どうしてかな、と考えた。
これから大規模な世界制覇の大望をもって、戦争を始める予定のトランプにとって、どうしても腑に落ちないのは、日本人の天皇を崇拝する独特の国民性だったのではないか。人としての天皇に会って彼なりに理解しておきたかったのだと思う。彼にとっては、ワビだのサビだの武士道だの名誉の切腹だの恩だの義理だのと、理解できないことばかりだ。
太平洋戦争で天皇は「現人神}だった。国力に大差があり、勝てるはずのない戦争のために、日本人は戦争することを選び、300万人の命を「現人神」に差し出した。米国や豪州国の太平洋戦争に従軍した兵士たちの回顧録を読むと、食料もなく、武器もなく、連合軍に囲まれて投降するしかない状況で、日本兵が「天皇万歳」と叫びながら、待ち構えている戦車や機関銃を構えている戦陣に向かってくる姿が何よりも怖かった、とある。餓死寸前の真っ青な顔で、もはや武器もなく、それでも殺されるために走ってくる。天皇の名をもって他国を侵略し、天皇の栄誉のために捕虜になることを拒否して、武器もなく「天皇万歳」といって敵陣に向かってくる人の形相は、真に悪夢に出てくるほど恐ろしかったろう。
そうやって日本人は、侵略によって中国人と軍民合わせて1100万人、インドネシアなどアジアの国々で800万人、合わせて1900万人を殺した。そして対するアメリカ連合軍は日本軍人230万人、民間人80万人を殺した。
このようなことが繰り返されてはならない、にもかかわらず、日本の現政権は、すでに米国の連合国となり、軍備費を増強させる。
トランプは「天皇万歳」を叫んで敵陣に裸で向かっていった日本人の「魔訶不思議」を、実際天皇に会って、どう理解しただろうか。
キング万歳と叫んで敵陣に突っ込むようなチョロい国民だと感じただろうか。
横須賀米軍基地から次の日に飛んだ、韓国では全く異なった感触を得たのではないだろうか。
古い韓国の民謡、反戦歌「アリラン」