2017年1月3日火曜日
映画 新海誠の「君の名は」
東宝 日本映画
英語題名:「YOUR NAME」
原作 監督: 新海誠
音楽:RADWIMPS
声役: 神木隆之介:立花瀧
上白石萌音:宮永三葉
ストーリーは
1000年ぶりに彗星が地球に接近している。
山村地方の小さな村で暮らしている女子高校生、宮永三葉は代々地元で継承されてきた神社の家に生まれ、いずれその神社を、亡くなった母に代わって受け継いでいかなければならない。母の死後、政治の世界に入ったために離縁された父親は、現市長の椅子に収まっている。神社の後継者としての教育は、祖母の宮永一葉によって、厳しく教え込まれている。三葉は、小さな田舎町で暮らし、逃げようのない跡継ぎといった立場に、我慢ならない閉塞感を感じている。
一方東京の団地で父親と二人で暮らす立花瀧は、学校生活とレストランでのバイトに精を出している。成績は良くもなく、悪くもなく普通。バイトの奥寺先輩に恋心を抱いている。
この宮永三葉と立花瀧とが、ある日、何の前触れもなく、眠っている間に、体が入れ替わる。 突然、眠っている間に互いの体が入れ替わるという現象に戸惑いながらも、二人は、互いに日記を携帯電話にデータとして残すことによって、体が入れ替わってもあわてずに対応できるようになっていく。互いに会ったこともなければ、互いに言葉を交わしたこともない。しかし、二人は特別のつながりで魅かれ合い、互いに、いつか会うことがあれば必ずわかるだろうと思うのだった。
彗星が地球に接近すると予測されていた夜は、村祭りがあって三葉は、友達と空を仰ぎ見ていた。ところが彗星は予測を裏切って、落下途中で二つに分かれ、その一つが三葉の住む村を直撃したのだった。被害者数、数千人。街は壊滅した。
瀧はその日から、もう体が三葉と入れ替わることがなくなった。しかし彼女のことが気になって仕方なくなって、夏休みに三葉のいた村に行ってみることにした。住所も村の正確な位置もわからない。瀧の描いた村の写生画だけが頼りだ。行ってみて、その村が3年前に、彗星の直撃によって壊滅した村だったことがわかった。死亡者名簿のなかに三葉の名前を見つけ出した瀧は、その彗星を、自分は東京で団地のベランダからのんきに眺めていて、その美しさに感動したことを思い出して、自分を責める。時間を巻き戻すことができるのだろうか。
瀧は三葉の神社の御神体が祀られている山に奥深く入っていく。この世とあの世の境目を超えて、三葉の命の半分といわれていた御酒を飲む。御酒の力で気を失った瀧は、3年前に戻っていた。彗星が村を襲う、あの夜だ。未来を知った三葉は、友達のテッシーとサヤカの協力を得て、村祭りに集まっている人々を高校の校庭に集めて避難させる。
たそがれどき、、、昼でも夜でもないいっときの間だけ、三葉には瀧が見える。二人は互いに初めて会うことができた。二人は互いに忘れないで、思い続けることを誓う。しかし 日が落ちて夜になると二人は世界で一番大切な人、忘れないと誓った人の名前がもう思い出せない。
数年後、瀧も三葉も高校の時に起こった不思議な体験を覚えてはいない。でも二人はともに何か、とても大切なことを忘れているという思いが強く記憶の底に残っている。誰かをいつも探している。誰かわからないが、出会えばきっと互いにそれがわかるはず。そう強く思っていたある日、二人は、、、、。
というお話。
日本で2016年の8月に公開されてからとても人気のあるアニメーション映画だったそうで、シドニーのアジア人が多く住むチャッツウッドの映画館で上映された。日本の映画が映画館で観られるのは、とても嬉しいことだ。行ってみると面白いことに、オージーでオタクっぽい日本漫画ファンの男連れが、たくさん来ていた。日本の漫画は物語性が強く、技術的に優れているので世界中で高く評価されている。「明日のジョー」、少年サンデー、少年マガジン、ジャンプで育ってきた団塊世代が、日本の漫画文化を 広めて大衆化してきたその原動力 恐るべし。
日本に休暇で帰国するごとに宿泊するのが新宿南口のルミネ前にあるサンルート新宿ホテル。宿泊中散歩するのが新宿御苑。買い物、食事もすべて新宿周辺という、暮らしかたを30年もやっているので、日本は知らない場所ばかりだが、自分が知っている新宿あたりの風景が実録フイルムのように鮮明に描かれていて嬉しかった。あれ知ってる。これ知ってる。わー。日本人であることが嬉しい。
瀧と三葉は不思議な出会いをするが、確かにこの世には科学で説明できない出来事に遭遇することが沢山ある。私も本物のお化けに出会ったことが何度かあって、そのときの音や空気とともにはっきりとした存在感があったことが忘れられない。また、人が死ぬときに、魂が体から抜けて離れていく姿も、実際体感したことがある。人の命の深遠さを、すべて科学で解明することはできない。だから不思議な体験をした人の話は、笑って済ませないで、ちゃんと聞いてあげたほうが良いと思う。
瀧と三葉には、いまは覚えていないけれど、以前に確かに会っていて、互いを世界で一番大切な人だと認識していた記憶が残っている。いつもその人を探している。顔も名前もわからない。でも会えば必ず互いにわかるはず。そんな人生の本当の片割れに出会えたら、どんなに幸運なことだろう。
だけど哀しいことは、ほとんどの人はいつも誰かを探している。でも、まあこれでいいか、と妥協してずっとは探し続けないことだ。
この映画を観て、とても良かったので次にこの監督、新海誠の「言の葉の庭」(「GARDEN OF WORDS」)を観た。 出だしの処で高校生に「たそがれどき」という言葉の意味を教えている古典の先生が、雪野先生だったのが あとでわかって嬉しかった。この監督は芸が細かい。