2025年3月31日月曜日

50年前の日本の職場

日本の学生も、有配偶女性も103万円の年収を超えると、所得税の支払いが発生し、親や夫の会社からの手当の支給が無くなる。また収入が130万円を超えると、収入全体に掛かる15%ほどの社会保険料を払わなければならない。
だから、
税金も社会保険料も払わないで済むように、学生も主婦も、月に10万円程度の給料以上にならないように、時間を調整しながら働いている、という。
また5千人以上の大企業で働く女性の70%が非正職員で、同じ5千人以上の大企業で働く男性の70%が正社員という雇用形態を保っている。女性がいかに優秀でも時給1000円で働け、学生は親に、女性は夫に食べさせてもらえ、ということのようだ。
男女差別の醜い日本。

50年前大学でマスコミを学び、小さな業界紙新聞社に入り、女性の編集記者は初めてと言われ嬉しかったが、醜いセクシャルハラスメントを受けて1年後に退社。ずっと女性が働ける職場と思ってナースになった。悲しかったのは、新聞社に入社したとき、5人の男の新入社員同士で、ものすごく結束して仲が良くて、互いに新米で叱られながらも強い友情で結ばれていた。だけど1年後に社長からハラスメントが起きた時、嘘のように5人の結束が消えてみんな瞬時に離れて行って、孤立無援になったことだ。誰も話を聞いてくれなかった。今思い出しても胸が痛い。

オーストラリアに移住して30年目に入る。いまもナースをやっていて、オージー同僚たちに、日本の自慢話をしている。
実際日本の都立病院に居た頃、美濃部都知事の計らいで、ナースの為には寮も、保育所も確安で用意されていた。大きなナース用のロッカーがそれぞれにあって、その日に着た白衣は、備え付けのエアシューターで地下3階に送ると、翌々日にはパリっとアイロンがかかった綺麗な白衣が届けられた。風呂もシャワーも完備していた。「白衣をドーンとエアシューターで落っことすと、ピューンとアイロンのかかった白衣が届くんだよ。クリーニング代無料だよ。50年前の話だよ!!!」と言うと仲間の誰もが目を丸くして「日本ってすごい」と感嘆してくれる。その病院で2人の娘を持ち、職場の高い窓から下を見ると、よちよち歩く娘たちを含めた幼児らが病院のテニスコートで遊んでいるのが見下ろせた。真冬でも半そで短パンの幼児たち。幸せだったころの話。そんなのをオージー同僚はしっかり羨ましがってくれる。日本も良いことろが沢山あった。
しかし制度的にはこの半世紀、50年もの間、何も変わらず、女性は男性に食べさせてもらわなければ生きてこられないという、なんという差別社会。

オーストラリアでは正社員の時給より、非正職員の時給がずっと高い。非正職員には、年次有給休暇や有休の病欠がないので、当然だ。私は年6週間の有給休暇は絶対きっちり取る。
最低賃金は正職員で時給$24.10(2506円)、非正職員で$30.13(3133円)これはワーキングホリデイで来ている若い人も、バイト学生も共通で、最低賃金を守らない雇用主は罰せられる。
給料のほかに、給料の12%を雇用主は、それぞれの職員の積み立て年金に入金する義務がある。また12%は自動的に国民健康保険に引かれる。税金額も20%くらい引かれる。額面と実際の受取額のすごい違い! だから毎年給料アップを求めてフツーにデモをやる。
こうしてこの国で30年近く働いてきて、職場のセクシャルハラスメントや男女差別は感じないが、パワーハラスメント、ボスからの虐め、管理職のポジション争いの醜いやりとりは、しっかりある。自分が働く目的意識を持ち、常に向上意識をもたないと、蹴落とされるし、職場に留まっていられない。それは、どんな職場にも言えることだと思う。働くと言うことは、生きる事、男でも女でも大変だ。

