2022年5月22日日曜日

経済分析の基礎

1938年、治安維持法で逮捕され1年半もの間拘禁された私の大叔父、大内兵衛は獄中で検事に「南京に新たに作られた傀儡政府の経済顧問になるなら、告訴しないでやる」と言われた。同じく逮捕拘禁されていたお弟子さんたち、有沢広之己、脇坂義太郎、美濃部亮吉も、「満州政府の顧問になるなら自由にする」と打診されていたが、みな軍国者たちの侵略が失敗に終わると予想していたので、これを拒否した。彼らは米国が日本の石油輸出を禁止した時、日本の海軍が戦争をするのに必要な石油量を一度も計算したことがない、タンカーがどれほど要るのかも把握していなかったことを知っていた。また留学していた間に、海外の経済学者と意見交換していたので日本の経済力を知っていた。

その後大内兵衛、有沢広己、脇坂義太郎、美濃部亮吉、大森義太郎、高橋正雄の全員が拘禁を解かれ無罪を勝ち取った。全員が共同謀議をかたく否定したから、治安維持法で起訴できなかったのだ。その後、大内は現状分析をするのに科学的な統計分析が不可欠でそれが経済学の基礎であることを繰り返し語っていてインタビューに答えてこんなことを言っている。
「経済学はいつもプラクテカルである。悲しかったのは日本の戦時経済論がそういう意味でさえ端的に言えば戦争のおんためにさえ、理論としてあまりにも貧弱であったことだ。日本の戦争経済学ほどペダンチックでしかも無効果でしかも無益なものはなかっただろう。ということは日本の戦争責任者は社会科学についての常識において世界的な低能者であったということであろう。同じファシストでもファシストは馬鹿に定まっているがそれにしては少し度が過ぎていた。彼らは一切の理論を無視した。御用経済学もせいぜい努力して彼らに献上したがその全部が腐った鯛で、いただけるものが一つもなかったのである。」
いつも茶目っ気たっぷりで、笑顔を絶やさずジョークを放ていた大叔父らしい言葉だ。

いま日本のウクライナ情勢を語る人々は、ウクライナ軍アゾフ隊をヒーロー扱いし、ロシア憎し、を叫び回っているが、オイルをロシアからの輸入に頼っている日本の言うこととは思えない。日本円は下がり放し、ルーブルの価値は上がっている。これからとてつもない食料不足、インフレと不況が襲ってくる。日本経済大丈夫か。

I am singing 'TEAR IN HEAVEN' written by Eric Clapton. He wrote this for his son. His 3 years old son fell from his 53th floor apartment and lost his life. It's very very sad song.