絵とオット
(フラッシュを焚かなければ写真撮影が許されている)

ピカソ「ロッキングチェアーのおんな」
(この写真の前に立ってオットに写真をとってもらおうとしていたら、突然中国人が20人くらい寄ってきて、狂ったようにピカソピカソと叫びながら私とピカソをバシャバシャ フラッシュで撮影はじめたので、警備員が飛んできた。おかげてオットはシャッターを押せなかった。これだから中国人迷惑。モデル代よこしなさい。)

それと 始皇帝の墓の守衛兵たち