2024年1月9日火曜日

映画「オッペンハイマー」GG受賞

今年のゴールデングローブ賞では、監督賞をクリストファー ノーラン、作品賞では彼の「オッペンハイマー」が受賞した。
原子爆弾を世界で初めて開発した理論物理学者オッペンハイマーの半生を描いた映画だが、日本では拒否反応が強く公開が遅れた。彼は原爆実験の成功で一躍国の英雄になったが、ヒロシマ ナガサキの被害の甚大さを見て、以後の水爆開発に関わることを拒否したため、国からは裏切り者、コミュニスト、ソ連のスパイというレッテルを張られて生きた。映画は物理学者の半生を描いた作品であって、日本の映像も日本人も全く出てこない。

日本では敗戦間際だったのに原爆が落とされて壊滅的な被害を受けた、人道的見地に立って米軍は謝罪すべきだ、という人がいるが、原爆投下によって太平洋戦争が終わったというのが、世界の定説になっている。異論も沢山あるだろう。しかし原爆投下の前、1945年7月26日、何度も米国から勧められていたポツダム宣言を鈴木貫太郎首相は、「ポツダム宣言黙殺、戦争邁進」と世界にむけて発表している。
この時点でニューギニアでは第18軍10万人の日本兵士のうち9万人が餓死していた。この時点で沖縄では6月23日すでに戦闘は終わり、牛島満司令官は、さっさと責任放棄してハラキリ自殺していたが、住民は投降すれば、敗残兵に後ろから撃たれ、隠れていた洞窟は火炎放射器で焼かれていた。東南アジアのジャングルで兵士は、餓死するか、武器なしで死ぬための万歳攻撃を命令されていた。
日本軍は中国人と軍民合わせて1100万人、インドネシア、フリピンなどアジアで800万人の人々を殺してきていた。7月26日の時点で誰一人降伏、敗戦を言っていない。「ポツダム宣言黙殺、戦争邁進」の命令は、原爆が投下されたあと8月15日に大本営天皇が玉音放送するまで続いたのだ。
原爆投下は、繰り返し勧められた無条件降伏を拒否し戦争を長引かせた大本営天皇に責任がある。

いま2つの戦争が拡大するばかりだ。ロシアア、ウクライナ戦は終結できず、イスラエルは国際法無視、国連無視でガザへの凄惨な攻撃をし、ガザのみならずレバノン、シリア、イランへと戦火を拡大している。これほど人道に反するドローン攻撃、白リン弾、クラスタ―弾を使いまくる近代戦はこれまでなかった。
なぜ停戦が受け入れられないのか。
米国もNATOも、ウクライナを支えきれなくなっている。ゼレンスキー大統領は個人私財をたっぷり貯めこみ、腐敗した武器商人と化した取り巻きによって現状を保持することにしがみついている。
イスラエルはハマスによる攻撃を格好のエサにしてパレスチナ人の居住地を占領し、パレスチナ人を国から追放しようとしている。いま何故停戦できないのか。権力者による私利私欲が先に立っている。武器が武器を呼んでいる。

この映画でトルーマン大統領が原爆投下を決断したとき「 マイボーイズ バック、一刻も早く戦争を終える。僕たちの息子たちを一刻も早く帰国させたい。」というセリフがある。どうして日本の大本営天皇は、マイボーイズを平気で餓死させ、自分のために死ぬことばかり命じて、家に帰してやることを望みもしなかったのか。マイ ボーイズ バック!そしていまこそ、即時停戦、核兵器廃絶、軍縮を。