2011年4月13日水曜日

赤毛のアンの手作り絵本




外国の小説を読むことの面白さの中に お話の中に出てくる料理や食材やお酒で 私たちの生活にはないものが出てきて それを想像しながら読むということがある。
イヤン フレミングの007シリーズも 登場人物のお酒に対するこだわりがおもしろくて、しばらくドライマテイニとか ジンに凝ったことがある。「ナルニア物語」で、弟が砂糖菓子を もらいたいばかりに 氷の女王に魂を売り渡してしまうシーンがあるが、このお菓子をシドニーで見つけたときには 躊躇なく買って味わってみた。

「赤毛のアン」は、孤児だったアンが 、マシュウとマイラ老兄妹に引き取られて グリーンズゲイブルの彼らの家で 家事を習い、学校に行って、大人になり 恋をして結婚してたくさん子供を産んで、、、というお話だが、小説のなかに、沢山のカナダのケーキや 家庭料理が出てきて、おいしそうな本だった。本の中に出てくる料理や御菓子や キルトや手芸品を絵本にしたのが、この本「赤毛のアンの手作り絵本」だ。

とても美しい3冊の本。大好きだった。
鎌倉書房から出版されたのが 1980年。とても大切にしていたのに、結婚された方に差し上げてしまった。以来、もう一度手に入れたいと、ずっと思っていたが、鎌倉書房が倒産して手に入らなくなった。諦めて もう二度と見られないのかと思っていたが、白泉社から 1995年に再版されて 2006年に増版されたものが 手に入った。とても嬉しい。母親から娘に渡されて 読み継がれている ロングセラーなのだろう。

がっしりして重い 料理と手芸の本。写真とイラストと説明とで成り立っている。1ページごとに 美しいテーブルセッテイングに料理やお菓子の写真があって、開きのページには アンのイラストと関連するストーリーのエピソードが載っている。後半は、その作り方の詳しい説明や型紙が載っている。それぞれのページの見出しが楽しい。たとえば、「アン ハリソンと友達になる ピンク砂糖で飾ったお手製のくるみ菓子」、「アンとダイアナの寄付金集めで、いかにもカナダ風なおいしいテイーブレッド」、モーガン夫人 突然あらわれる ピンチを救ったバーリー家の鶏の煮物」、「ブレア氏のエプロンといちごのレアケーキ」、「「子どもの好きな鶏ごはんとフルーツサラダの献立」、「アンとダイアナ少女時代にもどる、ダイアナを魅了した悪魔のチョコレートケーキ」、「アンの可愛い天使達、女の赤ちゃんのためのピンクのベビーふとん」などなど。

城戸崎愛が料理とお菓子、上田園子のパッチワークとアップリケキルト、北道万里江の洋裁、竹沢紀久子のフラワーアレンジメント、広川ますみの料理と手芸、松浦英亜樹、石垣栄蔵のイラスト。
とてもとても素敵な本だ。料理や手芸の本はいくらも出ているが これほど内容が ぎっしりつまって充実した それでいて美しい本はほかにはない。
むかしむかし大好きだった本が30年ぶりで手に入って とても嬉しい。
というわけで、今夜は「アンとマイラ二人の生活、マイラと楽しむサーモンステーキデイナー」と「メアリーおばさん、住み着くが あったかいうちに食べたいミルクシチュー」。