2009年3月10日火曜日

「鼓童」と「TAIKOZ」のパフォーマンス


去年の7月に、和太鼓「TAO」のマーシャルアート オブ ザ ドラムというパフォーマンスを ステート劇場で観た。

九州をねじろに共同生活をしながら体を鍛えて演奏していて 海外にも遠征ししているエネルギーの塊のような若者達のパフォーマンスだった。大地震の前触れかとも思うような地響きを伴った ダイナミックな和太鼓のリズムに とても深い印象を受けた。

先日「鼓童」と「TAIKOZ」の太鼓集団のパフォーマンスがあったので、同じ人たちかと思って 行ってみたら 全然ちがうグループの人たちだった。

「鼓童」は、新潟県を拠点にして和太鼓や踊りや歌を披露しているグループだっだ。1981年ベルリン音楽祭でパフォーマンスをして以来、3100公演を世界各地でしてきた という。アメリカ、イタリア、スペインなど巡業し、新日本フィルハーモニーと 共演もしているようだ。

また、オーストラリアに太鼓集団「TAIKOZ」と言うのがあるということも、今回初めて知った。
監督のイアン クレワース(IAN CLEWORTH)さんは、1997年にこのグループを作ったひと。シドニー交響楽団のパーカッション奏者を20年も務めた人だ。19歳のときに日本で和太鼓に出会って練習をはじめたという。

今回は日本から5人の「鼓童」の中心メンバーと、「TAIKOZ」からは7人のメンバーの共演だった。太鼓だけでなく、歌や踊りも入った2時間のパフォーマンス。 前回の太鼓集団「TAO」には とても感激したが、今回は余り心を動かされなかった。理由ははっきりしないが、前回のような新鮮な驚きがなかった。日本から来た方々が みんな初老の方々ばかりで、エネルギーの爆発が感じられなかったのかもしれない。

彼らの特徴は、佐渡を拠点にしているけれど、佐渡の伝統芸能に固執するわけではなくて、様々な地方の民謡などを取り入れて 新しい歌や踊りを作り出しているところだ。出し物はみな、彼らのアレンジだ。従って歌も踊りも国籍不明の現代風 音楽となって、再生されている。日本からやってきているこのグループの 主要メンバー5人の名前がプログラムではローマ字になっているので、日本人の名を ローマ字でここに書くのは失礼かと思って、ネットで見てみたら ブログでも メンバー紹介はローマ字になっていた。海外で活躍することを、主に考えているからかもしれない。

「NISHIMONAI」は秋田の歌だそうだ。
「OWARIYARE」は山形。
「HANAHACHIJOU」は 伊豆八丈島。
「YATAI-BAYASHI」は埼玉県の歌 と紹介されて、披露された。
神社の女官みたいな ギリシャのビーナスみたいな 国籍不明の服を着て、創価学会が使うみたいな 小さな太鼓を叩きながら 歌われたのは、アイヌの子守唄だそうだ。

海外に住む日本人にとって、日本の民謡や伝統芸能は、わかりにくい。「OWAIYARE」が、どんな漢字があてられるのか どういう歌なのか、全然わからない。「NAGAURAJINNKU 」も、「NISHIUNAI」も申し訳ないけど、お手上げだ。 日本人だからといって、解説を求められても困る。
また 先住民族の文化については、オーストラリアに限らず どの国も、非常に神経質だ。アイヌの子守唄を 舞台で太鼓集団が こんな風にして歌っても良いのか、よくわからない。

県立沖縄交響楽団のなかで、バイオリンを弾かせていただいた時期がある。沖縄の歌がとても好きだ。あの独特の音階、独特のリズムは ウチナンチュウにはまねできない。独立国 琉球としての独特の文化を 心から尊重するから、もしこの人たちが 見世物として琉球民謡を和太鼓で、演奏したら、きっと傷ついていたと思う。日本から来た 和太鼓集団を見ながら いろんなことを考えてしまった。

ま、でも、パフォーマンス、OMOSHIROKATTA YOー。