2025年9月14日日曜日

イスラエルによるカタール爆撃

4か月前に、トランプ大統領が中東を訪問した時、カタール政府は1機4億ドルのロイヤルボーイング747を、彼にプレゼントした。機内を絢爛豪華に装飾された居心地良さそうな飛行機を贈られて、嬉しくて野卑な笑顔でよだれが垂れそうになっていたトランプの顔を覚えている。カタールからのプレゼントはそれだけでなく、1兆2千億ドルの商業取引をオファーされたうえ、さらに中東最大規模のカタールの米軍基地アルウデイト空軍基地を、100憶ドルかけてアップグレイドする約束までした。この空軍基地には1万人の米軍兵と将校が常時駐在し、米国のためのスパイ活動の拠点として、中東の情報を米軍に提供している。

にもかかわらず
今週9月9日、イスラエル軍戦闘機、15機がカタールの首都ドーハを爆撃し、イスラエルと停戦交渉中だったハマス政治局員6人と、カタールのセキュリテイを殺し、停戦交渉をぶち壊した。
米国に気に入られようとして米軍基地を提供し、小国には国家予算に値するほどの商取引を約束しても、4億ドルのプライベートジェット機をプレゼントしても、米国はカタールを守らない。米国は国際法を守らない。

ついでに言えば米国は、日本も守らない。トランプの要求通り国家予算の3%を軍事費に割いても、高価な米軍武器を購入しても、米国と共同で戦闘機を開発しても、沖縄米軍基地を拡張しても、米軍は、カタール同様日本を守らない。カタールの事実を見れば、日本が米国の気に入らない人を招待したら、その人が滞在するのが、新宿の東京都庁ビルであっても六本木ビルであっても15機の戦闘機で爆撃することもあるということだ。軍事同盟関係など、そんなものだ。

米国でトランプの熱烈サポーター、チャーリーカークが殺され、容疑者が逮捕されたが、カークの死を悼む人々と、容疑者に極刑を要求する人々の熱気が恐ろしいほどだ。
ガザでは、9月段階で 64600人の市民が殺されているという公式発表を、彼は否定し、イスラエルはパレスチナ人に水も十分な食料も与えているとしてジェノサイトを頑として否定している。その「小型トランプ」のような男の死を悼む人々にとって、死とは、暴力とは何なのだろうか。



2025年9月9日火曜日

経済封鎖をやめろ

経済封鎖 ECONOMIC SANCTION は、国際法違反国に対して経済的な打撃を与えるための経済制裁を言うけれど、実は欧米による他国の財産を強奪、窃盗、略奪することなのではないか。現在経済封鎖は、アフガニスタン、イラン、ロシアに課されている。
アフガニスタンは、1973年以前、シャー国王の下では、民主的で女性の地位も高く、教育レベルも欧米並みの先進国だったのに、ソ連と米国との代理戦争に利用され、2001年から2021年までの20年間に、米国による侵攻で15万人の人々が殺された。その後タリバン政権が米軍を追放し、やっとアフガニスタン人による政権となったが、国連は、この国の資産を経済封鎖した。豊富で良質な石油、天然ガス、石炭、銀鉱石、リチウム、レアメタルが手つがずで土地に埋まっていて、本来豊かであるはずのアフガニスタンは、中央銀行の在外資産95億ドルが凍結されて、輸出入ができなくなって人々は貧困に苦しんでいる。タリバンが、政権を掌握しようがしまいが他国は、アフガニスタンの内政に介入すべきではない。封鎖は解除されるべきだ。

イランも1979年イスラム革命でホメイニ師の権力掌握以前は、欧米とも良好な関係だったのに、米国による介入によって経済封鎖され、豊かな石油、天然ガス、石油化学製品などの外国からの投資を禁じられ、イラン中央銀行の資産、3520億ドルが凍結され、核施設ではウランの濃縮を中止され、国連安保理によってイランの銀行、船舶などへの常時監視、核開発を審査されている。このことによって数百万人が失業、若者の失業率は25%にも上る。
イスラエルによるパレスチナ攻撃にあって、イラン革命防衛隊のソレイマ二司令官は暗殺され、今年の6月にはイスラエルと米国から核施設を攻撃されて、1000人以上の犠牲者を出した。イランは核拡散条約に締結しているが、締結していない米国とイスラエルが、イランの核について語る資格はない。イランの経済封鎖は解除されなければならない。


