2009年11月1日日曜日

映画 「THIS IS IT」




今年の6月25日に急逝したマイケル ジャクソンの予定していたロンドン ツアーのリハーサルの様子を収めたドキュメンタリーフィルム。10月28日に 世界中で同時公開された。
2週間だけの期限付き上映、と言われているので、見ずに逃して 後で悔いることがないように見てきた。リハーサルといえども、本当のコンサートの迫力 会場にいるような臨場感あふれるフィルムだった。

監督:ケニー オルテガ
出演:マイケル ジャクソン
プロデューサー:ランデイ フリップ
音楽:マイケル ビアーデン
振り付け:トラビス べイン

1)WANNA BE STANTIN”SOMETHIN”
2)JAM
3)THEY DON’T CARE ABOUT US
4)HUMAN NATURE
5)SMOOTH CRIMINAL
6)THE WAY YOU MAKE ME FEEL
7)SHAKE YOUR BODY
8)I JUST CAN’T STOP LOVING YOU
9)THRILLER
10)BEAT IT
11)BLACK OR WHITE
12)EARTH SONG
13)BILLIE JEAN
14)MAN IN THE MILLER
15)THIS IS IT 

100時間に及ぶ舞台での歌とダンスの映像と、舞台裏でのマイケルのプロとしての顔に 改めて「ポップスの帝王」といわれるミュージシャンの実力を認識させられた。50歳のマイケルの細身でしなやかな体、折れそうに細いのにパワフルな歌唱力、そして何よりもダンスの華麗な動きに魅せられた。

ダンサーのオーデイションでは何百人もの若者がステージで 自分なりの踊りをくり広げて見せる。世界中から集まってきたダンサーたちだ。選ばれた人たちが 感極まって泣いて声にならない姿が印象的だった。そのダンスリハーサルにも マイケルは厳しい。テンポの1秒の違いも自分で指摘して思い通りの舞台を仕上げていく。
バックコーラスのシンガーや、バンドとの音あわせにもとても細かい注文をつけている。そのマイケルの驚くほどの穏やかな口調。とくにバンドのビートに納得がいくまで穏やかだが一歩も妥協を許さない完全主義で やりなおしを繰り返していた。リハーサルなのに 全く気を許さずにダンスにも歌にも完璧を求めるマイケルの芸への真摯な姿が まるで苦行僧のように見えてくる。
リハーサルを通して ダンサー、バンド、コーラスのすべてが マイケルと監督のケニーオルテガを中心に家族のような一体感がかもし出されていた。

ものすごくぜいたくに ふんだんにお金を費やしたロンドンツアーだったようだ。舞台が破格にぜいたく。舞台のバックを大きな画面にして巨大な映像を作りながら歌とダンスが繰り広げられる。
「スリラー」では3Dで お化けの役者達が墓地を走り回り マイケルは巨大な蜘蛛の中から出てくる。また、「SMOOTH CRIMINAL」では ハンフリー ボガードとリタ ヘイワーズが出てきて ボガードに追われながらマイケルが逃げ惑う。「EARTH SONG」では美しい自然と容赦ない自然破壊の映像が映し出される。

バックコーラスの女性歌手とのアドリブもすごかった。リズムに乗るといくらでも無伴奏でアドリブで音と音をつなげられるのは、音程にもリズムのもものすごく正確で絶対音、絶対リズムが身に着いているからだ。バンドもコーラスもダンスも実力のある人ばかりが選りすぐって選ばれてきているのがわかる。

ギタリストのブロンドの女性は、24歳のアデレード出身のオージーだ。厳しいオーデイションを経てきた人、オリアンテイ パナガリス(ORIANTI PANAGARIS)。マイケルに演奏中 舞台中央に引き出されて ソロで長いことアドリブを弾く。マイケルが広い舞台を 歌い踊りながら走り回るのに 必死で付いていって、いっしょに走っていたが、ハイヒールのブーツに ギターをがんがん演奏しながらだから、とても大変そうだった。けど、パワフルなギターだった。ソロでCDを出しているそうだ。

最後の「MAN IN THE MIRROR」がとても良かった。本当に マイケルは1曲1曲に全力を投入して 少しも気を抜かない。リハーサルなのに 力尽きるまで歌って踊る。これがすべてのキャスト、スタッフとの一体感ができるゆえんだったろう。

2時間のパフォーマンスのあと 「THIS IS IT」の音楽と共に最後にこのドキュメンタリーフィルムのタイトルが流れる間、映画館で映画を見ていた人々、みな、曲にあわせて指をならしたり 手で拍子をとっていた。誰一人 席を立つ人がいなかった。
これだからオージーってすぐ調子にのるんだよねーと思いながら フイルムが終わっても 音だけがなっている中で リズムに合わせて 指を鳴らし、手拍子をとっている そんな 一体感と余韻を わたしも楽しんだ。みんなマイケルに 心の中で さよなら言ってたんだよね。