戦後、地上戦を経験することのなかった米国は、世界中の金の80%を所有し、世界のGSTの半分を占める経済力を持っていた。そのため戦後の経済は米国による主導で、米国ドルを基準に動いてきた。1971年米国は、金本位制を放棄してもなお、ドルを主要通貨として世界経済を思うように動かしてきた。
また、豊かな米国とEUは、IMFを使って経済的に困窮した国にドルを貸し、利子を奪い取ることにより、貧しい国の富を奪ってきた。おまけに民主主義国家ではないからと、理由をつけては南米各国、リビア、イラク、アフガニスタン、イエメン、シリアなど多数の国に軍事介入までしてきた。
このように戦後一貫して、米国は世界の警察、世界の暴力団として思うまま陸、空、海、宇宙全域にわたる支配を維持してきた。ついでに日本は米国の思惑通りに、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東、北アフリカの戦争に米国の兵站として協力してきた。現在米国は、国際法を無視して、恥じらいもなくイスラエルとウクライナに武器を送り、ジェノサイトを続けている。
今週、BRICSの国々が、リオ二ジャネイロで、年次首脳会談を行った。BRICSは、16年前ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの国々で発足したが、その後イラン、インドネシア、エジプト、エチオピア、アルジェリア、マレーシア、アラブ首長国連邦が加盟し、サウジアラビアが加盟申請中だ。これらの国々は世界経済の3分の1にあたる。彼ら連合体は、「脱ドル化」を進めようとしている。
これに対してトランプ米国大統領は「脱ドル」だけは許さないとして、BRICSの国々には関税を 100%掛けると恫喝している。トランプは前ブラジル大統領だったボルセナロが、トランプの信奉者だったこともあり、以前彼を使ってクーデターを起こさせようとして失敗している。そして、現ブラジル大統領、ルラ ダシルバにゆさぶりをかけるため, 50%関税をかけるとずっと攻撃してきた。それがいま100%にすると言い出した。
トランプによる圧力にもかかわらず、BRICS首脳会議は、独自の「脱ドル化」経済を模索する。
今まで、幾度もリビアやマレーシアなど、「脱ドル化」と、「独自通貨」を持った国々の連帯を目指した指導者がいたが、ことごとく潰されてきた。BRICSの動きを、今後も注目していきたい。