デイズ二ー製作の映画「BEVERLY HILLS CHIHAUーCHIHAU」(ビバリーヒルズ チャウチャウ)を観た。
監督:RAJA GOSNELL
俳優:JAMIE LEE CURTIS
PIPER PERABO MANUELO CARDONA
彼は、もと腕利きの刑事だった。 しかし、ギャング達を追い詰めて、銃撃戦になったとき 相棒を死なせてしまった。以来、職に復帰する気も失せ、自堕落な生活をしている。法も裁きもない無法地帯で、飲んだくれてムショに放り込まれ 死罪処分になる寸前。これで あっさりこの世ともおさらばできて 地獄で相棒に再会できる と期待していた。 半分死んだような自分だったが、自分と同じように処分される少女が ムショに ぶち込まれてきたときに、心の中の何かが 変わった。何故って、世間知らずのさらわれて来た少女がふるえながら、彼に身を寄せてきた とあっては、無視できまい。おまけに、少女の首にかかっているダイヤのネックレスを狙って 殺し屋が追っ手をさしよこし、少女のまわりは、敵だらけ。そんな状況が、彼を再び男にした。
彼とはジャーマンセパード、少女とはビバリーヒルズ生まれのチワワだ。
殺し屋とは、ドーベルマンで、これがずばぬけて大型犬で 走るのも早くて怖い。ビバリーヒルズチワワの首を チョイとくわえて ビュンビュン走り去る。
ストーリーは
億万長者を主人にもつビバリーヒルズのチワワ:クロエは 毎日お散歩、プール、ヨガ、ジムを セレブ仲間のダックスフントやプードルやブルドッグ達と楽しんでいた。 ある日 主人が急に海外出張することになり、姪に世話を頼んで あわただしく発っていく。ちょっと頭の軽い姪は 大迷惑。女友達とメキシコに遊びに行く予定だった。姪は仕方なく クロエを連れて 友達とメキシコにドライブする。予定どうりパーテイーに馬鹿騒ぎばかり、、、ホテルに残されたクロエは空腹に耐えかねて ホテルを抜け出したところを 野犬狩りに捉われてしまう。 牢獄で、ジャーマンセパードやレトリバーやコリーやダルメシアンなんかと出会って 大型犬たちは 哀れなクロエの姿に発奮、反乱を起こし、全員脱獄に成功する。
ジャーマンセパードのデルガードは クロエにせがまれて、メキシコの砂漠を越えてアメリカを目指すが、実は、鼻がきかない。むかし、銃撃戦で相棒(人間)を失ったショックから 匂いがわからなくなって警察犬として お払い箱になった過去をもった犬だったのだ。殺人犬のドーベルマンの執拗な追跡をかわしながら、道に迷ってジャングルに踏み込むと そこはチワワ帝国だった。マヤ帝国ならぬ、チワワ王国に居住する何百頭ものチワワは圧巻。軽いアメリアッチの音楽にのって 何百ものチワワが踊って歌って、クロエを歓待してくれる。チワワはメキシコが原産地なのだ。 いろいろな経験をしながら、貨物列車の飛び乗ったり 追ってをさけて走る列車から飛び降りたり、遂に クロエが誘拐されて、殺される危機一髪のところで 鼻のきかないデルガードの 臭覚がもどり クロエを奪還。やれやれ、大変な苦労をしながら 遂に 必死で探しにきた 庭師とその犬に出会うことができ、メキシコ警察と姪に 保護される。ジャーマンセパードのデルガードは 無事 警察に復帰できることになって、ハッピーエンドというお話。
ムツゴロウの「子ねこ物語」は、大昔 観た。畑正憲が ねこと犬の冒険映画を製作するために 何時間もねこや犬が思い通りに動いてくれるまで ねばったり、猫が川に流されるシーンではスタッフが何日もずぶぬれになりながら撮影するなど、とても大変だった という。
動物に言葉をしゃべっているように 口を動かさせて そこに せりふを入れて物語を作るのに、最初に成功したのは「ベイブ」。豚の子のお話で これはオーストラリア映画だ。1995年 アカデミー賞では このCG アニマトロ二クスの特殊効果が評価されて アカデミー視覚効果賞が贈られた。以来、本物の動物を使って それらが人間のようにしゃべって 笑わせたり泣かせたりする映画が 続々と出てきた。
この映画でも よく調教された犬達が上手に演技をしていて、口を動かして、人間みたいに話をしているように見せているが 動作、表情が 会話に合っていて 本当に犬達が英語を話しているように見える。生きている本当の犬達なので、アニメーション映画とちがった 楽しさがある。 大金持ちのブルドッグやチワワ、殺し屋のド-ベルマン、警察官のジャーマンセパードという配役が 月並みだが 実にマッチしている。なかでもジャーマンセパードのドルガードが すごく良くて泣けてくる。
ジャーマンセパードを飼っていた。犬の中で 最も表情が豊かで、ちょっと叱られたとき、寂しいとき、満足しているとき、主人のご機嫌を取りたいとき、など、顔に出て 本当にわかりやすい。 動物を主人公にしたデイズ二ーのやらせ映画で夢中になってしまう というのは、いかにも愚かしいと思うが、ジャーマンセパードの懸命な演技に すっかり引き込まれてしまった。本当のことを言うと、「ジェームスボンド」とか、「オーストラリア」とか、インデペンデント系の人の生き方を問うような こむずかしい映画よりも こんな映画が好きだ。
犬は良い。見ているだけで時間を忘れる。 犬には私心というものがない。いつも目は主人だ。主人の喜びが犬の喜び。懸命に主人の心に寄り添おうとする。人は悲しいとき、声を出さない限りだれにもわかってもらえない。しかし犬は人が悲しみをじっと耐えているとき そばに来て 懸命に悲しみを共有しようとする。
映画で 犬達は 俳優達と一緒に飛んだり跳ねたり 演技をしているが、その俳優達の背後にいる調教師がいて、その人の命令どうりに動いているだけだ。犬の目をよく見ていると カメラの後ろや、俳優達の背後から指示している調教師の姿がわかって、映画を観る楽しさにプラスの愉快さがある。ドッグラバー必見の映画だ。
しっかりした頼りがいのある肩 太い足腰、美しい緑色の目、鼻筋の通ったバランスの良い顔、美しい耳、柔らかそうな体、立派に張り出した胸、賢そうな姿、美しい毛並みのドルガードにぞっこん 惚れてしまったゼイ。