日本で、職場や地域社会にセクシャルハラスメントを受けた人が、駆け込めるような場がないことは間違っているし、、、非正職員の時給がが正職員の時給より安いなんて絶対、間違っているし、、、シングルマザーが保育園や学童保育に子供を任せて働けないような地域社会は、間違っているし、、、仕事の悩みで自殺者が出るようなことは全くもって、間違っている。
性別に関係なく、年齢に関わりなく、学歴に関りもなく、熱意を持った者が快適に職場で働きながら、結婚したり、子供を持ったり、離婚したり、定期的に旅行したり、職場の仲間と誕生日を祝い合ったり、年を取っても大学で学びなおしたり、趣味を楽しんだりできる社会が、ぜんぜん間違ってないのだ。

2025年3月12日水曜日

アンチセミチズム法

豪州のNSW州では、この2月に、アンチセミチズム法という新法が施行された。
アンチセミチズム:反ユダヤ主義という民族差別行為を取り締まり、ユダヤ教信者が安心してシナゴクで宗教行事ができることを目的とする。
ガザでイスラエル政府によるパレスチナ人へのジェノサイトが止めようもなく、5万人の犠牲者が出ている状況で、パレスチナ支援の声が広がっているが、ユダヤ人団体の圧力に負ける形でこのような規制が法制化された。これで豪州のユダヤ人は特別に保護される対象になった。

パレスチナを支援することは決してアンチセミチズム(反ユダヤ思想)ではない。現在の狂信的イスラエル政府によるシオニズムを批判しているのだ。にも関わらずパレスチナへの人道的支援を呼びかけ、イスラエル政府を糾弾する動きに、アンチセミチズムのレッテルを張って規制しようとする動きが急速に進んでいる。
豪州では先住民族アボリジニが、総人口の2%を占めるが、それ以外の、98%は主に欧州からきた移民で形作られた国だ。その中には長い歴史の中で欧州で差別されてきたユダヤ人もたくさん新天地を求めて豪州にやってきた。総人口のうちユダヤ人がどれくらいの比率を占めるかの統計はないが、ユダヤ教を信ずる人口は、豪州の総人口の、0.4%とされる。わずかなそれらの人々を保護するためにアンチセミチズム法が新設された背後には、右傾化する世界情勢と、増えつつあるイスラム教徒の勢力を制したい政府の意思がある。ユダヤ教信者に比べれば、豪州ではムスリム人口は、少なくとも10倍いる。クリスチャンの国だから、ムスリムへの嫌悪感もあるだろう。

法規制ができた切っ掛けは、1月にシドニー東部ドーバーハイツのシナゴクが放火され、ユダヤ人宅の塀に落書きがされ、家の前に駐車した車2台に火がつけられた事件だ。これは3月10日になって犯人が14人逮捕され、アンチセミチズム法とテロリスト法で起訴されるようだ。報道ではムスリムのテロリストによるものとされている。

また2月13日にシドニーの公立病院で、男女2人のナースがソーシャルメデイアでユダヤ人インフルエンサーと会話をしていて、「私たちはユダヤ人はケアしない。そうよ殺すわ。」と軽口をたたいたビデオが大々的に公表され、ナースたちは逮捕起訴された。若者同士の軽口とソーシャルメデイアの影響の大きさを示すものだが、これ以来ナースへのアタック、公立病院への人々の不信と不満で私の職場も影響を受けた。

また政府はこういった事件を機にムスリムへの規制を明らかに強化している。昨年イスラエル政府は、パレスチナガザのハマスをサポートしていたレバノンヒズボラの宗教指導者、ナスララ師を暗殺した。イスラエル軍は、1トン爆弾を、80発投下して彼のいたヒズボラ本部を破壊し彼を殺した。ナスララ師はレバノンの政治リーダーというよりも宗教指導者として人々の信心の支えだったから、彼を暗殺した罪は大きい。2月24日彼の葬儀がレバノンのベイルートで国家行事として行われたが、豪州政府はこの葬儀に参加するために国外に出た人は、二度と豪州に戻ってこられないように、ビザも永住権もはく奪する、と発表した。ムスリムは心の支えだった宗教指導者を悼むこともできなかったのだ。

