2011年12月6日火曜日
2011年に読んだ漫画ベストテン
今年一年の間に読んだ漫画のベストテンをあげてみる。
1位:「リアル」 井上雄彦 1-11巻継続中 集英社
2位:「聖おにいさん」中村光 1-7巻継続中 講談社
3位:「宇宙兄弟」小山宙哉 1-15巻継続中 講談社
4位:「テルマエロマエ」 ヤマザキマリ1-3巻継続中エンターブレイン
5位:「バッテリー」 柚庭千景 1-7巻 角川書店
6位:「3月のライオン」 羽海野チカ 1-6巻継続中 白泉社
7位:「神の雫」 オキモトシュウ 亜樹直原作継続中 講談社
8位:「一瞬の風になれ」 佐藤多佳子 安田剛士1-6巻完結
9位:「ちはやふる」末次由紀 1-14巻継続中 講談社
10位:「花男」 松本大洋 1-3巻完結 小学館
1位「リアル」
戸川清春、骨肉腫で片足を失った 車椅子バスケットボールチームのエース。野宮朋美、高校時代にバスケットボールのポイントガードで鳴らしたが、中退、挫折していたところを戸川清春に啓発されて、プロの選手のトライアウトに挑戦している。高橋久信、野宮と同じ高校のバスケ出身、キャプテンになって間もなく自動車事故に遭い、脊椎損傷し一生歩けないから体に。リハビリで車椅子バスケに運命的な出会いをする。
3人が3様とも障害や負を背負い、厳しい状況のなかで、生きる心の糧を求めている。3様のリアルな生き方に心から 深い共感を憶える。とても熱い。井上雄彦の描く世界は どうしていつもこんなに感動的で、泣けてくるのだろう。「スラムダンク」から 彼の作品には目が離せない。それにしても このまま「バガボンド」は、未完の名作になってしまうのだろうか。
2位「聖おにいさん」
立川の松田ハイツに住む「目覚めたブッダ」と「神の子イエス」の「最聖コンビ」が現実の日本社会のなかで引き起こす、日々の様子が描かれる。何度読み直しても、ページをめくるごとに笑える。
シッダルタの一番弟子アーナンダ、息子のラーフラ、愛馬カンタカ、梵天、阿修羅、千手観音、天使ガブリエル、ラファエル、ウリエル、ミカエル、ルシファー、ペトロ、ユダ、サタンなどなど、出場者が多くなってきて、ますます笑いが冴える。
3位「宇宙兄弟」
ムッタとヒビトの兄弟は ふたりとも宇宙飛行士。ムッタは月をめざし努力の毎日、弟のヒビトは すでに月面に立ったが、事故の後遺症に苦しんでいる。彼らを支える人々、仲間との友情、兄弟にしかわからない本当の気持ち、、、みな一生懸命だ。
4位「テルマエロマエ」
古代ローマ時代の風呂設計技師、ルシウスが 湯のなかでタイムスリップして「平たい顔族」:日本の湯にやってくる。真面目なルシウスが 日本のおっとりゆったりした湯の世界で 驚いたり感動したりしながら体験した結果を ローマにもどって生かしていく。山間の温泉、下町の風呂屋、家庭風呂、、、案外ローマに共通する風呂文化をとりまく人々が ゆるくておかしい。
5位「バッテリー」
児童文学作家あさのあつこの小説を漫画家した作品。一人のたぐいまれな才能を持ったピッチャー、原田巧は自己中心で周りの人々を傷つけ、一人反逆して苦しんでいる。そんな彼が 自分のキャッチャーをやるために生まれてきたような永倉豪に出会うことによって 成長していく物語。二人はまだ、中学生だ。みなが一生懸命すぎて ヒリヒリと痛い。読み終わって感動の波が 徐々に押し寄せてきて、圧倒される。
6位「3月のライオン」
不幸な環境に生まれて育った高校生が たったひとりで将棋の世界で生きる活路を見出していく。将棋という孤独な勝負に 立ち向かう少年の姿に心打たれる。
7位「神の雫」
ワイン評論家でコレクターでもあった神咲豊多香の息子、神咲雫と 養子の遠峰一青が、父の死後、遺産であるワインと屋敷を争って ワインの銘柄を当てるレースを開始する。ワインの味覚を表現するところが興味深い。森の奥深く静かに佇む湖のよう、とか、荘厳なオーケストラの奏でる和音とか、麦藁帽子を被った少女とか、、。絵が美しい。いくつかのワインを実際に味わってみてみたら、どれも、ただのフルーテイなワインとしか思えなかったけど。
8位「一瞬の風になれ」
安田剛士の描くスポーツ漫画が好きだ。全17巻の「オーバードライブ」では 自転車競技の醍醐味を見せてくれた。今回は短距離走者、スプリンターのお話。優秀なサッカー選手の兄と比べられて、落ちこぼれのレッテルをもらった弟、神谷新二が 親友一之瀬連と一緒に走るおもしろさに目覚めていく。一人で走り一人で勝つことより リレーでチーム全体で走り、仲間達と勝ち抜くことの方が ずっとおもしろい。自己中心だった少年が 仲間意識に目覚め、陸上部の部長になって、チーム全体を統率できる能力を身に着けるまでに成長するまでの成長記録。さわやかで、力強い。勇気が出てくる。
9位「ちはやふる」
かるたで日本一になることは 世界一のチャンピオンになることだ。と心に決めて初恋の人の背中を見つめながら成長していく千早と 太一と新の3人の物語。小学生だった3人が かるたでつながりながら もう高校生になった。全国高校かるた選手権の様子や、かるたで燃える人々の姿が興味深い。
10位「花男」
邪気のない 子供のような愛すべき野球馬鹿な男の話。世間からすっかり浮いている 役立たずの父親を そっと支える妻や 反抗しながらも心ではつながっている息子の3人が かもし出すハーモニーが何ともいえない。松本大洋の絵も、彼の世界も好きだ。