2018年12月25日火曜日

2018年に観た映画ベストテン

第1位:希望のかなた(The Other side of Hope) アキ カウリスマキ監督
第2位:スリービルボード(Three billboards ) マーチン マクトナー監督
第3位:華氏119     マイケル モア監督
第4位:かぐや姫 スタジオジブリ 高畑勲監督
第5位:アリースター誕生  ブラドリー クーパー監督
第6位:クレイジーリッチ アジアン ジョン M チョウ監督
第7位:ファンタステリックビーストと黒い魔法使いの誕生 デヴィッドイエッツ監督
第8位:ジェラシックワールド炎の王国  ステブン スピルバーグ監督
第9位:COCO アニメーション リーアンクリッチ監督
第10位:FERDINANDO アニメーション カルロ サルダンハ監督
           

第1位:「希望のかなた」は、このブログの4月1日に映画紹介と詳しい評価を書いた。このアキ カウリスマキ監督はいつも社会の底辺に生きる、名もなき労働者、移民、難民に照明をあてて、それらが現実社会で蟻のように踏みにじられる姿を映し出している。シリアから命からがら逃げ延びてヨーロッパに渡って来た兄妹が、警察や入管局やネオナチの襲撃から、言葉を絶するような酷い目に遭いながらも、自分達の志をもち、一歩も譲らない。映画の中で、苦い笑いや、真剣なのに思わず愉快に笑ってしまう人間性や、時代遅れのおっさんたちの奏でるロックが出てくる画面をみながら、社会派監督のメッセージが確実に伝わって来る。2017年に観た映画ベストワンは、同じく社会派監督代表のケン ローチによる「私はダニエルブレイク」だった。今年のベストワンは アキ カウリスマキ。ゴダールやアントニオーニやパゾリーニが居なくなり、この二人の様な正統的社会派の監督が作品を作り続けてくれて嬉しい。

第2位:「スリービルボード」は、1月14日に、このブログで映画の評価を書いた。娘をレイプ、誘拐され殺された母親の火のような怒りが大爆発する。クレモンの映画館で映画が終わった時、爆発のように女客たちの拍手が沸き上がり、みんな涙を浮かべてしばらく拍手が続いた。母親としての共感が波のように押し寄せていて、見知らぬ人同士で抱き合ったり顔を見合わせたりしながら、しばらくは拍手が鳴りやまず会場から出ていく人も居なかった。こんなすごい経験は初めてだった。

第3位:「華氏119」マイケル モアによるドキュメントで、フイルムの紹介はブログで11月17日に書いた。独自の取材方法で精力的に社会を告発する。得難いジャーナリストだ。

第4位:「かぐや姫」スタジオジブリの映画を、娘婿がダウンロードして見せてくれた。自然児、かぐや姫(タケノコ)が、野山を駆け回り、ステマル兄ちゃんに恋をする。互いにそれが恋と知らずに、最後には1度だけ結ばれて本当に嬉しかった。素晴らしいアニメーションだ。

第5位:「アリースター誕生」この評価は10月30日にブログで書いた。SHALLOWの曲を始め、映画のために作られたオリジナルの曲がどれも良くて、心にいつまでも残っている。

第6位:「クレイジーリッチ アジアン」については9月15日に書いた。ハリウッドではもうチャイニーズの資金や人材なしに映画を作ることが難しくなり、興行成績もチャイニーズ顧客なしに立ち行かなくなってくる。そういったチャイニーズパワー予兆を、チャイニーズ監督によるチャイニーズ役者だけで映画を作ることで、しっかりみせてくれた。

第7位:「ファンタステイックビーストと黒い魔法使いの誕生」は、JKローリング原作。ハリーポッターが生まれる以前のダンブルトン校長先生や、グリンデルバルドが出てきて、物語が広がってきて目が離せない。主役のエデイ レッドメインがチャーミング。頼りないが、愛すべき魔法動物学者がハラハラさせてくれる上、意表を突くような沢山の魔法動物が登場して、楽しい。

第8位:「ジェラシックワールド炎の王国」では’映画評を8月4日に書いた。いまだに地震で沈んでいく島に取り残された大型草食恐竜アパルトサウルスが、連れて行って、連れて行ってと叫ぶ様子が目に焼き付いていて哀しい。

第9位:「COCO」は2018年アカデミー賞ベストアニメーション賞作品。テーマソングの「リメンバーミー」がいつまでも記憶に残っていて、亡くなった先祖を思い、思い出を大切にする心を教えてくれる。

第10位:「フェルデイナンド」は、スペインを舞台にしたアニメーション。8歳と10歳のマゴと一緒に観たが心優しい牛と少女の美しい物語に私の方が夢中になった。映像が美しく、登場する人と動物たちの表情の豊かさに心を奪われた。