アンチセミチズム法が出来て、テロリスト法もできて、うっかりユダヤ人をサカナに軽口をたたくこともできなくなった。
こうして社会の監視が強化され、報道管制と言論弾圧が進行していく。
ユダヤ人で冷酷無比の守銭奴、スクルージを皮肉ったデイッケンズのクリスマスキャロルは、アンチセミチズムか?
あくどい金貸し老婆は生きてる価値がないと、ラスコリー二コフに思わせて殺させた、ドストエフスキーはもう読まれないのか????

2025年3月11日火曜日

腐敗するウクライナ政府とNATO

ウクライナ、ロシア間の戦争が始まり、3年目に入った。
開戦前、もともとウクライナのルハンスク州の3分の1、ドネツク州の半分の市民は、親ロシアでロシア国内のパスポートを持ち、ロシアの国政選挙には、国境を越えて投票しに行っていた。かねてからプーチン大統領は、ルハンスク、ドネツク人民共和国の独立を承認するように、ウクライナに呼び掛けていた。

しかしゼレンスキー大統領は、2021年10月ロシア、ウクライナ間のミンスク合意を破り、親ロシア地域をドローン攻撃し2600人の市民を殺害した。
火種を持ち込んだのは、ブッシュジュニア大統領で、ウクライナを、NATO軍に加盟させようとして内戦を拡大させた。1990年ドイツ統一の際には、米国がロシアに「NATO軍の管轄は1インチも東に拡大しない。」と確約した約束を簡単に裏切ったのは、ブッシュからオバマまでの米国大統領だった。
ルハンスク、ドネツク人民共和国のことは、国民投票で独立するのか、ウクライナに帰属するのか、住民の彼らが決めることだ。ウクライナが介入すべきではなかった。

2022年2月にゼレンスキーが国家動員令を発令してから、16歳から60歳までの徴兵が行われウクライナの人口2000万人のうち200万人の国民が参戦している。
EU,米国、豪州からもウクライナには義勇兵が参戦し、純粋にウクライナの領土を守りたいと言う動機の若者もいる。一方雇われてお金のために入隊する兵も多い。コロンビアが最大で、中南米から来た傭兵が最前線に立っている。彼らに払われる給料は、米国とEUの援助金だ。

ゼレンスキーは、国際調査報道ジャーナリスト連合によると、イギリス領バージン諸島にペーパーカンパニーを作り、戦争が始まったばかりの2年間足らずの間に8億5千万ドル蓄財した。現在の資産は18憶ドルだと発表されているが、エジプトの高級避暑地にも、イタリアのトスカーナにも、ヤルタと英国にも豪邸を持ち、キーウには4つのアパートを所有していることを、2017年ウクライナ政府に資産申告している。ほかにもコートダジュールとフロリダに別荘を持っていると言われているが申告されていない。

欧米がお金を出し、ウクライナに戦争を継続させるように充分な兵器を送り込み、ウクライナ人だけでなく最貧国から傭兵を雇って使い捨て、ウクライナのトップは欧米の市民の税金からなる支援金で私財をため込んでいる。 
また新たに英国が米国の代わりにゼレンスキーに送ることを約束した450憶ユーロは、英国が自由にできる資金ではなく、ロシアの凍結されている資産なのだ。これは窃盗罪という立派な犯罪だ。
こういった構造を、腐敗と呼ばずに、何というのだろうか。

ノームチョムスキーは、「人々を受動的にかつ従順に保つ賢明な方法は受け入れられる意見の範囲を厳しく制限しながら、その範囲内では非常に活発な議論を許すことだ。」と言った。トランプに侮辱されたゼレンスキーが可哀そう。味方になってあげて、どんどん武器を送ってあげようーもっともっと殺さなくちゃ、、と言い続ける軽薄な論争を、もういい加減止めよう。
武器を送るな。殺すな。