ロシアもウクライナとの開戦以降、欧米の意向によって経済封鎖を受けている。ロシアのオリガルヒの資産凍結と共にに、ロシアの対外資産2800億ドルが差し押さえられた。しかし原油とガスをロシアに依存してきた欧州は完全にロシアからのオイルも天然ガスも止めることはできない。ロシアでは戦争によって軍需産業が活発化して、人々の雇用が生まれ、財政が向上、消費も拡大しており、GDPは増加している。ロシアに経済的ダメージを与えたい欧米各国は、終わることのないウクライナへの武器支援で自らの国の経済状況を悪化させている。


3つの国に経済封鎖を課して、制裁に違反した組織:フランスのバリバ銀行、英国のHSB銀行、中国の中興銀行、日本の三菱東京UFJ銀行などには、多額の罰金を払わされたそうだが、その巨額の罰金が、全部米国の国庫に入っているという。なにか笑い話のようだ。盗賊団の親分はトランプというわけだ。

また、ロシアの凍結した資金2800憶ドルを使って、欧米は武器を買ってウクライナに送っている。他国の国家資産を凍結して勝手に奪い,盗用して武器に使うなど、泥棒でもびっくりするようなことをやっている。3国への経済封鎖など、米国とイスラエルに対してならともかく、続けるべきではない。他国への資産凍結、盗用、収奪、窃盗という暴力を伴った内政干渉をやめるべきだ。 


2025年9月4日木曜日

ドネツク地方に独立自治を

ロシアウクライナ戦争が始まったのは、2022年2月22日ではない。この日に、プーチンが突然トチ狂ってロシア領土を広げようとしてウクライナに侵攻したのでもない。

米国は一貫してロシア国内に親米反共産派を作る工作をしてきた。2004年ウクライナのオレンジ革命と呼ばれる政変で、米国CIAの力を借りて親米ユーチェンコが政権を取った。これを後にオバマ大統領が、この政変は米国が指導したものだったと認めている。
このとき反ロシア、ウクライナ愛国主義者たちは、ウクライナ国内の少数民族であるクリミア人、ドンバス人にすさまじい暴力をふるって弾圧した。ゼレンスキーは、CIAの勧誘に乗って親米ウクライナ民族国家を夢見て、ミンスク停戦合意を破り、ロシア住民が多数住むドンバス地方に軍を送り、ロシア系住民を弾圧したため2600人の犠牲者が出ている。

もともとドネツク州、ルガンスク州ではロシア側とウクライナ側とでは、互いの武装勢力の間で火種が絶えなかった。
ドンバス地方の住人の多くはロシア人のアイデンティティを持っていて、65万人がロシア国籍を持ち、ロシア人のパスポートを持ち、選挙の時はロシアの投票もしてきた。
ロシアは2022年2月21日、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国を承認し、議会の承認を得て、2月22日にウクライナに宣戦布告をした。

ウクライナがクリミアとドネツク州、ルガンスク州の独立自治を認め、彼らに自治権を与えていれば戦争は起きなかった。
プーチンのウクライナに対する要求は、この時以来1ミリも変わっていない。
ウクライナのゼレンスキーはもともとロシア語で育ち、ロシア語で教育を受けてきたユダヤ人だ。ロシア人同様ロシア正教会に通っていた。2021年ミンスク合意を破り、ドネツク地方を攻撃し、彼らの自治独立を脅かした。ロシア語を禁じ、ウクライナ語で国を統一した。ロシア正教会を禁じ、欧米に従いカトリック教会に変更し、クリスマスも国家行事も変更した。2022年に18歳から60歳までの男子に国家総動員令をだした。

クリミアは2014年にすでにロシア帰属を住民投票で決めている。いまさらクリミアを含めてウクライナの領地として奪還するまで欧米の武器供与を得て戦争を続けるなど、ゼレンスキーの夢に過ぎない。ゼレンスキーは世界中の同情と資金と武器を集めて回り、世界中に別荘などの個人資産を蓄積した。

