豪州に引っ越して30年近くになるが、「純粋日本人」の2人の娘は日本人ではないパートナーを選んだので、マゴたちは「純粋日本人」ではない。姿も形も日本人ではない。
娘たちも外国で教育を受け、日本語の論文が書けないという理由で日本の大学には入れず、豪州の大学で学んだから、日本語能力は頼りなく、マゴともなれば日本語は話さない。
ヒットラーはユダヤ人絶滅を標榜して、純粋ユダヤ人と、父親か母親がユダヤ人の混血児も収容所に送ったが、ヒットラー自身が、実はユダヤ人の血を引く祖母を持っていたのではないかという話がある。 手塚治の「アドルフに告ぐ」は、ヒットラーがユダヤ人の血をひくという文書をめぐって、人々が醜い争いをする、という深い内容の漫画だ。
白土三平は、「カムイ伝」で、忍者と将軍と侍が息をのむような手に汗を握る長編作品を書いたが、これは徳川家康が被差別部落民の出身であるという文書をめぐって血を血で洗う抗戦を描いた作品だ。
ヒットラーは自分の中にユダヤ人の血が混ざっていることがそんなに嫌だったのだろうか。徳川家康は部落民出身だったかもしれないことを、どうしてそんなに恥じたのだろうか。
血は水よりも濃い、とか大和民族の血を誇るとかいうけれど、医療従事者の私の目からみれば、血にはDNAなどないし、血の大半の成分の赤血球は120日の命で、毎日入れ替わる。その血はタンパク質だから多く含むレバーを食べれば貧血に効果があるし、飲茶ではダックの血を固めた黒いソーセージが出てきて栄養がある。血など、それ以外に血の意味などない。