2007年11月16日金曜日

アシュケナージ指揮のラフマニノフを聴く

アシュケナージ指揮のラフマニノフを聴くオペラハウスにて アシュケナージ(MAESTRO VLADIMIR ASHKENAZY) 指揮、シドニー交響楽団による ラフマニノフを聴いた。

コンサートでは、始めに、「THE ROCKS」という20分ほどの小曲が演奏された。これはラフマニノフが20歳で、モスクワ音楽大学を卒業したばかりのときの作品。
おめあては、清水和音ピアノソロによるピアノコンチェルト第4番と、交響曲第2番。

ラフマニノフというとピアノコンチェルト第二番が有名。ピアニストにとっては難解だが、聴く耳には心地よいピアノ曲。ピアノコンチェルト第三番は、映画「シャイン」のテーマにもなって、よく、ピアノコンペテイションに 使われる曲。ピアノコンチェルト第4番は、めったにコンサートホールで演奏されない曲。それを、日本から来た清水和音が演奏した。昔はピアノの貴公子といわれ、その甘いマスクに熱烈なファンが取り囲んでいたものだが、彼もそれなりに年を経て おなかの周りに肉もついていた。でも、演奏は繊細そのもので素晴らしい。日本人にしか弾けないような 優しい音でひとつひとつの音に 思いをこめるように ていねいに、しとやかで上品なピアノ演奏だった。

第一楽章から 第二楽章にうつるとき、オーケストラは待たせておいて、ピアノ独奏から入るのだが、なかなか始めようとしない清水和音のところまで 指揮者アシュケナージが、トコトコ歩いていって彼の肩に手を置いて いつ始めてもいいよ、オーケストラはまってるからね、、、というようなジェスチャーをして また指揮台に帰っていくハプニングがあって、その茶目っ気のある指揮者に観客は手をたたいて大喜びをしていた。しばらくして始まった清水和音の瞑想から覚めたような、繊細な音は、心にしみていくような美しい音だった。こういった、ちいさなハプニングがライブ音楽を聴きにきている聴衆にとって 一番嬉しいことだ。CDでは味わえない生きた、音の変化が楽しめる。

最後にインターバルをはさんで、ラフマニノフの交響曲第二番(作品27)。これは、ラフマニノフ34歳のときの作品。限りなく限りなくロマンチックな曲。 シドニー交響楽団は、何年も聴きに行っていなかったのでメンバーは大幅に変わっていたみたいだが、フルオーケストラの大所帯。第一バイオリン12、第二バイオリン12、ビオラ10、チェロ9、ベース8、ハープ1、フルート3、ピッコロ1、オーボエ3、クラリネット3、バスーン4、ホーン5、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、テインパ二ー、パーカッション 以上。

アシュケナージは、ピアニストとして有名だが、作曲、指揮、音楽監督と、多面な音楽活動をしてきた。2004年には 日本のNHK交響楽団 音楽監督もやっている。プロコフィエフ、ショスタコビッチを世界各地で精力的に演奏 指揮して紹介師弟t化と思うと、最近、バッハとベートーベンのピアノ曲のレコーデイングをしている。ものすごく、精力的な活動家だ。

彼の指揮を見ていて、どうしてこんなに人気があるのかその、理由がよくわかった。 彼をみていると、曲がわかるのだ。彼が指揮をすると 難しい曲でも、すごくわかりやすい。曲の中の細やかな動きから大きなダイナミズムまで実に ていねいに わかりやすく解説してくれるかのように 指揮をする。にこやかで 気取らず 包容力がにじみでているような人、彼がおもいのままにオーケストラを動かしているのが 観ていてわかる。素晴らしい音楽家だ。