ゼレンスキーはどんなに欧米の武器供与を続けてもらってもロシアには勝てない。開戦時からプーチンの要求は変わらない。要求通り、クリミア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の独立自治を認めるべきだ。独立が承認され国民投票が行われるまで戦争は続く。民族の血は、国境線よりも強い。国境を守るよりはそれぞれの民族の自立を守るべきではないか。

写真はウクライナのドローン


2025年9月1日月曜日

ネオナチを許すな

オーストラリアでは市民の間で、パレスチナ支援、イスラエルに即時停戦を求めるデモが、毎週日曜日に全国の各州、州都で行われてきた。8月3日のシドニーでのハーバーブリッジデモでは10万人から30万人の人が集まり、8月17日にも10万人に近い市民がデモに加わり、31日もシドニー、メルボルン、ブリズベン、アデレイド、パースで同様のデモが行われた。「良心」のためのデモとでもいえる市民によるデモは、それだけで終わってはいけないが、貴重だ。しかし昨日31日は、極右によってニュースがハイジャックされた。

残念なことに、「反移民」を標榜するナショナリストによる「オーストラリアのための行進」というデモが、各州の州都で行われ、1万5千人が集まったという。この中でもネオナチグループは、メルボルンのあるビクトリア州議会に押しかけて政府に抗議をしたが、その際にアボリジニの集会を襲い、女性を含めた人々に暴力をふるい怪我をさせ、12名の極右活動家が逮捕された。

連邦政府は、ネオナチのシンボルや旗を、公共の場で掲げることを禁止していて、違反者には実刑と罰金が科される。にもかかわらずメルボルンでは黒服に黒旗、ナチ式敬礼をして行進したグループがあって、即警官に囲まれて解散させられ、あわてて黒服をリュックサックに詰め込み、シャツを着替える少年たちの姿もテレビニュースカメラに収められていた。

彼ら、反移民グループのスローガンは、「LOVE IT OR LEAVE IT」(オーストラリアを愛せ、愛せないなら立ち去れ)というもので、主張する内容は、「オーストラリアでは毎日1500人の移民が押し寄せて、住宅不足で家賃が跳ね上がり、住むところがないのに、インフレのせいで物価が上がり生活が苦しいのは移民のせいだ」というもの。
これらの主張は連邦政府によって、ことごとく否定、却下された。労働党政権のアルバニー二首相は、「反移民、ナショナリスト、極右グループは、情報不足で事実を知らない。政府はこのようなデモを受け入れられない。移民を憎み国を分断させるような行いは断じて認めない。」と言い、内務大臣トニーバークも、「彼らはUNーAUSTRALIANだ。」(オーストラリア人じゃない)と断じた。多文化大臣アンネアリーも、野党党首のスーザンリーも「レイシズムは許さない。」と言った。オーストラリアでは昨年1年間に、4万5千人近くの移民を受け入れたが、その数は前年よりも少なかった。

オーストラリアでは第1次世界大戦後、人口が600万人を切ったため、戦後大規模な移民政策をとってきた。今になって人口2697万人になったが、国土は米国と同じ大きさで日本の21倍あるのに、人口は日本の5分の1に過ぎない。国民の40%は外国生まれだ。現在もスキルワーカー:手に職を持った移民を必要としている。いま問題になっている住宅不足も家を建てるための労働者:大工、レンガ職人、ペンキ屋、電気技術者、などが不足しているため家が建てられずにいる。また老人人口の増加にともなう医療技術者不足も問題になっている。政府は必死で若い人たちに助成金を出して技術者を育てようとしている。私の職場も看護師不足が深刻だ。

メルボルンを中心とした各州でネオナチのまねをして黒メガネ、黒服、黒旗をもってヒットラー敬礼で嬉しがっている子供たち、、、馬鹿なことやってる暇があったら職業訓練校に行って大工やペンキ屋職人や看護師の資格を取って働いてみなさい。少しは新しい移民に来てもらわなくても済む日が来るかもしれない。きみたち移民の子、大きく目を開き移民国家に貢献してみなさい、と言い聞かせたい。