2011年9月10日土曜日

第7回 ラグビーワールドカップが始まった




第7回 ラグビーワールドカップが始まった。
マオリの武闘ダンスなど、ど派手な開会式のショーのあと、第一試合 ニュージーランド対トンガ戦が行われ、予想どうり41対10で、オールブラックスが圧勝した。トンガの選手達の立派な体格、体重130キロの選手が弾丸のように走る。素晴らしく力強い試合だった。激しい格闘技なのに、ペナルテイがわずか という紳士的な良い試合だった。
試合前日 トンガチームがニュージーランドの空港に着いたとき ニュージーランドに住むトンガの人々6000人が出迎えた という。

世界中から 10万人のラグビーファンが ニュージーランドに集まってきている。開催国のニュージーランド オールブラックスは 何が何でも優勝しなければならないから 今 ものすごい嵐のようなプレッシャーの中に居ることだろう。もちろん、オーストラリアのワラビーズも 優勝候補だ。でもワラビーズは もうワールドカップで 2回優勝しているので、今回は ラグビーで世界最強のエリスカップをオールブラックスに もっていってもらいたい。

出場20カ国は 5カ国ずつ4つのグループに分かれて 総当たり戦を戦い それぞれのグループ上位2カ国が、決勝トーナメントに出て 世界最強国が選ばれる。

日本は この4年に一度開催されるワールドカップに 第一回戦1987年から連続参加している。日本チームのいるAグループには オールブラックスが居り、他にフランス、トンガ、カナダがいる。
ワラビーズの居るCグループは アイルランド、イタリア、ロシア、アメリカの5カ国だ。

1987年の第一回ワールドカップは オーストラリア、ニュージーランド共同で開催され、オールブラックスが優勝、第二回は イングランドで行われ ワラビーズが優勝、第3回は南アフリカ開催で、南アフリカが優勝した。この ネルソン マンデラのスピーチで始まった感動的なワールドカップは、クリント イーストウッドの監督した映画「インビクタス」で描かれた。第4回は ウェールスで開催され、再びワラビーズが勝ち進み、第5回はオーストラリアで開催されて、イングランドが勝ち、前回はフランスで開催されて、南アフリカが優勝した。

観戦できるスポーツのなかで 何が一番好きかと問われて、躊躇なく「それはラグビー」と 答えることが出来る。その点だけが 吉永小百合と共通している。、、、? 
父がラグビーを好きだった。
毎年 正月に行われる6大学戦で最後に残った優勝戦が 早慶戦になることが恒例だった頃 子供時代を過ごした。父はラグビー部の顧問教授の中に名前だけ連ねていた時期もあったから 直接観戦できる席が用意されていたのに、いつも家で子供達と一緒に観戦していた。子供心に 真冬の凍った土を蹴散らしながら 肉体と肉体がぶつかりあう激しいスポーツに、他の野球などにはない醍醐味をみて惹かれていた。

死んだ夫もラグビーファンだった。子供が出来るまでは、正月は二人で厚着をして よく球場に観に行った。昔のデモ仲間のあいだで ラグビーチームがあることを聞いて 頼み込んで夫をチームに入れてもらった。シャツもスパイクつきの靴も買い揃えて 嬉しそうに走っていた。背ばかり高くて 筋肉のついていない体に スクラムは全然似合わなかったが 全体のチームの動きを的確に見ていて よくボールを取ってパスしていた。徹夜続きの忙しい仕事の合間に、よく続けたと思う。履き潰すほどには 活躍しなかったスパイクシューズを 沖縄転勤、レイテ島転勤と、赴任先が変わるごとに 大事に持ち歩いていた。もっと若い頃は 熊谷組に居て 野球の選手だったので、野球のユニフォームや帽子やシューズも大きな箱に入れて大事にしていた。

二人の娘とニュージーランドに滞在していたとき、「ラグビーやらない奴は男じゃない。」と、水道工事のオッサンから 哲学者で もの静かな教授までが 真顔で言うのを何度も聞いた。
ラグビーは自分の力でボールを抱えてゴールを突破しなければならない。足で蹴ったボールがネットに入るか 偶然性の高いサッカーと異なる。強い立ち塞がる相手チームの壁を実力で崩し 前進しなければ何も始まらない。加えて気が遠くなるほど広いフィールドを 80分という 長い試合時間を走り続ける。頼みは スクラムの強さと逃げ切る足の速さだ。
オールブラックスには 体重が100キロ以上あるのに、100メートルを10秒で走る選手が何人も居る。オールブラックスは 国の誇りでもあるのだ。

オーストラリアに16年住んでいて ワラビーズの活躍ぶりにも目を奪われる。単純に体が大きくて 水牛のように強ければ良いのではない。今年まで 日本のサントリーサンゴリアスで活躍していた ジョージ グレーガンの小柄だが的確に見方にパスを出す頭の良さ 機敏性、走りこむ速さは驚異的だ。彼の動きを見ていると いかに総合的な力がラグビーにとって大切かが わかる。
オールブラックスやワラビーズの激しい格闘技としてのラグビーを見慣れた目で 改めて日本の試合を見ると、体が華奢で、スピードが遅く 試合後半になるとダレてくることが とても気になる。お決まりのように、テレビ解説者とスポーツアナウンサーが、後半戦になると、「選手たちが疲れてきました。」と繰り返す。80分間 走り続けられないなら ラグビーなんかやるなよ と言いたくなる。国際試合を本当に勝ち抜きたかったら、大量の肉だけ集中して食べて体作りをすることも必要ではないのか。
ワールドカップには、「後半戦です。選手は疲れてきました。」も、「倒れています。魔法の水を持ってきました。」などもない。2試合続けてできるくらいの体力のある選手達の立ち塞がる厚い壁を破り、前に進まないとトライを決められない。

今日は 日本対フランス。
第一回大会から招待を受け 毎回出場しているとても名誉な日本チーム。アジア最強チームの全日本ラグビー。 勇気をもって ぶつかっていってもらいたい。